HQ 黒尾
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はじめましては最悪
*ミョウジナマエ
「けーんまっ!」
「……えーと?」
研磨の部屋をノックしてドアを開けると、知らない子がいる。背、高い…。うちの家系にはあんまりいない切れ長な目と視線が交わってゾクリとする。
そういえば…お家が隣の幼馴染がいるってこの間言ってたな…。そう思って気まずそうに座るその子を見る。もう少しちゃんと聞いておけばよかったな…。
「……あの、研磨は?」
「リビングの方行ったけど…」
ふうん、と返す。名前くらい言わないと印象悪いかな…。
「俺、黒尾鉄朗…研磨の幼馴染。…きみは?」
やっぱり幼馴染の子か。じゃあこの子が研磨バレーに誘った子なんだ。そのせいで土日も遊べなくなったし、試合と被るからってコンテストも研磨のママしか来ないことが増えた。
「…何睨み合ってんの……こら、目つき悪いよ」
研磨が間に入るように目の前に手を差し入れてくる。
「私…黒尾くん好きじゃない。」
「…えっ?は!??」
「…やきもち?…この子、従兄弟。ナマエっていうの…クロにやきもち妬いてるだけだから」
「やきもちじゃないよ、好きじゃないだけ!」
「どこが好きじゃないの?」
そう…言われると…回答に困る。名前を聞く前に好きじゃない、っていきなり言われた黒尾くんは困ったような顔で私のことを見てる。研磨に右手を繋がれ、入っておいでと部屋に入れられる。
ドアを閉めて、まだ困ったような顔で見てくる黒尾くんから視線を外す。なんかそれらしい答え…あるかな。
「…デカイから」
「ふっ、なにそれ……ふは」
「理由にしてはこじつけすぎない?」
二人して笑ってくるので研磨の手を思い切り握り返す。
「痛くもなんともないよ、ナマエは昔から力弱いよね」
「普通だと思うけど…」
「この間の…母さんから見せてもらったよ。凄いかっこよかった」
「!ほんと?」
「クロもカッコよかったって」
「…嬉しくない」
「ちょっと、酷くないですか?」
勝手に見せないでよ、と研磨の手を人差し指で突く。
「クロは…ナマエが思うような男の子じゃないよ。」
「……研磨がそう言うなら…信じるけど。デカイし研磨のこと取ったからやっぱり好きじゃないの」
ちょうど下から研磨のママから呼ばれるのでリビングに降りる。
*黒尾鉄朗
出会って2秒で可愛いなって思った研磨の従兄弟に出会ってすぐに好きじゃないって言い放たれた。研磨を呼びに来たときはニコニコしてたのに、部屋にいたのが研磨じゃなくて俺と認識した途端に目つきが少しキツくなる。
研磨のことを取った、ってあとあと言われたり研磨がやきもちと言ったり、好きじゃない理由はデカイからって言うあたりも性格の良さが出ちゃってて可愛いなと思った。
おばさんに呼ばれてリビングに降りていった彼女を見送ったあと、研磨が笑い出す。
「ふっ、デカイからって…おもしろ」
「俺なんもしてねーのにすげー嫌われてない??目つき悪ィからかな…」
「違うよ…もともと男の子好きじゃないんだよ、前に良くないこと聞いたから」
「良くないこと…?」
「ほら、あるじゃん…だれだれは可愛いとか…そういうの。
ナマエはそのとき可愛いと一緒に体型のことも言われたから…男の子毛嫌いしてるだけ」
納得がいく。この頃の野郎たちはそういう話で盛り上がってる奴らいたな…。顔が可愛いとかそれだけでも名前を挙げられたり比べられる方は嫌だろうに、体型まで言われたらそりゃ嫌な思い出になるだろう。
熱心にゲーム以外でスマホを見る研磨に見せてもらったダンスコンテストの動画。従兄弟なんだ、と教えてもらった。ダンスなんてEXILEとかしか知らないけど、その子はとっても綺麗にしなやかに踊るんだな〜って思って覚えてた。
「クロとナマエは仲良くなれると思う、ちょっと……ツンツンしてるかもだけど。悪気はないから」
「なれるといいけどね…」
「けんま〜、両手塞がってるからドアあけて〜」
階段の方から声が聞こえる。研磨が言われたとおりドアを開けて、体を傾けて外を見ればお盆にお茶とお菓子を載せて真剣に運ぶナマエちゃんの姿が目に入る。
「はい、お茶と研磨のママが焼いたクッキー!アップルパイも今から焼くってよ」
「ナマエが来たから大盤振る舞いだね…三人でゲームでもする?」
「……私ゲームすると酔う…」
「じゃあ見てる?」
うん、と返事をしたかと思えば研磨のベッドの上に座り直すナマエちゃん。研磨を挟んで向こう側にいたから距離が近い。
「ゲーム、強いの?」
「研磨に比べたらからきしだよ」
「じゃあバレーは?」
「ポジション違うからなぁ…」
さっきよりは少し柔らかい口調で質問責めに遭う。うつ伏せに寝転んで肘を立てて寝転んでる。
しばらく俺と研磨のカーレースの様子を見ていたナマエちゃんが起き上がる。
「ね、次貸して」
「いいよ…はい」
ぐ、とコントローラーを握り画面を見つめるナマエちゃん。
「研磨の動き方わかった…今日こそ勝つ!」
おお、燃えてる…。研磨も座り直してレースが始まる。中盤まで研磨が1位で先行していたのが徐々にナマエちゃんに追いつかれる。ジリジリと真後ろにつくナマエちゃんの表情は真剣そのものだ。
ラスト一周、ほぼ横で攻めあっていたがアイテムを使ってナマエちゃんが逆転、した瞬間に研磨が反撃に出る。ひっくり返ったナマエちゃんのカートは3位にまで順位が落ちる。
「うそー!?!」
「甘いね」
「また負けた〜!!!」
ボフン、とベッドに埋もれてバタバタと悔しそうに足を動かしてる。また嬉しそうに研磨は笑うこと…。
「惜しかったな」
「次クロとやったら?」
「……さっき上手だったからやだ、もう負けたくない」
あら、褒められてる?負けず嫌いなんだ。
「じゃあまた別日にね…機嫌直してよ」
バレーを教えてほしいとナマエちゃんからまさかの申告があり簡単にポジションとルールを教える。
「ナマエ、俺より運動神経いいんだしバレーもやってみたら?」
「えぇ…?だってやったって研磨と同じチームにはなれないじゃん」
たしかに。…あぁ、なおさら俺にやきもち妬いてる理由もそういうところにもあるのか。その日は焼きたてのアップルパイを三人で食べて、ナマエちゃんは帰って行った。
2回、3回と研磨の家や、俺らの試合、ナマエちゃんのコンテスト会場で会うようになるに連れてようやく俺にも笑顔を向けてくれるようになった。初めて会ったのは中学2年の時。研磨よりも猫気質な彼女とはそっから数年かけてようやく距離が近くなり信頼感が生まれ仲良くなった、と言えるようになった。
「…あれ…?研磨と研磨のママは?」
「ナマエちゃんのプレゼント取りに行ってるよ」
「プレゼント…いいのに〜…。ね、今日のどうだった?」
「すっげえカッコよかった」
「……黒尾くんて、いつもソレじゃん…」
肘を叩かれる。詳しくないから技術的なことは何も言えないよ、と返す。語彙力低くて申し訳ないが、いつ見てもナマエちゃんのダンスは格好いいし綺麗だ。
「…今日、なんであんな悲しそうだったの?」
「……トラウマをテーマにしたから…モヤモヤしてることとか、嫌だったこととか悔しかったことを思い出して踊ってたからかな…」
「苦しそうだな〜って思ってたけどそういうことだったんだ」
「…ふふ、でもさっきの悲しいのふっ飛ばすくらい黒尾くんと研磨にいいお知らせあるからね。」
ニヤリ、と悪い笑みを浮かべるナマエちゃん。少し悪巧みをしてるときの研磨に似ている…さすが従兄弟。
「いいお知らせ??」
「うん!!とってもいいお知らせ…あ、研磨〜!研磨のママ〜!」
ブンブンと大きく手を振る右手と左手は俺の右手を繋いでくる。もっと寄って!!と引っ張られ、よく分からないまま3人が固まるとナマエちゃんは両手を筒のようにしてヒソヒソ声で話し始める。
「あのね…ディズニーのハロウィンパレードの抜擢の話きた!」
「ええ!?凄いじゃないナマエちゃん〜!!!」
「抜擢…なんてあるんだ」
「すげえじゃん!!!研磨、チケット取って見に行こうぜ」
ほんとに嬉しそうにニコニコ笑うナマエちゃん、すっげーかわいい。俺の1個下なのもあって妹みたいに感じてたけど、ひとりの子として好きなんだって自覚した。
(本来は抜擢とかなくて、アルバイトのダンサーからオーディションらしいんだけど…今年はセンターやってほしい!って連絡きたの!)
(よかったね…毎年見に行くくらい好きだもんね)
(そうなの!!!どーしよ〜!!!体型管理と食事制限しないと…あと新しいコスメ買って、メイクの研究もして…!)
(1番見える場所教えてよ、そこで見るから)
(うん、衣装とか曲とか構成分かったらまた話すね!)