HQ 及川
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フェイント
*及川徹
あの、何故オレはお姉様たちに囲まれてるのかな。
「及川くん、こっちおいでよ」
「コイバナ聞かせて〜」
「え!??!や、あの…」
「ここだけの話……ミョウジさんのこと結構好きなんじゃない?わっっかりやすいねぇ」
「いや、あはは……」
もう笑って濁すしかない…けど耳が赤かったみたいで、指摘されてもっと恥ずかしくなってくる。
「両片思い?」
「いや〜あの子相当天然だから気付いてなさそうよ」
「頑張れ、及川くん……私達本気で応援してるから。いいねぇ、青春だね…」
普通にめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど……。きゃあきゃあと普段囲まれる女の子たちとは別の盛り上がりに縮こまってると、お風呂あがりに食堂に寄ったらしいナマエちゃんが入ってくる。え、寝るときの服それなの!?可愛すぎない……?!
「ミョウジさん、髪の毛濡れてるじゃん」
「乾かさないとだよ」
「暑いんですもん……」
お姉さん、とナマエちゃんが呼ぶ通り大学生に構われてる姿は本当に姉妹みたい。まっつんも甲斐甲斐しく面倒みてるし、オレも……ナマエちゃんからは目が離せないし。生粋の妹気質なんだろうな。
「寝癖ついちゃうよ……あ、お菓子こんなとこに隠してたの?!」
「お姉さんたちと協定を結んだからね」
ブイ、とピースサインしてくるナマエちゃん。全く抜かりない……ナマエちゃんは特例として大学生のマネたちと同じ部屋で合宿所に寝泊まりすることに。一人でっていうのも最初コーチたちが考えてたみたいだけど、防犯の意味も込めて誰かいたほうがいいしってことで。ナマエちゃんは「帰らなくていいんですか?!」って飛び跳ねるくらい喜んでた。
「枕投げするなら髪の毛乾かしてきてよ」
「ちぇ……仕方ないな〜」
ナマエちゃんの為を思って言ってるんだからね!と加えて言うとお姉様たちが試練のような一言を言う。
「そうだ、ナマエちゃん!及川くんに乾かしてもらいなよ」
バッ!と振り返ると何人か頑張れ!と口パクでオレを見てる。余計なこと言わないでよ!と思った反面、ナマエちゃんの髪の毛触れる…って思ってしまった反面。。。
「ほら、絹女のドライヤー貸したげる」
「ナマエちゃん、ヘアミルク何使ってるの?」
「ミルク?使ってないです、オイルだけ」
「じゃあこれ使いな、サラッサラになるから…こうやってつけて〜…じゃオイルもつけちゃうよ」
テキパキと世話されるナマエちゃんを見つつ、ドライヤーを渡されたオレは固まる。もう既にいい匂いするんですけど……!お姉様たちによって髪の毛にオイルとかを塗られて、櫛でそれを馴染ませて……もう無理とか言えない雰囲気だからドライヤーの電源をつける。
「もう……熱くない?」
「うん」
ナマエちゃん、顔も頭も一回り小さい。美容院のお兄さんの手つきを思い出しながら、変な癖がつかないように、熱が1か所に集中しすぎないように乾かしていく。冷風ボタンなんかもあるみたいで、それに切り替えながら。
「おぉ〜!すごい、サラサラ!及川くんありがと!とっておきのお菓子あげる」
「はいはい……ほんとだ、サラサラ」
猫っ毛?ってくらいしなやかでサラサラ。ドライヤー一つでここまで変わるのすごいな……。
「はい、チョコサンド。これ東京駅に売ってるやつなんだって」
「ありがと……いいの?」
「うん!それすっごく美味しいよ、クッキーさくさくなの」
ニコニコの可愛いナマエちゃんから如何にも高そうなチョコクッキーでチョコクリームを挟んだお菓子をもらう。……ほんとだ、美味い。
「そおだ、ナマエちゃん」
「?」
「部屋ではお姉様たちといるからいいけど……廊下歩くときとかも気をつけてね」
「うん、わかった!防犯ブザー持ち歩く」
「普通に連絡くれれば見に行くからね?」
あのナマエちゃんに声かけたくせにブスとか言い放った野郎も同じ建物内にいる。もし……お手洗いの帰りとかでばったりナマエちゃんと出くわしたら。考えたくもないけどあり得はする。
なんやかんや、消灯時間ギリギリまで食堂でナマエちゃんたちと話し込んでしまった。大学で流行ってること、高校で流行ってること。進路先の相談なんかも兼ねてたら話が盛り上がるに盛り上がった……いくつも上の将来を見据えた大学生と話せるとなると貴重だしね。
「そろそろ消灯時間だ、部屋戻ろうか」
「うん」
「お菓子ポッケに持ち込んでない?」
「グミだけ」
「だ〜め!もう歯磨きして寝るんだから…はい、及川さんに渡して」
「ちぇ……これと、これと……あとこれ」
「しっかり食べるつもりの量を仕舞いこまないの。虫歯できるよ?」
そう話しながらお菓子を受けとり、かごの中にしまっていく。3袋も持ってこうとしてたんだ……。残念そうに見ているのでまた明日ね、とナマエちゃんの頭に手を置く。
*松川一静
あ、及川。ナマエもい……すごい大学生に囲まれてる。名前と顔が本当に覚えられないんです、と自己紹介したナマエのために保育園の先生みたく名前の札を下げてくれるくらい優しい先輩たち。ド天然のナマエが可愛くて面白くて仕方ないみたいで、世話を焼いてくれてる。坂田さんみたいなタイプ。
「ナマエ、一応お母さんに連絡しときなよ」
「あ、一静!ご飯の写真送ったんだよさっき」
「合宿所の?」
「うん!合宿ぽいご飯って送ったら感動してるスタンプきた」
何もかもナマエには目新しいんだろう。大学側の先生とコーチたちが話し合って、ナマエもマネのお姉さんたちと同室で泊まろうって決まったときの喜び具合は凄かった。
あんなに子供みたいに喜んでるの久々に見たし、国見がツボって動けなくなるくらいにははしゃいでたっけ…。
「どうも……はしゃいじゃって夜寝ないかもしれないんで、頑張ってください」
「え〜夜ふかししちゃう?」
「ナマエちゃん朝弱そうだから可哀想だよ、枕投げだけして寝よ」
寝る気全然ないじゃん。枕投げって結構運動量多いしアドレナリン出るからめちゃくちゃ起きるのに。
「ナマエ、楽しいからって夜ふかししすぎないでよ。倒れたりしたら即家だからね」
「分かってるよ…枕投げだけする」
「どんだけ枕投げ楽しみにしてるのサ…」
「一大イベントだもん」
そんなん聞いたことないけど。修学旅行、坂田さん大変だっただろうな…。きゃいきゃいとはしゃぐナマエたちと別れて及川と部屋に戻る。
「随分とだらしない顔してたね」
「ゔぐ……だってさあ、まっつん聞いてよ!」
はいはい、今度は何?と聞いていれば好意がだだ漏れな及川は速攻で先輩たちに見抜かれ、ナマエの髪の毛を乾かすように仕組まれた…と。
「良かったじゃん」
「良くないよ……っ!!すっごい恥ずかしかったんだから」
「そんな童貞みたいな反応されても……そういや元カノたちとはどこまでやったの?」
「ちょ、まっつん!!!はしたないんですけど!!」
いやもうここ男子ゾーンだから間違っても女子居ないからいいだろ。いちいち照れるなよ。
「キスもしたことないとかじゃないんでしょ?まじで本命童貞なわけ?」
「ゔ……そりゃ、キスはあるけど……」
うわ、すっげえ顔真っ赤……図らずも本命童貞だった及川を見やる。まあ…及川は素直じゃないし気を回して気遣いできるのに肝心の一言足りない時あるから、そこで拗れないといいなとは思う。ほかは特に心配してない…この様子じゃあ言い寄られたところで浮気なんかもできないだろうし。
「一途だねえ、及川くん」
「……そういうまっつんはどうなの、ずっと一緒にいるんだから意識したりしてんじゃないの」
「したことないって言えば嘘になるね…けどもうないよ、害悪すぎるからこんな言い方したくないんだけど…ナマエはまじで妹」
今回はたまたま隣の家で生まれて、親同士が仲良かったからここまでの関係なだけで前世は双子とかそれこそちゃんと兄弟だったと思うよ、と続ける。
「ふうん…?」
「うわ、全然信じてねえ顔。もう協力してやんねえからな」
「ごめん、それは勘弁してほしい」
「ナマエのママとパパが許してもまだ俺いるからね、挨拶忘れんなよ」
「まっつんが最終ポジションなの???」
「ううん、俺のお父さんがラスボス。あの人ナマエのパパに向かって『ナマエちゃんは僕が許すまでお嫁に出しません』って言い放ったからね」
「えぇ……大変じゃん」
「お父さんの前に俺の母さんもいるし」
「総動員やめれる?」
もう顔が青褪めてる及川の背を軽く叩く。ま、まずはナマエを射止めるところから頑張れよ。
部屋について花巻たちに道中の話をすればひっくり返って笑って、及川は耳まで真っ赤にして布団に丸まっていた。
(前途多難だな……まあそのくらい守り固くねえとミョウジ自身の守り弱ぇし、丁度いいんじゃねえか?)
(岩泉もそう思うよね)
(ヒッ、だっはっは!!及川首まで赤ェじゃん…)
(マッキーうるさい、寝るよ!)
(寝れねえだろ、どう見ても……あいつ枕投げしてんのかな)
(してるんじゃない?もう楽しみで楽しみで仕方ないって顔してたもん)
(怪我してなけりゃいいけどよ……つかなんであんな先輩方に気に入られてんだ?年上キラーなんか?)
(さぁ…?俺もナマエが先輩とか後輩に関わる状況見たことないから…庇護欲?)
(それだけであんな女子たちって結託するかなぁ)
(するだろ、坂田忘れたのか?ミョウジのセコムって男子から呼ばれてんだぞ…まぁ松川もだけど)
(まあ俺はセコムだね。坂田さんも言われてるんだ)
(そりゃな……下手な奴らが話しかけようとしたらお前も坂田と後ろから睨みつけてりゃ言われるわな)
(え、睨みつけてたの?……坂ちゃんに見つめられてると思ってた)
(なるほど、坂田さんに嫌われるわけだわ)