Marco Papa
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はじめてのおつかい
言い出したら聞かない、頑固。一緒に暮らすようになってきてわかったニアの側面だ。
「ヤダ行く!行きたいの!!行きたかったの!!」
見たことないくらい仰け反って地面を転がりまわるように泣き叫んでいるのはニアだ。
ハルタが隊員に「おつかい」を頼む様子を見て、自分がやりたい!と申告したが武器の調達のため断られ俺の前で拒否られたんだと泣いて訴えている。ハルタがこの光景を見たら1ヶ月は引きずるだろうねい…。
「ニア、聞いてほしいよい」
「ゔっ、ひっく…」
泣いて痙攣にならないように背中をゆっくり擦りつつ、ハルタはニアが出来ないと思ったから断ったのではなく、武器の調達のおつかいを頼んでいたから断ったことを伝える。
「あらまあ、ご機嫌ナナメだなあ…」
見計らったかのように扉から顔を覗かせてきたのはサッチ、泣き叫んでいるところから遠目に見ていたので助け舟を出しに来てくれたのだろう。
「サッチに聞いてみたらどうだよい?おつかいねえのか」
「…っひ、…おつかい…」
泣き叫んで少しエネルギー切れなのか、あまり元気がないニアがサッチを見上げる。
「おぉ!行ってくれるのか〜?助かるなあ、今日は厨房から離れられねえからな…」
涙の余韻は収まってないが、おつかいに行けそうだと感じ取ったのかニアが立ち上がる。
「じゃあ頼んでもいいか?…たまご1パック、牛乳1本、あとローレル3束。…覚えたか?」
復唱するニアにメモはいらない!と断られる。ここは小さいが盗賊から守ってやってるナワバリの島だ。
この間のように青雉と遭遇、なんてことはないだろう。
お小遣いを準備する合間にサッチが買い出しに出ている隊員たちへ電々虫で連絡したので根回しはバッチリだ。
「分からなくなったらお店の人に聞くんだよい」
「分かった!マルコ、ついてきちゃダメだよ」
「釘刺さなくても初めてのおつかいを邪魔しねえよい。待ってるから、寄り道せず帰ってこいよい」
ニアの頭を撫でる。お気に入りの服を着て、いらないのにクジラのぬいぐるみを持ってモビーを降りていく。
「ホントについていかねえのか?」
「待ってるって言っちまったしなァ、信じて待つよい」
サッチは行ったばかりソワソワしてるから少しは信じてやれ、と背中を叩く。
2時間経っても帰ってこない。サッチの隊員からも特に連絡なし。どうなってんだ?こちらからかけてやろうか、と思案していたところにちょうど「見失った」の連絡が来る。1時間前に見失ったらしく、探し回っていたらしい。
「バカが、見失った時点で連絡よこせ!」
凄まじい怒号を飛ばすサッチに冷静になれと宥める。
「モビーじゃ誰かしらにあうし広いといっても限りがあるから分からなかったが、もしかしたらニアは激的な方向音痴なのかもねい……
ここは手狭な島だ、俺も上から探すよい。サッチはここで帰り待っといてやってくれ、お前がおつかい頼んだんだから帰ってきたら真っ先に褒めろよい、叱るのは俺がやるよい」
「悪ィなマルコ……できれば叱らねえでやってほしいんだが」
「お前だって隊員にブチギレてたろうがよい」
すごい剣幕してたぞ、と告げる。不死鳥の姿になって飛び上がろうとしたときだった。
「ただいまあ!」
ヘロヘロな声が下から聞こえてきた。
「ニア!?…お前、随分時間かかったんじゃねえの…?迷ってたか?」
サッチがモビーから降りてニアの顔を両手で包むようにして安堵している。
なんか、いやに洋服や靴が汚れているねい…。
「…街で、森の先に青と黄色のきれいなお花畑があるっていうから…つみに行ってたの。
はい、マルコ!」
カバンから両手いっぱいの青と黄色の花をうけとる。よく見れば手も汚れている。少し萎れている花に気付いたのか、ニアの眉尻が下がっていく。
「しなしなになっちゃった…」
「花瓶に活ければすぐ元気になるよい……はぁ…ニア。帰り遅くて心配したよい…。気持ちは嬉しいが、一人で無茶しないでくれよい」
しゃがんでニアの目線と合わせる。
「何時間もかからないおつかいなのに、帰ってこなかったら心配するよい…花は一緒に摘みに行けばいい、きれいな景色があるなら一緒に行けばいいよい。
ただ一人で居なくなるのはやめてほしいよい、約束できるか?」
「…うん、ごめんなさい…」
反省したならヨシ、とモビーに上げる。ナースから花瓶を借りて部屋に飾る。
「げんきになる?」
「なるよい…綺麗だな、こんなにいっぱいありがとうよい」
ニアの頭を撫でると照れくさそうに笑いながら抱きついてくる。トラブルメーカーだが可愛い奴め。
「明日、本でも買いに行くよい…前言ってたクジラの図鑑と魚の図鑑とか」
「いいの?」
「あぁ、おつかい頑張ったからねい」
嬉しすぎて小躍りしているニアに笑いつつ、抱きかかえる。わざわざ俺の炎の色を選んでくるところが最高にいじらしい。
(ニア、おつかいで買ってくれた卵と牛乳で作ったプリン食ってみねえか?)
(プリン…?)
(甘くて好きだと思うよい、食ってみろ)
(山みたい…この茶色いの何?)
(それはカラメルソースっつって砂糖と水を煮詰めたソースだ)
(…!美味し〜)
