HQ 菅原
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評判
*菅原孝支
部室棟へ移動中、サッカー部の会話が耳に入る。
「つか1年生っつったら……この間の文化祭の前日祭でスプラやってた子!あの子とか可愛いじゃん」
「え、どっち?」
「黄色の方…めっちゃ髪の毛サラサラの子!」
「あ〜…スタイルエグかった方?」
「胸デカかったよな」
「1年!長野、な〜がの〜!お前のクラスの…髪の毛サラサラな可愛い子名前分かる?」
「……サラサラ…?あぁ、ミョウジさんですか?」
「多分その子。その子彼氏いんの?」
「いや?いないと思いますよ…ただ好きな人いるってコイバナしてました」
「え〜?まだ付き合ってねえなら狙おうかな〜」
「結構そいつにゾッコンぽいですよ」
「…スガ、顔。ミョウジさん見たら泣くぞ」
「…そんなやばい顔してた?」
大地に肩を叩かれるし旭も頷いてる。やばかったと返ってくる。鬼みたいと旭に言われて失礼だなとグーで返す。
「あ、澤村先輩〜ギブスってそっちにありますか?なんか…3番だけなくて…」
ちょうど下からナマエちゃんが声をかけてくる。下はサッカー部だ。大地が部室見てくる、と返したあと1階の部室からサッカーが出てきてナマエちゃんを見てる。
「あ、ねえねえ……ミョウジさん?」
「?はい」
ナマエちゃんの横に立ったおそらく2年生のサッカー部2人。へえ、ほんとに可愛いじゃんと言い合ってるのが聞こえる。
「スガ、顔怖いよ…」
「取られたらやだから見張ってんの」
「ライン交換しない?知り合いたいんだけど」
「ん〜…ごめんなさい」
「彼氏いないんでしょ?」
「好きな人はいますよ」
ナマエちゃん、結構ちゃんと断れるタイプなんだ…!なんとなくおどおどして流されるタイプかと思ってた。スパスパ断るナマエちゃんにめげずにグイグイ近寄るそいつ。
「バレー部?」
「はい」
「そいつ好きだからバレー部のマネやってんの?」
うわ、最悪な質問…。代わりにキレそうと思ってるとナマエちゃんがこちらをちらりと見てくる。
「そういうのじゃ……」
「マネだと選び放題でいいじゃん、いっぱいいるし。清楚に見えてそういう感じか〜」
半ば八つ当たりみたいなひどい言い様にナマエちゃんのことをそいつに教えたクラスの子も口をあんぐりと開けて見ている。失礼じゃないかと声をかけようとしたところ、パン!と乾いた音が響く。
「私にも皆にも大変失礼です。サッカー部のマネにも失礼じゃないですか?」
ナマエちゃんがビンタした。ちょうど大地も見てたみたいで何があった?と聞かれる。
「ナンパに失敗して負けゼリフ吐いたサッカー部にナマエちゃんがビンタした……」
「は!?何すんだよ!!!」
逆上したそいつがナマエちゃんの胸ぐらを掴み突き飛ばした。ナマエちゃんと同じクラスの1年生が止めており、その子もごめんねと謝っていたがナマエちゃんは止まらない。
「長野くんが謝る必要ないよ、こんな人が先輩で大変だね…心労凄そう」
キレて怒鳴るそいつは目に見えてないように対応しているナマエちゃん、これ相当キレてるのでは…?大地が間に入り場を宥めようとするがナマエちゃんは珍しく反抗的だ。
「私は謝りません。悪いのはそちらの先輩なので」
騒ぎが大きくなり、お互いの顧問が呼び出される事態に。
「で……どうして叩いたの?ミョウジさん」
武田先生と向かい合うようにパイプ椅子に座るナマエちゃんはツーンとしてる。俺らは見ていたけどひとまずナマエちゃんから話を聞いてあとで俺らからも話を聞くねと武田先生に言われているから口も挟めない。
「…主に私の名誉が毀損されたので…つい…」
「大まかには聞いてるけど…何を言われたの?」
「…ライン交換しないかって聞かれて、断って…しつこいので好きな人いますって伝えたらバレー部?って聞かれて。…好きな人がバレー部にいるからマネやってんの?って鼻で笑われて、そういうのじゃないですって言ったのにマネだと選び放題でいいじゃん、清楚にみえてそんな感じか〜…って…」
「……それは……酷い侮辱ですね。君の怒りももっともだ。でも、暴力はいけません」
「悪いって言われても謝りたくありません…」
最後の方、声が震えるナマエちゃん。鼻すすってるし泣いてる…?
「ミョウジさん…」
「いいんじゃねえか?話聞く限り悪くねえだろ」
コーチがそう言う。
「そら先生としては喧嘩両成敗に持ってけって言われてんだろうけど…過失の割合も、よくてもそいつが悪いのは1割くらいだ。こいつは頬引っ叩いたのに対してそいつ掴みかかって突き飛ばしてきたんだろ?そこで打ち消しじゃねえか」
「……ビンタじゃなくてグーにしとけばよかった…」
「こら!だめですよ」
武田先生に怒られてちょっと笑ってる。コーチの言うとおりサッカー部の顧問が全面的に非があると認めて一週間の自宅謹慎が言い渡された。ナマエちゃんも校長先生からのお怒りスピーチはあったものの、ほぼお咎め無し。
「…っていう訳だから、そいつの名前とクラス教えてもらえる?」
「スガ!!!廃部になるからやめろ!田中と西谷も加勢しようとするなっ!」
「すみません、悪名を広めてしまって…」
謝るナマエちゃんと大地に肩を掴まれて止められる俺。くそう、駄目か…。
「言われっぱなしなんて癪ッスよ!」
「田中先輩も西谷先輩も…ちゃんと手出して殴ったんですからこれ以上はやり過ぎですよ」
月島にど正論を言われて二人が押し黙る。
「まあ…良いんじゃないですか?男子○○部のマネージャーは男漁りのためにやってるみたいな失言かましたなら謹慎とけても浮きまくりでしょうから。少なくとも僕がマネなら接触しないようにします」
月島……お前…ちゃんと優しいやつなんだな…地味に怒ってるじゃん…!労いの気持ちやらを込めて背中を撫でるとなんですか??と不審がられたのは納得行かない。
*ミョウジナマエ
家に帰ると仁王断ちのお母さんが玄関で立ってた。怒られるかなあと思ってたけど、あんまり人に怒ったり怒鳴ったり、ましてや叩いたりなんてしたことない私が学校から連絡が入ったことにとにかく驚いたみたい。
「なんか悔しくて…言い返すとかより先に手が出ちゃった」
「そっ、か…。ナマエがねえ…連絡貰ったときは何事!?って思ったけどそういう理由だったんだ。
まぁ…他のご家庭ならだからって暴力はよくないって言うのかもしれないけどお母さんは…叩かれて当然だと思うな。グーじゃなかっただけありがたいと思ってほしいくらい。一生懸命やってる人たち全員にすっごく失礼だよね」
「失礼だね。父さんもいらつくくらいだからナマエはもっとムカついただろうね…。けど、今後は堪えるようにしないとだめだよ」
「なんで?ねねが駄目なとこなかったじゃん」
りくがそう言う。
「ふふふ、りく…ねねがいい事教えてあげる。今日のこともたくさんの人が見てたんだ。部室棟の前だったし、どの部活も着替えてこれから練習だ〜っていうのでいっぱい生徒がいたのね。
で、さっきみたいなこと言われたりバカにされるのも私以外にたくさんの人が見て聞いてたんだよ。ねねはこんな経験なかったから、ムカッとしてビンタしちゃったけど…
そこで例えばねねが静かに泣き始めたら、りくはどうする?」
「ねねを泣かせるなって間に入る」
「でしょう?間に入ることができなくても、こんなことがあってさ…って噂になってヒソヒソ話されるようになる方がダメージ大きいかなって」
「アンタ…我が子ながらほんとたまに性格悪いトコあるよね…」
お母さんが笑いながらお茶飲んでる。貴方の娘ですからね。
「処世術だよ、処世術。正しいからって暴力はだめ。命の危機じゃない限り賛同はされないからね。言い返すと、ヒステリックとかバカにされるだろうし。完全なる勝利をするには相手を孤立させるのがいいんだなって先生たちの話聞きながら思った」
「はあ…お前に似たんだぞ。このしたたかであざとくて、性格悪いのに賢いところ」
「あら、私だけの責任にするつもり?」
ほんと丸くなったなあ、二人。怒鳴り合ってたの嘘みたいだ。
「ねねの言いたいこと分かるけど…まどろっこしくない?」
「りくはお父さんに似たね、猪突猛進で最短距離が好きなの。ねねも妄想の中ではあの人のことボール当てまくってるよ」
今日は炊き込みご飯だよ、と言われて手を洗いに行く。あ、長野くんからわざわざ謝罪が来てる。長野くん何も悪くないのにな…。この気持ちをそのまま伝えたら、突き放してるように聞こえるかな…?
『長野くん わざわざラインでもありがとう。でも夕方のときも言ったけど長野くんは聞かれたから私の名前を伝えただけだし、同じ部活なだけで長野くんはむしろ止めてくれてたんだから謝らなくて平気だよ。
校長からちょっと注意受けただけで実質お咎め無しだし…。隣の席の影山くんも、1号車向こうの長野くんもギリギリでホームルーム来るくらい部活頑張ってるの知ってるからこそ、手が出るくらいムカついただけだから…!』
これなら伝わるかな…?こういう真面目な話のときって絵文字を使うと茶化してるようで苦手。ただ何もないと温度感がわからないし冷たい文章に思える。責めてるようになってないか何度か読み返してお花を持ってニコニコしてるムーミンのスタンプを送る。
次の日、少し探るような様々な人の視線を全部スルーして下駄箱へ。噂には色々つきがちだからね、クラスの一人として噂を聞かされるのは何度もあったけどまさか回される側になるとは思っても見なかった。
「おはよ〜」
「おはよう、昨日大丈夫だった?代わりに怒ってくれてありがとう、あの先輩しつこくて嫌いだったんだ〜!」
「うん!」
サッカー部のマネの子だ。この子だって小さい頃からクラブはいるくらいサッカーが好きで、中学の頃は女子チームに入ってたけど高校ではないけどサッカーに携わりたいってマネを志望した子だ。あの人はまるごと馬鹿にして吐きすてた。思い出すだけでムカッとしてくるけど、私がわざわざ怒る必要もない。
『ナマエちゃん、クッキーあげるからお昼おいでよ』
『クッキー?珍しいですね、先輩が甘いお菓子食べるの』
『家から持ってきた!』
もしかしてパーティパックを…??まるまる持ってきたなら恨みを買うことになるだろうけどいいのかな…?だって家にパイの実ある!明日食べようかなって思ったら次の日、存在まるまるなくなってたらショックだもん。
お誘いを受けたとおりお昼3年生のフロアにお邪魔すると、いくつかの箱ごと持ってきてる菅原先輩に手招きされる。たしか弟いるんだよね…?泣かれないのかな…。
「す、ストップ先輩……先輩も弟いるんですよね?泣かれませんか?こんなに…こんなに持ってきちゃって」
「いーのいーの、長男長女は我慢しがちなんだから!」
「…ってことは澤村先輩も?」
「下に弟と妹2人ずついるよ」
一家の柱じゃんそれはもう…。でもお兄ちゃんなのはものすごい想像つく。
「2人ともお兄ちゃんなんですね……うん、なんかものすごい納得できます」
「お姉ちゃんにそう褒められてもな」
「そうそう、ねね〜」
りくの真似してくる菅原先輩のおでこを押す。清水先輩はお兄さんがいて、東峰先輩も姉がいるらしい。あの二人末っ子なんだ…意外だな…いや、マイペースなところあるし納得できるっちゃできるかも…。
「案外平気そうで安心したよ」
澤村先輩にそう言われる。…私ってやっぱり、思ったよりなんというか…いい子?そうに見られてるんだな。
「ふふ…私はしたたかであざとくて性格悪いくせに頭がいいお母さんと猪突猛進でまどろっこしいことが嫌いなお父さんの娘ですからね」
「……え、どういうこと?」
「菅原先輩、私が…まあ前科あるのでアレですけど…他校の生徒からナンパとか声をかけられりした時押されたら流されちゃうんじゃないか?って思ってません?」
「めちゃくちゃ思ってるよ」
めちゃくちゃなんだ。真顔ではっきりそう言われるから思わず笑う。
「嫌なことは嫌って言えますし、そういう風に思われやすい人間なんだって自覚してるので逆に…そんな私がどう動いたら昨日みたいな場面でも100:0にできるかとか考えるくらいにはしたたかで性格悪いので」
「うわあ、悪女…!そういうとこも好き」
「……むっちゃ照れるんですけど…」
「イチャつくなバカップルが」
(バカップルじゃないです)
(あのね、普段どれだけスガがミョウジさんのことで煩いか分かる?揃えばコレだし…)
(悪口やめろよ大地)
(あざとさでいえば菅原先輩、なかなかレベル高いですよね)
(え〜?そう?)
(自分の可愛さをしっかり分かってるタイプですよね)
(……なに、ナマエちゃんまで悪口言うの?)
(悪口じゃないです、敵じゃなくてよかったなって)
(敵…?)
(何と闘ってんのミョウジさん…)