HQ 黒尾
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モチベーション
*ミョウジナマエ
YouTubeや他の動画アプリでバズりにバズった今年のハロウィーンのパレード、売上も例年の比にならないくらい跳ね上がったらしく会社からは簡単なお礼状が届いた。取材や仕事が一気に増えて思っている3倍は忙しくなってしまった。
研磨たちの春高も見に行けないかもしれないと落ち込んでいる矢先に留学の話が出る。学校側としても成績は問題ないからいいよ、と言われ1週間ほど悩んでる。受ければ1月の前…12月に出発になる。
「そっか、それでそんな顔してたんだ」
初めて研磨に打ち明けた。こんなこと人に言ったって決めるのは私だから…と思ってたんだけど、私が思うより限界が来ていたみたいで研磨に話せと詰め寄られた。
「いろんなことに対するスピードが目まぐるしくてついていけない……」
「会うの1ヶ月ぶりだし……そんなに休みない中留学の話まで出たらパンクするでしょ」
「お金援助してくれるって言うから行ったほうがいいのは分かってるけど…研磨の試合見たいし……向こうで卒業資格得れるとはいえ、単身で行く勇気…ってなってる」
「いつまでに決めなきゃいけないの?」
「今週末」
近々すぎて話にならない。人生の話なのにそんなスパスパ決められない……。
「おれらの事が気がかりなの?……試合なら中継で見れるし、連絡もするよ。ナマエが行きたいなら行ってきて、帰ってくるの待ってるから」
「うん…」
お母さんにも先生たちにも、ダンスの先生たちにもこんな機会ない、行ってきたほうがいいって言われてはいるし私も挑戦してみたい気持ちはある。
いきなりいろんな人と物理的に距離を空けるのが怖いんだと思う……結局大人になったら皆忙しくなって離れ離れになるのにね。
「……うん、きめた。行ってくる…ひとまず高校卒業する1年間」
「クロも寂しがるね」
「そうだね……2人にお守り送るから!必勝のやつ」
LINEでポチポチ黒尾くんに告げると、10分後にドダバタした後すごい衝撃音が廊下から聞こえる。
「クロ、慌てすぎ……試合前に怪我しないでよ」
「研磨、いやだっていきなり海外行くから!とかさ……居た、もう少し時系列順で話してくれますかお嬢さん」
研磨の部屋に黒尾くんが揃うので、改めて海外留学の話をする。卒業まで日本には戻ってこないこと、向こうでの卒業試験を合格したらひとまず帰ってくること、来月に出発すること。
「いや…全然頭追いつかねえわ」
「私も2人の試合生で見たかったよ……もともとミュージカルに興味あったから本場で学んでみたくて…向いてるとかそうじゃないとか、通用するのかとか…そういうのも確かめに」
12月、空港にきた黒尾くんたちに勝負運の神で有名な神社のお守りを渡すと、研磨たちから健康運が上がるようにお守りを渡された。
「慣れない生活で大変だろうけど…また来年ね」
「風邪ひかねえようにな…着いたら連絡待ってる」
手を振って飛行機に乗る。見送りのときはたしかに寂しかったけど、飛行機に乗ってから寂しさがじわじわと体を覆い尽くすような感覚になる。ツン、と鼻の奥が熱くなるけどぐっと堪えて泣かないようにする。
ニューヨークに近いペンシルバニア州のフィアラデルフィアにホストファミリーがいる。
慣れない欧米式の生活と高校生活、さらにはダンススタジオの契約やレッスンなどの毎日に追われる。
『ナマエ、慣れた?』
『やっと1日のスケジュールに慣れてきたところ』
『マジで全部デカイんだね』
ホストファミリーが出してくれるご飯だと肥満へ直行するから夕食を作ると当番を請け負った。スーパーでビーツや人参などの野菜を買ってきてオーブンで焼いたり、くるみソースで和えてみたり、鶏肉のソテーを作ってみたところなかなか好評。
『太らないように必死、今日の晩御飯はこれ』
麹があったから漬けて焼いてみたら最初はえ〜?って顔をしていたホストファミリーたちも美味しい!と食べてくれた。
春高が始まり、毎日中継を繋いでもらって見ていた。私も一度顔を合わせたことがある烏野高校との試合、奮闘に奮闘を重ね粘りに粘って音駒…研磨たちは負けた。
いい試合だったと思う、最後終わったあとひたすら全員が検討を称えあっていて素敵な光景だった。
『試合ホストファミリーたちと見たよ、お疲れ様。世界一かっこよかった!』
2人にそうメッセージを送って私もオーディションに向かう。ミュージカルの端っこでもいいからステージに立ちたくてオーディションを受けることにした。
*黒尾鉄朗
ディズニーでの抜擢からあっという間にテレビや芸能人のミュージックビデオ、バックダンサーの仕事を重ねて有名になったナマエちゃんが海外留学に行ってちょうど1年。
向こうの高校を卒業し、学校に通う間もレッスンにオーディションに仕事に…と精力的に動いていたナマエちゃんが帰ってくると研磨から聞いて空港までお出迎え。
「なんかこの時期に卒業って変な感じ、俺もう大学1年だし」
「そんなん言ったら俺も大学2年生よ…1年半?だよな、学年的には1年でも。なんか長かったな」
「それ、ナマエが聞いたら喜ぶと思うよ」
相変わらず生意気で気の利く研磨の肩を叩く。ゲートから帰ってきたナマエちゃんはものすごく眠そうにしていたが俺らをひと目見ると目をパッと見開いて走り寄ってきた……すんごい可愛い。
「研磨!黒尾くん!久しぶり〜〜!!!!」
「おかえり」
「おーおー元気で…おかえり、それと卒業おめでと」
走り寄ってきたと思えばめちゃくちゃ研磨とまとめて抱きしめられる。
「2人も卒業と大学入学おめでと〜!…すごい時差ボケでつらい」
「10時間超えてるよね?たしか」
14時間、と答えるナマエちゃんのでっっけえキャリーケースを持つ。何入ってんのこれ?
「え、持ってくれるの?そうだ2人にお土産い〜っぱいあるよ、向こうでバイトしたからたくさん買えた」
「へぇ、なんのバイト?」
「英語に慣れたくてニューヨークのど真ん中にある喫茶店とレストラン、あとスーパーでも働いた」
すっっご……!もうペラペラなんだろうな。
「ミュージカルはどうだったの?」
「うーん、私見るほうが好きだなってなった。でも前に見てもらったディズニーのパレードは好きだった…何が違うんだろう?って考えたときにアドリブが効くかどうかだなって」
「うんうん」
「あと、その場ですぐ反応もらえないところもなんか物足りなくて……カーテンコールなるまで微妙なのか拍手喝采なのか分からないからさ」
大きな研磨のお母さんのワゴンに荷物を詰め込み、ひとまず研磨の家へ。今日は全員集まってパーティーだそうだ、父親はなんやかんやナマエちゃんの両親と初めて顔を合わせるからど緊張してたけど、ナマエちゃんにそっくりなお母さんと意外と気さくなお父さんで打ち解けてた。今頃は料理の準備をしてるんだろう。
「ただいま〜!あー疲れた…」
「おかえり、まぁ鉄朗くんに荷物持たせて!自分で持ちなさい」
「まあまあ、こんな重いのよく持って帰ってきたね」
「色々買ってたらそんな量になっちゃった」
おみやげの開封式はあとでね、とひとまず全員で食卓を囲む。
「はい、じゃあ研磨から1言」
「……え、俺?……おかえり、卒業おめでと」
本当に1言だけどナマエちゃんは嬉しそうにニコニコ笑ってる。ナマエちゃんと研磨は小さい頃からベッタリで双子のように育ってきたと研磨のお母さんから聞いてる。磁石みたいに反対の性格だったりするけど、それが逆に噛み合うんだろうな。
わいわい談笑しながら俺らの大学の話やナマエちゃんの向こうでの暮らしの話をする。友達が何人もできたみたいで、今度日本に遊びに来るそうだ。
「ホームシックならなかったの?」
「なるに決まってんじゃん、だから今日和食リクエストしたんだよ〜〜
たまに作ったりしてたけどなんか違うんだよね」
豪勢にしたい親たちの期待を裏切って味噌汁と卵かけごはんをリクエストしてきたナマエちゃんは、もりもりと肉じゃがやら漬物やらを食べてる。
「今日はいっっぱい食べる、向こう行って一回の食べる量増えちゃったんだよね」
「写真のご飯全部デカかったもんな」
「もうね……適当なステーキがリリくらいあるんだから」
リリはナマエちゃんのお家にいる猫。写真では見たことあるけどかなり可愛い白猫だった。猫くらいあるステーキか……うん、デカいな。
「はい、おみやげ!これはお父さんとお母さんに」
タペストリーと色鮮やかなスカーフ、そしてタンブラーを渡している。
「これ研磨のママに!アップルパイとかマドレーヌの型!」
「あら〜!可愛い!ありがとう!」
「研磨のパパはこれ」
乾燥肌で悩んでる研磨のお父さんにヤギミルクのボディクリームを渡していた。オーガニックで肌に優しいんだとか。ナマエちゃんが使って感動する使い心地だったから買ってきたらしい。
「黒尾くんのパパにはね、よいしょっと…」
たしか香水だったけど…買えたのか?指定したブランドの香水を渡されてニコニコと喜んでる。
「はい次研磨と黒尾くん、いっぱいあるよ〜」
いくつあっても困らないスウェットやらお菓子やらがいっっぱい出てくる。
「どんだけ買ったの…」
「全部食べて美味しかったやつだよ」
「すっげー、まだ出てくる」
研磨が引いてる顔してる。カロリーが高い料理が多いからって夕飯の自炊はしっかりしていたみたいで体型を維持できてるナマエちゃんはすごい。加えてこの量のお菓子を制覇してることもすごい。
両手で抱えきれないほどのお菓子を受け取る。消費するのに1ヶ月以上はかかんだろうな…。
「ていうかこのジャージは何?」
「ホストファミリーにバレーやってるんだよって言ったら、有名なチームのスポーツショップつれてってもらってさ…あとはそのチームのタオルとかしかなかったから、まだ無地のスウェットの方が使えるかな〜って」
なるほど。使い勝手いいし助かるわとお礼を言う。
「研磨もう黒尾くんとやらないの?」
「たまに趣味程度でやるくらい、もうガチガチの試合はいーかな」
「明日アレよ、烏野のチビちゃんたちのとこ合宿にお邪魔すんのよ…ナマエちゃんも来る?」
そう誘うと春高の子だよね?と返ってくるから頷く。
「起きれたら……!行く!!起きれたら…!」
「無理はしないでね」
(全然眠くないどうしよう)
(時差ボケだね…俺ゲームするけどやる?)
(じゃあ見てよっかな)
(じゃあ俺もよっこいしょ)
(ちょっとクロ、狭いんだけど)
(じゃあ私もよっこいしょ)
(ナマエ、俺潰れるから)