HQ 菅原
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*ミョウジナマエ
次の日。昨日と同じようにデニムのパンツに薄手のボーダーのシャツ、ノースリーブのダウンを合わせて応援に向かう。昨日のお昼ご飯のあと、及川さんたち…青葉城西の試合を見た。及川さんの必殺技とも言われてるサーブ、威力がすごすぎてあんなのが流れ弾でも当たったら死ぬな…と寒気がした。
今日はそんな青葉城西高校との試合。一筋縄ではいかないだろう。嶋田さんと滝ノ上さんに挨拶をして1列目に座る。及川さんはファンが多いらしく、おそらく……同じ学校ではなさそうな女の子たちからも声援を送られていた。
4月に1度練習試合をしていた烏野の変人コンビの攻撃が通じず、第1セットはぎくしゃくした空気になる。なんとなく…影山くんが孤立しているように見えて苦しい。がんばれ、がんばれ。烏野の旗をぎゅ、と掴む。
そうしていると、私とりくが待ち望んでいた瞬間が起こる。影山くんと菅原先輩が交代。この悪い空気を断ち切るため、頭を冷やして落ち着くため、きっといろんな意味のある交代。主戦力の影山くんが交代したことで、烏野側にもなんかどよめくような空気が流れてる。
それを「そーい!」と言いながら各選手にチョップして回り、西谷先輩とはハイタッチ。
「大丈夫、1本きってくべー!」
「おおお…!!!」
「かっこいいねえ〜」
なんて頼れる先輩なんだろう。皆つられて笑顔になってる。
「すがわらくん、がんばれ!」
りくの声がよーく響き渡る。
「…がんばれ…!」
りくの声に振り返った菅原先輩と目が合う。
「おう!」
菅原先輩が交代で入ったことで明らかに烏野の流れが良くなる。1セットは落としたものの、2セット目も菅原さんが続行で試合が続く。
澤村先輩がサーブを上げ、菅原先輩がトスを上げ、東峰先輩が打つ。3年生の背中はなんて大きくてかっこいいんだろう。菅原先輩が影山くんと交代し、試合は更に続く。第2セット、25-23で烏野の勝ち。
次のセットで勝負が決まる。伊達工業高校のときのように1点取っては取り返され、取り返されては取ってが続きじりじりとした攻防が続く。
マッチ点数も増えに増え、30点台に入る。皆の集中力も限界だろう。まるで影山くんの動きを読んでいるかのように動く青葉城西。日向くんとの速攻をブロックされ、ボールが烏野側へ戻る。あげようと皆動くけど……一歩届かず。31-33で烏野は敗退。
「りく、りく。拍手」
ショックを受けてるりくの肩を擦り声をかける。
「なんで負けたのに拍手するの…?」
「気持ちはわかるけど……お疲れ様とか、頑張ったねとか、凄かったとか…一生懸命戦った人を称える意味での拍手だよ」
そう言うとぽろぽろ泣きながら拍手するもんだから、私までつられてしまう。ちょうどお母さんから連絡がきていたので電話に出る。涙声で電話に出たからお母さんも察してくれたらしい。
「烏野、まけちゃった」
『そっか…りくは?呆然としてない?』
「すっごい呆然としてた……はぁ、惜しかったのになあ…」
『そんなに悔しがれるなんて、いいチームなんだね。お母さんも仕事休んでいけばよかったなあ』
「……夏…7月まで、りくが発作を起こさなかったら…私入部しようと思う。お母さん、いい?」
『いいに決まってるじゃない!女子バレーじゃなくていいの?どうせ部活入るなら主役のナマエも見てみたいな〜』
「うん、男子バレー部のマネがいい。主役の私は…また別の機会で。これから先、きっとそういう機会も増えるだろうし」
お母さんと話して頭が冷えた。昂ぶった感情も一旦落ち着いたから応援席に戻る。もう次の試合が始まろうとしてる。
「りく、一旦ねねとお話しようか」
手を引いて応援席から離れる。
「う〜ん…」
困ったな、全ッ然泣きやまない。もう周りの人から怪訝な目で見られる・振り返られるくらいず〜っとりくは泣いてる。よっぽど悔しかったんだろう。こんなこと初めてで、私もどうしたらいいかわからなくなる。
「りく、りく…ねねのこと見て?…いまどういう気持ちか、ねねに教えてほしい」
「わ、かんない゛…っ」
このままじゃ泣き痙攣起こして最悪発作に繋がるかも…。りくを抱っこして外に出て、赤ちゃんの頃のようにゆらゆら揺すりながらあやしてみる。
「りく、ねねはね…1回負けたからって永遠に負けたってことにならないと思うの」
「……?」
「負けたからって弱いわけじゃない。烏野は強い…と思う、素人目にも…今よりもっと強くなるためには、今日の悔しさを糧にしてもっと練習をしないと」
「……菅原くんは?」
「先輩は……3年生だから。ずっと私が1年生で、菅原先輩は3年生でっていうのはできないよ。皆生きてて大きくなるんだから」
そう言うとまたぽろぽろ泣き始めてしまうりく。こういうときうまく纏められない自分がもどかしくて、嫌になる。1時間経っても、2時間経っても泣きやまないりくを抱えて外をずっと歩き回る。結局青葉城西のその後の試合観戦はりくのこともあり断念。早めに帰ろうか、とりくの手を引いて帰る。
次の日、寒い中りくを抱えて歩いていたからか猛烈に体調を崩し学校を休んだ。お昼を過ぎて段々と良くなっていったので、武田先生に入部の意志を伝えたくて予め武田先生にだけ電話で連絡して、学校に向かう。
「あ、ミョウジさん…随分顔色悪いですが…?本当に回復したんですか…?」
「なんか歩いてたらフラフラしてきちゃって…」
「引き返してよかったのに…もう…君は頑張り屋さんすぎますよ。保健室行きましょうか…歩けますか?」
頷く。
「あ、あの…武田先生…私、」
「元気になったら、聞きます。いい知らせは万全の状態で聞きたいじゃないですか?」
武田先生が保健室のドアを開けると、なんか荷物を抱えた菅原先輩がいる。
「あれ、武田先生……ナマエちゃん?!すっげー顔色悪いけど…体調崩しちゃったの?」
「菅原くん、元気になったら彼女を叱ってください。元気になったから学校へ向かいます。と連絡して来る途中でぶり返したのにそのまま来たんですから」
全部バラされた…。
「僕は授業があるので戻りますね、菅原くん。任せて平気?」
「大丈夫です」
二人のやり取りをぼーっとした頭で聞き取る。熱…はないはず。でも寒気するし…もしかしたら熱出てきたのかもな…。
「まず体温測って?……なんでそんな無理して学校きたの…」
お礼を言って体温計を受け取る。
「……入部、のこと話したくて……家出る前までは落ち着いてたんです…」
「!…入部してくれんの?」
「7月まで、りくの様子見て……発作が起きないようなら大丈夫かなって……さむい…」
そう言うと菅原先輩が上着を貸してくれる。
「いーにおい…」
*菅原孝支
フラッフラのナマエちゃんが武田先生に連れられて保健室にやってくる。先生が職員室にいる間に留守番しててって言われただけなんだけど…。武田先生は戻り、とりあえず熱を測る。寒い、と口にするので学ランを渡すと学ランをぎゅ、として臭い嗅がれた…すっっごい恥ずかしい。
「………熱ある…」
見せて、と言うと体温計を渡される。38.8……結構高い。冷えぴたを出しておでこに貼る。
「はい、ナマエちゃん髪の毛あげて〜」
「はい」
ぽやぽやしてる…かわいい〜!
7月までりくくんの様子を見て入部を決意してくれたようだ。それを武田先生に伝えたくて、学校来たら途中でみるみる体調が悪くなったと……。
「ベッドで寝たほうがいいべ…歩ける?」
「あるけない…やだ…」
手を引くと首を横に振るナマエちゃん。待って、この子こんな甘えたちゃんになるの…?今この時間誰も保健室は使ってない。でも熱高すぎて普通に心配だし、移動…させるか。
「はい、ちょっとごめんね〜」
「…わ…先輩ちからもち…」
華奢なナマエちゃんはめっちゃくちゃ軽い。軽すぎてびっくりした。土日、俺らの試合を見に来てくれてたけど及川に肩を組まれたときはすごい嫌そうな顔をしてた。今、表情を伺っても嫌そうな顔をしてないことにものすごく優越感を覚えてしまう。影山と交代したときも…りくくんと一緒に声援をくれたの、正直めちゃくちゃ嬉しかった。
「はい、布団かぶって…」
「ん……菅原先輩、まだここいる…?」
上目遣いをしてくるナマエちゃんに心臓を鷲掴みされたような感覚になる。俺の…俺らが春高まで残るって聞いたら、喜んでくれるんだろうか。
「まだいるよ、寝るまで見といてあげる…1年3組だったよな?」
頷かれる。
「……昨日……菅原先輩がいちばんかっこよかったです…」
「あ、りがとう…照れるべ」
めっちゃくちゃ顔がニヤける。保健室の先生が帰ってくるより先に顔が真っ赤のナマエちゃんが寝落ちする。りくくんも体弱いのかもしれないけど、ナマエちゃんも結構頻繁に熱出してるな…。
保健室の先生ごしにお母さんに連絡してもらって、迎えに来てもらえることに。1回眠りに入ったからか、呼びかけてもナマエちゃんは中々起きない。
*ミョウジナマエ
やらかした。なんとか学校ついたあと、本当になんにも覚えてない。結構な熱を出してしまって、保健室で…武田先生と菅原先輩に面倒を見てもらったのはなんとなーく覚えてる程度。どうやって親に連絡したかとか全く覚えてない。帰ってきてすぐ熱は下がったけど、次の日も大事を取って休み水曜にやっと登校。
文化祭の様子は影山くんとナツメちゃんがちょくちょくラインをくれたおかげでなんとなく流れはつかめてる。おにぎり屋さんで決まったそうで、おばあちゃんへのお米の支払い代を決めたり、メニューを決めたりで大盛り上がりだったとか。
当初クラスの他の子が言っていたとおり、何種類かのおにぎり、焼きおにぎり、プラス料金でお茶漬けで決定だとか。予算が余ったから味噌汁も合わせて販売し、完全におにぎり専門店で出店が決まったと。
そのことを伝えたらなによりおばあちゃんが喜んでくれた。今日は試作のためにお米を3合ほど持ちより、教室で炊き上げる予定。美味しく炊くコツなんかも教えてもらってきた。
「というわけで…復活しました、ご心配おかけしました…」
「おー!熱下がってよかった、みるみる元気なくなっていくから心配したよ」
すみません…と菅原先輩に頭を下げる。
「全く記憶がないんですが私粗相などしてないですよね…?お母さんに連絡繋いでくれたの菅原先輩だって聞いて…」
そう尋ねるとどうかなあ?と意地悪な顔をされる。えっ…なんか変なこと口走ったりしたんだろうか…??!りくに接するみたいに接したとか…??
「先行で教えてもらったから俺も先に教えてあげる、俺ら…春高まで残ることにしたんだ」
菅原先輩の言葉に顔を上げるとにんまりとした先輩と目が合う。
「…えっ?!ほんとですか?!?」
「ほんとほんと。だから…よろしくね、ナマエちゃん」
こちらこそよろしくお願いします!!と返す。りくにいいお土産話ができたな…。
そのあとの休み時間、清水先輩に声をかけられるので入部の旨を伝えるとすっごい喜んでくれた。一人より二人、とマネージャーを探してるという清水先輩の話を聞く。たしかに、私は…不確定要素が多い部分もあるからもう一人いたほうが心強い。
久々に会った影山くんにも試合お疲れ様、と伝える。
「おう……体調大丈夫?」
「おかげさまで…メニュー決めてくれたりしてありがとう」
「案出してからほとんど俺発言してねえよ…あ、もしかしたら文化祭に及川さんたち来るかもしんねえ」
「ええ〜〜…やだ…」
「俺のとこに連絡あったから」
りくも来る予定なのに…どうしようかな…。あ、田中先輩たちに匿ってもらおうかな…田中先輩と西谷先輩の圧に圧倒されてたりくも試合を見てカッコイイ…!!!と目をキラキラさせてたので、もう人見知りはなくなる気がする。
前日祭のクラスの出し物をどうするか、と話し合いが始まる。全員でダンス…となっているが、他の部活もインハイ予選の結果で代替わりで練習が激化するところが多く無理そう…となる。先生によると大体は出し物の宣伝とかをするらしく、制限時間は最大7分。2分以上が条件らしい。
「この間の良い案出してくれた3人、なんかない?」
私とナツメちゃん、影山くんが案を求められる。宣伝か…。
「わたしある!1年3組だから、3になぞらえて…んで、ダンスは代表者しかしません!」
ナツメちゃんの意見におお!とクラスが沸き立つ。
彼女の意見は3組なので3になぞらえた30円引きクーポンおにぎりの種別ごとに大体200枚くらい?作成し、クラスの出し物中に全員で配布して配る。クーポンはただ配るんじゃなくてナツメちゃんが好きな新作ゲーム、スプラトゥーン3になぞらえた「フェス仕様」…つまりは人気投票のような形で配るのはどう?というものだ。キャラが3人いるため、梅派、シャケ派、ツナマヨ派に別れて一番多く受け取ってもらえたほうが勝ち、とゲームになぞらえた案。今からダンスの曲や振り付けを考えて覚えるよりもよっぽど簡単にできる。
「まあ、知らない人からしたら何?って感じだけど…それは今流行りのK-POPとかでもそうじゃない?ちなみにクーポンはここの生徒とその身内だけしか使用不可にして、お友達とか他校の人は申し訳ないけど使えないようにしたらいいかなと思います!」
シリーズ3作目だけど、初代のときに本当にイベントとしておにぎりの具はどっち派?というテーマがあったらしい。クラスがいいねいいね、と沸き立つ。ナツメちゃん、こういうの考えるの得意なんだなあ…。
「代表者は誰がやるの?」
「言い出しっぺのあたしと…お米の提供者のナマエちゃんと、おにぎり発案者の影山くんはどう?」
「「…えっ??」」
「二人がよければだけど…ダンスも簡単だし、特に影山くんはフリないようなもんだから!アリにしてもいいし」
クラス中の視線が突き刺さる。こ、断りにくい…。けど、他の女子も全員でダンスならいいけど代表はちょっと…って空気だ。……やるっきゃない…。
「わ、わかった…ナツメちゃん、振り付けはお手柔らかに…」
「任せて!ていうかナマエちゃん運動神経いいんだからすぐ覚えるよ」
運動神経がいいのと踊れるかどうかは変わってくるよ…。影山くんも断りにくかったのと、振り付けナシか簡単なやつなら、と同意。
(凄いことになっちゃったね)
(ぜってぇ日向に笑われる…)
(え〜そう?こんなこと考えつかないからはしゃいでそうだけど…スプラか…)
(ミョウジさん、知ってるのか?)
(うん、りくとよくやるよ。知ってるからこそハードル高いんだけどね…確かに影山くんが任されるであろうキャラは物理的に振り付けがないよ)
(物理的に…?)
(ナマエちゃん、じゃあさっそく打ち合わせしようか!)