HQ 及川
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王様と大王様
*ミョウジナマエ
私とルナちゃんののど自慢は思わぬ形で終わりを告げた。
「ナマエ、また勝手に動画上げられるかもよ?」
一静のこの一言。ミスコンの動画が勝手にあげられて、しかもそこそこの再生回数の話をすれば烏野のお父さんとお母さんがウンウン頷いてた。
「……絶対撮られると思うな、俺も…」
背の高い長男みたいな人もそう言ってる。学ランの中にこの白いブレザー軍団の私たち、現時点でかなりジロジロ見られてる。私立校だからなんとなくお嬢様みたいに見られることも多いし。
「……うーん…それはすごく嫌だ」
「あんたの安全が一番よ、あれは通販で買お」
「買うな、飯を食えお前ら」
青城のお父さんが腕組んで言ってる…。
「仕方ない、お父さんの手前食べるか……烏野のお母さん、おすすめのフードはありますか?」
「はいはい、えっとねぇ〜1年生がやってる焼きうどん美味かったよ」
「2年の……西谷たちがやってたホットサンドも美味かったな」
ホットサンド!美味しそう。ていうか文化祭では珍しい。
「じゃあルナちゃんと清水さん、焼きうどんとホットサンド半分こしようよ」
「いいね!たべれる?」
「うん、まだ何も食べてないから」
「すげーな、一回で人の名前と顔一致させてんの」
花巻くん……失礼だな。
「何言ってるの、花巻くんだって一回で覚えたよ」
「俺のこと見ながらプーさんって呼んでなかった?」
あれはスプーンの柄の話でしょう、と切り上げる。
「……もしかして4回も忘れられてたのオレだけ?」
「俺は2回」
岩泉くんがそう答えると及川くんはわかりやすーく拗ねてしまった。
「ごめんてば…飴あげるから」
「いーらない!」
「ゴキゲン急降下…」
「だから面倒くさいし関わるなって言ったのよ、分かった?ナマエ」
そうだ、とにかく関わるな!と1年生2年生のとき言われてた気がする。特に2年生のときは及川くんと同じクラスで目をつけられてた時期がある。私の予想できない返答がツボだったらしい。……最近聞いて知った話だけど……。
「坂ちゃん、聞こえてるんだけど」
「聞こえるように申しております」
「ミョウジさん大変だな」
「はは……まあ私が物覚え悪いのがよくないから」
「何言ってんの、もうどうせチビちゃんと飛雄の速攻モノマネできんでしょ」
「それはできるけどあの二人の名前は一致してないよ」
「待って今とんでもないことサラッと言ってなかった?!変人速攻のモノマネ??!」
お母さんが覗き込んでくる。
「おとぼけちゃん、こんなんだしほんとに人の顔と名前覚えるのに時間かかるけど…覚えようと思って見たものとかはすぐ覚えんのよ、それこそ人の癖とかね」
「加減したとはいえアホ川のサーブあげたときは驚いたな」
「ほんとあれ、磔にされる死刑囚の気持ちだったよ。2度とやらない」
「及川のあのサーブを…??」
「いや、4割くらいのやつ…私あれ正面から受けたら多分骨折れる」
そう烏野の父母に訂正しておく。石頭くんの癖というか……私そもそもそんなにバレーに精通してない。けど、及川くんは県内でも優秀という人に送られる賞を貰うほどだから及川くんとの比較だと色々分かりやすかった。
「怖いでしょ〜ウチのマネ」
「怖いわ…」
清水さんまでちょっと引いてるじゃん、やめてよ。
「あ、石山くん」
「影山です!ぅす……つーか皆いる…」
惜しい、山まで当たってた。
「やっほー飛雄ちゃん、元気?」
「ほらほらほら、それ!」
「トビウオじゃないってば……とびお」
またツボってる及川くんは置いておいて今日もおでこを小突くとやっっぱり固い。絶対に鉄か石が入ってる。
「人間ですよ」
「バレてる……」
「流石に影山でも分かるだろ、今のお前の考えてることは」
岩泉くんにそう言われる。ちょっとそれは私も石頭くんもディスってない??少し可哀想だったので飴をいくつかあげる。
「チョコもあるよ、あとラムネ。こっちガム」
「ミョウジさんて……なんかドラえもんみたいスね」
「む!?くびれてますし2頭身じゃないですけど!?!」
「んっぶ……っふは!!!ごめん笑うつもりは…!!」
「大笑いしてますが。君んとこのお母さん酷いね」
「菅原さんはお母さんじゃないですけど…?」
「もう天然2人!いいから黙って!!!」
「すごい、ナマエと同じくらい天然な子初めて見た〜!」
ルナちゃんもワクワクして握手を求めてる。膝から崩れ落ちてる数名の前で握手してるのすんごい変な光景……。
「なるほど、影山タイプか。扱い方が分かった」
「私もわかった」
お父さんと清水さんは何か合致したようで頷いてた。焼きうどんとホットサンドをみんなで買いに行く。
「石山くんのクラスは何やってるの?」
「縁日です。景品お菓子ッスよ」
「何ある?」
ルナちゃん早……。石山くんびっくりしてた。見に行こうか、と立ち上がるとまだ拗ねてる及川くんと目が合う。
「フン」
「キモ」
「可愛こぶんなマジで」
及川くんへの態度が氷のように冷たい岩泉くんとルナちゃんの猛攻撃に泣きべそかいてる及川くんの隣に座る。
「元気だしなよ」
「あのねぇ……」
「今覚えたからいーじゃん」
「そーそー…正直スタメン覚えんのも危ういかなとか思ってたからね」
「私頑張った。結局全員覚えたよね」
*及川徹
も〜〜イライラする。
何飛雄といい感じに仲良くなってんの!??オレのことは全然覚えてくれなかったくせに。石山くんとかちょっと惜しい掠り方してるのもムカつく。オレ、山下くんとかだったよ!?何にも掠ってなかったんですけど!!
「機嫌直せよ、顔に出過ぎ」
「だってムカつく。飛雄が」
「そっち?」
まっつんとマッキーに挟まれる。
「天然同士波長合うのかもね…意外と面白い組み合わせだわ、烏野のご両親しっかりしてるし」
ナマエちゃんはキャプテンくんをお父さん、爽やかくんをお母さんと呼んでる。初見はどういうこと?となるけど、見てみたり理由を聞くと存外納得のいくあだ名が多い。
飛雄は最初石頭だったし(チビちゃんのヘッタクソなサーブが後頭部に当たったのにピンピンしてたから、らしい)、2人の速攻を呪物レベルと言われたからチビちゃんは呪物の片割れって呼んでる。
「一静もどうぞ」
「あらどうも、初めて見た…何これ?」
「東京駅に売ってるやつだって」
お菓子に目がないナマエちゃんは坂ちゃんと一緒に縁日を全力でやってお菓子を大量ゲットして帰ってきた。律儀に配ってくれてる。
「はい、及川くんも…これ」
手渡しされた。グミのプレッツェルらしい。ナマエちゃんが開けてるのでオレも開けてみる。
「……んま!!!!」
「ナマエ食べた!?やばくない??!」
目をひん剥いて美味しさに驚くナマエちゃんとパッケージとブランド名を知りたいと聞きにいった坂ちゃん。
「あげる、美味しいんでしょ?」
「だめ、この美味しさを知らずに死ぬのは勿体無い」
「縁起でもないな?!」
そこまで言うなら、と一口かじる。…ほんとだ、外側カリカリしてるのに中がちゃんとグミなの新食感かも。ピンクだし桃味?結構美味しい。
「確かに美味しいかも」
「通販で買えるかな」
「飯食えっつってんだろ」
岩ちゃんにまた怒られてる。ナマエちゃん、お弁当のサイズが幼稚園とか小学生サイズと間違うくらいの大きさのものしか食べないから岩ちゃんなりに心配してる……伝わってないけど。ナマエちゃん自身も華奢なのを少し気にしてる節はあるけど、もともと少食だから食べる量は増えてないのが現状だね。
ブー、と長いバイブがポケットに響く。あー……あいつか。最近まで付き合ってたけど、裏でナマエちゃんがマネを辞めるように他の女子に手回ししてたことが発覚して、嫌気が差して別れた元カノ。別れを切り出してからめちゃくちゃしつこい。ブロックしてもあの手この手で連絡取ろうとしてくる執念だけは認めてあげるけど……。
「電話いいの?お母さん?リアルな」
「徹〜、いつ帰ってくるの〜?」
マッキーが裏声で悪ノリを始める。
「門限は午後3時ってお母さん言ったでしょ」
「門限早ぁ…もう、全ッ然似てないからね?まっつんも…これ迷惑電話、無視でいいんだ」
「……?ほほう」
何?と聞き返す前に顔の横にナマエちゃんの手がやってくる。距離が近くなってナマエちゃんが通るといつも香る香水だか、ヘアオイルかなんかのいい匂いがふわりと鼻をくすぐる。……いや待って近ッ!??!
「嘘ついてるね、バレバレだよ及川くん」
こっそり耳打ちしてきたナマエちゃんがしたり顔でオレのことを見てる。
「…根拠は?」
「及川くん嘘つくとき口元とんがる癖があるし、あと下見ることも多い」
「……よく見てんだね……」
スラスラとオレの知らない癖を言い当ててきたナマエちゃんに驚いてると、大体皆のも分かるよと恐ろしい答えが返ってくる。
「………!も、もしかしてストーカー…?!」
「あ〜今はもうそんな感じかなぁ…もう少し酷くなったらコーチにも言うつもりではいるんだけど…」
「?なんですぐ言わないの?」
「……それ、ナマエちゃんが言う〜?」
「え、ナマエストーカーされてたの?」
おそらく勘付いてるであろうマッキーも加わる。マッキーはチームメイトの機微にすぐ気付くから隠し事できなくて厄介だ。今回のことは岩ちゃんに隠し通したらぶっ飛ばされるだろうから機会を見て言うつもりではある。
「されたことないと思うけど…」
「周りの女の子たちに何か言われても、ちょっと手出されたりしても何も言わなかったじゃん。見かけたりしたときは声かけてたけど」
「あぁ……だって別に言わせておけば良くない?私がマネを辞めたくなるように言ってるだけだし、それだけじゃ辞めたくなる理由になんかならないし…憶測で色んなこと言ってたような気もするけど…そういうのって私が否定しても信じたい人は信じるし、気にしない人はそもそも気にしないでしょ」
「松川、お前の幼馴染超カッケーな」
「でしょ」
「私は四六時中電話きたりしてないし、実害出てるから及川くんの今の状況と比べるのはちょっとケースが違うかなと思うけど。あと岩泉くんが聞き耳立てて伺ってるから言ったほうがいいと思う」
「立ててねえわ!クソでけえ声で会話しやがってよ」
「中身によっては女のアタシも協力してやらんでもない、自業自得なら知らないけど」
坂ちゃん味方につけたら大きいだろうね…。岩ちゃんにバレたらもう隠し通せない、大まかな流れと原因を話してみると
まっつんとマッキーがうわぁ……とげんなりしていた。
「……こんな子そもそも同級生にいたっけ…?」
そこから?今は一応ナマエちゃんの隣のクラスだよ、と伝えると考え込む仕草してる。
「……なんていうか、及川くん随分……軽率な子と付き合ってたんだね」
「刺さる刺さる!!!深いの刺さってる!」
「いーぞナマエ〜!もっと言ったれ!」
すっかり楽しんでる坂ちゃんを睨むとむしろケラケラ笑ってる。ほんとにこの子肝っ玉座ってる……。
「裏で自分は悪くないように見せかけるために他人使って他の人に攻撃してたんでしょ?それがバレたら一瞬で冷められるとか分かんないのかな」
「すごい言うね!??」
「及川、おとぼけちゃん結構正論ストレートを致死量かますタイプだから」
マジかよ……。
(睡眠不足になってもいけないしコーチに言うべきじゃない?ほらいつも私にくどくど言ってるじゃん、体が資本って)
(その通りだからお前はお菓子ばっか食うな)
(ちゃんとご飯も食べてるよ)
(ハムスターみてえな量しか食ってねえだろ)
(ノンノン、栄養バランスバッチリですから)
(数少ない肉系のおかず全部まっつんにあげてるくせに?)
(……もういい及川くんこのまま寝れなくなっちゃえばいいよ)
(あ〜怒んない怒んない!ごめんて!)