HQ 及川
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レシーブ
*ミョウジナマエ
ついにやって参りました、高校最後の夏休み。去年までは私が毎日夏休みも学校に通うことになるなんて想像もしてなかった。
「ほら肌出さない」
「あづい……」
こんな暑いのに長袖のジャージを羽織れと言ってくる一静は鬼かなんかじゃない?長袖のジャージが嫌なら日傘を買え、と脅されて昨日ネットでポチッとした。そこそこのお値段したけど、機能がいいし熱中症になったりするよりかはってお母さんが奮発してくれた。生まれつき肌が弱いから一静は長袖ジャージを強要してくる。日焼け止め塗ればある程度大丈夫なんだけどね……日焼けが苦手なお肌で、軽い火傷のようになってヒリヒリ痛いから日焼け止めはかかせない。ベタベタするから嫌だけど……後で痛い思いするよりかは、ね。
「来た瞬間溶けてんな」
「おはよ……あつ…」
「うわうわ顔真っ赤じゃん……早く脱ぎなそれ」
花巻くんと及川くんに囲まれる。黒いジャージじゃなくて心底安心してる……烏野は登下校だけでも地獄の暑さだろうな…。
脱いで体育館の床に伸びて猫を見習った涼しみ方をしていると及川くんがしゃがんでくる。
「熱中症じゃないの?大丈夫?」
「大丈夫、及川くんも花巻くんも1人」
「ん〜……国見ちゃん、アイシング2個こっちに頂戴!あとファイルかなんか」
「?」
「頭と首、練習始まるまではこれで冷やして……いつもの朝よりだるいならソレ熱中症だから。オレもマッキーもナマエちゃんが床で伸びてるの見たことないからネ……はい」
ひんやり。頭の上と首の上に置かれたアイシングを片手でそれぞれ支える。おまけにファイルで扇いでくれてるおかげでより涼しい、意識がしゃきっとするようだ……確かに夏休みの前からうだるような暑い日はいくつかあったけど、ここまで体だるいの初めてかも。
目を瞑ってアイシングを当ててるといつの間に監督とコーチが隣りに居てびっくりして肩が跳ねる。
「意識はあんな、吐き気とかはねえのか?」
「お、おはようございます」
「驚きすぎてミョウジさんがおかしくなってる……」
国見くん、失礼だな。挨拶優先させただけで何を聞かれたかは分かるよ。
「吐き気はないです、でもふらつく……」
「おわっ!?!急に立ち上がるな馬鹿!寝っ転がっとけ……今日は観測史上暑ィらしい、いつもやってるからって自分は大丈夫って他人事にすんなよ!今日は水分補給と休憩多めで進める……迎え呼ぶか?」
立ち上がって話をしようとしたら立ち眩みでフラついてしまい、コーチに支えられながら怒られる。
「……こういうときって帰ったほうがいい、ですか?」
「とりあえずこれ飲んどけ、じゃあ……20分様子見るか。そこの日陰で風当たるとこで寝とけ。アイシングは交換」
コーチの言うとおりにして寝転がる。確かに暑かったけど、なんていうか沸騰してた感じの暑さではない。ずっとアイシング当ててるから冷たさで頭が痛いような気もしてくるしちょっと寒い気もする。
「一静…」
「ん?どした?」
「長ジャー貸して、ちょっと寒い…」
「ん……スポドリ飲んだ?」
一静からジャージを受け取って頷く。経口補水液……巷で噂の飲む点滴。とりあえず飲んでおいたほうが回復も早そうだからちびちび、でもしっかり飲んで横になる……なんか、いつもと香りが違うような。柔軟剤変えたのかな。
お腹が冷えないようにブランケットみたいにかけて横になって目を瞑る。
*及川徹
あー……気になる。ナマエちゃん大丈夫なのかな……なんでこんな暑いのに長袖を着せてるのかまっつんに尋ねたのは1ヶ月くらい前。ナマエちゃんは肌が弱くて少しの刺激でかぶれたり腫れたり爛れたりしてしまうから日光やプールなんかは体調との相談しながら、らしい。あんまりに毎朝汗ダラダラで登校するもんだからついに日傘を購入したんだとか……そう聞いていたけど、今日は来た瞬間から顔がりんごのように真っ赤だった……走り込みやスライディングが終わったあとみたいな、そんな顔色に嫌な予感がした。
フラフラと体育館に辿り着いたナマエちゃんは更衣室に行く前に床に寝転がり始める……床が冷たいんだろう、マッキーと顔を見合わせて様子を見ると受け答えはできるし呂律も回ってるけど、いつも以上にぼーっとしていた。
「オイ」
「……岩ちゃん」
「先生たちが見てるから大丈夫だ、集中しろ」
「……ウン、ごめん。切り替えるね」
オレらでも堪える暑さのため1時間早く練習は切り上げ。だいぶ回復したみたいでナマエちゃんはずっと風通しのいい、先生の目の届くところで横になっていた……片付けを終えてそっと近寄れば寝息を立てて眠ってる。あんなに真っ赤だった顔もいつもの顔色に戻ってる。汗臭いだろうしオレも着替えよ。
「……?アレ、オレのジャージない」
「……あ、悪い。俺のと間違えてナマエに貸してるわ」
「まっつん………」
「ガチで間違えた、焦ってたから。ごめんって」
抱きしめるように眠ってたと思うんだけどな!??!
「良かったじゃねえか、変なことに使うなよ」
「うわ〜及川くんサイテー」
「なんでオレなの!?言い出しっぺの岩ちゃんでしょ!」
なんでオレがやいやい言われる方な訳!汗拭きシートで身体拭いてから体育館に戻ると、ナマエちゃんまだ寝てる。監督がナマエちゃんのお母さんに連絡してるみたい。迎えくるんだ、良かった。
「…ナマエちゃ〜ん、ちょっとごめんね〜…」
そーっとまっつんのロッカーからひったくったジャージを片手に交換できないかと引っ張ってみる。
「ん……さむい……」
だめだ、めちゃくちゃガード固くなっちゃった。足の間にも挟まれてるからこれはもう、明日以降に返ってくるだろうな……。眉間にシワ寄ってんのになんか可愛いナマエちゃんを好きなだけ見つめているとまっつんたちもやって来た。
「うわ、めちゃくちゃ失敗してるじゃん」
「眉間にシワ寄せて怒られちゃった」
「顔色良くなったな……ミョウジ、合宿大丈夫なんか?」
「毎日こんな暑くなければ今までもイケてたし……まぁ様子は見るけど……運動部なんてやったことなかったからね、ナマエ。小さい頃は喘息酷かったし」
「そぉなんだ……だからナマエちゃんのお母さんあんなに感動してたの?」
「そ。マネとはいえ運動量は凄いじゃん?一人だし…今までそういうのやってこれなかったからね」
そっか、そういう背景もあったんだ。合宿をお泊り会って言って楽しみにしていたナマエちゃんの憧れは強いんだろう、できるだけ無理なく参加してほしいけど。
「監督、心配なんでミョウジの親御さんくるまで俺らも待ってていいですか」
「おう、いいぞ……ミョウジ、そろそろ起きなさい。水分補給しないと」
「起こします……おとぼけちゃん、起きて〜」
まっつんが肩を揺するとナマエちゃんはだんだん覚醒してきたみたいで、返事をしだす。寝起きの声ぽやっぽやで可愛い。
「………あぇ……練習は?」
「今日は早めに切り上げ。お母さん来るって、これ飲んで」
「ん…?」
あんまり分かってなさそう。起きてすぐだもんね…顔色も朝に比べるとだいぶ良くなった…ほっと胸をなでおろす。
20分もしないうちにナマエちゃんのお母さんがやって来た。
「すみません、ご迷惑おかけして……あら一静くんたちも居てくれたの?ありがとうねえ、お昼食べてく?」
「いえ、おかまいなく……ミョウジ、お母さん来たぞ。松川にでも俺にでも今日の夜また連絡してくれ」
「わかったぁ……また明日ね」
ナマエちゃんが帰ったあとにジャージこっそり交換するの忘れてたことに気付く。
*ミョウジナマエ
慣れるためにも明日はちゃんと部活行きたい。だからしっかりご飯食べて早めにベッドに入る。そういえば連絡ほしいって岩泉くん言ってたな……。
『元気!あした部活行くよ、今日はごめんね』
『体調不良は仕方ねえだろ。もうフラついたりしねえのか?』
『うん。ご飯ちゃんと食べた、冷しゃぶと納豆とキムチ』
『美味そうだな
明日は保冷剤とかで体冷やしながら学校来いよ』
分かりましたの意味を込めて○のスタンプを送る。あ、及川くんからライン来てる。
『元気になった?』
『なった!今日はごめんね』
『顔真っ赤だったもん、焦った』
『そう言われると金田一くんたちも2度見してた気がしてきた』
『マッキーもしてた』
そうなんだ、そんな何人にも2度見されてたんだ…。意外と簡単に熱中症になっちゃうんだなあ……もっと野球部とかサッカー部とか、動いてる人たちなら分かるけど通学でもなっちゃうもんなんだ。
『アイシングして横になってたとき、寝てるのにフラフラして人は簡単に死ぬんだなって悟ったよ。これから気をつけるね』
『いやいやいやいやそんな簡単に死なないようにして!??!ヤだからね、オレナマエちゃん死んじゃうの!!』
すごい怒ってるスタンプが3つ、連投。よほどお怒りらしい。泣きかけのしわしわの犬のスタンプで返す。
『何このスタンプ』
君に言われたくないよ、独特なスタンプしか持ってないくせに。甥っ子くんが選んだ、というもの以外もどうしてこれを?ってスタンプしかみたことない。
『しおしおワンコってやつ、可愛いんだよ』
『可愛いんだ?コレ』
失礼だな、可愛いでしょ。及川くんとそんな他愛ないやり取りしてるうちに寝落ちしてた…アラームの5分前に起きて、伸びをした感じ体調はかなり回復してると思う。
「おはよう〜おにぎり握ったよ。梅しそで」
お母さんからおにぎりを受け取って食べていると一静が家に上がってくる。私の様子を確認しに来たんだろう。
「一静くんおはよう、ご飯食べる?」
「おはようございます、自分ちで食べてきました。…ナマエ、体調どう?治った?」
「治った!」
ブイサインでそう答えるとよかった、と返ってくる。
「いままで運動会の練習とかもちゃんと参加できてなかった人生だからね」
「ほんとね……限界がまだ俺もナマエも分からない状態なんだから、イケるかな?って過信しちゃダメだよ」
「肝に銘じる」
武士?ってツッコまれた。現代のJKです。届いた日傘を早速使って、保冷剤をタオルに入れて首に巻いて登校。全然涼しさが違う。
「持ち歩く日陰すごい!一静も入りなよ」
「はみ出ちゃうよ」
「いいよ、ほら」
「お〜……ほんとだ、結構体感違うね」
(おはよ〜!元気復活しました)
(おはようさん。日傘か?)
(うん、一静にも売り込んでた)
(結構違うよこれ、皆さしてる理由わかる)
(保冷剤してきたか?)
(首に当ててる!だからちょっと寒い)
(すぐ暑くなんだろ……今日は近隣大学が練習試合しに来校するからミョウジも水分多めに取れよ)
(うん)
(ナマエちゃんオハヨ)
(及川くんおはよ)
(間違えてバス乗って帰ろうとしないでね)
(まだ擦る……)
(乗るな乗るなって言ってたら本当に乗る時に忘れるからあんま言わねぇの)
(花巻くんまで擦るじゃん)
(点呼してミョウジ先輩居なくて慌てる松川先輩面白かったすね)
(国見ちゃんまで……)