HQ 黒尾
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弱み
*ミョウジナマエ
本当に気が滅入る。時刻は11時半。明日は黒尾くんも研磨も私もオフ……だから配信自体は長引いても問題ない。問題は今からやるゲームの話。
「しかも私が操作するの??」
「もちろん、負けたんだから」
「意地悪すぎるんじゃない?ってコメントある!」
「ないよ、はい」
コントローラーを持たされてぎゅ、と固定される。あったもん、初心者にこのゲームはキツイんじゃない?って書いてあったもん!!!
「クリア済みで、最強武器持ってる状態でイージーモードにするからナマエでもクリアできる……はず。…ふふ、拗ねないでよ」
「拒否権ないんだもん」
「ダイジョーブ、全4ステージ交代制だから俺もやりますし」
黒尾くんにそう励まされるも、これあんまりゲームやらない私でもYouTubeの広告で見たことある……ゾンビ系統のホラーゲームでかなり有名なシリーズの、最新作。研磨の説明によると今作はちょっと捻りを加えてきてかなり怖いんだとか……なんでそんなのやらせるの。
「うわ………映画みたい、これゲームなの?」
「うん、キレイでしょ」
「血まみれですケドネ……お〜足音とかもリアル」
ふう、と息を吐いてゲームをすすめる。マリカーよりも操作が当たり前だけど複雑で難しい。チュートリアルのゾンビ?をびっくりしながら倒して操作感を覚えていく。小さな農村のようなところから、お城のような場所に連れて行かれてなんとか脱出し、主人公の娘が攫われてしまったため取り戻すっていうストーリーらしい。ムービーのときに出てきた異形の姿の人間?たちが4人と1人あきらかにラスボスみたいな人いたから、4ステージっていうのは異形を指してるんだと……思う。
ムービーがきれいだし、シリーズの続編だけどこれだけスピンオフのような感じだから前提を知らなくても楽しめると言われただけあってストーリーの部分は普通に面白いし気になる。攫われたお城のようなところとは別のお城に入る、少し暗いけど内装は綺麗。勧めていくとぶぅん、と羽音がして頭を振る。
「やだ、虫いる…!」
「こっちこっち」
「………うぅわあぁぁあ気持ち悪いっ!!!!」
いっぱいいる虫が集合体となって人間?の形になってるキャラクターのようで、足音とかもリアルな遠近なゲームだから羽音もリアルなわけで……蜂の大群?ってくらいの羽音がモニター横にある左右のスピーカーから聞こえてきて鳥肌が立つ。思わずコントローラーを研磨の膝上に投げて部屋から出てしまうくらいには、虫が苦手なんだ。
*黒尾鉄朗
「あ、逃げちゃった……次の中ボスが一番怖いって言われてるから、それ当てるの可哀想かと思ったけど……ナマエ虫苦手だもんね」
「ほんとお前鬼畜な……呼び戻してくるよ、んで……ココは俺やる。次のってそんなやばいの?」
「うん、結構ぞくぞくする」
お前が言うならよっぽどじゃん……ま、無理そうなら中断しようかと話を続けて立ち上がる。廊下にいるであろうナマエちゃんを呼び戻しに行かないと。メインモニターの左にある画面でコメントを確認すれば、ナマエちゃんを心配するものが多い。
「ナマエちゃ〜ん……アララ、平気?」
蹲っちゃってる。そんなに虫無理だったんだ……たしか高校の夏合宿の時、でっかいカナブンが入ってきたときもほんとに猫みたいに飛び上がって遠くにいる烏野陣営に逃げてたもんな……。
「虫やだ……ここにいる気がする……」
「いないよ、大丈夫……代わろうか?」
「うん………黒尾くん、ごめんもうちょっと手繋いでて…」
っっっっえ〜〜〜〜ナニソレめちゃくちゃ可愛いんですけど???!??!!???!!!!
頭を撫でて、手を繋いだの完全に俺の下心ですけども!!!!!いやもちろん心配もしてますけどね!!!!これ誰に言い訳してんの??
「ナマエ……ゲーム変える?」
多分俺が耳真っ赤にしてるのが面白かったのか、ニヤリとした研磨が俺を見ながらもナマエちゃんにそう声をかける。くそ、面白がりやがって……
「話は気になる……」
「じゃクロ交代で……ほら泣かないの」
3人で戻ればコメントが明らかに増える。
『え!?泣いちゃってる』
『かわいい』
『コヅケン、女の子には優しくしないとだよ』
『ビビり方猫みたいだった』
『仲いいな〜!』
……本当にこのコメントの中に喧嘩を始めるやつや住所特定するやつがいたんだろうか?だとしたらかなり浮くレベルでこう……研磨は淡々してるのに、コメントを打つ人たちはほわほわしてるっつーか……。
「じゃあ交代ね、クロも……このゲーム、結構酔いやすいから酔ったら休憩挟も」
「たしかにグルングルン回るもんな…ナマエちゃんも酔ったら画面注視しちゃダメよ?」
「そしたらコメント見る」
余計酔うからやめなさい、と制してゲーム開始。ほぼ死なない体力のキャラクターとクリア済みの特典のおかげで高火力、弾切れ概念なしの武器所持のおかげでさっくさく進む。虫のキャラは1人目の中ボスの娘3人らしい。3人と戦う時や遭遇した時ナマエちゃんはずーっと耳を塞いでてすげえ可愛かった。
「じゃ次交代ね……言っとくけど割と怖いから気をつけて」
「えぇ〜……」
「虫は出ないし戦闘も少ないけど結構……なんだろ、お化け屋敷みたいな?」
おお、なるほど。まあ4人も中ボスいるならそういうステージもあるわな。
薄暗い屋敷の離れに向かって主人公は進み、部屋に不気味な木製のマネキン人形がおいてある。各パーツを集めて、外して中の部品を謎解きに使い…と進めていき、やたらと赤ん坊と主人公の嫁の音声が流れる。
「うぁっ!??!……何も見えないや」
「なにこれ?………へその緒?」
「え、腸じゃない?」
「っぶ!っえほ、げっほ!」
思わぬナマエちゃんのボケに研磨が飲んでたお茶を噎せながら笑い転げる中、へその緒(腸?)を辿っていくと真っ暗闇からでっけぇ赤ん坊がぬる、と出てくる。
「「っぎゃあぁああぁあッッッ!???!!!」」
武器は取り上げられてるため、主人公は逃げるしかない。ナマエちゃんはまたもコントローラーを投げ出して俺に抱きついてくる。俺もこの、不安になる見た目の赤ん坊の顔にビビりすぎてナマエちゃんを抱きしめるようにして同じ悲鳴をあげるもんだから、研磨がひっくり返って大笑いしてる間に主人公がやられゲームオーバー画面が表示されてる。
「なになになに今の???!?!生き物??!」
「おい研磨やべーぞ何あれ?!」
「あは、はっはっ……!あ〜…おっかし……っ!!!」
机をバンバン叩いてウケてる研磨が面白いのか、俺らの反応が面白いのかモニター画面はコメントで真っ白になる勢いだ。大半は草生やしてる反応だけど。
『wwwwwww』
『コヅケンこれ見たかったんだwwww』
『反応良すぎる』
『コヅケンって爆笑するんだww』
『これ定期的にこの3人でホラゲーやろう』
『このステージは怖いから仕方ないけど100点の反応すぎる』
……こんなんばっかりだ。つーか俺まだ抱きしめられてるんですけど、、、動けない。
「あ〜おもしろ…だから怖いよって言ったじゃん…どうする?」
「……ゲームでも赤ちゃん倒すのは…」
「あぁ…えっとね、この子とは戦わないよ。痛いこともしない。この子がボスじゃないからね、さっき居なかったでしょ」
「……たしかに?じゃあ心頭滅却してやる」
「心頭滅却wwwちょっと意味違くない?」
思わずウケるとおでこを小突かれた。ムスッとしてても可愛い。お茶を飲んでプレイ再開。何度もびっくりしてナマエちゃんはやられてたけど、ようやく終盤?まできた。
「ヒューズ!ヒューズ手に入れた!」
アイテム入手後、出会い頭のときのようにゲーム内が真っ暗になる。ナマエちゃんも勘付いたようで、メニュー画面を開いて頭を抱えてしまった。
「来るやつじゃん………」
「ふは、冴えてるね」
「やだ〜〜〜!嫌すぎる……」
部屋から出て、キッチンを抜けて。明るいとなんとも思わない部屋もめちゃくちゃ怖く感じる……よく作り込まれてんだなぁ。
「何笑ってんの研磨……はいはいどうせ上あがって扉あけて角曲がる時とかにバァンってさっきみたいにあの子が出てくるんでしょ、分かってんだから……もう分かってたら怖くないし早く…」
ナマエちゃんがそう言いかけた時、まさにそのタイミングで登ろうとしていた階段の扉が開いて赤ん坊のキャラが出てくる。
「うわあぁぁあぁあっっ!??!!!?」
「もう新喜劇なんだよそのタイミングはさぁ……っ」
また研磨が腹抱えて蹲って笑ってる。あんまりにもタイミング良すぎて俺も面白すぎて笑う中、逃げるしかないナマエちゃんはパニックになりながら通路を戻っていく。
「ねえふたりとも笑いすぎだと思うんですが」
「仕方なくない?フラグ回収完璧すぎるんだもん」
研磨がまだふるふる震えながらウケてる。コメントもさっき以来の大量の草だ。今のは俺もナマエちゃんに配信者の才能を感じた。その後なんとか地下から脱出し、あとはエレベーターに乗るだけになった。ナマエちゃんはパニック映画さながらにパニックになりながらエレベーターのボタンを連打…するためにコントローラーを全力でカチカチしてる中、最後と言わんばかりに赤ん坊が追いかけてきた。それを半泣きで逃げ回ってるのがあんまりに可愛くて爆笑してたら膝をぺし、と叩かれた。
「お、おわ、終わった……?」
「うん、あの子はここまで……ふふ、休憩する?今から中ボス戦だけど」
「休憩する……無理……」
「ナマエちゃんお疲れ様……いやぁ面白かった」
「クロもビビりまくってたじゃん」
「初見でアレにビビらないやつこの世にいる??」
「人がちゃんと怖い、とか気味が悪いって感じる見た目だから凄いよね……オレもあのキャラはぞわってした」
ナマエちゃんも俺も、かなり背中や肩に力入ってたみたいでどっと疲れた。
「少なくとも今日は一旦休憩か、中ボス戦までかな……ナマエ、ナマエ。眠いの?」
コメントを読み上げてた研磨につられて流れるコメントたちを見ていれば、眠いと聞こえて振り返る。……うとうとしてるナマエちゃんがいる、まああんだけ泣いて騒いでゲームしたら疲れるわな……そもそもの配信時間自体も4時間?5時間くらいやってるし。
「寝るんなら上の部屋布団敷いてるからそっちで寝て」
「寝ないよ」
「寝る5秒前みたいな顔してるけど」
『今日3人でお泊り?』
そんなコメントが流れてきたのでお泊りですよ〜と返していく。そうやってやり取りしてると、俺への質問がちらほら増えてくる。
『クロさんから見たコヅケンってどんな感じ?』
「……いや、画面に写ってるまんまだね、研磨は。昔からずっとこう」
『じゃあナマエちゃんも?』
『ナマエちゃんとはいつからの付き合い?』
「確か中1くらいが初対面?で…初対面はツンツンしてたね」
振り返って確認すればナマエちゃんはもう眠すぎて動けなそうだ。
「クロ、ナマエ上につれてって。オレも少ししたら配信終わるから」
頷いてナマエちゃんに呼びかけるとぽやっぽやでほぼ目開いてない。いつの日かのコンサートの日を思い出す。あの日確かめちゃくちゃ寝ぼけたナマエちゃんが布団に入ってきたんだよな……。
「ナマエ、バイバイは?」
「……?誰に…?」
「リスナーの皆……ナマエのこと心配してるから」
研磨が指差す先を見てみると確かにちゃんと寝てね!とか、さっきの赤ん坊にビビりまくってたナマエちゃんに対する心配のコメントがちらほら流れてるのが見えた。
「バイバイ……」
半分理解してなさそうなナマエちゃんがモニターに向かって手を振る。このポヤポヤして可愛いナマエちゃんを電波にのっけて流していいのか?ファンが激増しそう。ナマエちゃんの手を握って階段を上がって寝室に向かう。
「じゃ〜オレも寝る準備すっかな……電気消すよ」
「やだ、暗くしないで」
「つけといた方がいい?」
「さっきの……怖かったから」
ッッエ〜〜ソレはちょっと可愛すぎるんじゃないですかねお嬢さん………。布団を顔まで上げて覗き込むようにこっちを見てるナマエちゃん……天井見上げちゃうくらいには可愛かった。
「引きずるほど怖かったんだ」
「……黒尾くんだってびっくりしてたじゃん」
「うん、びっくりした。はい、手握っててあげるから目瞑っちゃいな」
「研磨くるまで起きてる……ふぁ」
すっげえ眠そうだけど…。あ、手は握るのネ……むぎゅむぎゅと握られてこっちは気が気じゃない。じゃあ俺のスマホで研磨の配信のやつつけよっか、とナマエちゃんの頭上にスマホを立てる。ちょうどスパチャがどうこうって話してるからおわりの挨拶中かな。
『「今日誕生日だったんですが、幼馴染たちと過ごすほんわかコヅケン見れてサイコーの誕プレでした」……何それ、いつもオレが殺伐としてるみたいじゃん』
研磨以外の配信者も見てるからだけど、他のチャンネルではこういう……ファンレター要素を含んだスパチャはあんまり見ない。頑張れ!とか楽しかったよとかの一言はあるにしろ、これは研磨のチャンネルならではだなぁと思う。他のところではやっちゃだめって研磨が口酸っぱく言うからかあんま見たことないし。
『「コヅケンの幼少期可愛すぎた!ナマエちゃんとクロさん安眠できますように」……ふは、今頃上でナマエは駄々こねてるかも。オレが来るまで寝ない〜って』
うわ、一言一句同じ言い方だった。すげえ。
「見抜かれてますよお嬢さん」
「黒尾くんが言わなきゃバレないよ、言わないでね」
「はいはい……ほんとに寝れそうなら寝な?疲れてるでしょ」
眠れないならアレだけど、と付け加えるとナマエちゃんが右手をちょっと強く握りしめてくる。お、寝るのか?
(クロ、ナマエ寝た?)
(寝た……寝たけどさあ……)
(ふ、腕抱き枕にされてんだ。よかったじゃん)
(生殺しだよこんなん……はぁ…)
(オレ居るのに手ェ出さないでよ?)
(出すかよ、強力なセコムなくせして……明日の予定は?)
(久々に3人で出かけたいってナマエは言ってたけど……悩み中。)
(…そういやさぁ、研磨が言ってた変なコメント大丈夫だった?)
(うん、ビビったのか今日はぱったりなくなってた……あ〜…面白かった、2人ともうるさくて)
(すーぐ揶揄う……アレはビビるだろ)
(ナマエ毎回コントローラー投げるんだもん、マジでその内モニターに向かって投げ始めたらどうしようかと思った)
(ッフハ、想像したらめちゃくちゃ面白い)
(電気どうする?つけとく?)
(ん〜豆電球でいいんじゃね?…寝る前結構怖がっててさ)
(そうなんだ……よっぽど怖かったんだね、アレ。トイレとか行けるかな)
(それは行けてほしい)
(起こされたりしてね)