HQ 黒尾
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
知らせる感情
*ミョウジナマエ
黒尾くんのお家にお泊りさせてもらうことに。ダンサーは服装とか目立つし、私の場合今はハイトーンの髪色だからより目立つ。そうなるとああやって付きまとわれたり、しつこいナンパに声をかけられたりするのは慣れっこだ……ただ最寄りの駅まで来たし家の近所まで来られると私も流石に困るから、黒尾くんが来てくれてほんとに助かった。
黒尾くんの車の中で寝てしまって起きたら黒尾くんのお家のリビングだったのでびっくりしたけど、私のおかえりパーティー以来の黒尾くんパパたちにも会えてコンサートの話ができて、後日配信あるから見てほしいと伝えられてよかった…!
直前リハーサルで汗をかいてもいいように、と下着やインナーのセットを持って来といて正解だった…あとはジャージなんかもいくつも入れてたから着替えはある。化粧を落としてジェルやスプレーでセットした頭もよーくシャンプーして、スキンケアをして髪を乾かす。ブリーチをすると平常時でも乾きやすくてパサパサになるからヘアミルクとオイルを持っておいて正解だった。
「お風呂いただきました〜」
足や背中に湿布やテーピングを貼りまくって体をほぐして凝りを取る。明日バキバキにならないといいな〜。
リビングはソファやらなんやらがあって布団が敷けないとのことで、黒尾くんの部屋に!と言われる。
「はい、じゃあナマエちゃんはこっち」
「逆じゃない…?」
黒尾くんのベッドを指さされるので、私が床で寝るよと何度かやり取りすると渋々と納得された。布団ふかふかだ…。マットレスを敷いてくれたので、もうほぼベッドと変わらない。
「真っ暗で眠れる派?」
「うん…電気ついてても寝れるタイプ」
研磨のゲームする横で寝落ちすることも多かったから音が多少鳴ってても眠れる。黒尾くんが電気を消して目を瞑る。
*黒尾鉄朗
いやいやいやいや寝れるかっつーの…!
長いこと片思いしてる子が俺の部屋で寝てるって何!?
寝返りを打ってナマエちゃんの方をちらりと見下ろす。よっぽど疲れてたみたいで、もう寝息が聞こえる。うわ…寝顔あどけなくてやっぱりかわいい…。手を伸ばして頬を押すとむに、と形を変える。寝たらなかなか起きないナマエちゃんは起きる気配がない。
「………」
可愛いなぁおい…。研磨はもう少し押してもいいんじゃないかって言ってたけど、なんというか…意識してもらえてないから押したところでという気持ちになる。
今日咄嗟につきまとってきたストーカーから隠すためにナマエちゃんの手を繋いで俺の右側に持っていったときも嫌がる素振りはしてなかった…と思う。
大学に通ってからもそりゃ色んな女の子を見たし、告白されたこともある…けどいつだってナマエちゃんのことが頭に思い浮かぶから断ってきた。俺自身こんなに一途だと思わなくて驚いてる。
ナマエちゃんの方に向き合ってしばらく、ようやくウトウトしてきた時にナマエちゃんが起き上がる音がした。そのまま立ち上がり階段を降りていった。…多分トイレ?意識はあるけど体はほぼ寝ていた。
しばらくして帰ってきたナマエちゃんが俺のベッドに入ってくる。
……え?一気に目が覚める。
「ナマエちゃん…どうかした?」
そう呼びかけても返事はないし寝息が聞こえる……寝ぼけてる…?寒いのか、丸まってもぞもぞとこちらに寄ってくるナマエちゃんの頭をゆっくり撫でる。
いや全然眠れね……もう少ししたら俺が下の布団に移ろう。こんなに寝てるナマエちゃんを独り占めできることは滅多にないから、もう少しだけ…そう欲張っていたら抱きつかれた。いやちょっとこれは心臓に大変悪い。
「…もしもしナマエちゃん、起きてください」
布団を引っぺがして持ち上げたりしない限りナマエちゃん起きなさそうだ。ドキドキしすぎて心臓に大変悪いから一旦離れてほしいけど、そこまでして起こすのは流石に可哀想ではある。
…諦めるしかないか……明日は休日だし、特に何も予定はない。徹夜しても特に響かない…だろう。ナマエちゃんの耳にかかるくらいまで布団を引き上げてそのまま目を瞑る。だいぶ寝るまで長かったけど、なんとか眠れた。
もぞもぞと腕の中のナマエちゃんが動くので意識が覚醒する。
「…起きた…?」
「…ん…?」
ナマエちゃんの頭に手を置いて擦るように動かす。
「……くろ…くん?」
「うん…ナマエちゃん寝ぼけて入ってきちゃったね」
そう言えばナマエちゃんは暫く考え込んだあと見上げてくる。ウワ……めっちゃ可愛い…。
「……ごめん……全然覚えてない」
「ふは、いいよ…寒くない?」
「う、ん」
みるみる顔が赤くなっていつもより口数が明らかに少ないナマエちゃんに研磨の言ってた通りだ…と嬉しくなる気持ちをなんとかひた隠しにする。
「アララそんな顔真っ赤にして…」
「ち、かい…」
後ろに下がるナマエちゃんの腕を引き寄せる。逃がすもんか、もっと意識してもらわないと。俺の長年の片思いが報われないってもんだ。
「貴女が入って抱きついてきたのよ、お嬢さん……」
そう言うと耳まで真っ赤にしたナマエちゃんの手を離して体を起き上がらせる。
「はい、おはよ。体の調子は?随分湿布の匂いしたけど」
「軽い……」
まだ赤いナマエちゃんは俯いてる。かんわいい〜〜これは虐めたくなっちゃうな……嫌われるのは勘弁だし今日はこれ以上はやめておこう。
万が一のために車で送るよ、と告げてお家まで送り届ける。いつもは元気なナマエちゃんも車内でものすごく静まり返ってた。
「ナマエちゃん、戸締まりとかしっかりね…何かあったらすぐ研磨でも俺でもいいから教えて」
「うん…ありがと、黒尾くん」
「はいよ、じゃあまたね」
もう俺は脈なしじゃないって分かっただけでるんるん。ナマエちゃんに手を振ってその日は別れた。
数週間後、大学の駅の近くで仕事終わりだというナマエちゃんとごはん食べて帰ろうという話になる。歩ける距離だから大学の正門前で待ってるというLINEを受け取った。
「え、なんかあからさまに嬉しそうな顔してんじゃん何?カノジョ?」
「うーん、なってほしい子ではあるけどまだ彼女じゃないのよ」
バレーサークルのタメの奴らが一斉に揶揄ってくる。見せてよ!と言われるけど可愛いナマエちゃんを広めたくない気持ちがありつつも、もうすでにメディア出てるしな…と思ってこの間の宇多田ヒカリの皆で飯食ったときの写真を見せる。
「マジでかわいーじゃん」
「なんか見たことある気すんだけど……なんか出てる?」
「色んなMVとか出てる」
あ〜なるほどね!と返ってくる。ディズニーの件は伏せて着替えてくるわ、と更衣室へ。正門へ向かう途中、以前バレーサークルのマネをやりたいと俺の追っかけしてきた後輩の女の子が噂を聞きつけたのかついてくる。
邪な気持ちでマネはするな、と言い放ってその時から好きな人がいるからって断ったけどまだ諦めてなかったようだ。
「黒尾先輩、今日好きな子来てるんですか?どんな子なんですか?」
「あのねえ……知ったところでどうすんの?」
「絶対私のほうがその子より可愛いですし……黒尾先輩を想ってます!」
こんな状態で引き合わせたくないな……。
「どっちが可愛い可愛くないじゃないし…仮にも人の好きな人に対して失礼じゃないですか?」
ほら帰った、と告げて距離を開けるまでジト目で睨めば後輩は離れていく。
「ナマエちゃん、お待たせ。おお、髪色変わってる」
「シルバーぽくしてみた!一回裏門?行っちゃって警備員の人に案内してもらったから待ってないよ」
そうだ、この子そこそこの方向音痴だった…。
「今日もMV撮影?」
「ううん、渋谷でやるイベントの説明受けてた」
渋谷……またデッカいとこなこと。各分野のクリエイターたちを集めた展示のようなイベントに出演依頼が来たということだった。
並んで歩いて適当なごはん屋さんを探しているとナマエちゃんの名前が耳に入って来る。
「あれ…ナマエさん?!」
「……!あぁ、澪ちゃん!」
すっっごいこれまた派手な子だ。金髪の…坊主までは行かないけどショートヘアのネイルバチバチの子。声的に女の子だ。ダンサーさんって総じて派手な人が多いんだなってナマエちゃんのインスタ見て知ったからもう驚かない。
「この間のライブ見に行きました、マジでよかった…!見れて超ラッキーでした」
「ありがとう!どこらへん座ってたの?」
「全ッ然2階席です!」
あの日のライブに来ていたようだ。しばらく会話をして切り上げて帰ってきたナマエちゃんに凄いね、と話す。
「俺ももちろん宇多田ヒカリ元々好きだからさ…他の公演みたいに声だけでも絶対いいライブだっただろうけど……加えて強烈に思い出に残るって凄いよね」
「……なんか…そんなこと初めて言われたかも」
「エッ!?…初めて??」
「うん…絵とか…写真とか歌声や音みたいに形に残るものじゃないから、ダンスって。映像には残るけど……実際に見るのとじゃなんか違うじゃん?」
「あ〜……なるほど」
「でも視覚から入る情報ってすごく大きいんだよね…だから私あのライブで1番こだわったの、振り付けじゃなくてライティングなんだ」
納得がいく。ナマエちゃんの担当した曲はどれもライトによる視線誘導や作り込みが凄かった。
「光の時はあのライトでなんか…予想できたもん、あれこれ光じゃね?って」
「そう!そうなってほしくてわざとああしたの……だってあの人の歌ってそれこそ皆の光でしょ、あの曲でどれだけの人が…灯台みたいな守られてる気持ちになったのかな〜って思って」
わざわざ光の効果についてのテキストを買ったらしいナマエちゃん。どのステージも良かったよなあ…あの光こそ、映像で残ったとしても映像だと伝わりきらない部分な気がする。
「正直、ダンスの世界も大衆の人が綺麗と思うか思わないか…その先は好きか嫌いかで評価されるから。実力だけで言えば私より上手な人なんてごまんといるし……何がどう刺さるか、他の芸術やアートより表現が伝わりにくいものをいかに伝えるかっていうのを最近は意識してるんだ」
「なるほど……講義受けてる気分だわ」
「身体における表現学!」
それらしい名前をつけてメガネを上げる仕草をしたナマエちゃんか可愛くてつい笑う。
(最近あんまり自分のこと、携わった作品の感想見ないようにしてるんだ…だから良かったって直接言われるとすごい嬉しい)
(……なんか嫌なこと書かれてた?)
(うん。でもメディアに出るなら覚悟することって決めてたから…それこそディズニーのときからね)
(ナマエちゃんが割り切れてるならいいけど…あんま考えすぎてドツボにはまらないようにね)
(うん、私はアイドルでもないしモデルでもない。ダンサーだから…容姿や体型に関しては特に女のダンサーは絶対揶揄される運命だけど…負けもしないし気にもしないようにするって決めたんだ)
(偉い。今日は何食べる?黒尾さんが奢っちゃおうかな)
(え〜?出世払い?)
(それに関してはもうすでに貴方出世してるのよね)