Marco Papa
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オニの子
✳エース
眠りが浅くて何度も見た夢。まさかオヤジの船に乗ってこんなに日が経っても見るとはな…
大犯罪者の息子。鬼の子。生きてるだけで罪。子供が親から「可愛い」「愛してる」と言われるのと同じように、何度も何度も俺の中に刷り込まれた言葉。
もちろん、自分が船長をしていた時期に出会った仲間たちとオヤジと出会っておれは変わった。家族が何千人と増え、受け入れられ、息子と呼ばれ兄弟と呼ばれ生きていてもいいんだと思えるようになった。
オヤジのために、オヤジの夢のためにも生きたいとも思えるようになった。
その事実をおいても思い出したりすると少し気分は良くない。…いや、かなり良くねぇな。なんかジメジメしてる感じだ。浮かない。楽しくないし弾まない。
「エース?」
日光浴して気でも紛らわそうとしてボーッと海を見ながら三角座りしていると、横からニアの声がする。
「… ニア……今起きたのか?寝癖すげーぞ」
どんな寝方したらそんな寝癖つくんだよ、と髪を指で梳いてやる。全然治らねーけど。
「エース、…だれかになんかされた?」
ニアの小っちゃい手がおれの両頬を包む。グイ、と自分に向かせるようにちょっと強めに引っ張られる。
「…なんでそう思ったんだ?」
ニアは見聞色の覇気が異常に発達しているのもあるけど、おれらのことをよく見ている。あの時あんなこと言ってたとか、独り言すぎて覚えてないことを記憶している時もある。
そんなに浮かない顔してたか…
「………だれに何されたの?」
自然な感じで話を逸らそうと声をかけたけど失敗した。誰かに何かをされたんだ、と決定づけたニアはムッとした顔で詰め寄ってくる。珍しい、こんなに怒るニア。
「エースは、ニアのおにいちゃんなんだから 鬼の子なんかじゃないよ」
「!おま、…なんで知って」
「だれにいわれたの」
やばい、誤解させちまった。「鬼の子」なんて言われてるのを知ってるとは思わなかった。マルコか?それともオヤジか?マルコが読んでた新聞記事で見つけたか?寝起きで頭が回ってないのもあって頭がぐるぐるする。
「あ〜…ニア、説明するからちょい待ち」
「またないよ、だれにそんな酷いこと言われたの?今ゆって!!!」
怒り心頭なニアが足を地団駄させながら大きな声で言うもんだから、何人かが振り返る。マルコ、助けてくれ……この様子じゃ誤魔化せそうにもねえ…あいつどこに居るんだ?
「答える、答えるから…誰に聞いたんだ?ソレ」
「…誰にもきいてないよ、エースがこの間自分で寝ながら言ってた。……鬼の子ってわるい言葉?だれにいわれたの?なんでエースが嫌がるこというの?」
矢継ぎ早にニアが質問してくる。ぐ、と両頬に力を込めたニアの手はまったく離れそうにない。
「…どういう状況だよい」
助け舟がきた、と顔をあげると呆れたような顔のマルコと目が合う。
「マルコ…」
あらかた説明したがマルコも眉間に皺を寄せる事案で、マルコもどう説明するか悩んだようではっきりしない態度にニアの怒りは収まらず。
「なんで家族でもない人にエースの今までもこれからも好き勝手いわれなきゃいけないの?」
この有様だ。大きい目からぼろっぼろ涙を流し、ついでに鼻水も垂らし、手を握りしめて顔を真っ赤にして泣き叫びながら怒っている。
「ニア、お前が正しいよい、」
それしか言えないマルコもずっと肯定して宥めているけどニアは泣き止まないし怒りも冷めない。
「ニア、泣き止んでくれよ。いいんだよ、言わせておけばさ」
しゃがんで目線を合わせるとニアは予想と違っておれを睨みつけるように見てくる。えっ、おれなんか地雷踏んだ!??!
「いわれてエースが傷ついてるのがいやなの!!!バカ!」
バ、バカって言われた……マルコは笑うのを一瞬堪えながらニアが正しい、と肯定を続ける。
「なんでマルコもエースも平気なフリするの?!エースが元気ないのに!エースは鬼の子なんかじゃないも゛ん゛!!!!」
ずっと大きな声を出しすぎてニアの喉が潰れかけている。地団駄を踏みながら、顔を真っ赤にしながら、泣き叫びながらずーっと怒ってるもんだからクルーが集まってくる。
最初はまたおれが何かしたのか?みたいな空気だったが理由を察したクルーは何十人といるのに、さっきからずっと静かだ。マルコにもどうしようもないとなると最終手段はオヤジになるわけで…
オヤジがこの図に怪訝そうにやって来た。
「なんだァチビ娘…大層お怒りじゃねえか」
オヤジを見て気が緩んだのか、ニアが一生懸命ワーワー言ってるが更に泣いてしまって殆ど何言ってるか分からないので、マルコが要約して話すとオヤジは大きな声で笑い出した。
「グラララァ、どっちが兄貴で妹なんだかな!」
耳が痛い。
「エース、お前まだ気に病んでるのか」
「オヤジ…いや…完全回復ってわけじゃねえけど……、今元気ねえのは昔の夢見たからだ」
「そうか……なぁニア。俺たちには不名誉な文句がつきものなんだ。
俺もマルコもエースも、今後はお前もなァ。言われもねェことでイメージつけられるし、難癖つけてくるんだ。それが世間での海賊ってモンの扱いだ」
足元でズビズビ泣いてるニアにオヤジが話しかける。
「俺たちの間で愛されてんなら世間から嫌われようと痛くもねえさ。……エースはまだガキっちょろでなァ…まだまだ外が気になるんだとよ。」
(だからお前が思う存分愛してやれ、ニア。妹だろ)
(わがっだ)
(ヴッ、ニア…っ!!僕もうニアがいい子で大好きで、涙で前が見えないよ゛…ッッ)
(ハルタ、お前この中の誰よりも泣くなよい)
(エース、だいすきだよ)
(……ありがとうニア、…泣き止んでくれ。な?)
(あ〜朝から泣かされた)
(全ッ然泣き止んでねぇのによく言うね)
(イゾウもマルコもさ〜、2人とも目滲んでるのに僕だけよく言うよね)
お泊まりでもエースが寝言で口にし、見聞色でもその言葉が飛び交い、悲しそうな顔をするエースに対して許せない!と怒りが湧いてしまうニアちゃん。
彼女の愛に救われる人は何百人といるでしょう。
