29 素敵なハロウィン
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Halloween is Fear
*ニア
「マルコ、マルコどこ…っ?……エース、エース!!!」
せっかく仲直りのチャンスだったのに、ニアが前に本で読んだまんまの小さくて羽の生えた妖精が入っちゃだめってところに入り込んだお兄さんたちにたぶん怒って、あたりを真っ暗にした。
何も聞こえないし見えない、誰もいない。
ジェイドくんからもらったお菓子を入れるランタンのバスケットがぼんやり光ってるけど、外でオンボロ寮って呼ばれてた建物も何もない…。魔法?に巻き込まれちゃったのかな…。
「う、う……マルコ…エース…」
「もし、そこの素敵なお方。どうか泣きやんで?今日は素敵なハロウィンの日なのですから」
後ろから声がして振り返る。絵本の中のジャックにそっくりなお兄さんが立ってる。
「……だれ…?」
「大変失礼を。申し遅れました、我輩はスカリー。素敵なお嬢さん、あなたのお名前は?」
マレウスくんよりも大きい、スカリーくんは膝を折ってしゃがんでもニアより全然大きい。
「ニア……スカリーくん、ここどこ…?」
「ニアさん、素敵な名前だ。ここは…うーん、我輩にも分からなくて。妖精のいたずらでしょうか?」
「暗くて怖い、ニアここイヤだ…」
「大丈夫、ほらこうすれば…。二人一緒なら怖くないですよ」
スカリーくんが手を握ってくれる。あったかい…黒いメガネも怖い、と言ったら外してくれた。
「ニアさんはどうしてここに?何をしてらっしゃったんです?」
「ナイトレイブンカレッジの…ハロウィンのお祭りきてたの…マレウスくんたちの龍の仮装見てたら、入っちゃいけないところに入って、だめだよって言ってるのに動かない人たちがいて…怒った?妖精さんが出てきて、真っ暗になっちゃった」
「それは大変でしたね…でも、貴方もハロウィンに!素敵な偶然だ。ニアさんはハロウィンはお好きですか?」
「うん、だいすき!クリスマスよりも好き〜」
「それは嬉しい、我輩もハロウィンが大好きなんです。」
「スカリーくんも仮装してるの?」
「ふふ、これは憧れのハロウィンの王の仮装です。我ながらかなり似ていると思いますよ」
「絵本で読んだジャックっていう王さまそっくり!」
「!!…ふふ、それは嬉しいな…この良き出会いにキスをしても?」
「……そういうのは好きな人とやるんだってマルコが言ってた!」
「あぁ失礼、口へのキスではなく手への挨拶のキスのことですよ」
「そうなの?」
失礼、とスカリーくんが手の甲にキスしてくる。王子様がやるやつだって絵本に書いてあった…。スカリーくんはどこかの王子様なのかな?
「あぁ、そろそろお時間のようですね…ハッピーハロウィン、素敵な夜を」
「スカリーくんは?一緒に行かないの?」
「えぇ、我輩はここでやるべきことがあるので…また来てくださいね、ニアさん。さあ……目を瞑って」
スカリーくんに頭を撫でられると急に眠くなってくる。ユサユサと揺れる感覚に目を開けると、マルコとエースがいた。
「あれ…?」
「いつのまにこんなとこ来て…さっき凄かったんだよい、どこも変なとことかねえかよい?」
手や足を見られる。マレウスくんの説得に応じた妖精さんがひとまずニアを戻してくれたらしい。騒いでた男の人たちはまだらしいけど…。
「ここどこ…?あれ、あっちに灯りがある…」
「オンボロ寮ってとこの中だよい、本来は立入禁止だから早く出るよい」
「…あれ…?」
この人、さっきの…?
「こいつに見覚えあんのか?」
エースもまじまじと見てる。
「さっき、真っ暗なとこにいたんだけど…この人いた。スカリーくんって言うんだって」
「これ肖像画だろ?…それゴーストじゃねえの?」
エースに違うよ、と返す。
「だって暗くて怖いって言ったら手握ってくれたもん、それにまた来てねって言ってた」
そうエースに言うとう〜ん、と唸ってる。ゴーストは透けてるし、きっと触れないはず。スカリーくんはちゃんとあったかかったもん。
「おお、妖精が無事に返してくれたか!巻き込んでしまってすまんのう……一部のゲストに対する対応を緊急で実行委員で話し合う間、お主らはヴィルの元へ避難していてくれ」
すまぬの、と頭を撫でてくるリリアくんにマレウスくんたちは?と聞くと話し合いに行ったらしい。
いくつか貰ったお菓子をスカリーくんの絵の前において、ヴィルお姉ちゃんの元へ向かう。ここもけーくんみたいなスマホを持って撮影してる人たちで溢れかえってた。
「ヴィルお姉ちゃん!」
「あら…ふふ、可愛いピエロね?」
ヴィルお姉ちゃんとルークくんは…ドラキュラだ!可愛い〜!!!
「か、かわいい〜!!お洋服ステキだねえ」
「フフ、ヴィルに怒られながら徹夜して拘った甲斐があるね…」
皆衣装手作りなのすごいなあ〜。
「それはそうと…ご挨拶はまだかしら?」
「あ、トリック・オア・トリート!」
「すごい大量ね、一気に食べたら肌が荒れるから少しずつ食べるのよ」
いちごの飴をもらった。ルークくんは葉っぱの形のチョコレート。
「……なるほど、この人が前言ってたジャガイモのお兄さんね…顔はいいのにスキンケアが雑、肌も乾燥してるし唇もカサカサ…クマまで出来てて最悪」
「は?え??」
「可愛い妹のためにもっと身だしなみは最低限頑張らないと駄目よ」
ダメ出しいっぱいされたエースはしょげてた。
「お前らも向かうのかよい?なんか…緊急会議とやらに」
「ええ、ルークにここを任せて行くつもり。…会議中は無理だけど行きがてら校舎案内できるわよ、来る?」
「行きたい!!くるえるせんせ、いるかなぁ」
「やだ、クルーウェルとも知り合いなの?抜かりないわね」
ヴィルお姉ちゃんが手を繋いでくれるので一緒に歩く。どこ行ってもカメラを向けられて人気者なんだな…。エースくんが前スーパーモデルって言ってた。スーパーモデルが何かよく分からないけど…とにかくきっと凄いんだ。
「ちょっと、そこ花壇踏んづけてる。グレートセブンの像に寄りかからないでちょうだい!」
「なんでみんなだめって言われてるのにやるの?」
「……バカだから?」
「エース、言葉選べよい。……アホだからに決まってるだろい」
「どっちも同じよ……品がないのよ」
な、なるほど…3人ともほぼ同じようなこと言ってた気がするけど…。
「あっ」
「つめた…」
なんの匂い…?ぶどうジュース?
からのカップを拾い上げると、ぶつかって来た人たちと目が合う。
「ヤバ…」
「だって仕方ないじゃん足元暗いんだし!」
「おい、まずは謝罪だろうが…どんだけ小さなガキにぶつかってんだよ」
「エース、覇気だすのやめて!」
「わざとじゃないんだから仕方ないでしょ、そんな怒らなくてもいいじゃない!」
「ぶつかってジュースかけといて開き直りかよい、なにも弁償しろなんぞ言ってねえだろ。謝れって言ってんだよい」
「マルコもやめてよ…」
「近くの売店からタオル借りてきたわ、ベトベトするだろうけど一旦これで……てあの二人めちゃくちゃキレてるわね、いつもああなの?」
「……ニアはあんなに怒られないよ…」
「フフ、いたずらっ子って聞いたけどどうかしら…あら、ありがとう」
ヴィルくんと同じドラキュラの衣装の人がおしぼりをくれた。
「せっかくエースくんとフロイドくんに描いてもらったりしたのに…」
「アタシがもっと綺麗にしてあげる…シールがフロイドね、なるほど。ぐちゃぐちゃだった理由がわかったわ。」
魔法のペンをヴィルお姉ちゃんが振るとシールが宙に浮いてニアの顔に戻ってくる。
「リップはある?ここの島は乾燥するから」
マルコからニアのリップを受けとって塗ってくれる。おしぼりのおかげで腕のべたべたも取れた。……ちょっとだけぶどうジュースの匂いするけど。
*マルコ
お姉ちゃんと慕うヴィルに手を引かれ、ちょっとしたトラブルはあったもののニアは楽しそうにニコニコしてる。校舎と言われる建物は想像よりデカく、まるで城だ。
「すげ〜…!こんな城みたいなとこで勉強してんの?」
「えぇそうよ。趣があって素敵でしょ」
4人で歩いていると、前から目立つ服装の男が歩いてくると同時にニアが反応する。
「くるえるせんせー!」
「仔犬、危ないだろう……どうも、NRCの教師のクルーウェルです」
仔犬…?と首を傾げていると名乗られるので俺とエースも名乗る。
「あぁ、貴方がマルコさん…仔犬が以前遊びに来たときに色々教えてもらいましてね。ステイ、ところ構わず触るのは危ないと前も教えただろう」
壁を触るニアの手を取るクルーウェルにただただ目を丸くしてるとヴィルが笑い出す。
「犬じゃないもん、ピエロだもん」
「道化師であっても仔犬は仔犬だ……シェーンハイト、緊急会議か?一旦一般ゲストはこれ以上の立ち入りを止めるよう学園長から伺ったが……」
「ニアたちは迷惑客じゃないから、ゲストルームかどこかで待っていてもらうつもり……迷惑なゲストにジュースかけられたの、この子」
「ふむ……では俺が案内しよう」
ヴィルに礼を言って一旦別れることに。ニアはついて行きたがっていたが、クルーウェルの「紅茶」に釣られた。
「せんせもパレードでるの?」
「生徒が主役だから俺は出ないぞ……兄上たちは楽しめていますか?」
「そりゃもうねい…至るところで魔法を見すぎて飽和状態だよい」
「な〜!ニアの言うとおり絵も動いてるしよ!当たり前に物浮いてるし」
魔法みたいな能力だ、と言われてもやはり魔法ではないしニアによれば色んな種類の魔法が使えるらしい。俺らは基本悪魔の実で得た1つの能力に幅を足していくが、属性すら異なる魔法を扱える魔法使いとはやはり違う。エースは火の能力しか使えねえから水なんて出せねえからな。
興奮気味に話すエースとはしゃぐニアを見て満足そうに口角を上げたクルーウェルに案内された部屋に入る。
「狭くて申し訳ないが……紅茶くらいはご馳走できる」
「桃のがいい!」
「分かった、用意しよう」
「すげー!ポット勝手に浮いてる!」
「フッ……同じことではしゃぐんだな、さすが兄上」
ニアも初めて見たとき同じことで大はしゃぎしていたのだというクルーウェルは至極楽しそうに俺らを見ている。
「本当に人体から火が出るのか拝見しても?」
「エース、加減しろよい」
「おう!ほい」
「おぉ…」
「せんせ、熱いよ?マルコのは熱くないけど」
どういうことだ?と思い切り顔に出ているクルーウェルに不死鳥の炎を見せると目を輝かしている。さっきとは立場が逆転してるよい。
「不死鳥…!魔法生物としてこちらにもいるが伝説上の生き物だ…触れても?」
「アッハハ、ニアみたいだねい……モチロンだよい」
(…コホン、柄にもなくはしゃいでしまった)
(いいよい、意外と可愛いやつだねい)
(かわ……!??!)
(今度せんせもモビーに遊びにきてよ、エースくん達みたいに)
(歓迎だけど……ぶっ倒れねえか?なんか潔癖ぽいしよお)
(ナースの周りなら綺麗だねい、野郎の周りは汚え)
(エースもだよ、お部屋きたない!)
(片付けようとは思ってんだけどよ〜…)
