HQ 菅原
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内外
*ミョウジナマエ
「文化祭…もうそんな時期なんだ」
5月の半ば、もうすぐ文化祭がありますと担任の先生から告げられる。6月の2日と3日はIH予選で、影山くんたちの公式デビュー戦だ。それと同時に、負けてしまえば3年生は……菅原先輩たちは最後の公式戦。
丸かぶりより良いのかもしれないけど、前後に試合がある部活はこの時期の文化祭心から楽しめるもんなのかな…。
「インハイ、ミョウジさんは来る?」
影山くんに話しかけられる。
「うん、もちろん。見に行けるの楽しみ」
「りくくんも?」
頷く。
「りくねえ…あの雨の日以来、発作起こしてなくて…ここは空気がきれいだから、体に合ってるのかも」
そう告げると良かったな、と返ってくるのでありがとうと返す。
二人で他愛ない話してると学級委員が前に出てきて、クラスの出し物を決めよう!となった。人気なのはお化け屋敷、かご飯系の屋台のような出し物。
「私はご飯系がいいと思う…このクラス部活に所属してる人多いから、お化け屋敷は分担する量が極端になっちゃうと思う」
ひとりひとりの意見を求められ、そう発言する。当日のシフトを決めて動いたほうがいいと思うなあ。私の意見が大半を占め、飲食狙いで行こう!となった。となると、どういう系統でいく?と話が難航する。
ナツメちゃんが他のクラスや学年がは焼きそばとかお好み焼き系、反してスイーツ系のあるあるなメニューを出すだろうからうちらは被らないので行こう!と発言し、クラスはその方針で固まる。ん〜、5組まである各学年にお化け屋敷、飲食はそれぞれ3クラスまで。つまり飲食は3学年で合計6店舗になる。かぶらないメニューか…。
メニューについては先生が他のクラスや学年の先生に聞いてくれることになり、メニューの詳細を決めるのはまた後日となる。
「影山くん、ご飯何が好き?」
「カレー」
おお、なんか…ぽい!温玉のせのポークカレーが一番好きらしい。結構細かい指定があるのがガチっぽい。
「カレーかあ…じゃがいも抜きにして作れば食中毒の危険も薄まるね」
「ミョウジさんは?」
「…あ、好きな食べ物?私おにぎり!」
そう言うとちょっと鼻で笑われた。
「いっつも食ってるもんな、昼飯とか」
「笑わないでよ…うち、不作にならない限りはおばあちゃんのお米しか食べないんだけどほんと美味しいんだから。おばあちゃんの漬物合わせて、お母さんが握るおにぎりが1番好き」
「へえ、漬物……なんか腹減るな」
ぐうう、と大きな音が影山くんのお腹から聞こえて思わず笑う。
後日、先生はナツメちゃんが睨んだ通り焼きそばが2店舗、焼きうどん(しょうゆ)が1店舗、クレープ1店舗、タピオカ1店舗と教えてくれた。6店舗目私達のクラスは何にするか…
「…おにぎり」
「え?」
「おにぎり…が、いいと思います。」
影山くんが急に挙手して案を上げる。
「カレーじゃないの?」
「ミョウジさんいつも美味そうに食ってるから」
やめてよ、なんか…食いしん坊キャラみたいで恥ずかしいんだけど…!
「最近東京とかだとおにぎり専門店とかあるもんね?いいかも!」
「お茶漬けもあるよね、おにぎり3種と焼きおにぎり、プラス料金でお茶漬けとか美味しそうじゃない?!」
「え、なんか案外ウケてる…!」
「ロゴはナマエちゃんにしよう!」
やめて!と言うとケラケラと皆笑い出す。先生もいいんじゃない?とノリノリでロゴが私になりそうな雰囲気を慌てて止めさせる。
「あの……もし、お米系のご飯にするなら私の…祖母が作ったお米、捌ききれないくらいいっぱいあるから使ってほしいです…」
大きい土地を持つおばあちゃんは家族と周りの人たちに配ったり、直売所くらいしか売らないから消費するのが毎年大変なんだよね。これを機に捌ければ、と思って提案したら材料費が抑えられるしお米系のメニューにしよう!とクラスが沸き立つ。
「はい、一旦ストップ。…お米系の料理は被ってないし先生も大賛成、ただ!…流石に無料ですべてを頂くのはだめだと思います。ミョウジさんのお米を使わせていただくことになったらきちんと予算や売上のうちから何%分お支払するかは決めましょう」
「あ、いや…そんな…」
「ダメよ、ミョウジさん。貴方なら分かるでしょう、お米はそんなに簡単に育つわけじゃないの。時代が違えば白米は家に匹敵するくらいの高級品。それは時間と労力がとんっっでもなくかかるから!ほっておけば育つ朝顔とは違うんだから…皆、賛成してくれますか?」
「「「はい、賛成で〜す!」」」
先生とみんなにお礼を言って、お母さんにもしかしたらお米を使うかも、と連絡しておく。
そして6月に入り、ついにインターハイ予選。公式戦だし、烏野のジャージのほうがいいのかな…?とお母さんに相談する。
「まだマネージャーじゃないし、私服でいいんじゃない…?ナマエ。お母さんは賛成だよ、マネージャー」
「……私、別に無理してないし…なんていうの…我慢もしてないからさ。」
「うん」
「可哀想なんかじゃないよ。りくがいなかったらここまで誰かを応援したいって思えてなかったかもしれないし」
「…そうだね、うん。可哀想なんて言ってごめんね…今日はおにぎり梅干しにしたから」
「りく、梅干し苦手じゃん…」
「あっ!!!そうだった…」
うっかりしてるんだから…。急いで何個かごま塩にしてくる!と慌ててキッチンへ向かうお母さんを見送り、服を選ぶ。この間の音駒の時、底冷えする体育館にずっといたから足がものすごい冷えた。今日はロング丈のボトムスを選ぼう。タックが入ったカーブのようなシルエットの黒いパンツを選ぶ。これウエストでっかいんだよね…ベルトを通して、シアーインナーと紐を結んでとめるカーディガンのようなトップス。シアーの中にもキャミソールきてるし、ノースリーブの軽めのダウン持っていくし、これなら大丈夫かな。
いつもどおりの身支度を整えて車に乗る。この間の体育館よりも大きくて人が多い。なんかこっちが緊張してきた…。
「あ、あの…」
「…?」
「か、烏野の1回戦見たいんですけどどこの領土とかある、んですか…?」
学校ごとに固まってたり、それこそ父兄の方々がいたり、学校ごとに旗を下げてたりしてどこに座っていいか分からないから慣れてそうな選手の人に聞いてみた。
「おー、岩泉。逆ナン?」
うわあ、背が高い…。りくが足にしがみついてくる。
「松川…違ェよ。…試合ごとに特に前列の席は入れ替わるようになってる。真ん中らへんは朝イチで席取りした父母会とか関係者が座る。烏野見たいなら…1回戦Gコートだから、あそこ。分かるか?」
「えと、…Gに行けばいいんですか…ね?」
「……連れてく。トーナメント表は入り口でもらったか?」
「めずらし。及川が見たら騒ぐなこりゃ」
「騒ぐ騒ぐ〜、岩ちゃんのこと逆ナンしてる子なんて初めて見た!」
次から次へと背の高い人がやってくる。バレー部だもんな…やたらと威圧的に感じるのは体格ががっしりしてるからだろう。
「ねね…」
「だいじょぶだいじょぶ」
「クソ川、怯えさすな。あと逆ナンじゃねえ。烏野の関係者だ」
「はぁ!?烏野…?!…ふぅん」
「…ねねをジロジロ見ないでよ!」
「りく、失礼なこと言わないの。すみません…コートがAとかどうやって分かるんですか?」
「パンフのはじめの方に載ってる。…そこ、大会本部があそこ。で、こう見る。いま俺らはこの辺にいる…分かるか?」
なんとなく。Gコートはここよりも右斜め前くらい、あっちの方とさっき……岩泉さんが指差してた方と一致する。
「真ん中らへんを避けて、前のほうが空いてたら座っていい…んですよね?」
「大体は。二人で行けそうか?」
「はい!ありがとうございます!…りくも」
「いずみくん?ありがと〜、ただぼくあのお兄さん嫌い」
茶髪のお兄さんを指差すので血の気が引く。
「なんてこと言うの…!」
「いい目してるな、間違ってねえよ」
大間違いですよ…!肯定するような岩泉さんにツッコむ。りくに嫌いと言われたお兄さん…ていうかさっきクソ川って言われてたような…?は私達が歩き出すとあろうことか着いてきた。
「ね〜?名前くらい教えてよ〜、誰かの彼女とか?マネではなさそうだケド…」
うわあ、困った。すごい頻度でバレー部の人にナンパされてるなあ、最近…。名字だけ名乗って、席を確保。パンフレットを確認しているとパンフレットを取られる。
「…あ、あの…返してください」
「ねねを困らせないでよ」
りく、本格的にこの人のことが苦手みたいだ。見たことないくらい生意気ムーブをかましてる。落ち着いて、と背中を撫でる。
「ミョウジねねちゃん?…あ、違うんだ。名前も教えて?」
「ナマエです……誰の彼女とかでもないです、応援しに来ただけで」
「ナマエちゃん……可愛いね、ふふ。でも烏野は俺らが倒すから☆はい、じゃあまたね」
キラッキラの笑顔で捨て台詞のような言葉を吐いて去っていった…クソ川、つまり○川さんという情報しか分からない。
「なんなのあの人…」
「りく、あんまり目の前で嫌いとか言っちゃだめだよ。……ああやって絡まれるから」
「でも嫌い。最後もいらない一言だった」
「わざとだよ多分。人を怒らせるのが上手なんだよ……私達は直接戦うわけじゃないけど…直札戦う選手としては嫌な相手だね」
試合前にそんなドタバタがあったけど、無事に岩泉さんが教えてくれたとおり目の前のコートで1回戦目が始まる。
とこなみ…かな?1回戦目、アップのときはみんな緊張していたっぽいけど難なく勝ち上がる。
「…あの人、悔しそうだったね」
「うん…負けに来てる人なんて誰もいないからね」
強豪でも、そうじゃなくても。勝ちに来てる、そのために部活に入って練習してるのはどこだって同じはずだから。
2回戦目、伊達工業高校。今度はコートが…B。移動して見るとこの間の音駒との練習試合でいたOB?らしき二人がいた。
「この前、音駒のときもいたよな?」
「は、はい…」
「俺らはあの…コーチいるだろ、あいつと同級生のOB!嶋田マートの嶋田と滝ノ上電器店の滝ノ上!」
「ミョウジです、よろしくお願いします。」
「身内だれか出てんのか?」
「あ、いえ…強いて言うなら影山くんと同じクラスなだけです。ただ…いろいろ、私個人のことが落ち着いたらマネージャー入りたいなって…」
「おー!マネか!有り難いねえ、そんで応援まで来てくれるとは…あいつら一層気合はいるだろうね」
「向こうからこっち、見てることあるんですか?」
「あるある、親きてるかな〜とか。他校の○○が見に来たな〜とかチラチラ見てるよ」
そうなんだ…。あ、影山くんと目が合った。そう思ったらりくが私の手を引く。
「ねね…」
げ。小さいな声だが思わず出てしまった。○川さんたちだ。岩泉さんにはお礼をと思ってたからいいけど…。
「ヤッホ〜、飛雄ちゃん。元気に変人コンビやってる?…あぁ、ナマエちゃん!さっきぶり〜!」
「っわ!?」
ぐい、と思い切り肩を組まれるのでバランスを崩してりくと一緒に○川さんにツッコむ形になる。鼻が痛い。
「影山くん、知り合い?……ちょっとどうにかしてほしい…」
「あーあー、こっち来てろ。」
嶋田さんたちが助け舟を出してくれる。その前に…あ、いた。すごい顔で○川さんを見てる。
「ボケ川テメェ…」
「岩泉さん!さっきありがとうございました、Gコートばっちりでした」
「…あぁ。及川が悪いな…殴って埋めとく。」
いや、そこまではいいです…と断って組まれた肩をそっと外す。
「やっぱぼくこの人キライ!」
大きな声で言わないの!田中先輩たちが耐えきれず吹き出してる。ゴン!と大きな音がしたかと思えば及川さん、本当に岩泉さんに殴られてる…しかもグーで。相当痛そうな音したけど…。さっきもいた特段背の高い…松…なんちゃらさんに気にしなくていーよ、と言われたので会釈して嶋田さんの横へ。
「えぇ…岩ちゃんマジで殴るのやめてよ……隣いつでもおいでね?」
「結構です…」
「ねね、あの人見て?…ゴルーグみたい」
一応大きな声で言わないほうがいいと思ったのか、ゴルーグの名前だけ小声で言ってきたりく。視線の先には…確かにちょっと似てる。堪えなければ、と思えば思うほど面白くなってきてしまう。
「やめ…やめてよ…っふ、も〜りくのバカ…ツボ入っちゃったじゃん…っふふ、」
大きくて強そうだね、というりくに同意する。大きい壁みたいだ。
「実際あそこのブロックは強いぞ?3月の時は手も足も出なくてな…」
「えぇ…手も足も…?」
ヒヤヒヤとする場面がありつつも、日向くんと影山くんの…及川さんの言葉を借りると変人コンビの活躍で第1セットを25-19で勝ち取る。
「ねね、足痺れてきた…」
座りたいけど及川さんがいるから嫌なのだろう。ねねが壁になってあげる、と1列目の座席に座る。
「試合中は皆真剣だから、しっかり応援しよ?」
そう告げるとりくもわかった。と頷く。
第二セットが始まり、1点をとったら取り返される…そんなジリジリとした試合が続く。20点台に入ろうとした時、強烈なスパイクを上げそこねたボールがこちら目がけて飛んでくる。りくを抱きかかえるようにして痛みを待つとやって来ず、目を開けると岩泉さんと及川さんがボールを流してくれていた。
「平気か?…すっげースパイクだな」
「今のは烏野のメガネ君にはあげられないね…二人とも当たってない?」
「あ、たってないです…ありがとうございます」
「いずみくん、ありがと〜!」
「岩泉さんだよ、りく」
「俺は?!」
そんなシーンがありながらデュースが続く。最後、あと1点。会場中が静かになっている気がする…皆もすごい集中力だ。25-22、烏野の勝ち。
「勝った!勝ったよねね!」
「ねね、見てるだけなのに疲れた…」
1日目は2回戦で終了。1試合が長いから大体2日に分けて試合はするらしい。岩泉さんが教えてくれた。お昼になったので外の芝生でお弁当を広げる。りくは大興奮でさっきの試合はあーだったこーだった、とずっと喋ってる。
側にいて見守るってこんな緊張したりするもんなんだな…。マネージャーも大変だ。そう思っておにぎりを食べてると、ライン。
『おにぎり?』
菅原先輩だ。…え、なんでおにぎり食べてることバレてるんだ?
『キョロキョロしすぎ!後ろだよ』
後ろを向くと澤村先輩たちとご飯を食べる菅原先輩と目が合う。りくに伝えると駆け出していくので荷物を持って後を追う。
「一緒に食うべ…さっき流れ弾大丈夫だった?」
「岩泉さんたちがべしってしてくれたので平気でした…その前は最悪でしたけど…」
「及川さんと知り合いなのか?」
「影山くん、お疲れ様。…いや…今朝、どこのコートで皆が試合やるのかとか、なんか…同じジャージで固まっててどこまでがその人たちの領土なんだろうって分かんなくて…近くにいた選手に声をかけて色々教えてもらったの。それが岩泉さんで…野次馬が及川さん」
そう伝えるとなんとなく場面が浮かんだのか、あ〜…って返ってくる。
「りくは嫌い!って本人目の前に言い出すし、そしたらついてくるしで…終始距離近いしあの人苦手だな…」
「肩組まれたときの顔凄かったもんな…」
澤村先輩に笑われる。どんな顔してました?って聞いたら、清水が虫を見つけたときの顔って笑ってた。多分すごく嫌なのが顔に出てたんだろうな。
「ねねのことジロジロ見るし、ベタベタ触るし嫌いだよ」
頼むから喧嘩は売らないでねとりくの頭を撫でる。
「うわ、梅干し入ってる〜」
「お母さん間違えちゃったんだって。…うっかり!てごま塩振ってた」
(試合の感想、伝えてみたら?)
(もうバビューン!てかっこよかった!!!)
(わあ、りくくん日向と西谷タイプか〜)
(おぉ、分かるか!?りく!!)
(さっそく共鳴してる…)
(ナマエちゃんは?)
(…ん〜難しい…まず勝って良かったの気持ちと……え、むずい…)
(ん〜……あ、第1セットの何点目だったかな…東峰先輩が決めた1本で、空気が変わったのは分かりました。大事な1点だったんだなって、それがなんか…嬉しかったです!)
(う…なんていい子なんだ…)
(旭、泣くなよ…キモい)
(ただ、皆さんには申し訳ないんですが…ちょいちょい邪魔してくる存在のせいでイライラして見てました)
(……及川?)
(しかいないですよ…岩泉さんが何回も手にゲンコツしてました、明日は痺れるペン持ってこようと思います)
(スタンガンにしな)