MHA
Name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
74 ホームシック
*神代くましろ
お腹空いた……。むくりと起き上がる。全寮制が始まって少し。一人で眠るということにいまだに慣れない。
雄英があまりにリスクがある敵連合に対する対策の一つとして全寮制になったのは重々分かってる。分かってるけど……ていうか一人に一部屋で、家具家電とベランダまでついてるこの部屋は将来ひとり暮らしするとき、家への理想のハードルがめちゃくちゃ上がるだろうなと思うけど…。どうしても監獄みたいに思えてしまって苦しい。
「…なんか…ダメかも…」
何かあれば連絡入れていいと言われてるけど、こんな時間だしな…と画面を眺めているとぽたぽたと涙が溢れる。相澤さんに電話する。3コール内で出なかったら共用スペースでなんか…ココアでも飲んで寝よう。
『どうした?』
「はや……」
プルルルル…のプルくらいで出た相澤さんにもしもしとか色々忘れてそんな感想が出る。早すぎて涙一瞬引っ込んだ。
『もっと早くかけてくるかと思ってな…ちょうど仕事終わってスマホ見てた』
「こんな時間まで…早く寝てくださいよ」
『鼻声のお前に言われたかねえな…なんかあった?』
「なんも…なんか無理かもって思って…お腹空いて起きました」
『腹減ったのか滅入ってんのかどっちかにしろ……なんもないの?』
相澤さんと話すと不思議と真っ暗な部屋も平気に思えてくる。冷蔵庫を開けると、水が数本とビタミンなんかのサプリ、それと…キウイが2個。
「キウイと水とサプリがあります」
『あるって言わないよソレ……仕方ねえな…マイク…コンビニ行くか?』
『神代か?着いてくぜ』
ゼンマイだ。
「相澤さん」
『…どうした?』
「………ここやだ、部屋に帰りたい…」
『…そっち行くから待ってろ』
「やだ、帰る…」
ずっと住んでたあの部屋に帰りたい。そう思うとぽろぽろ涙が溢れてくる。ホームシック…?てやつなのかな…。
『くましろ、ちゃんと息吸え…もう職員室出たからすぐ着く。上着は?』
「っ…上着…?」
『うん。結構寒い…貸せマイク。』
『おい剥ぎとるんじゃねーよ!俺も寒ぃわ!!!』
ゼンマイのツッコミの音量がでかすぎて耳がキーンとなる。上着、上着…。ボアフリース暑いかな…いやでも相澤さんがゼンマイの上着を剥ぎとるくらいなら、むしろこのくらいがいいかも…。
ずびずびと鼻を啜るとポコンと通知が来る……確認すると爆豪くん。隣の部屋だ…もしかして電話内容聞かれた…?結構壁は厚い筈なんだけど…。
『ついでに辛ラーメン買ってこい』
ガッツリ聞かれてる…。うるさくしてごめんね、と返すとよく分からないスタンプが返ってきた。なにこれ…?クマなのか犬なのかもわからないし、ポーズも分からない。考えてもよく分からなくて、なにこれ?と送ると寝ろやバカって返ってきたので爆豪くんの部屋の方の壁をペチン!と叩く。
ドンッッッ!!!
「…っふ、ふふ、」
そんな強く殴ることある?と思いコンコン、とノックをするように叩くとLINEが飛んでくる。
『何笑っとんだ、さっさと買ってこい』
爆豪くんの許可とおつかいをもらったのでフリースを着て共用スペースまで降りる。4階のせいで真っ暗な廊下を超えなきゃいけないけど、さっきまでのどんよりした気持ちはなかった。
「くましろ、…泣きやんだの?」
「爆豪くんと壁ドンしあってました」
「何やってんの夜中に…まあいいや、行こうぜ神代」
ゼンマイ寒そうだからと持ってきたマフラーを渡す。ほんとに上着剥ぎとられれててちょっと可哀想だった。
「…寝れてるか?」
「あんまり…寝るようにはしてますけど」
「何が嫌なんだ?共同生活?」
「………部屋に相澤さんがいない…とか」
「ワ〜〜ォ熱烈ゥ…!!!入寮してからなんか模様替えとかしたか?」
「…模様替え…?してない…」
「んな無機質な部屋に住んでたら元気なモンも病むわ…なんか送ってやろうか?神代確か観葉植物好きだよな」
ゼンマイにお礼を言う。植物おいてこの…ホームシック(仮)は良くなるんだろうか?
「くましろ、ちゃんと部屋の換気とかしてるか?掃除はお前のことだからピッカピカにしてんだろうけど…」
「換気……あんまり意識してなかったかも…」
「このあと帰ったら換気しとけ。そういうのでだいぶ心持ちは変わる…はいついた、好きなの買いなさい」
相澤さんに頭をぐしゃぐしゃに撫でられる。とりあえず爆豪くんの辛ラーメンを手に取る。お腹空いたけど…何が食べたいんだ?って言われたら微妙なとこある。
「……んな泣きそうな顔でフラフラすんな…これは?」
スープの中にもち麦のご飯が入ってる。じゃあこれにする、と受けとろうとするとヒョイと戻される。
「やっぱやめ、これくましろ好きじゃなさそうだ」
「おでんとかどーよ」
「おでん……汁飲みたい」
「具を食えよ」
三人でぞろぞろとおでんのコーナーに並ぶ。大根ともち巾着を選んだんだけどもっと食えと卵やら昆布やら追加される。
「おら座れ、どうせ帰ったら食わねえだろ」
コンビニの外のベンチに腰掛けておでんを食べる。うま…!しみる〜。
「……たまにご飯食べたいです、相澤さんと」
「…たまにな、俺が無理なときはマイクに頼め」
ダメと言わない優しい相澤さんとゼンマイにお礼を言う。おでんの汁を回し飲みしたりして体がすっごい温まる。眠くなってきた…。
「帰って寝なさい…行くよ」
手を寮まで引かれ歩く。相澤さんの手めっちゃ冷たい。入り口で見送られたあと部屋に戻る。爆豪くんの部屋のドアノブに辛ラーメンを袋ごとかけて部屋に入る。…正直すっごく眠いけど、換気しとけって言われたっけな…ベランダの窓をあけて換気扇をつける。
布団に入ってスマホを握る。ありがとうございました、とLINEを送ると暖かくして寝ろと返ってくる。別の意味で泣きそう…。
「起きろや。お前宛の荷物すげえぞ」
爆豪くんに次の日起こされて共用スペースを見に行けば、送り主不明でたくさんの観葉植物が届いてた。ゼンマイだな…あの部屋を植物園にでもする気なんだろうか?大きい背丈のものから多分窓辺に置けと言わんばかりのサイズのものまで、計10個の観葉植物が届いた。障子くんに手伝ってもらいながらなんとか4階の部屋まで運んでレイアウト開始…しようとしたら今度またダンボールが大量に届いたぞと切島くんに言われる。
「まさかまた植物…??」
「植物園でも目指してんのか?」
誰が見てもそう思うくらい緑でいっぱいになったオレの部屋の成り行きを見てた切島くんが尋ねてくるので、断じて違うと断っておく。
「食料品…?」
『検査済み ちゃんと食え』と手書きのメモまである…この字は相澤さんだな。普段は食いすぎだって買ってくれないスナックや飴、オレが好きなトマトとかフルーツの缶詰とか袋包装のスープまでたんまり入ってる。
「すげ〜プロテインまで入ってる、フォロワーからか?」
「いや……たぶん保護者」
「良かったね〜くましろちゃんの好きなものいっぱいじゃん!」
芦戸さんにそう言われる。……確かに。
「すげえ量だな…クリスマスみてえ」
「轟くん、今年のクリスマスは一緒にツリー作ろうよ」
「それ絶対先生に怒られるよ…」
「いや、案外ノリノリかもしれないわよ。相澤先生そういうの好きだもの」
皆がワイワイと集まってくる。クリスマスツリー楽しみだな…。こんなにたくさんの人と過ごすクリスマス初めてかも。…あ、いや皆帰省すんのかな?先取りしてやるのも楽しそうだな…。
(2人のサプライズ嬉しすぎて普通に部屋で泣きました)
(そりゃ何より、嬉しすぎて水あげすぎたりして枯らすなよ)
(絶対枯らしません)
(おーおー抱っこちゃん復活か?わ、俺にもしてくんの珍しいな)
(ふふん、2人とも大好きです)
(……マイク生きてるか?)
(死にかけた)
(軽率に大人を殺すなバカ)
(いまの責任の所在オレじゃなくないですか…???)