HQ 菅原
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本格合宿
*ミョウジナマエ
梟谷高校で行った短期の合宿から約一週間、今度は同じく東京の森然高校での約7日の長い合宿が始まる。前回は途中でバテるし顔にボールが被弾するし喧嘩の仲裁もしたしでたくさん命の危機を感じたけど……今回こそは平和に!怪我なく!終わりたい…。
「ナマエちゃん、仁花ちゃん着いたよ…起きれる?」
清水先輩の声で意識が浮上するけど体が動かない。
「起きまぁす……」
隣から眠そうな仁花ちゃんの声が返ってくる。ナマエちゃんのこともよろしくね、と言って清水先輩は降りていく。体に力が入らない……。
「ナマエちゃん……森然高校ついたよ…ふぁ」
両手の甲を優しくぺちぺちされる。
「う……おきる…」
感覚もあるし聞こえてるのに手足に力が入らない…少し時間かかるかも…と返す。うーん、と仁花ちゃんは悩んだ声を出したあと、駆け足で降りていく音が聞こえた。
「ふふ、ナマエちゃ〜ん…よっこいしょ…え、生きてるよね?」
菅原先輩の声が聞こえたと思ったら浮遊感がやってくる……もしかして抱っこされてる…?指先がやっと動くようになった。
「い、生きてます生きてます!!さっき答えてましたもん!」
「朝だべ〜お寝坊さんだな……聞こえてはいる?指握って」
ぎゅ、と握り返すと低血圧みたいなもんで少し時間だったら動けるようになるから、と仁花ちゃんに説明してる菅原先輩の声が聞こえる。
「ん……」
「お、起きた?……清水〜、ナマエちゃん起きた!」
「まだ寝る……」
「こらこら甘えないの、宮城に連れて帰りたくなるでしょーが」
菅原先輩に抱きつくと背中を擦られる。やっと体が動く…と返す。
「でもまだ視界ぼやけてるでしょ?転んで大怪我してもアレだし…体育館で下ろすから立てそうになったら立ちな」
「はい」
仁花ちゃんが3人に見える…というと慌ててた。
「な、夏バテですかね…??」
「いや、低血圧だと思うよ〜あとバスで長時間同じ姿勢だったから血行悪くなってるのも良くないんだと思う……動けるようになってからストレッチしっかりね、谷地さんも!」
「ねむ…」
運んでもらって体育館でおろしてもらう。武田先生に何度も体調を確認されるくらいには顔色が悪かったみたいで、朝は低血圧になりがちなんです、と説明してやっと信じてもらえた。菅原先輩に言われたとおりストレッチをして体を動かす準備をしたあと、顔を洗って日焼け止めなんかを塗る。
「清水先輩、仁花ちゃん……朝すみませんでした…聞こえてはいたんですけど」
「起きれてよかった、平気?ここは前のとこより涼しいはずだけど気をつけようね」
はい!と返事をする。菅原先輩にもすみません、と言ったら散ッ々揶揄われた。
「可愛かったねえ?ねね〜」
「記憶消しますよ」
「ボールで何しようとしてるのナマエちゃん、そんな乱暴な子に育てた覚えはありません!」
1日の流れは前回とだいたい同じで、前回は2日間とはいえたくさん練習試合の数をこなしたのでコートの準備やスコアのまとめ、他校の情報収集やビデオ撮影なんかも比較的手際よくできた。
あっという間に薄暗かった早朝から日が昇りきったお昼になり、休憩時間になる。東京の郊外とはいえ全然暑い、スポドリを飲んでもぼ〜っとする暑さだ。そもそも体育館内の空気がぬるすぎて飲み物を飲んだところですぎる…。
ご飯の前に顔を冷水で洗ってタオルで拭く。日焼け止めはまた上から塗り直そう。
「暑いねぇ」
「髪の毛濡らしたら涼しくなるかな…」
「多分ものすごく怒る人しか居ないと思うな……」
仁花ちゃんに例えば澤村先輩とか……!と具体例を出されて正気に戻る。澤村先輩怒ると本当に怖いから即辞めよう。
「お、揃ったな。飯の前に…今回からからマネも含めて食トレ始めるぞ」
食トレ…?と仁花ちゃんと顔を見合わせる。
「食事トレーニングだ。同じ量食えとは言わねえが好き嫌いは言語道断だ!特にそこの野菜と肉嫌い!」
烏養監督に思い切り指さされる。
「帰りたい……」
「澤村、見張っとけよ」
「あ、悪魔……!!」
「誰が悪魔だ!ボール当たるだけで吹き飛ぶような体つきじゃ俺の気が休まらねえんだよ!」
田中先輩たちは大笑いしてるけどなんにも笑えない。じーっと前回と同じようにご飯取っていくのを後ろから見られて手が震える。
「……サラダは?」
「私これやなんです、ほんとにやだ!」
オクラを指さす。
「大地、ナマエちゃんこれでも野菜食うようになったんだよ…じゃオクラは俺が食ったげる」
「ねばねば系駄目とか?」
日向くんに聞かれるけどそうではない、と答える。山芋とかはいけるから…。
「なんか……全てが嫌、こいつ…」
「オクラの存在否定するやつ初めて見た」
影山くんにも笑われた。オクラを笑うやつはオクラで泣くからね!と返せば意味が違うと澤村先輩からツッコミが入る。
最悪、よりによって魚……。お肉は脂身が嫌だからじゃあ魚が好きなのか?とよく聞かれるけど全然そんなことない。生臭い匂いが強い魚がとにかく苦手で、鮭くらいしか食べられない。
「なにこれ……」
「銀鱈!西京焼きだって……ナマエちゃん初めて?」
仁花ちゃんに頷く。西京焼き………後ろからの圧がすごいので渋々乗せる。ご飯を限界まで減らしてもらったら増やせと後ろから声をかけられ、肩を落として席につく。
「うう……うぅ…」
「ぶっは、そんな悲しそうな顔して食うなよ〜はい、オクラ頂戴」
「どうぞ……」
菅原先輩に頭を撫でられるがもう億劫でしょうがない。昼からこのご飯の量は重い……。
「……!」
「あ、ミョウジさんが西京焼きに目覚めた」
「最強だから最強焼きってこと…!?」
これ美味しい。臭くない!
「最強……なるほど」
「ミョウジさん、影山。その最強だと漢字違うから納得した顔するな……清水もツボってないで食え……スガも!」
澤村先輩、忙しそう。あまり無理しなくていいからね、と優しい東峰先輩が声をかけてくれた途端、西谷先輩がもっと食え!と正反対のことを言ってくるのでおかしくて笑ってしまう。
なんとか全部食べ終えた私は体の重さにヘロヘロになりながら食堂を出ていく。木陰で休んでいると足音が近づいてくる。幹から体を乗り出して音の方を見ると、見たことない子だ……音駒の人…?随分背の高い…
「……!!!黒尾さん!!!!人倒れてる!!!」
「え!?倒れてません!!!」
「ぐったりして座り込んでる!!」
それはご飯のせいで…と言っても黒尾さんが来る方が早かった。
「あら、ナイトくんの姫ちゃんじゃん…気分悪いの?」
「お腹いっぱい過ぎて休憩してて……とても元気です」
「元気じゃねえか馬鹿リエーフ!」
すごい速さでリエーフ、と呼ばれた子が黒尾さんに痛そうなチョップを喰らってる。
「デカイからびっくりしたでしょ、こいつ1年のリエーフ」
「姫ちゃんって言うの?珍しい名前だな!」
「あ、ミョウジナマエ……」
差し出された握手に一応応えたけど、もうリエーフくんの中では私は『姫ちゃん』になってしまったらしく呼び名は変わらなかった。次は音駒が食堂を利用する時間帯らしく、またね〜と手を振られる。
各校に1人ずついる太陽の化身です!!みたいな子たちなんなんだろう…烏野の日向くん、梟谷の木兎さんみたいな人だった。
「またナンパですか」
「!びっくりした……いや、体調不良者と間違えられてました…そこ座ってたら」
「も〜片時も目離せねぇんだから…」
「ふふ、ナイトくんの姫ちゃんって呼ばれちゃいました」
「嬉しかったの?…こんなピーカン晴れのときに黒いジャージ着ちゃだめ、熱中症なっちゃうよ」
はあい、と上着を脱ぐ。食堂や部屋なんかは少し寒いくらい冷房が効いてるから寒暖差でおかしくなりそう。
「そいえば…大地からさっき聞いたんだけど、肝試しあんだって」
ニヤリ、とわる〜い顔をする菅原先輩を見上げると信じられないことを言うので口が閉じなくなってしまう。こんな周りが林だらけの学校で肝試し……!??!
「実家に帰らせていただきます」
「だめだめだめ!!」
監督たちにはナイショな、と言われるがチクってすべてを終わりにしてしまいたい……。絶対に嫌なんだけど…。明らかにテンションが下がってしまった午後、体調不良と勘違いされたりもしたけどなんとか乗り越える。
夜ご飯の当番なのでひたすら食材を刻んで鍋に入れていく。
「すご…ナマエちゃん手際いいね!」
「りくのご飯とか作ってたこともあるからね…さすがにこんな大量なことはなかったけど」
「音駒との初めての練習試合のときも菅原にドーナツ作ってたよね」
「バレてる…」
「だって自慢してたもん、菅原……物凄く嬉しそうだった」
恥ずかしい……。今度仁花ちゃんと清水先輩にも作ってきますね!と約束。マドレーヌがいいとリクエストがあったので可愛いマドレーヌの型あったっけ…?と思い返す。
厨房のアルバイトの気持ちで食座を刻んで炒めて…を繰り返して夜ご飯を作り終える。今日のご飯は鶏肉のハニーマスタード焼きがメイン。
「まだお昼のご飯お腹にある……」
なのでサラダなくしてくださいと澤村先輩に頼み込むもダメ、と却下されてしまった。
夜ご飯はお風呂の兼ね合いもあるから梟谷と合同で食事。私の隣にセッターの赤葦さんが座ってくる。
「赤葦さん」
「ん?」
「サラダいりませんか?口つけてません」
「澤村さ〜ん、ミョウジさんが赤葦さんにサラダ押し付けてます」
「コラ!…悪いな赤葦、気にしないでくれ」
右に座ってた月島くんの密告のせいで私の前に澤村先輩がやってきてしまった。
「うぅ……」
「サラダ嫌いなの?」
「偏食なんです、お子ちゃまだから」
「同い年でしょう!」
ニヤニヤして〜…!!!月島くん、たまに私に意地悪だ。観念して食べ始める。
「ほんとに少食なんだな……普段もそのくらいしか食べないのか?」
澤村さんに聞かれるのでそんなことない、人並みに食べてると返す。
「お米は2杯たべます」
「2杯……」
「他は?」
月島くんに聞かれるので、味噌汁と漬物とかの副菜とあとは食べられるおかずのときはおかずも食べるし……そうじゃないときはおかずを最低3つ食べるってルールがあるから食べてふりかけとかで食べることを伝える。
「りくくんに何も言われないの?」
「言われます」
*菅原孝支
「ナマエちゃん?」
「あ…菅原先輩」
「迷子?」
こんな離れの校舎の方に…。どこの学校の泊まり部屋にも充てられてない校舎だ。窓から明かりが見えてやってきたらナマエちゃんがいた。
「入院してたときを除いてこんなに離れるの初めてで……りくが寝れないって言うから電話しよっかな〜って」
「それは…そっか、大事なことだけど……ナマエちゃん帰り怖いんじゃない?」
「……意地悪ですか…?」
不安そうな顔になってしまって言わなきゃよかったかなと焦ったけど、今はもう9時。就寝時間は10時だ。電話が終わって10時とかだったら消灯してるからどこの部屋も真っ暗になるだろうし…。お風呂入ったか、歯みがきしたか確認して付き合うよと言うとナマエちゃんはなんとも言えない顔になる。
「あ、怖いから居てほしいけど付き合わせるの悪いって思ってんだ?」
「いいんですか…?」
「もちろん。俺もひさびさにりくくんと話してえなあ〜」
手つなご、と左手を出すと指先が少し冷たいナマエちゃんの右手が重なる。
(……寝た?)
(たぶん……。よし切れた、予想より早く寝落ちましたね)
(あげたやつ使ってくれてんだ?)
(キティ先輩のですか?可愛くて重宝してます)
(……)
(ち、かいんですけど…)
(ふはっ顔あか……ちゅーしてい?)
(…軽めのでお願いします…)
(ん)