HQ 菅原
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よそ見禁止
*ミョウジナマエ
大反響の前日祭が終わり、文化祭がいよいよスタート。私はお米をそもそも提供したこととクラスの出し物で大いに目立ってくれたという理由でお店のシフトは免除してくれた。せめて片方の日くらい出るよ、と申し出たけど頑なに…特に学級委員が認めず。おにぎり屋の宣伝はよろしく!と伝えられる。日向くんの教室の縁日(射的で楽しかった)や、月島くんと山口くんの教室のタピオカをつまみながらりくを待つ。迷ってしまうと良くないから、校門前で待ってると声をかけられる。
「あ、みーっけ!ナマエちゃん、この間ぶり」
及川さんだ。…意外にもこの間の…3年生同士?の4人で来ていた。じゃあ私はそこまで警戒しなくていいかな…。
「皆さんこんにちは…あ、これ私のクラスのおにぎりです。ぜひ食べてってください」
「おにぎり!?渋いねえ」
「ほか焼きそばと焼きうどんなんで、敢えてをチョイスです。お米ウチのなので、美味しいですよ」
「退けやクソ川……あれ、あいつ居ねえのか?」
あいつ?……影山くんかな?
「ねね、って呼んでたチビ」
あ、りくのことか。りくを待ってるんですと答える。及川さんに一緒に回ろうよと誘われたけど丁重にお断りした。そもそも身長高いこの4人、目立ってるのにキャラが濃い及川さんと回るなんて疲れる未来しか予想できない。
「あ、こら!ウチの子に手ぇ出さないでもらえます〜?」
「わ、菅原先輩…おとと」
足首がグギってなって変な風によろけた。折れた!?って慌てる菅原先輩に折れてないです、と伝える。急に過保護になったけどなんだろ…?弱そうに見えるのかな。
「げ、爽やかくん…」
さわやかくん…?ガリガリ君の新種みたいなあだ名でおそらく菅原先輩のことを指してるのか、顔が引き攣ってる及川さんは岩泉さんたちによって引っ張られていった。
「何もされてない?」
「おにぎり屋を宣伝しときました。今日は…げんこつ振り下ろす岩泉さんが居たからか平気でした!」
そう言うとげんこつ振り下ろすんだ…と返される。すごい音したんですよ、とあの衝撃的な場面を振り返っているとりくがやってくる。
「あ、菅原くん!ねね〜!」
りくも私も学校の文化祭初めてだ。ちょっとワクワク。
「菅原先輩のクラス何やってるんでしたっけ?焼きうどん?」
「ふっふっふっ、…お化け屋敷!焼きうどんは旭のクラスだよ」
お化け屋敷かあ……1クラス分の大きさしかないとはいえ怖そう。
「ナマエちゃんは怖いの平気?」
「すこぶるだめです…」
そう言うとケラケラ笑う菅原先輩。反応見たかったなあと言われるので、先輩と一緒ならいいですよと返す。
「え、いいの?」
「中で置き去りとかにしたら呪いますけど…」
「置いてかない置いてかない!」
「菅原くんとねね、デートするの?」
で…デート!?デートになるのかこれ…?!
「デート……なのかな」
「………じゃ、デート…しよう!」
菅原先輩が真っ赤な顔で手を差し出してくる。さっきのりくの言葉で変に意識してしまってものすごく恥ずかしい。私も同じくらい顔赤いんだろうな…。お願いします、と手を握る。何なんだこの図は…顔を真っ赤に手を繋ぐ2人と小さい子ども。
「ぼく、デートの邪魔するほど無神経じゃないからどっか行ってくる!」
「え、りく…ひとりで平気?ケータイ持ってる?」
「平気!僕もう来年中学生になるんだからね!首から下げてるし〜…あと、何か困ったらねねと菅原くんと同じ制服の人に聞いてみる」
「う…成長…」
泣かないでよ!と軽く怒られりくを見送る。本格的に2人きりになってしまった。緊張しすぎて逆に何も話せなくなる。
「あの、先輩……」
「ん?」
「……これ、って文化祭マジック…とかですか?」
文化祭や体育祭の前後はカップルが増えるとナツメちゃんが言っていたし、実際いつの間に?と思うくらいカップルが私のクラスでも増えてた。
「……いや、違うよ。もっと前から……クッキー持って道場破りしに来た日…からかな」
「……先輩、顔すっごく赤い」
「ナマエちゃんもだべ……はっず…」
3年4組…菅原先輩と澤村先輩のクラスだ。私たちの顔が赤いからか、受付係で菅原先輩と仲の良さそうな人が少し揶揄ってる。
「スガ…お前…いつの間に可愛い彼女連れてきやがって…!」
「やめろ稲葉、いちお…まだだから」
「は?聞いた?まだだって……うわ、2人とも顔赤…なんなのウザ…」
急に貶してくるから菅原先輩の背中に隠れて笑ってると、見えてるよ!と怒られてもっと面白くなってしまう。あ〜面白さと恥ずかしさで顔がすごく暑い。パタパタと手で仰ぐと順番が回ってくる。
「こんな…?!心細いライトで何を照らせと…???」
「予算無い中買ってきたんだからライトの悪口言わないでくださ〜い!はい逸れないようにもっとくっつく!」
「ぅわ」
「ごめんごめんごめんマジごめん事故!!!」
「イチャつくな早よ入れ!!!」
くっつくようにぎゅむ!と押された時体に力が入ってなくて思い切り菅原先輩にぶつかる形になる。申し訳無い事に思い切り彼の腕が私の胸に当たってしまい、お互い焦ってる間に背中を押されて教室に半ば強制的に入れられドアが閉じる。
なんの準備もしてなかったから真っ暗だ。
「ライトつけるか…てかマジごめん事故だから」
「いや…どちらかといえば過失は私のほうが大きいので…こちらこそすみません……え、ほんとにライトついてます?」
暗すぎない???ホラーゲームのライトよりやる気のない小さいライトを菅原先輩に渡され、震える手で歩き始める。
「…びっくりポイント教えてください」
「それ言っちゃったらつまんないでしょーよ……ふは、すっげ手ぇ震えてる…」
3年生なだけあって一番怖かったと話している声を待っているとき聞いてしまったのでものすごい怖い。同じ大きさの教室のはずなのに、怖いからかめちゃくちゃ広い迷路のように感じる。
右側から耳元にふう、と風がかかりびっくりして菅原先輩を抱きしめる。
「死ぬ……!!!」
「ほんとビビリだな…ほら、行くよ」
左手を握ってもらい、スタスタ歩き始める菅原先輩。は、早くない?!置いていかれないように付いていくと、足音がこっちへやってくる。
「あれ…スガとミョウジさん…??」
「……澤村先輩…?」
真っ黒でほとんど見えないけど、多分声の感じは澤村先輩だ。脅かして損したってお化け役としてあるまじきことを言われたけどもう私は怖すぎてほとんど菅原先輩に引っ付いてるだけで精一杯。最後死角から女子の先輩が飛び出してきた瞬間に今日一の悲鳴が出て、菅原先輩は膝から崩れ落ちるくらい笑ってた。
「はい、お疲れ様でした〜…ってスガくんじゃん!…あ、スプラやってた子だ〜!!なになに、付き合い始めたの?」
ギャルみたいなお姉さんだ…怖さの余韻でそれどころじゃないからライトを返して会釈しておく。
「今デート中!…あ〜はらいて…めっちゃビビってたな」
「…なんかムカつくんですが…」
「えぇ?置き去りにしてないしなんなら先歩いたべ?」
それはそうですけども…。意地悪な顔をする菅原先輩のおでこを突くようにする。
「ふは、かわい。…なんか食べいく?おにぎり気になってるんだけど」
「……は、い」
「…何、やっと意識し始めたの?」
「いや、あの…。そんなに可愛いって言われたことないから…」
「え〜?そう?音駒のキャプテンにも、及川にも言われてたじゃん?…ナマエちゃんは…あの二人に可愛いって言われても同じように照れる?」
「…も、もくひ…」
「だめ。教えて?」
心臓の血、逆流すんじゃないかと思うくらいのスピードで動いてる気がする。なんか手汗もすごい……背中の汗もすごいし、体中が暑い。
「…恥ずかしさはあります、けど……怖くないし嫌じゃないのは菅原先輩だけ…です…」
「そっか…ナマエちゃん、可愛いから色んなヤツに狙われてて気が気じゃないからさ。……よそ見厳禁!わかった?」
「ひぇ……」
「…俺も恥ずかしいんだからそんな赤くならないの!」
なんて無茶言うんだこの人…!善処します、というとまたケラケラ笑い出す。
「おや???おやおや〜??ナマエちゃんハンサムキューティなボーイをお連れで??」
「ナツメちゃん!!!」
やっと顔の熱が引いた頃、お腹空いたから私のクラスのおにぎり屋へ。イートインスペースも作ったから案内役として今の時間はナツメちゃんがいた。
「え、その反応マジ!?うわ〜…なんかこっちまで恥ずかしくなってきた…」
「ナマエちゃんと影山とスプラやってた子?」
そう聞かれるので頷く。
「ナマエちゃんをウツホ役にしてくれてありがとな……助かった」
「何が…??」
「命助かりますよね…似合ってたし。2名入ります〜」
何が???2人で頷き合いながらなんか納得した顔してたけど私は何一つ分からなかったんだけど??
お味噌汁と梅のおにぎりを頼む。…これ男子が握ったんだろうな…めちゃくちゃでかくてハンバーグみたいなおにぎり出てきた。
「…ふ、でっかくないですか?ハンバーグみたい」
「え?…あ、ほんとだ…拳みたいなおにぎり」
いただきまーす、と食べる。うん、おばあちゃんの炊き方レクチャーしただけある。ものすごく美味しい。
「…んま!」
「でしょう?」
梅干しも美味しい。お味噌汁もいい感じ。さっきナツメちゃんにこっそり教えてもらったけど売上かなりいい感じって。クーポン頑張って作った甲斐がある…地味に一番用意するの大変だった気がする。
菅原先輩も美味しい美味しい、と食べきってくれたのでよかった。教室を出てあてもなく2人で歩く。
「宮城、慣れた?」
「やっとです…私こっちに来て初めて井戸見ました。あと、モグラも!」
「モグラ見たことなかったの?」
「前は横浜に住んでたんで…都会に近いほうが大きい病院あるじゃないですか?見たことなくて…」
「虫も多いから大変だべ」
「そうなんですよ…先週我が家にGが出て大騒ぎでした」
「りくくんは?」
「私を差し置いて真っ先に逃げてましたよ…でも、りくはあれが初対面…でしたね。病院ではでなかったみたいですし…」
羨ましい限りだ。結局どうしたの?と聞かれ、倒すところまでは頑張れたけど片付けができなくて…と返す。
「…適材適所」
「っ!!」
びっくりして立ち止まる。
「いー言葉。すっげえ好きになった」
「……りくですか?」
そう聞くと頷かれる。変なこと書いてない…よね。
「うれしかったよ、3年なのに可哀想とか…色々思われる立場だから。適材適所って言葉」
「…なら、良かったです。…青葉城西に負けちゃったとき、りくが…負けたのになんで拍手するの?って聞いてきたりとか……3時間以上泣きやまなくて。」
「3時間…!?…だから熱出したの?」
「あはは…そんなに泣きやまなかったの初めてで。何言ってもなんか……意味ない感じ?菅原くんは?って聞かれて何も言えなくて…勝つ負けるって、難しいんだなあって…」
試合で勝った、負けた。その一言で表せる文字の中にどれほどの気持ちや努力、悔しさや喜びが秘められているのかを目の当たりにした瞬間だった。
「…ナマエちゃんって…めちゃくちゃマジメだよね。一緒に泣いて、一緒に頑張って、一緒に勝って笑う!それでいいんだよ」
(……やっぱ菅原先輩一番かっこいい…)
(エッ!??…待ってめちゃ照れる…あんま見ないで…)
(さっき私よそ見しちゃだめって言われましたけども…)
(だ〜ジト目で見ないの!)
(ふふ…あ、クレープ食べたいです)
(よし、行くか!)