Marco Papa
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
おともだち
ニアが見聞色の覇気でクジラなどの海洋生物、ごく一部の海王類とも話せることが発覚してひと月も経たないころ。
文字を完璧に覚え、本の虫と化したニアは俺の部屋やイゾウ、航海士やナースの部屋を回りひたすら本を読み漁っている。
子どもには難しい部類の本が多く、1日数ページ理解できたらいいほうだが逆にそれが本人には燃える要素になっているようで、めきめきと勉強中だ。つい先日見様見真似の航海図描き出したときは騒然としたもんだ。
単語の意味がわからないから辞書を片手に本を読む姿が定着したニアの動きが止まる。床に転がり耳を当てるようにする仕草に、「クジラやイルカ?と話せる」と言った日を思い出す。
「…だれかいる…」
「人か?」
「ううん、モビーのした…こどもがいる」
子ども…はぐれた人魚のガキか?
「こっからじゃこっちの声も分からねえよい?」
「うーん………」
眉間にシワを寄せて悩むクセがついてしまったニアを抱きかかえ、甲板へと向かう。ついでに眉間のシワを伸ばしながら。こんな変なところで俺に似ないでほしいよい。
「…お〜ニア、お前も魚釣るか?」
「……いっぴきちょうだい、」
手摺によじ登り指笛を吹くニア。いい指笛だ、よく音が通る。とりあえず呼ぼうとしているのだろう。不思議そうなエースに先程のやり取りを話す。
5分ほど待っても何も来ず、ニア自身もだめかぁと諦めの声を上げたころ船が少しだけ揺れる。
「わっ」
「ニア!!!」
「バカお前は飛び込むなエースッ!」
ただでさえ軽いニアはバランスを崩し海へ落ちるのを引き留めようとエースまで海に飛び込む。泳げねえだろうがあのバカ…。
急いでサッチを呼び浮き輪を寄越せと隊員へ指示を出す。
「わ、マルコ〜!クジラだったあ!」
下から声が聞こえて見てみれば、白い子クジラの頭にエースとニアが器用に乗っている…いや、拾われたのか。
キュイキュイ甲高い鳴き声で返事をするクジラにニアがエースが釣り上げた魚を口に入れてやれば、一応喜んでる様子だ。
ビスタにオヤジを呼んでくるよう頼み、ニアとエースたちに声を掛ける。
「平気かよい!?」
「ちょっと重いって」
いっちょ前に文句言ってるらしい子クジラをみると、右ヒレに大きな裂傷がある。ニアが感づいたのはこれだろう。
うちに獣医はいねえが……念の為かけあっとくかねい。
「グララ…こりゃまた偉い光景だなァ…ニア、お前が呼んだのか?」
「いたそうだったから…」
サメのような海王類に噛まれたらしい、そんなやりとりまでできるのか。怪我といい、いま単体のクジラだけなのといい群れや母親とは逸れたようだ。
「オヤジ、久しく会ってねえしアイツ呼びてえんだがいいかよい?怪我は…こっちでなんとかするよい。」
「誰が断るんだ、ハナタレが…」
上機嫌のオヤジに撫で回されつつ、ニアたちにモビーに寄れないか尋ねる。
モビーを母クジラの腹、ニアの指笛を自身を呼ぶ声かと思って寄ってきたらしいクジラはこちらをかなり警戒しているようで、ニアの説得にも応じない。
「…ニアが治してあげようか?」
「ダメだよい、使うな」
「でも、マルコ…」
「お前が痛がらなくても治せるよい」
「どの口が言うんだか…」
茶々入れてくるハルタにうるせえ、と返す。説得にようやく応じたのは日が落ち始めたころだ。小舟を出して近寄り治療をし、なんとか包帯を巻けばすっかりニアに懐いた子クジラはノアという名前なのだと教えてくれた。
「俺らの知り合いにジンベエザメの魚人がいる、そいつに群れ…母親たちを探してもらうよい。ジンベエが来て、見つかるまでの間モビーもスピードを落とすよい、お前もしっかりついてこい。はぐれるなよ」
「キュイ!」
「よかったねぇノアくん」
ニアが撫でると怪我してるくせにバシャバシャと大きく体を揺らすノア。
「ジンベエザメってなに?」
「クジラの仲間だ、会えば分かる。体は大きいけど人を襲わない優しいクジラだよい」
そう説明するとへえ〜!と興味津々の反応が返って来る。早く図鑑買ってやりてえところだ。
次の日の夜明けにもうジンベエはモビーにつき、ニアとの初対面。
寝ぼけてフニャフニャだったニアがびっくりして硬直している。
「マルコさん、この子ですかい?…クジラと話せるっちゅうんは…!思ったよりも幼くてびっくりしとります…」
「ジンベエザメ…?」
「ジンベエザメの魚人だよい、半分人間半分ジンベエザメっってイメージで分かるか?」
頷いたあといいなあ、と呟いたのも聞こえた。
2日も経たず群れが見つかったとジンベエから申告がある。さすがだ、早い。
当のニアはせっかくできた友達ともうバイバイなのかと数時間前からしょげている。
「そうだ、お主にいいものを作っておいてな…貰ってくれるか?」
ジンベエがほそい縦笛のようなものをニアに渡す。
「…フエ?」
「クジラや一部のイルカやシャチなどに聞こえる周波数を出せる笛じゃ、お主なら使いこなせるだろう」
「!いいの?」
嬉しそうに笑うニアとジンベエ。よかったな、と声を掛けると早速笛を使ってノアとコミュニーケーションをとって大はしゃぎしている。
(次会うときはモビーくらいでっかくなってるかもねい)
(…ニア、エサと間違われて食べられちゃうかも…)
(ギィ〜!!!!)
(はっ、間違えねえよってキレてるよい)
(恩深い生き物ですからなあ、きっとお主のことは忘れんだろう)
(ふふ…ノアくん、ママにもよろしくね)
