29 素敵なハロウィン
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This is Halloween
*マルコ
「チッ、クソが……何へばってんだよい」
「マルコ、返り血ついてんぞ」
覇気を浴びせただけで気絶した男を放り出す。エースによるとやはりこの学園の生徒ではなく外部のモンらしい。青い顔で意識がないニアを見ているときにぽろっと聞いたが、この学園は相当優秀な魔法を使えるやつしか入れないらしい。一般市民……今日だと来場者の中にも魔法を使えるものはいるものの、レベルが違うと。
つまりこの学校に入るのは魔法使いの中でもそれだけでステータスになる。なりすませるやつは入るには至らない程度だが、一般市民の中では魔法が使える方なのではないか……とヴィルが予想を立てていたが当たりだったねい。
「もし、そこの素敵なお二方」
「あ?………あー!お前!!!」
「何だよいエース………お前、肖像画の……」
妖精の魔法によりニアが見えなくなった。マレウスとリリアというチビが妖精になんとか交渉して戻してもらい、言われるがまま入ったオンボロ寮の中に飾られていた絵のやつだ。なんか……ニアが気に入って何度も何度も読み返してる絵本のやつに似てるよい。
「こんにちは。我輩はスカリー・J・グレイブス……と言っても、先程オンボロ寮の中でお会いいたしましたね。しかし対面は初めてですので、この素敵な出会いにキスをしても?」
す、とどっかの気障な王子みたいな挨拶をするスカリーにエースは固まりっぱなしだ。断る暇もなく手の甲にキスされた。この感じだとニアもやられてるだろう……確かに敵意は感じねえが……ニアにはもう少し初対面のやつに触られねえようにしろと教育しないと。
「……お前……もしかしてゴーストなのかよい?」
「えぇ、我輩はこの学園の卒業生であり天寿を全うしております。今は若いときの姿ですが……事の顛末は見ておりました。先程、夢に近い空間にてニアさんを起こしてきたので目が覚めたかと……そちらのお方がハロウィンを台無しにしようとした輩でしょうか?」
ニコニコしていたのにす、と目が細まり真顔になるスカリーからはピリピリした圧を感じる。
「あぁ……話聞こうとしたら伸びちまった」
「ふむ……ではこうしましょう」
パチン!と指を鳴らしたと思ったら覇気で伸びていた男が目を覚ます。
「ひっ!…‥な、なんだお前ら…!」
「こんばんは。我輩はスカリー・J・グレイブス。ハロウィンを愛し、ハロウィンを守るもの。しかし残念なことに……貴方は皆が待ち望んだ楽しいハロウィンを卑しい方法によって壊そうとした!……その愚行は決して許されません」
「は!?スカリー…ってお前、ハロウィンの王のコスプレか?!!」
ハロウィンの王……?あとで色々聞いてやらねえとねい。何か呟いたと思ったら、男がかぼちゃになった。
「…た、助けてくれ〜!!!」
「すげ〜!あいつかぼちゃになっちまったぞ、マルコ!」
「見てたから分かってるよい……どうするんだよい?俺としてはこちらで片を付けたいんだけどねい」
「ふふ……我輩からの提案がございまして。オブジェとしてよく見えるところにおいておくのは如何でしょう?
今年は少しばかり……マナーに気が回っていないお客様もいらっしゃる。ナイトレイブンカレッジという普段は立ち入れない空間にはしゃいでいるのでしょう……見回してきた限り、旗が壊れたり、ライトは引きちぎれたりしていますね。だからメインのパンプキンはどう扱いを受けるかは憶測になりますが……」
「ひ、ひぃ〜!!!助けてくれ!!悪かった!もう薬を配らねえと約束する!!」
「何が約束だよい、現に知らずに食っちまって中毒症状出てたガキがいんだぞ……五体満足で帰れると思うなよい」
「そうだぜ、まる焦げにしてやってもいいんだぞ」
「あぁ、素敵なお二方…どうか怒りを沈めてください、血に染まるハロウィンは素敵なハロウィンではございません。我輩にどうか、任せていただけませんか?」
「………分かったが交換条件がある。ニアにもう一度会ってやってくれよい」
「え?」
「なんならモビー遊びに来いよ!ニア喜ぶぞ、お前も好きそうなハロウィンの絵本持ってるし」
「なんとお優しい言葉!必ずやパレードに間に合うようにいたします。……では、我輩は失礼します」
半透明になってかぼちゃごと消えた。部屋に戻るか……。ゲストを再入場させ、各々決めた暴力沙汰にしないで退場させるルールを寮ごとに決行していくらしい。
「お!ニア寝てんのか……ってなんだよ」
「……血」
腕を伸ばしたエースからニアを遠ざけるようにしたライオンのレオナが顰めっ面でウェットティッシュを差し出してくる。
「言っとくが何もしてねえよい……勝手に鼻血出しててねい」
「やだ、通りに血が垂れてるなんて景観として最悪よ。ちゃんと拭き取ってくれたのかしら」
「水撒いといたぞ……よし!ニア〜、パレードの準備するってよ」
「んえ……えーす?」
「おう……気持ち悪ィの治った?」
「治ったぁ」
「そっちレオナな、おれこっち」
本当によく懐いてる……まさかレオナが抱きかかえてるとは思わなかった。
「それにしても……このコートの装飾凄いねい」
「なー!なんだっけあのサルベージルール作ったやつ……あいつみたいだな」
「あれも言い伝えの姿だろうよい……サーベルか。ハルタのいい相手になりそうだねい」
「ハルタ?」
「ニアを目に入れても痛くないって言い張ってるおれの兄貴でマルコの弟。今日ホントは来る予定だったんだけどよ……来なくてよかったな、さっきのニア見たらあいつ発狂するだろ」
「お前も炎撒き散らかして走ってっただろうがよい……」
どこも焦げ付かなくて良かったと安堵したものだ。起きてぽやぽやのニアはクルーウェルの足元に座り込んでまた眠ろうとしてるので抱き上げる。
「どうした、どこかだるいか?」
「ねむいの」
「始まるときにまた起こすから少し寝るよい」
薬の副作用だろうか。それともあのマシュマロの?あぁ……思い出したらまた腹が立ってきた。
「ねない……スカリーくんの絵もつの…」
「スカリーの絵?」
「先ほど、学園長に許可を頂いて……ハロウィンの王の肖像画とパレードを見る!って」
リドルが教えてくれた。なるほどねい。
「……実はよ、さっき会ったんだよ」
「「「「え??!?!」」」」
「静かにしろよい!起きるだろうが…!」
「も、申し訳ありません……ですがにわかに信じ難く…」
メガネずらしてまで驚くアズールに声量を抑えろ、と続ける。
「ほんとだぜ?ニア会いたがってるからまた顔見せろっつったらニコニコして消えたからな……」
「ハロウィンの時期にハロウィンの王が…?!帰ってきてるということでしょうか?」
「どちらにせよ、パレードを大盛況に終わらせないとね。後輩として恥ずかしい姿は見せていられない……学園長、僕は先に門へ戻りゲストの誘導を行います」
リドルを始めとして全員のやる気が高ぶったみてえで、キリッとした顔つきだ。アイツ凄えんだな……。
ハロウィン、国によっては死者が帰ってくるお祝いの日だ。各国にそういうしきたりは文化はあるものの、静かに荘厳に行うところもあれば着飾って音楽を鳴らしてパーティみたくするところもある。同じ死者が帰ってくる、それを出迎えるという行為も国で違うから世界を超えたらもっと違うのだろう。
「じゃあ絵、借りに行くよい……エース、ニア持て。お前が絵を持って焦がしたら最悪だからねい」
「焦がさねえよ……」
「何言ってんだよい、アズールのとこ焦がしといて……マレウスのところだったな。着いていっていいかよい?」
「あぁ、僕達で案内しよう」
マレウスはでけえし見失わずに済む。オンボロ寮に立ち入り、デケェ額に飾られてるスカリーの肖像画を外してもらう。
「どこら辺で見たらいいよい?」
「そうじゃのう……メインストリートを歩くから図書館前などどうじゃ?運動場横の道などは人が多そうじゃ」
「図書館っつーと……イデアのところかねい」
ニアがマークで書いてくれてるから分かりやすい。図書館前まで移動し、立入禁止でない・なるべく人がいない高い場所に登る。
「ニア、ニア……そろそろパレード始まるよい。ほら、スカリーの肖像画」
「んえ………もうパレードする?」
「するってよ!色んなとこの生徒がアナウンスしてら……ほら、あれエースたちと同じスケルトンの仮装のやつらいる」
「おお……スカリーくん見えるかな?」
「むしろニアが見にくそうだけどねい」
自分の膝の上に馬鹿でかい肖像画を載せてるせいで横から覗き込むような姿勢になってる。一応俺も掴んでるから間違っても落とさないようにはしてる。
段々と日が傾き、辺りが暗くなる。ストリートにおいてあるキャンドルがいい雰囲気だ。迷惑なゲストは追い出せたんだろうか?……来たときより混乱、注意してる生徒やゲストは確かに見ないし聞こえてこない。
「おや……もし、そこの素敵な貴方」
「!」
「ふふふ、ニアさん。先ほどぶりですね……我輩をお誘いいただきありがとうございます」
「スカリーくん!」
駆け出したい気持ちと大事な肖像画を落としたくない気持ちのニアの動きが可愛くてたまらない。
「持っててやるよい、ニア」
「ふふ……スカリーくん、遅いよ!」
「も、申し訳ありません。準備に手間取ってしまいました……ご一緒しても?」
「おー!ニアの隣座れよ」
「スカリーが膝乗せてやれよい、肖像画は俺が持っとくからねい」
「あ……マルコ見て、スカリーくん居なくなってる!」
指差すニアの言うとおり、肖像画を覗き込むと確かに居なくなってる。ほう、芸が細かいねい。
「出てきちゃいました」
「すご……!!!!魔法使いだから?」
「そういう事にしておきましょう……では、ニアさんこちらに。寒くありませんか?」
「寒くないよ〜!」
うきうきしてるニアの頭を撫でる。ゴーストだとしても今日くらいはスカリーも好きに行動できるんだろう。だが、リドルの口ぶりからして普段からいるゴーストとの違いは成仏したかしてないか、だろう。
天寿を全うしたとスカリーは言っていたし、大好きなハロウィンの日だけは帰ってくるんだろうか?
音楽が鳴り、ニアが持っていたパンプキンバゲットを持ったマレウスたちがぞろぞろ歩いている。お菓子を配り歩きながら全員で回るのか。
「お〜!」
「おや……人の子、素晴らしいゲストといるのだな…ハッピーハロウィン!」
「マレウスくん、わっ」
「くふ、ワシもあるぞ〜」
お菓子祭りだな……。サッチが頭を抱える量の菓子だ。
「皆様、ハッピーハロウィン!素敵ですね」
「ハロウィンの王に褒められるとはなぁ……レディ、俺ら以外から菓子を受け取るなよ」
「わかった!」
そういいながら両手をスッと差し出したニアに大量のキャンディを渡したのはラギーとジャックだ。
「食いきれねえよい……」
「うわぁ山盛りなんですけど……ってえ!??!ハロウィンの王??!?!え、何本物っ!?」
「はい、イデアさん。素敵なハロウィンですね」
「すごいや……まさか教科書に載ってる人に会えるなんて!はい、ニアさん。スキャンしてあるから安心して食べてね」
「オルトくんありがとう!」
「こら、少しは警戒心をだな……分かった分かった、やるからそんな目で見るな。ちゃんとお兄さんたちの許可をもらったものだけ食うんだぞ」
世話焼きのジャミルとカリムも立ち寄ってくれる。いちいち立ち寄ってるのはニアだけだ、周りもチラチラ見てきてる。
「スカリーくんにあげる」
「ありがとうございます!宝物ですね」
イチャイチャしやがって……良かれと思って勧めたがここまでイチャつかれるとイライラしてくる。
「お、ニア見ろ!ヴィルだぞ」
「船だ……海賊じゃないのに?」
「パレードの構成メインなんじゃねえかよい?ヴィルはこういうの考えるの上手そうだ」
「けーくんもいるよ!」
「ジェイドもいる……おーい、ジェイド!」
エースが少し大きな声で呼びかけるとジェイドは気付いたようで目を丸くしたあと、ケイトとヴィルの肩を叩きこちらを指し示してきた。3人とも恐らくスカリーがいることに驚いたんだろう。少しぎこちなく手を振ってきたのを嬉しそうに手を振り返すニアは本当に楽しそうだ。
「トランプたちだ」
「BOO!…ははっ、ビビってやーんの」
「エースくん意地悪」
「ハロウィンはこういう日なんですぅ〜、あんまりぼけっとしてるとゴーストに狙われんぞ」
「お兄さんたちがいるから平気だろ、ほらキャンディ。ハッピー?」
「ハロウィン!」
「稚魚ちゃ〜ん、楽しそうだねえ?あ…?金魚ちゃんたちはアメあげねえの?」
「そんなにあげたら持って帰れないだろう?それに…ハロウィンの王がいると少し…恐れ多いよ」
「何を仰るんですか、皆様とても素敵です!素敵なハロウィンで我輩は胸の高まりが止まりません」
「ほ、本当に居るとは……ニアさん、どうやって肖像画から出したんですか?」
「分かんない、気づいたら…?」
アズールとひそひそ話してる二人とも頭を撫でる。ニアが呼び出したと思ってるアズールも、肖像画から出てきたと疑わないニアもどちらも可愛い。
「おや、Petit Clown!それにハロウィンの王まで……ふふ、お目にかかれて光栄だ。ハロウィンを楽しんでいるかい?」
「ヴィルお姉ちゃんの彼氏なんだよ」
「なんとまあ…!ニアさんは情報通ですね」
良かった、スカリーも一応ノッてやるタイプなんだな。夢を壊されず助かったよい。
「あ、ニアちゃんやっと会えたね…こんにちは、おれ…僕はエペル・フェルミエです。ハッピーハロウィン!どうぞこちらを」
エペル「くん」と呼ぶニアを見る限り、エペルは男と認識してるのか。ヴィルとはまた違うがよっぽどエペルのほうが女っぽいが……。礼を言いつつキャンディを受け取る。
(パレードおわり?)
(暗くなったから終わりだなあ、多分)
(見て、マルコ。やまもり!)
(お〜……虫歯ならねえようにしねえとねい)
(あ、いたいた!ニアちゃん、マルコさんたち〜!)
(おーケイト、お疲れ様!すげーかっこよかったぞ!)
(ありがとうございます!へへ、皆で写真撮りたくて……まずはその4人で!はい、チーズ!)
(次は〜ハーツラビュルと撮ろ!皆呼んでるんだよ)
絵画に戻る(霊界に戻る)際の別れの惜しみっぷりはマルコさんは見ていて吐き気がするほどイチャイチャしてたとのこと。エースは本当にハルタを呼ばなくてよかったと安堵していたそう。
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