HQ 黒尾
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雲隠れ
*ミョウジナマエ
曲目は予め決まってる。クリスマスだったら流石にクリスマス感満載の曲にしていたらしいけど、今はどちらかといえば近いイベントはハロウィン。だけどハロウィンらしさで行くとユニバの二番煎じになってしまうから、流行りを取り入れつつノリノリになりやすくて大阪のガチャガチャを表すとして、洋楽とJ-POPを織り交ぜていくんだとか。一つ踊りたい曲があったのでリクエストしたらなんと通った。少し暗めというか、落ち着いた曲だから許されるか微妙だったから意外だった。
服は古着さんを巡ってなんとか調達し、洗濯をして匂いを消しておく。あっという間に10日目になり、明日は帰る日だ。
アイラインもバッチリ跳ね上げて描いた。もうアートの域だけど、まあダンサーだし。このくらい化粧は濃いほうが映えるってもの。髪色が淡い分、アイラインは真っ黒にした。
全体的にくすんだ色味のレースやシースルー素材で髪の毛と合うようなふわふわ感を出して、服と髪の色の雰囲気がちぐはぐにならないように意識した。靴下なんかはすこしパステルカラーぽいものを履いて、くすみすぎないようにした。
うん、絶妙に私服だとちょっと浮く感じの衣装っぽさのあるコーデが組めた!よかった〜、合わなかったらどうしようかとハラハラした。会場に早めに到着して更衣室で着替える。縁日屋台みたいなのもちらほらでてるし、商店街総出で協力しているイベントだから子供も大人も観光客も多い。今日は日曜日だしね。
髪の毛は三つ編みの細い束をいくつかつくり、それごとポニーテールにする。色がきれいだからおろしててもいいかなって思ったけど、あまりにも可愛い可愛い感じになりすぎてしまうので、できる範囲のモードっぽさをプラスしておく。髪色可愛いのに顔ははっきり目のメイクだからね……。やっぱハイトーンカラーは可愛いけど、こういうときちょっと大変だな……。
*黒尾鉄朗
なんでこいつらまで居るんだよ……。
「な〜お姉さんまだかなぁ」
「治そわそわしすぎや、つか俺は会うたことないのに分かるんか?」
「俺いるからダイジョーブだよ、黒尾もいるし!」
「ぼっくん、大きい体で騒がないで」
「てか角名お前屋台回りすぎやろ」
「腹減っちゃってさ……とん平焼き食う?」
「行儀悪いで、ちゃんと止まって座って食べや、二人とも」
MSBYの現役選手のぼっくん、宮侑、片割れの宮治、稲荷崎の元主将の北に、雷神の角名……。バレーボール関係者しかいない。全員でかすぎてめちゃくちゃチラチラ見られてる。
ぼっくんたちはたまたまオフで愛知で試合があったから宮治に誘われてそのまま来たらしい。
「なんかこうしてるとディズニーの時の思い出すな!」
あぁ…時期的にも今くらいだったな、確か。
「ディズニー?」
宮侑がぼっくんに首を傾げる。
「ナマエな、高校の頃なんか特別にディズニーのパレードの……先頭のセンターやる!って言うから黒尾とか孤爪とかと見に行ったことあんだよ」
「え、見たい。ぼっくん動画持ってへんの?」
「俺振り付け一緒に踊ってたから撮ってねえ!黒尾は?」
俺も研磨が撮ってたから踊ってた。YouTubeで検索したほうが早い、と検索して宮の双子に渡すとどれどれ?と聞いてくるので、切り抜きされてるこの子だよと指差す。
「え、何個も関連動があるやん」
「その時中身新しくなったやつで、開始初日から動画バンバンあがってたよな〜」
「えぇ、こんな悪い顔してはるのがあの子?……は〜、女優やな」
そんなこんなで全員で動画を見てると、プログラム開始のアナウンスが流れる。最初から音楽が流れて、それこそパレードのように始まるのかと思ってたが違うらしい。ガムを噛む仕草をしながら不機嫌そうに何人かが歩いてきた……ナマエちゃんだ。髪色は可愛いけど、まるでギャル。
「お〜〜!!!なっつかし!!」
平成リバイバル、なんて言われてる昨今。俺らが小学生とかくらいにも流行った大人気の曲だ。大人も子供もスマホで聞いたことある曲で知名度も高いから大いに盛り上がる。すげ、関西人ってマジでノリいいんだ。
体の柔らかいナマエちゃんが立ち姿からそのまま地面にベタっと開脚する振り付けで一際声が上がる。その歓声の多さに驚いたのかちょっと笑っちゃってる。
「ダイスケ的にもオールオッケ〜!!」
おお、ちびっ子たちが声あげて歌ってる。すごい、コンサートのアンコールかってくらい盛り上がってる……流石のノリの良さ。
曲が終わって、何人かが抜けていき、後方へ。先頭にいるのはナマエちゃんだけになった。同じ邦楽だけどさっきの曲に比べたら暗い。あんまり邦楽ぽくないメロディのおかげで日本語の歌詞なのにナマエちゃんの動きに集中しやすいし、歌詞も踊りもすっと入ってくる。
さっきまでニコニコの笑顔で踊っていたのに何か魂を抜かれたような虚無感のある表情だったり、苦しそうにもがくような表情に見入る。歌ってたちびっ子たちもじっと真剣に見入ってる。こういう……世界観を作らせたらナマエちゃんの表現力は凄まじいと素人でも思う。屋外で、スピーカーの音質もそこまで良くないだろうしライトなんかは商店街だからない。それでも身一つで踊る彼女の動きに惹き付けられるのは才能で実力だ。
1曲目より大きく長い拍手の後も何曲かK-POPやら洋楽、邦楽ミックスのステージが進み15分後くらいに終わる。最初はまばらだったけど、何かやってるって目について立ち止まる人が増え、今では通路がミチミチだ。
「すっっごかったな〜!!同じ人か?ほんまに」
「侑声うっさ……」
「黒尾く……なんかいっぱいいる!!」
お、ナマエちゃんだ。振り返ると小走りしてる。
「ナマエ〜!久しぶりー!!」
「木兎くん!久しぶりー!あれ……なんか身長伸びた??」
「ナマエが縮んだんじゃね?」
「失礼な……!」
「ぼっくんが伸びたんでしょ…こちら、ぼっくんのチームメイトの宮くん」
「……あ、双子さん…!こんにちは」
「侑でええで、名字やとサムと被るし」
「じゃあ俺も治でええで」
距離感の詰め方バグってる……烏野のオチビちゃんを思い出す距離の近さだ。ちょっと警戒してるのかナマエちゃんはじりじりと俺の方に近寄ってきてるのかなり可愛い、無意識なんだろうな……。
「んで、宮くんやら北くんと同じ高校で、今は雷神ってチームにいる角名くん」
「こんにちは」
「あ、先日ぶりで……凄いね、黒尾くん皆と知り合いなんだ」
大きい奴らに囲まれてよりちっちゃく見えるナマエちゃん。化粧を落としてきたみたいで、すっぴんはあどけない。
「お腹すいたんちゃうん?」
「空きました」
治くんやら侑くんおすすめの居酒屋に入る。当たり前のように俺の隣に座ってきたナマエちゃんに嬉し涙を流しそうになりながらメニューを渡す。
「おでん!あげだし!卵焼き!うどん!」
「お〜出汁もの食べたいってことね?」
そう尋ねるとうん!とニコニコ笑顔が返ってくる。出汁が好きすぎて出汁風呂に入りたいとかよく分かんないこと言ってるのがスルーできるくらいには可愛いかった。
少し人見知りを発揮してたけど、稲荷崎の連中がうまいこと回してくれたおかげでナマエちゃんの緊張も早々に解けて結構仲良くなってた。男の子警戒してたナマエちゃんが、男バレ集団と仲良くなれる日が来るなんて……ナマエちゃんママたちが見たら2度見する光景だと思う。
「ナマエ〜、電話光ってる」
「ん……?あ、先生からだ……もしもし、お疲れ様です」
急にピシッと切り替えたナマエちゃんに双子が2度見してた。わかる、分かるぞ……あんなほわほわしてるのに仕事になるとぴしっとするんだ…って思うよな、分かる。
「え、いち、1年半?はい、えと、細々したワークスは入ってますけど特に…誰かのMVとかはまだ被ってない…はずです……」
スケジュール帳をバタバタしながら出したナマエちゃんのスケジュールびっっっちり書いてあった。仕事の予定もそうだけど筋トレとかこの日は何を食べるってぜーーーんぶきっちり決めてるんだ……あ、でもこの大阪のときは三日月のマークだけメニューが書いてあって、他は空白だ。食べたいもの食べるぞ!って決めてるんだ、可愛い。
「3ヶ月後、はい…1月から……北海道、埼玉、愛知…」
「誰かのツアーとかかな?」
ぼっくんにしては小さな声で耳打ちしてきた。
「そうじゃない?1年半って言ってたし…誰だろうね」
そう予想しあってるとナマエちゃんが電話を切る。お、なんか嬉しそうな顔してる。
「誰やったん?愛知行って大阪はこれドーム入っとるやろ」
「ドームツアー!??!え、俺当てたい!」
「え、私も言いたい」
「ふは、じゃあ聞く」
「米津!!!!ワールドツアー!」
「ええ〜〜!!!凄いやん!!!ツム、チケットとっといてな」
「簡単に言うなアホ、倍率どないなっとんねん」
「当たったらラッキーなくらい売れとるもんな、よう聞くわ」
「黒尾くん、就活?来れないかな……関係者チケットはたぶんないって、人気だから」
「意地でも取らせていただきます」
1日くらいの息抜きは許されるでしょう、それに今をときめく米津だ。あの人あんまりテレビ出ないから、ライブどんな感じか気になるし。
「ワールドツアーってどこ行くの?」
「香港とか韓国のアジアとヨーロッパと最後ニューヨークだって!久々の欧米だ〜〜、向こうでもちゃんと食事管理しないと」
やる気に燃えてるナマエちゃんあんまりにも可愛いガッツポーズするもんだから破顔してそうで慌てて顔を引き締める。もう遅えかな…研磨や赤葦にはバレてるし。ぼっくんはまだ気づいてないらしい、ここまで来たら付き合いました!で知って欲しさある。
「なぁ………分かりやすすぎひん?」
ぼっくんと侑くん、ナマエちゃんがトイレで離席中に治くんに話しかけられる。対角線上にいるからちょっと遠い。
「え?」
「どんだけナマエちゃんのこと好きなん、見ててワロてまう」
「牽制せんでも、誰も取らへんよ」
北くんにまで言われてつい黙ってしまう。
「揶揄うのはやめてもらえますかね…」
「うわ〜早よさっさと告ればええやん、脈ナシやなさそうやし」
「治、面白がったらあかん」
「なんか……いっつも大きな仕事引っ提げてくるから、ゆっくりする時間がねえっつうか……少しでも暇で余裕ができれば、俺のこと意識する余白ができると思うんだけど」
お酒のせいもあり、本音がポロっと出る。口軽かったらどうしようと思ったが治くん→侑くん→ぼっくんと行かない限り大丈夫そう、と信じる。角名くんと北くんは口堅そうだし。
「へえ……歴何年なの?」
「……かれこれ5年以上」
「はあ???!!時間もっったいな、早よ告ってまえ!!!10年かかるで、そんなペースやったら」
「まあでも黒尾くんの気持ちもわかるわ、大きな仕事頑張ろうって気合い入れてるところに割り込むようなことしたないやんな……邪魔したくないっていうか」
そう、そう!!!!北くんに大きく頷く。邪魔したくないし悩ませたくないというか……切り出すタイミングが掴めないといいますか……。
「言い分は分かりますけど……まじで気付いたら向こうに彼氏出来てるとかありえますからねソレ。早いとこ捕まえとかないと…あんな可愛いなら選び放題でしょ」
角名くんに言われてぐさりと刺さる。た、たしかに……てか俺知らないだけで彼氏実はいるの♡みたいなことないよな??!?!不安になってきたんだけど……。
「黒尾〜、さっきナマエが踊ってたなんかすげー曲のやつ、MV出てんだって!」
「どれどれ?」
帰ってきて早々騒がしいぼっくんに画面を出される。どれ??結構背景も黒くてわざと暗めの映像だから全然顔なんか映らない……あ、分かったこの髪の毛か。
「この曲、ゲームの挿入歌に使われてるんだって……ゲーム……研磨なら持ってるかな?デスストっていうんだって」
「「「デススト?!!?!」」」
ゲームの中のMVに出てきたのかと誤解した宮2人と角名くんがハモる。俺もタイトルは知ってるすげー売れてるゲームだ。なんか実在の俳優使ってモーションキャプチャーしてるからほぼ映画みたいだなって思った記憶がある。
「研磨なら多分持ってると思うよ、これ」
「……貸してもらおうかな……今度この人のライブステージも決まってるんだ、2ヶ月。ゲーム……やる暇あるかな…」
「忙しないな〜、人がやってるの見たらええんちゃう?」
「この何人もいる中の子でゲーマーがいて……自分でやるのと画面越しに見るだけでは全然違うから!って言われて、実体験をモットーにしてるから悩むんです…結構ボリュームあるって言うし前作もやったほうがいいって言われてるしで」
やっぱり有名な世界観がしっかりしたゲームなら理解を深めるためにやろうかな〜とナマエちゃんは悩んでた。たしかに歌詞やMV見ただけで全部理解できるか?と言われれば難しい曲ではある。
(真面目なんやねえ、偏見でごめんやけどダンサーってもっとこう……ウェイみたいな感じやと)
(ウェイ(笑)偏見のイメージ酷すぎやろ治)
(まあ、ウェイ!イェイ!みたいな子も居ますけどね)
(なぁナマエ、お前いっつも忙しーけどちゃんと休んでんの?)
(えぇ…?休んでるよ、この大阪の代理ワークスだってほぼお休みみたいなものだし)
(孤爪みたく無茶して黒尾に心配かけるなよ〜、黒尾カロウシする)
(ぼっくん、過労死なんて知ってるの?世話焼きなのはまあ認めるけど……今更だからなあ、2人とも)
(ストップ、研磨の昼夜逆転はまだしも私は人間の生活送ってるよ)
(ちゃんと分かるまで繰り返し曲聞かなきゃ!バックボーンから調べなきゃ!ってご飯抜いて貧血でぶっ倒れたの誰だっけ?)
(…………)
(こら、目逸らさないの。挙句睡眠不足で駅の階段からすっ転んで捻挫して本番直前なのに怪我するなんて…って大泣きしてたのは?)
(すみませんでした)
(分かればいーんですよ)
(ナマエちゃん、中々やらかしとるやん)