HQ 及川
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形勢逆転
*ミョウジナマエ
及川くんのことが好き?な子たちからの猛攻撃は文化祭まで続いた。正直私は直接殴られたりとか物を捨てられたりしてなかったから気にしてなかったんだけど、私よりも及川くんが怒っていて毎日宥めるのが大変だった。
文化祭の季節になり、今年は文化祭本番の日が予選と被るねなんて話があがる。……そうか、今年は出られないんだ。ルナちゃんと文化祭過ごせないのかあ〜。
「他校の文化祭に行こうよ、面白そうだし」
「いいね、この間のアンタと歩いてたあの美人な子……烏野だっけ?あそこ行きたい」
ルナちゃんと清水さんならなんとなく……仲良くなれそうな気がする。連絡先を知ってるわけじゃないから会えるか微妙だけど、行こうかと話しているとわが校恒例のミスコンの話題があがる。
クラスから1人選出しなくてはいけなくて、本来のミスコンとは違い容姿ではなく学力や特技などの能力も加味してミス・ミセスが贈られる。正直いらない伝統文化だと思うけど……。
「じゃあ……ミョウジさんは?」
「え?やだ」
「お願い……!このクラスの希望として…!」
委員長にお願いされるけど嫌だと断る。わざわざ目立ちたくないし、これといった特技ないし……。
「お願い!出場してくれたらクラスからカンパしてお菓子送るから!!」
「分かった」
「早っ!!?少しは迷いなよ……」
ルナちゃんに呆れられたけど、うまい棒はナシねと条件をつければそこそこのお菓子が私に巡ってくる。
「わーいやった〜、最近お菓子持ってるとコーチと監督に没収されるから…クラスで保管しとけば取られないで済む」
どうせミセスの座は及川くんが掻っ攫うんだろう。下級生は分からないけど……。私はテキトーにやっとけばいいや。メイクなんかはルナちゃんが気合い入れてやってくれるみたいだから歩いて自己紹介して、なんかPRしておしまい。それでお菓子がもらえるならラッキーな参加賞だ。
「っていう流れで出ることになった」
「お前………ほんとすげぇな、そのお菓子への情熱」
岩泉くんに若干引かれつつもまあ出るからには頑張れよ、と応援される。
「特技何にしようかな〜お菓子の早食い?」
「床に落ちたモンなんでも食おうとすることじゃねえの?」
「私が卑しいみたいになるからやめてよ」
じゃあ食おうとするな、とまっとうなツッコミが入る。
「……あぁ、音とかの完コピでいいじゃん」
「なになに?絶対音感ってやつ?」
「それもあるけどダンスもイケる」
「えーすご!なにできんの?」
及川くんがやけにるんるんだ。今日のお弁当にも冷凍のハンバーグが入ってたので一静に押し付ける。
「ジャニーズとか一発でイケるよね」
頷く。1回見ればなんとなく覚えられる…もう忘れちゃったの多いけど。
「…ダンスじゃなくてもいけるんか?」
「た、ぶん?分かんないけど」
クッキーを頬張っていると、岩泉くんからバレーボールが山なりに飛んでくる…もしかしなくてもキャッチしろってことだろうか?クッキーを飲み込んで椅子から立ち上がる。
「松川のレシーブ」
「……」
一静のレシーブ……こうだったかな。トン、と岩泉くんに返すとセッターの及川くんのようにボールがこちらへ返ってくる。
「俺のアタック」
「よ、いしょっ!」
べちん!と威力はあんまりないけど打ち返す。
「花巻のブロック」
「身長足りないよ……んん〜っしょ!」
手を最大限に伸ばしてブロック。花巻くんは一静と並ぶと顔の圧がすごいんだよね。
「最後、アホ川のトス」
「……あっ」
ミスった。滑ってしまった……及川くんが拾い上げてくれたけどものすごいニヤニヤしてる。
「全員の特徴見事に掴んでる」
「覚えるまで長いけど覚えたら忘れないのよ、この子」
一静が誇らしげにそう言う。暗記系は得意だよ、というとちょっと違うと言われてしまった…一緒じゃん。
「流石にこれは身内ネタすぎるから、ミスコンではランダムで流したダンス覚えて適当に踊るのが特技ですって言えばいいんじゃない?」
花巻くんにそうアドバイスしてもらってそうする!と申込用紙に書いて提出。本来のミスコンはファッションショーみたく服を変えたりするけど、公平にするために制服オンリー。私としてはジャージ毎日持ち歩いてるから私服足されると荷物死ぬから助かる。
「よっしゃ……できた!めっちゃ可愛くできた!」
「お菓子食べていい〜?じっとしてて飽きた」
ルナちゃんに動くな!瞬きするな!頭も動かすな!といろんな制約を課されたメイクとヘアアレンジがようやく終わる。メイクだけで30分、ヘアアレンジは20分かかってる。お尻も背中もカチコチに凝ってる。リップが落ちるから食うな、と釘を刺され項垂れる。
「ナマエちゃんめちゃくちゃかわいいよ…!」
「てか坂田さんヘアアレもメイクもうますぎ!」
クラス中の女の子に囲まれる。鏡を見ると垂れ目だけど目力が強く見える不思議な私がいる。髪の毛は何がどうなってるのかさっぱり分からないけど、猫耳のようになってる。
「すご……どうなってんの色々…?!」
髪の毛どうやったらこんな立体的な猫耳チックになるの??編み込みしてある毛を耳に仕立ててることしか分からない。
「行くぞ!3年のミスもぎ取ってこい!」
ルナちゃんに背中をばし!と強めに叩かれ押されて教室を出る。
「……?」
…見たことあるような?分からない女の子たちが固まってる。会釈しておこう、私本当にやっとこのクラスの子たちも覚えてきたところだ。3年間クラス被ってる子も何人かいるけど本当に覚えてなくて申し訳ない。
司会に呼ばれて同じクラスのミセスの野田くんと並ぶ。野田くんはサッカー部。なんかキャーキャー言われてるからきっとモテるんだろう……あ、思い出した!最近彼女できたって教室でデレデレになってたな。
『わあ歓声がすごい。じゃあ自己紹介どうぞ〜!』
「3年4組の野田颯です。サッカー部で特技はもちろんサッカーと…先生のモノマネ!オレが知ってる限りの先生のあるあるモノマネできます!」
名物教師のモノマネをいくつかやって男子たちが大ウケしてる。そんなヒイヒイ笑って君たち後で大丈夫なのかい…?……あ、先生たちもめっちゃウケてる。
「ほい」
「ほい。同じクラスのミョウジナマエです。バレー部のマネです。特技は音楽の耳コピと、ダンスの完コピです」
ルナちゃんに事前に頼んだ知らないアイドルのYouTubeが大きなスクリーンに流れる。随分人数いるけどどれだ…?
『いけそうですか?』
「どの子やればいい?」
「髪の毛短かった子がいい〜!」
知らない声が聞こえてくる。停止したままアップで写される。随分かっこ良かった子か。
「この子?」
はい!と聞こえた。真ん中の方から聞こえたしもしかして下級生?じゃあサビ前から、さっき見たとおり踊る。
「ナマエ〜!表情もね!アタシが可愛くしたんだから可愛く踊れ!」
ルナちゃんの声がでっかく響く。分かったと頷く。どんな顔してたっけな…ひたすらおすまししてた気がする。記憶を頼りに踊り、同時に後ろのスクリーンで流してたみたいで一致してたみたいで歓声があがる。皆口ずさんでたし、かなり流行ってる?曲みたい。アイドルに疎いばっかりに全く分からなかったけど……。
『すげ〜!じゃあ……不正疑惑解消のためにもう一曲、私が今ここで曲決めてもいいですか?』
「どうぞ」
次はこれ!と言われて後ろを振り返る。さっきより激しくて振り付けの難易度が段違い。
『私の推しのこの子でお願いします』
分かったと頷き曲がかかる。何人かはヤラセかと思ってたみたいで、昨日発表されたばかりのこの曲を踊りきったら歓声が大きくなる。野田くんとお辞儀をしてステージから降りる。
「ナマエ!めちゃくちゃかっこよかった…!アタシが仕立てた甲斐あるってもんよ」
ルナちゃんに褒めてもらえたし参加賞のお菓子は貰えるしで私もルンルン。二人で写真を取ってると、何人かの女の子がやってくる。初対面かなと思ったけど、ルナちゃんが威嚇してたから何回か顔を合わせているんだと思う。
「あの……先輩のファンになってもいいですか?」
「………ファン?」
「はい!正直、進級してから男子バレー部のマネになった先輩見て嫉妬…してました。そんな可愛くないのに、及川先輩の近くにいてずるいって」
「…ひとまず聞いてあげるわ」
ルナちゃんを宥めつつ頷いて目の前の子たちの話を聞く。
「でも、私達より先輩……3年生のほうがえげつない仕打ちしてるのに弱音も吐かないし文句も言わないで淡々とマネしてるの見てずっと後悔してたんです、生意気なこと言ったなって……今日、可愛い先輩見てファンになりました!今までごめんなさい!」
「生意気なこと覚えてないんだけどどうしよう」
「……誤解のないように言うわ、この子ね……人の名前と顔覚えんのが1番苦手で、正直アンタらに何言われたのか覚えてないの。内容次第だと思うけど何言ったの?」
「なんで…先輩みたいな人がマネやれるんですかとか……」
そんな程度なら許容範囲だし本当に気にしてない。
「尻軽女って言われたこともあるしそんなんに比べたら全然良い子に思えるけど」
「それは覚えてるんだ」
「……一静にも及川くんにも失礼だからね、あれ」
下級生の子たちには気にしてないからいいよ、と答える。
「先輩、そしたら一緒に写真撮ってください!あと先輩のクラス文化祭の日行ってもいいですか?」
「いいけど……バレー部試合だからいないよ」
急に味方というか妹分みたいになってしまった2年生や1年生たちに囲まれながら他のミスコンの参加者の挨拶をぼーっと聞いていると、及川くんがやってくる。
「ナマエちゃん、超可愛くてびっくりしたんだけど……ってこの後輩ちゃんたちは何?」
「ナマエ先輩のファンです!及川先輩は無闇に近寄らないでください」
「こらこら、及川くんが可哀想だよ」
壁になるようにして及川くんを遠ざけた後輩ちゃんたちに注意する。私にベクトルが向くのがよく分からないけど…まあ丸く収まりそうならそれでいいや。
(俺とも写真撮ってよ)
(ええ…やだ)
(及川さんショックなんですけど)
(皆でならいいけど)
(まっつんたち呼んでくるね)
(ナマエ偉いじゃん、自衛して)
(あとで調子乗るからね、そうしたらキレ散らかした岩泉くんを宥めるの大変だから)
(幼馴染はなにしてんの?)
(触らぬ神に祟りなしでどっか行っちゃう)