HQ 及川
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サービスエース
*ミョウジナマエ
「ナマエちゃん、宮下の件は本当にごめんね……あいつをどうするかってのは主将とコーチたちと真剣に話し合うからね」
「マネこんなに居ながらごめんね、本当に…」
「退学でいいんじゃない?退部は甘いよ」
「学長に申請書出そうよ」
「あ、いや、あの…私もやり返したのでそこまでは」
暴走しかねないお姉さんたちをなんとか止める。こんなに心配してくれて、自分がやったわけじゃないのにしょんぼり肩を落とすお姉さんたちはなんて優しいんだろう。ふと小学生の頃、好きだった担任の国語の授業のワンフレーズを思い出す。
『優しさは繋がることができる。怒りは断ち切ること、受け取らずに見捨てることができる。取捨選択を間違えずにね』
マネを始めてから、色々あった。気にしたってどうにもならないって深く見ないように、聞かないように意識してるのは勿論ある。青城内だけで色んな気持ちをぶつけられるのに、それ全てをいちいち受け取ってたら私が潰れちゃう。
心無いことを言う人ももちろんいるけど、優しさが繋がってる今の光景を見ると私自身の行動は正しかったのかもしれない……そう思えた。
「え、ていうか話切っていい?関連だけど」
「なぁに、ミナ」
「ナマエちゃん、ほんとに未経験なの?!あのサーブ超キレーだったよ!」
「それウチも思った!!!」
「私も私も!!お姉さんに隠し事かぁ〜???」
「ち、違います……!あれはセッターの及川くんのマネです」
モノマネは得意なんですよ、と付け加える。それだけであんな…?と疑惑の眼差しを向けられてはいるけども。夕ごはんのカルビ焼肉丼を皆で作りながら、あーでもないこーでもないと話す。父兄さんたちも混じってくれて楽しい。
夜、同じ部屋でレクレーションやろうねと約束しあってお風呂掃除へ。銭湯ほど広くはないけど、合宿所のお風呂だから家の何倍も大きい……床掃除だけでへとへと。カビキラーでつけ置きして、洗い流してから湯船を貯める。食堂に座って突っ伏して目を閉じる。
大きい湯船だからお湯が溜まるまで……たしか20分くらいだったっけ。20分後にアラームをセットして机に突っ伏す。昨日と変わらない練習メニュー。むしろミヤシタさんのことがあって中断した時間もあるから練習量は少ない……のにこんなに疲れてるってことは、慣れない『怒り』のせいかも。怒ることってこんなに疲れるんだな…。
少し仮眠しよう、と目を瞑る。アラームセットしたし、私の絶対に起きれる曲にしたし……バイブもオンにしたから振動で起きれるはず。そうやってうとうとしてると不思議な夢を見た。お母さんともお父さんとも言い難い、優しい手つきで頭を撫でられる夢。一静とは違う……一静は1年生の頃にルナちゃんがセットした髪型崩したせいでルナちゃんに怒られて以来、ぽんぽん、ってしてくる。
お母さんとお父さんに頭撫でられるのなんていつぶりだろ…?小さい頃からうまく甘えられなかった自負はある。甘える隙がないというか…二人とも今より忙しそうだったし、喧嘩もよくしてたし。小学生になったら『もう小学○年生のお姉ちゃんなんだから』ってよく言われてたこともあって、例えば…なんとなく暗いのが怖くて眠れないとか。寝る前に怖い番組見ちゃったとか、成長痛が痛くて寝付けないとかそういうの言い出せなかった。お姉ちゃんって言われてるのに『寝れない』って甘えるのがなんか恥ずかしくて。
その分一静や一静ママに面倒を見てもらったこともある。一静ママは一静によく似て普段は静かだけど、美味しいクッキーをもう一枚だけ食べたいなと思ってるとにっこり差し出してきてくれて、よく頭を撫でてくれる人だった。学校の先生に『私には2人のママがいる、どっちも大好き』って言って混乱させたことあるっけな…。
あったかくて優しい手に擦り寄るように頭を動かす。手が頭からほっぺに動いて、肩を揺すられてることに気付く。
「ナマエちゃん」
「……………あれ…?」
「寝てたけど体調悪い?」
及川くんだ。首を振る。慌ててスマホを見るとまだあとアラームまで10分ある。焦った……これで溢れさせてたら水道代請求されるところだった。
「お風呂の時間あるから…溜まるまで寝てた……みんなは?」
「いま荷物おいて洗濯回してるトコ……疲れちゃった?」
「うん……初詣の帰りみたいな…」
体も起こして話してるはずなのに、7割くらいまだ寝てる気がする。
*及川徹
「……え、ナマエちゃん?!」
食堂ですうすう寝息立てて寝てる警戒心ないナマエちゃんに危ないでしょ!って注意しようと思ってた。まあ少し寝顔見るくらいいいよねって隣に座って頬杖ついて見てた。あんまりにも可愛い寝顔で思わず頭を撫でてたら、ふにゃあってニヤけながら手に擦り寄ってきてひっくり返りそうになった……待って、可愛すぎない??!
そのまま少し撫でて、皆来るし起こそうと肩を揺する。すんなり起き上がってスマホの時間を確認してるナマエちゃんはまだすっごく眠そうだし……なんかぐったり、って顔してる。体調悪いか聞いたら無言で首を横に振ってる。聞けばお風呂の湯船溜まるまで仮眠してたみたい。疲れちゃった?って聞いたらあんまり開ききってない目で初詣の帰りみたいな……とちょっとズレた返答。
眠過ぎて頭回ってないな、コレ。そう思ってまだ寝とくか確認しようとしたらぽす、と頭が胸元にやってくる。
「………え???」
「……」
え、寝てる??この子男の子に頭預けて無防備にも寝てる?固まるオレをよそに、あろうことか抱きしめられる。
「何やってんだアホか…………」
「岩ちゃん助けて」
「……花巻、松川ァ!面白いことなってっぞ」
まっつんまで呼ばないでくれる!??!絶対今日寝る前に揶揄われるじゃん!!!急激に体温が上がってめちゃくちゃ暑い。あとオレまだ風呂入ってないし汗臭いだろうからいろんな意味で恥ずかしい。
「あら?あららら〜???」
「ふ、おとぼけちゃん及川枕にして寝てんだ」
「お願い誰か助けてマジで」
「大人しくて丁度いいな」
だ〜れも助けてくれないね!!!!この裏切り者っ!!まっつんもマッキーもニヤニヤしやがって……!オレとナマエちゃんを囲むように座ってくる岩ちゃんたちを静かに睨む。
「ちょっとマジで心停止しかねないから助けてよ!」
「小声なのウケるんだけど」
「いいじゃん、ラッキースケベの健全版で」
「良くない良くない!まっつん写真撮ってないで助けてってば!」
小声でそう話すも二人は協力してくれる気は一切ないらしい。ほんと最悪なんですけど…!
「……体調不良ではないんだよな?」
「疲れたって言ってた……」
「あ〜……泣いたしキレたしね、あんまりそこまでしてるの見たことないし……全力でやりすぎたとか?」
「は、こいつンなキレたことねえの?」
「俺が見る限りは……転んで泣く、とか…ナマエ小さい頃ナマエのママたち夜勤とかしてることあってさ。そういう時に寂しい〜って泣くのは見たことあるけど……あんなキレてるのは初めてかも」
「へぇ……ほんとにお前ら双子みたいなんだな」
「まぁね。俺の両親が仕事で…って時も、ナマエの両親が忙しいときもお互いの家行き来してたし。だからナマエが小学生の頃さ、担任の先生に『私にはママが2人いる』って言って混乱させてたことあるよ」
可愛いエピだけど先生からしたらマジで混乱するやつだね。突っ込んでいいのか難しい話題すぎるし。そうやって小声で談笑してるとナマエちゃんのスマホからめちゃくちゃ懐かしい音楽が鳴り出す……アラームか。
「なっつ…」
「ミョウジ、スマホ鳴ってんぞ」
「んん………」
ぎゅう、と更に力を込めて抱きしめられて、動けない俺はもう空気に徹することにした。顔赤いってマッキーがバカにしてきたけど無視。他のこと一生懸命考えて気を逸らしてると腕が解かれてナマエちゃんが伸びをしながらアラームを止めてる……起きた?
相変わらず眠そうだけど、さっきより受け答えがふにゃふにゃしてないし目も開いてる……やっぱ寝惚けてたんだ。
「……あれ、皆いる」
「おう……お前こんなとこで寝るな、大学生たちは」
「布団と洗濯物にいった」
「おとぼけちゃん、寝るなら上の部屋で寝な」
「横になったら起きれないから……お風呂止めてくる」
目を擦りながらフラフラと立ち上がっていったナマエちゃん、やっぱり俺に抱きついてたこと覚えてないっていうか……無意識?だったっぽい。
「………っは〜!!!!マジでお前ら許さない」
「良かったじゃんラッキースケベ」
「良くないんですけど??!」
「すっげぇ顔赤かったな」
「ナマエ、あぁ見えて男子には当たり前にパーソナルスペース狭いからまあ……心許されてるってことじゃない?良かったね、及川」
「……〜〜っどうも!!!」
嬉しいような恥ずかしいような。良いことなんだろうけどサ!
(ナマエちゃん、絶対にお姉さんたちと四六時中いてよね!及川さん心配したんだから)
(ごめん…へとへとだった)
(慣れないことして疲れちゃったのは分かるけど…!)
(そんな怒らないで、ほらスペシャルなお菓子あげるから)
(……なにこれ?)
(千疋屋の大福。お母さんが親戚から貰ったやつくれたんだ……なんと1箱5000円するやつ)
(たっっっか!??!?…え、逆にいいの?)
(うん、一緒に食べよ…お昼から冷蔵庫の端っこで解凍しといたんだ)
(情熱すご……ナマエちゃんなに食べるの?)
(白桃!わ、もちもち〜)
(じゃあおれパイナップルもらうね、ありがと)
((………うまっ!))
(感動的な美味しさすぎる)
(ほんとにもらって良かったの?これ)
(うん!ただお姉さんたちにはどう頑張っても個数足りないから秘密ね)
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