HQ 黒尾
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出張応援団
*ミョウジナマエ
「ヒィっ!!!」
「はっはっは、ビビリだな」
剛速球が飛び交う体育館で避けきれるわけがないから猫又監督を盾にして背中に隠れる。
「ナマエ…上で見ててもいいよ?危ないし…」
「いや、これは私と監督の約束だから…!」
そう、研磨が2年生、黒尾くんが3年生になってチームとして固まってきた今年。黒尾くんは引退になるし、宮城の方にいる因縁ライバル校の復帰の兆しもある大事な年、大事な時期に。
平日のお休みをもらうために、短期間のマネージャー業務を条件にしてもらった。
『あの、研磨の従兄弟のナマエっていいます。10月の…できればどこかの金曜日と土曜日、難しければ土日の2日、研磨と黒尾くんにお休みをくれませんか…?』
『春高予選が近い10月に…?理由を訊いてもいいか?』
『…ディズニーランドでパレードに出るから、です。本来はアルバイトしてるダンサーの中からのオーディションなんですけど、向こう側から抜擢の話を頂いてて…。こんな機会二度とないんです。特にハロウィンはクリスマスに並ぶくらいオーディションの倍率も高くて…二人に見に来てほしいからです、忙しいし大事な時期なのは分かってます…検討いただけませんか?』
そう頭を下げた私に猫又監督はしばらく考えたあと、じゃあ夏休みの合宿でマネージャーやってくれたらいいよ、と交換条件を出してくれた。幸いにもリハーサルの期間は合宿後だからなんとかなる。
夏休み前にバレーを猛勉強して、黒尾くんたちの試合を改めて見直した。音駒高校に勝った高校の試合と、全国大会の試合も全部見た。ルールはまだあやふやになることもあるけど、どういうレベル感でどこを目指してるのかは理解したつもり…ではある。
私は音駒高校の生徒ではない。だからジャージも違うし、最初は男の子苦手なのに男の子しかいなくてかなり大変だったけど研磨が信頼してるチームメイトで、黒尾くんがリーダーなら大丈夫…と言い聞かせてなんとか顔と名前を覚えた。
「ミョウジさん、持ちます!」
い、犬岡くん…さっきレシーブ練習でしごかれてたのに元気だな…。
「犬岡くん、ありがとう…でもこれくらい持てるよ!」
じゃあこっちのカゴ持っていっちゃいますね!とさっさと行っちゃった…もともとマネージャがいない音駒の一年生は仕事を見つけるのが早い。ドリンクをあらたに作って用意しておく。
暑い…夏の体育館ってこんなに暑いんだ。小学生の頃、クーラーを一切つけてくれない先生がいたのを思い出す。締め切ったレッスン室はそれはそれは暑かった、いまのここの体育館くらい。
「はい、ちょっと休憩〜…ナマエちゃんちゃんと飲んでる?顔真っ赤よ、アナタ」
「黒尾くん……3人いる…」
「言わんこっちゃない…はい座って、これ飲みなさい。」
黒尾くんがドリンクをくれる。甘くて美味しい。…もう少し濃くてもいいな…
「次もう少し濃くつくろ…」
「そうじゃないでしょ…研磨!水タオル持ってきて」
「飲んだら平気だよ…」
「ダメ、フラフラしてる。…犬岡、芝山、リエーフ、手白。あんま重いもんは持たせないようにしろ、他は任せて大丈夫だから」
一年生にタオルで扇がれる。ごめんね、と言うと暑いですよね、とか慰められる。
「つめた〜…」
「あんま無理すると合宿後のリハに影響出るデショ……少しでもしんどかったらちゃんと休む、分かった?」
手を握ってくる黒尾くんに頷く。研磨にも無理しすぎって怒られた。
「合宿前の慣らしでこんな感じて、合宿乗り越えられるかな…」
「へーきへーき、森然高校はココよりもう少し涼しいだろうし……もっと監視の目が光るだろうからネ」
監視…?と聞くと、他の高校には女の子のマネージャーがちらほらいるらしい。そうか、先輩マネージャーがいるならなんとかなるかも…。
そんなこんなで1週間くらい音駒高校に先乗りしてマネージャーの業務内容とかを掴んで、森然高校へ。約一週間の合宿、泊まり込みのリハーサルはまだしたことないから少し緊張する。
「…ふふ、緊張してる」
「研磨……笑わないでよ」
「ナマエなら平気だよ、個人練習は進んでる?」
うん、と頷く。フリ確認の動画や衣装の写真、パレードのストーリーやモチーフ、歌なんかも全部確認はしてある。全体を合わせた練習として8月から大規模なリハーサルが始まるんだけど、それまではひたすら個人練習を続けてる。いくつかのコスメも持ってきた。何個か体育館がある大きな学校らしいから、空いてるスペース借りて練習できたらいいけど…。
「お、音駒にマネいる…?!よっ、オレは木兎!木兎光太郎!よろしく!!」
声デカ…背も高…威圧感すごい…。びっくりして呆気に取られてると笑いながら黒尾くんがやって来る。
「ふ、フハッ!!ぽかんてしてんのウケる…ぼっくんイイコだから安心してな、声デカイけど」
「笑わないでってば…。……どこの人?」
「梟谷!!3年!エース!」
「ぼっくん、んな叫んでると赤葦ブチギレて来るよ」
「全くですよ…すみません、ウチの木兎さんが…ほら、びっくりして固まってるじゃないですか」
木兎くんが、とかよりもわらわらと湧いて出てくる男の子の数に圧倒されてる、なんて言えない…。男子バレー部の合宿なんだし当然…。
「人見知りだからスマンねえ、案内してくるわ…ほら行くよ。またあとで自己紹介すればいーから」
黒尾くんに手を引かれる。
「あ、ありがと…ちょっと緊張してた…」
「顔すっごい強張ってたもんね…大丈夫?」
頷く。
「研磨と黒尾くんいるし…平気。普段あんな背の高いゴツい人たちに囲まれることって…あんまりないからびっくりしただけ!」
「そっか…」
*黒尾鉄朗
研磨と俺がいるから平気、と笑いかけてきたナマエちゃんの顔を思い出すたびにニヤける。平常心を保つのすごい神経使った…可愛すぎてダメだろ…。
「なーなー、さっきの子黒尾の彼女?すっげーかわいーのな!」
「どことなく孤爪に似てる気もしました、猫っぽいから…?」
「あ〜、研磨の従兄弟なんだよ。んで……彼女ではない。」
含みを持たせて答えると察しのいい赤葦はすぐに分かったみたいだ。ぼっくんは…そーなんだ!で終わった。
「わ、かわいい〜!こんにちは、私梟谷のマネの雀田!」
「私は白福〜よろしくねえ」
「わ、は、はい!」
おお、お姉さんに囲まれてわたわたしてる、かわいい…。じーっと見すぎて不審がられないように体育館へ戻る。
烏野の変人速攻2人組はテストで赤点取って補習らしくてまだ来ないらしい。研磨が少し寂しそうにしていた。ナマエちゃんにも見てほしかったから少し残念だ。
午前中練習試合をひたすら回し、ひたすら準備と片付けに追われているナマエちゃんの顔はまた真っ赤になってる。梟谷や森然の先輩マネがうまく休憩入れてくれて面倒を見てくれてるので、フラフラしてないし水分もしっかり取ってるのは確認した。
「ちょいちょい、お嬢さん…こんくらい食べなさいよ」
「……食欲わかないよ…暑い…」
「夏バテ?」
ご飯に全く手を付けられてないナマエちゃんの向かいの席に座る。
「ん〜…小学生の頃にさ、厳しい先生いてさぁ…レッスン室の窓もドアも全部締め切って、真夏にクーラーも扇風機もなしでレッスンしてたことあって…暑さには強いと思ってたんだけど…」
ぐったり、と味噌汁を飲むナマエちゃん。
「何が重いのよ、おかず?米?」
「…ん〜…お米半分ならなんとか食べる」
分かった、とご飯を半分自分の茶碗によそう。
「え、いいの?」
「いーよこんくらい…研磨、お前はもう少し食いなさい」
アンタはプレーする側でしょうが。と言うとナマエちゃんの隣に眉間にシワを寄せた研磨が座る。
「…研磨、サラダ頂戴。体重増えてきたから野菜とる」
「ん」
「プロテイン持ってくればよかったな…」
「今日の夜どこで練習するの?」
研磨がそう尋ねると、まだ決めてないとナマエちゃんが言うので俺らが使うかもしれない第三体育館へおいでよと声をかける。
「ブロックとレシーブ練のメンバー集まるから、ガッてやって休憩挟んだりするし」
「ん〜…じゃ邪魔にならなそうなステージ上借りようかな」
そう言いながら小さい口でご飯を食べ進めるナマエちゃん。猫又監督にちゃんと様子見とけって言われたからってのもあるけど…もしも1年生のときからマネージャーやってくれてたらこんな楽しくなってたのかなぁ、なんて考えたり。
夕方、補修組が合流し初めて烏野の速攻を見たナマエちゃんは口をあんぐり開けて驚いていたのがすっげえ可愛かった…。
夜になり第三体育館はココ、とナマエちゃんに教える。大きなポーチ…?カバン?を片手にステージ上に上がり開脚しながらストレッチしてる。
鏡を出して…メイクしてるのか?目元だけメイクしてるっぽい。すごい集中力だ。スマホと鏡を何度も照らし合わせてやっと納得がいったのかナマエちゃんが髪の毛を結んで立ち上がる。顔つきがまるで別人だ…。ス、とお辞儀をしたと思えばゆっくり1歩ずつ歩き出す。
「……やば…」
「……あっ!!!黒尾くんの前でやったら意味ないじゃん!!」
目があったと思えばナマエちゃんがそう大きな声で言う。
*ミョウジナマエ
何をうっかりしてんだか…見に来てほしい人の前でダンス練習したら意味ないじゃん…!!!そりゃパレードの中身とかは言ってないけど…。
「すっげー…悪い顔してた!もっかいやってよ!」
木兎くんにそう言われる。
「音源流せたらどんだけいいか…ダメダメ、当日の楽しみにしてほしいからもうやらない!」
「え〜!もう少し見てえ…つーか当日って?文化祭か何か?」
「ううん、Dハロのパレード」
「でぃーはろ?」
ディズニーのハロウィンだよ、と言うとああ!と木兎くんから反応が返ってくる。
「……え、ソレに出んの??!」
「うん、それでお休みもらう代わりにマネージャーやってって猫又監督に言われたから今回来たんだ。こんな機会二度もないかもしれないから」
抜擢でセンター?なんて中々ない。
「すげぇ〜!オレも行きたい!黒尾たちいつ行くの?!」
話がだんだん大きくなる。黒尾くんと元々仲いい木兎くん、木兎くんと仲のいい赤葦くんが暫定で見に来ることになった。
「最初の10秒だけでも見てぇな〜?ナマエちゃんお願い!」
「え〜…楽しみ減らない?ていうか今と変わるかもだけど…音声は絶対流さないからね」
ていうか普通のTシャツなのにそれっぽい雰囲気出るかな…。
今回はヴィランズの手下に近い役割だから…。アナウンスに合わせてお辞儀して…。顔を上げるときにヴィランズの表情を意識する。数秒ポーズを取るようにしながら歩いて踊る。
「はい、ここまでね…うっかりしてた、別の体育館で練習してくる」
(というわけでメイクをしてます…)
(え〜ナマエちゃん超かわいい!!!てかディズニーのステージに立つとかすごすぎない??!アタシたちも見に行きたい!!普通に土日の練習終わったら行こうかな〜)
(…やる気出てきた…!)
(練習ももちろんだけど、ほどほどにね?明日バテちゃうから…)
(てか、心配無用だったらいいんだけど木兎に言っていいの?木兎、ああだから良くも悪くも広まると思うけど…)
(平気です、私のインスタのアカウントでも告知みたいな感じで投稿してるんで…流石にどんな役とかは秘密ですけど、出ること自体は許可取ってあげてます)