HQ 黒尾
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想定外の帰り道
*黒尾鉄朗
俺自身の用事も終わり、ナマエちゃんと同じ新幹線で帰ろうとチケット購入。
「あ、そうだ……最初黒尾くんに大阪のお土産どうしようって考えてたんだ」
「わざわざいいのに……昨日今日で結構食ったからな〜」
研磨に何買ってく?と2人で売店を回る。駅構内に店が結構あってここだけである程度のお土産が賄えるの普通にすごい。東京駅ほど在来線が繋がってないから駅自体の大きさはおとるものの、お土産数の多さは引けを取らないんじゃ…?さすが商人の街。
「あ!おじさん」
「おじさん…?」
りくろーおじさんのチーズケーキ、という看板。ふんわりチーズケーキの香りがする。
「これふわふわで美味しいらしいよ」
「帰り食う?」
「……怒られないのかな」
「そんなん新幹線はお酒もオッケーだし駅弁もオッケーだし……ラーメンとかじゃないから良いと思うよ」
そう返せば確かに、と納得したナマエちゃんは乗る少し前に買いにこよう!とるんるんではしゃぎ出した。
お互いスーツケースを持ってるので、それぞれがふたり分の荷物番して片方ずつおみやげのお菓子を買うことに。
いや、広いといえどお土産屋さんっつーのはやっぱ混むか……すごい人の数だ。なんとか大きい図体を割り込むようにして人の波や列を横切ってお菓子を見ていく。大体こんなもんでいいかな、と支払いを済ませて戻ればナマエちゃんが知らない野郎3人に囲まれてる。
知り合い?もしくはファンとか?……会話をそっと後ろから聞く限りはどっちでもない。ナンパ野郎か……。
「お姉さん、可愛いらしいなぁ。大阪旅行来とったん?俺らも今から東京行くねん、良ければ案内してほしいなあ」
「あ、はは……仕事できてただけで。あの、一緒に来てる人いるのでごめんなさい」
「ツレの子もおるん?お姉さんのツレなら大歓迎やけど」
あらら、ナマエちゃん怖がって小っちゃくなっちゃってる。ちゃんと断ってるのに執拗くするせいで困り果ててるようだ。
「いや〜ごめん遅れちゃって……あれ、知り合い?」
「…!ううん、知らない人たち…」
後ろから声を掛ければ、安心しましたと顔にデカデカと書いた表情で見上げてくるの正直たまらん……。キャリーを持ってくれてる手を上から握って3人に目をやる。ナマエちゃんよりは背が高いけど、俺よりは全然低い。
「ごめんなさいね、この子に何か用?もう俺ら帰るんで急いでるんですけど」
わざと標準語を強めにしてにっこりそう言えば蜘蛛の子を散らすように居なくなる。よかった……これで去り際に『興味ねえよブス!』みたいな捨て台詞吐かれていたらナマエちゃんのどこがブスだよ!と暴れるところだった。
「ごめんね、遅れちゃって……何もされてない?」
「……手、触られたくらい……大丈夫…」
「……大丈夫じゃないでしょ、怖かったって素直に言ってよ」
誰がどう見たって怖がってるナマエちゃんの頭を撫でる。だから指先冷たいのか……。話を聞けば手を触られて『え??!』と驚いてる間に肩まで組まれそうになったみたいで、流石にそれは腕を払って拒否していた最中だったようで……だからあんな声小さかったのか。
「……一人にしちゃってごめん、嫌だったでしょ」
「うん……嫌だった!でもお土産買ってただけだし、黒尾くんに非があるわけじゃないよ、それは、ちゃんと否定する」
「うーん……それだとナンパされちゃうくらい可愛くて人の目に止まるナマエちゃんが原因って事にならね?」
「……え…」
「え」
俺としては真面目に言ってるつもりだった。ナマエちゃんの見た目を褒めるって思い返せばしたことない。そりゃ例えば、過去のディズニーのときとかそういうときは似合ってたよって意味で可愛かった!とか言ったけど。心の中では何千回と思ってる『可愛い』って言葉をナマエちゃんにぶつけたのは初めてだった、とナマエちゃんの真っ赤な顔を見て気づく。
やばい、いろんな意味で失言してね!??!いや、可愛いのは絶対撤回しないけど!!!
「………」
いつの日か、俺の家に泊める必要があり布団に寝ぼけて入って来たあの日の朝くらい顔が赤いナマエちゃんが俯く。するすると綺麗に手入れされたハイトーンの髪の毛が合わせて動いて真っ赤すぎる耳が見える。
全然隠れてないの可愛すぎないか…???てかこれ嫌がってないって判断でいいんだよな…?!さっきのナンパ野郎に可愛いって言われてる時と反応違うもんな?!?!!いや、誰への確認???
「あの……なんか言ってくれますか」
「………黒尾くんのばか」
「え」
「今こっち見ちゃだめ」
あ、はい。とりあえずナマエちゃんの靴見ておく。
「……確認だけど、嫌でした?」
「………」
「アイタ……なんで照れ隠しが従兄弟同士で似てるのよ」
ほんとに弱っちい力で肘を叩かれた。研磨も揶揄うと肘を脇腹にドスッてやってきたり脛蹴ってきたりしたな……ほんと、見た目も性格も猫みたいなところそっくり。嫌なことや否定することはちゃんとできる子だから『嫌ではない』と答えを貰ったようなもの。
「……黒尾くんはさ…」
「ん?」
「……そういうの、色んな子に言ってるの?」
「………ナマエちゃん」
「見るの禁止」
「ごめん今は無理、そんでナマエちゃんも下見るの禁止」
ナマエちゃんの両手を握ると真っ赤なナマエちゃんと目が合う。あ〜〜〜これ絶対俺も顔赤いよなあ〜〜こんな公衆の面前で告白するなんて思ってなかったし計画してなかったけど、今のはナマエちゃんが悪いよな??!
「……確認もいっこ、いい?…言ってたらやだってこと?」
「……うん」
「……そ。ちなみに、俺はそんなナンパ野郎じゃないので好きな子にしか言いません」
「………??!!?!」
あ、理解した瞬間もっと顔赤くなった。ナマエちゃんこういうとき語彙力というかそもそも語彙自体なくなるタイプなんだ。表情で全部分かるから助かるけど。
「ほんとは、こんなガヤガヤしたとこで言う予定じゃなかったし今じゃなくてナマエちゃんが仕事落ち着いたときに…ってずっとタイミング窺ってたんだけど……アナタ忙しすぎてそんなタイミング全然ないし。
俺、結構待ったよ……ナマエちゃん、好き。付き合ってほしい……デス」
「……な、なんで敬語…??」
「緊張してるから……で?」
ナマエちゃんは?と尋ねると繋いでた指先に力が入った。
「……わ、たしも……黒尾くんがおかえりって言ってくれると、いつも……頑張ってよかったなって思える。あんまり言ったことないけど、ツアーとか公演とか…リハーサルのとき大概色んなことあって辛くて」
確かに、ここが大変だった〜とあとから話を聞くことはあっても本番前の練習中のタイミングで弱音は聞いたことがない。研磨のママ、最近はナマエちゃんのママがこっそり教えてくれるけど人間関係や派閥みたいのがあったりだとか、パワハラなんかも当たり前すぎてそういう苦労が耐えないと。
「でもそういう時支えになってくれるのが、家族のみんなと、特に仲のいいダンサーの…前に紹介したあの女の子たちとか…あとは、黒尾くんがいつも心に浮かぶの。ダンスを生業にするって決めたのは他ならぬ私。だから、人間関係のいざこざとかそういうので文句言わないようにしてるけどどうしても難しい日も、やっぱりあるの」
「うん」
「こんなことに巻き込まれてまで踊る意味があるのかな、とかここまで否定されて私が踊り続ける意味ってあるのかなとか、楽しくなくなっちゃったなって辛いときに黒尾くんと話すといつも元気になる
私は同じだけ返せるか分からないけど、同じような存在になりたい」
「……ふは、もう充分なってるよ……泣かないでナマエちゃん、目腫れちゃうよ」
人が集まればそりゃいざこざの1つや2つ起きる。争いや派閥も生まれる。ナマエちゃんから一切そういう話を聞かないけど、巻き込まれたりするのはやっぱりストレスだろう。弱音を吐いて泣いてる姿を初めて見た。
家だったら泣きやませないで思う存分どうぞってできるけど、これから新幹線に乗るから人目も気になるだろうと思って抱きしめるようにして背中を擦る。
「私も、黒尾くんのこと好き。……これから、改めてよろしく」
「うん、よろしく……すっげえ嬉しい」
見上げてくる可愛すぎるナマエちゃんを早く独り占めしたい。よろしく、って握手してくるの可愛すぎない…??
「泣きやんだ?…家なら止めないけど、人目気になるかなって」
「ううん、ありがと……黒尾くんが泣かせてるみたいになるもんね」
「うん……実際お前何やってんだよみたいな視線感じる」
「本当にごめん………あっ!!!やばい新幹線8分後に出る!」
「やっべ、待って待ってりくろーおじさんは?!」
「並んで買う時間あるかな……」
買ったおみやげとキャリーケース。それぞれのバッグ。確認して、チーズケーキの列を確認。今はたまたま少なくて3人しか並んでない。会計を秒で済ませて発車3分前に飛び乗る。
「すっごいギリギリ……飲み物買っといてよかったね…」
「乗り過ごしたらそれはそれで面白かったけど…はい、キャリー貸してね」
これで10日以上過ごしてたの?ってくらい小さくて軽いキャリーケース、おみやげと俺のリュックを荷物置き場にあげて2つの座席の方に座る。俺が通路側でナマエちゃんが窓側。
「帰り富士山見えるかな」
「帰りって向こうの3席のほうじゃなかったっけ?こっち?」
「え〜……」
「そんな落ち込まないの、また乗ればいいよ。神戸行きたいんだよね、案内してくれる?」
「!うん、六甲山登ろう!」
山か……体力つけとくね、とナマエちゃんの頭を撫でる。か、可愛い〜…!何この生き物……。
(研磨、見て)
(りくろーおじさんにるんるんのナマエちゃん)
(チーズケーキ?美味しそう)
(研磨の分もナマエちゃん買ってたよ)
(お礼しとく……なんかテンション高くない?いいことあった?)
(完全に場所とタイミング想定外だったんだけど、付き合うことになった)
(おめでと 遅すぎ)
(もう少し喜んでくれませんか???)
(早く告白しなよって言ってから何年経ってるの、クロもだけどナマエが一途でよかったね)
(やめてそれ今回いろんな人に言われたんだから……駅のど真ん中でナマエちゃん泣き出すから、勢いに任せちまった)
(え、ナマエが?……疑ってないけど、なんかした?母さんたちから話聞いてるかもだけど、なんかあってもナマエ絶対外では泣かないようにしてるから。たまに耐えきれなくてバスの中で泣いてる時もあるみたいだけど、基本玄関スタートだからね)
(荷物見張りながら交代でお土産買って戻ったら、手繋いできて肩組もうとして来たナンパ野郎3人に声かけられてた。結構怖がってて、その話の流れでリハーサル中とかに色々あってしんどい事があるって話してくれた時に思い出しちゃったみてぇで、ぽろぽろ泣いてた)
(そうなんだ……今は?)
(ケーキ食べて爆睡。寝顔かわいい)
(惚気いいから)
おめでと〜!!!無自覚の期間を合わせれば高1の頃から片思いしていたので、このサイトではかなり一途な黒尾くんしか居ません。高1〜大学2年、3年までって結構な…片思い。
ナマエちゃんの従兄弟で、自身の幼馴染で洞察力観察力に優れている研磨に後押しされても勇気が出ないタイプだといいな、と思い関西勢に背中押してもらいました。
私自身身内に関西育ちがいるんですが、なんかポジティブになれるんですよね、関西弁って。なんとかなるって!イケるって!大丈夫や!って言われるとほんとに大丈夫な気がしてくるので(単純)、さらに数を増やして背中を押せ押せしてもらいました。