HQ 黒尾
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打ち上げ
*ミョウジナマエ
フリ入れから含めたら半年以上かけてきたライブも無事に成功。やりきれるだけのことはやりきった……何よりライブのMCで私のことを話してくれたのが嬉しすぎてバックヤードで大泣きしたのを悟られないようにするのは結構大変だった。
ミュージカルや劇みたいに全員の紹介をしてくれるライブは多くない。バックダンサーじゃなくてダンサーと呼んで扱ってくれる人も少なくない。今回はずっと心が温かくなるような期間な分、プレッシャーも多い毎日だった。
たっちゃんとも4年ぶり…?で久々に会ってたくさんのことを話した。たっちゃんは横浜の生まれで関東でやるダンスのコンテストには必ず居て、勝ち進んで関西に行ったり海外に行くときもほぼ一緒だった。
大きくなったらコンビくんでやろうね、と小学生の頃から言ってたから今回一緒に仕事ができて本当に嬉しかった。
コンサートバナーの前で警備員スタッフさんに写真を撮ってもらい、2人でのツーショもいくつか撮る。メイクや衣装チェンジ中も撮った分があるから充分かな…。
見に来てくれた研磨たちのもとへ合流すると、夜久くんがたっちゃんも一緒にご飯食べに行こうと誘ってくれる。
「たっちゃんママたちは?」
「ママたちはママたちでお茶して帰るからゆっくり打ち上げしておいで〜ってさ」
じゃあ…急遽のメンバーになるけど、と皆で歩く。私とたっちゃんは衣装を入れたキャリーケースがあるため、まずは駅の近くのコインロッカーに荷物をしまう。身軽〜!
「居酒屋行くけど、もちろん全員飲むの禁止だからな」
夜久くんがそう言う…そうか、今年皆誕生日迎えたらもう20歳なんだ。飲むならノンアル!と釘を刺され居酒屋に入店するとさっきライブで聞いた曲が流れてる。
適当にメニューを頼み、木兎くんの食べる量にちょっと引きながら席に座る。たっちゃんは私の左、右は黒尾くんと研磨が座る。
「たっちゃん何飲むの?」
「ロイヤルミルクティ」
あるわけないでしょと頭を引っ叩きメニューを渡す。いつもいつもボケ倒して、関西にもいるダンサーの友達とボケ倒してくるから相手すると疲れてくる。
「髪色超似合ってんな!最初誰かと思った」
「心機一転!ブリーチしちゃった」
「サラサラじゃん」
でしょ〜?と黒尾くんに返す。たっちゃんはくすみのある青い色で二人とも地毛じゃなくした。飲み物やご飯が来てからはライブの話になり、とにかく皆語彙力をなくしながらも感想をそれぞれ言ってくれる。
「赤葦くんと…黒尾くんたちにちゃんとアイコンタクト送ったけど気づいた?以外とね、あの距離だとこっちからも見えるんだよね」
「厄介勘違いオタク生み出してたけどね」
研磨が笑いながら黒尾くんのことを見てる。丁度アイコンタクト取ったとき、皆泣いてるのがわかってつられ泣きしそうだったのは秘密にしておく。
「1番難しかったのMCにあったあの曲?」
「そう……だね、あの曲が1番……解釈が難しかったかな」
「あれなぁ、ボロ泣きしながらゲネでヒカリさんに詰め寄ってたからヒカリさんびっくりしてたな」
「たっちゃん、余計なこと言わないで」
睨みを効かせるも皆聞きたそうだしと話すたっちゃんに制止するのは諦める。
「あのときあの曲だけフリがあんまり完成してない状態で……ナマエ的には爽やかな曲調で最後も忘れるのとは違うけど未練を断ち切る…みたいな終わり方するけど、忘れられないってそんなに思う人がいないから分からないってめちゃくちゃ思い詰めてたね」
「日本語って難しいなって思ったよ……その時ヒカリさんに別れがあるから辛かったりするんじゃないよ、関わりがある間その人が痛み止めになってくれてるだけで本来痛みはあるし傷つくことは悪いことじゃないと思うって言ってくれて…なんとなく呑み込めるようになった感じ…」
「例えめっちゃ面白かったよなぁ」
「あぁ、アレ?…もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対、って歌あるでしょ?あれと同じで大切な関係の人と別れたときとか関わりの中で傷つくともう御免だって思って生きてきたけど、永遠に傷ついて生きていきたいって思うようになったって言われてなるほど…って」
「へぇ……流石だね」
「より!好きになったかな、アーティストとして人として歌手として……」
*黒尾鉄朗
たっちゃん、と呼ばれるナマエちゃんとは小さい頃から顔馴染みのダンサーの子も含め打ち上げ会へ。いろんな裏話を聞いて、店内で流れる宇多田ヒカリの曲にもっと思うところが増えていく。
「円盤化するの?今日のやつ」
「ど…なんだろ、、、すんのかな…」
「配信はするって言ってたね」
配信されたやつDVDに焼くかな…。
「皆どれがよかった?私とたっちゃんのソロステージ、それぞれ4曲あったけど」
「俺、キングダムハーツとCOLORS!COLORSよく姉ちゃんの車の中で聞いてたからすげー懐かしかった!」
ぼっくんがそう言う。昨日解説なんかを見た上でもキングダムハーツやりたい!って言ってから光が刺さったんだろう。
「ん〜俺は…Beautiful Worldと、花束を君にかな」
研磨が続いてそう答える。
「エヴァ1択…思い入れもあるけど。太一くんのは俺もCOLORSかな…綺麗だった」
「俺はDistanceと最後のOne Last Kissで死にました」
予想ついてた通りやっぱり赤足もあそこで大泣きしたみたいだ。黒尾くんは?と聞かれ悩む。全部良かったんだよな…と返す。
「そもそもライブの最初の曲から懐かし〜ってなって感情浸ってたから…光は研磨とめちゃくちゃやりこんだキンハー思い出して…エヴァ2作はもうどハマりしたアニメだから思い入れ強いし。
姉貴が誰かの願いが叶う頃よく聞いてたからそれも思い出してたし…」
「クロってホント優柔不断だよね」
うんうん唸ってると研磨にバッサリ切られる。…ニヤニヤしやがってこいつ…。
いいライブと踊りだった、と伝えるとナマエちゃんも太一くんもニコニコと嬉しそうに笑う。主にぼっくんが頼んだ料理がどんどん運ばれてきて机の上があっという間にテーブルで埋まる。
「何食べたいの?」
じっとやっくんの方を見てるナマエちゃんに尋ねるといももち!と返ってくる。意外とこういう揚げモンみたいなジャンキーなもの好きなんだ。
「太一くんは?」
「俺は〜ひとまず唐揚げで!」
二人の分を皿に盛って渡す。ぼっくんに負けずに俺もやっくんも結構食べるからあっという間に飯がなくなっていく。高校のときと同じだけ食べないようには気をつけてるけど…。
知らない人間が多いのに犬岡やリエーフみたいに人懐っこい太一くんは帰る頃にはすっかりぼっくんと意気投合するまでに仲良くなっていた、陽キャ同士すげーな…。
「いっぱい食べた?」
「食べた!お腹いっぱい〜…3キロは太った」
あんだけしか食べてなくて3キロもないよ、と返す。せいぜい1キロいかないくらいだ。
なんとか体力を振り絞って実家に帰るというナマエちゃんを途中の駅まで見送り別れる。家に帰って姉貴にライブの報告をすれば、いいなあ〜!と羨ましがられたので配信の話をする。我が家では女性陣がテレビのチャンネル決定権があるから、今のうちから配信でも見れるように根回ししておいたしDVDに焼くよう頼まれた。円盤が出なくてもこれで安心だ。
風呂に入って部屋に戻るとナマエちゃんから今日の写真!とたくさんと連絡が来ていた。開場前のステージからの写真、俺らの席からのステージの写真、バックヤードでの写真や大きなバナー下でナマエちゃんだけの写真や、最後みんなで撮った写真もある。
『見に来てくれてありがとう!頑張った甲斐があるって思えた仕事だった!』
『こっちこそ誘ってくれてありがと、近くで見れてよかった…お家ついたの?』
『コンビによってたからまだ!』
可愛い、誤字ってる。
『変な人いない?早く帰りなさいね』
『うーん、変な人いるからコンビニ入ったんたけど……まだいるっぽくて、、、自意識過剰かな?』
ベッドから転げ落ちる。…は!?変な人いる??!迷わず通話ボタンを押して電話を繋げる。
「もしもし?……まだコンビニいる?」
『あ、うん…ごめんね疲れてるでしょ』
「いやいや、今日一番疲れてるのナマエちゃんでしょうよ…ナマエちゃんママたちは?」
『今日二人とも夜勤なの』
ナマエちゃんママは看護師で、ナマエちゃんパパは消防士だ。じゃあ迎えは無理か…。
「変な人って具体的に言うと?なんか言われた?」
『判断に困るんだけどさ、なんか…駅の乗り換えから着いてきてる気がして…キャリーあるしめっちゃゆっくり自然に歩けるじゃん?ゆっっくり歩いても後ろにいるの、もうおばあちゃんの速度で歩いてても追い越されないからなんか怪しいなって……今はコンビニの前でずーっと立ってる』
確かに…乗り換えの時点ならたまたま同じ方向と言えるけど、かなりゆっくり歩いても絶対に追い越さないのは怪しい。
「20分でつくから、店員さんにも説明しといて?…ばあちゃん、俺ちょっと出てくる。すぐ戻るってお父さんに言っといて」
『え!?悪いよ』
「何かあるほうが嫌でしょ、何もなかったらよかったねで終わるし」
俺がそう言うとイヤホン越しにナマエちゃんが店員に話しかける音声が聞こえてくる。気のいいおばちゃん店員だったみたいで、もう一人のアルバイトを呼んで警戒するように答えてくれてる。何かあればコンビニで通報してくれるだろう。
車で向かってコンビニにつくと、確かにタバコも持ってないのにスマホだけいじって挙動不審な男がいる。チラチラと中を覗いてるしコイツで間違いないだろう。
「お待たせ、足疲れたでしょ…すみません、ありがとうございました。これ、別のコンビニのですけどよかったら」
店員さん二人に別のコンビニで買っといた飲み物とお菓子を袋で渡してナマエちゃんからキャリーを貰う。
ナマエちゃんの飲み物も買いたかったけど、一刻も早く立ち去りたいだろうから車においてある。
「はいこっち」
「うおお」
俺の右側に隠すようにナマエちゃんの手を握ってコンビニを出る。…やっぱりこっちをずっと見てる男を睨むように見返せば少し立ち竦んでるのが分かる。キャリーを後部座席に置いて、助手席に乗せるときも付き添ってドアを閉め、ロックをかけさせる。
「はい、お疲れ様…流石に車へ走っては来ないだろうけど今日は研磨の家泊まりな」
「黒尾くん、ありがと……あ〜怖かった」
「いーえ。…ヒヤヒヤしたよ、もうてっきり風呂とか入って寝てるもんかと」
研磨の家に向かうまでの間にナマエちゃんが眠りこけてしまう。いや…そーよな…。そりゃ疲れてるだろうね…研磨に連絡しても繋がらなくて家の前で立ち往生してるとエンジン音で気づいたじいちゃんがやってくる。
「…どうした?」
「研磨に連絡つかない上にめっちゃ寝てるからどうしたもんかと」
「あー…孤爪さんち真っ暗だな…今日は早めに寝ちゃったのかもな」
「でもさ……この子女の子なのよ」
「ハッハッハ、鉄朗もそういうの気にする年頃になったか」
大笑いするじいちゃんにやめてよ、と言いつつナマエちゃんをおぶって家へ。ばあちゃんには随分可愛らしい子ねと揶揄われたし、父さんも最後にナマエちゃんに会ったときから変わった髪色にただただ驚いていた。
(ナマエちゃん、ナマエちゃん…お風呂頑張れそう?)
(………ここどこ…?)
(俺んち。研磨寝ちゃったみたいで連絡つかなくてさ)
(お風呂…入りたい…頑張る…)
(着替えとかある?申し訳ないんだけど、空き部屋ないから俺の部屋で寝ることになるけどいい?)
(うん…ごめんね、お世話になります)
(はい、気にせずね)