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68 テスト討伐
*神代くましろ
期末テストってそんな付け焼き刃で対策するもんだっけ…?と思いつつ東京の夏合宿絶対に行きたいんです!!と頼み込んできた日向くんと影山くんの熱意に折れて、教えてる。
谷地さんにも教えてもらってるみたいだけど、やっぱ付け焼き刃だからあんまり効果ないのか、オレのとこに追加で来たみたい。
「日向くん、ノート見せてごらん?」
はい…と見せてもらったノートは一応板書はしてあるけどなんていうかスカスカだ。
「え〜なんの落書きもないのすご…」
「くましろさんノートに落書きしてたんですか?」
影山くんが信じられない…って顔で見つめてくる。オレはどういうキャラ立ちしてるんだろう、この子の中で。
「落書きだらけだったよ、先生の似顔絵とか描いてた」
「えー意外…!」
ゼンマイの似顔絵を描いてあげると二人とも興味津々で見てた…可愛い。ちゃんとノート取ってて偉いね、と日向くんにノートを返し、影山くんのも見る。
「ふっ、んふっあっは!!眠かったんだこの時…ふふ、可愛い〜字がガタガタしてる。偉いね、抗ってるのよく分かるよ」
「ゥス……」
「じゃあ影山くんこの回全く覚えてないんじゃないの?そこの復習からやろうか…日向くんは英語どう?」
「訳わかりません」
英語はなあ〜、読めるようになるためにはまず耳を慣らして単語の暗記から入っていったからな…。簡単な単語と意味の合致くらいしかこの短期間での点数アップ方法はないよなあ…。
「くましろさん、なんでそんなに英語できるんですか?帰国子女…?とか?」
「洋楽よく聞いてたからかな…オレ個人の勉強法だけど、外国語を学ぼうと思ったらまず耳を慣れさせたらいいと思う。音楽とかバラエティとかでも聞いて聞いて聞きまくって判別できるようになってから、聞きまくってた音楽の歌詞で単語の勉強すんの。
聞いたり、発音してる中で『あ、これこの歌詞にあったやつ!』ってなると歌詞が理解できるでしょ?発音と意味がリンクする感じを増やしてって…って感じ。独学だから帰国子女ではないよ」
「すげ〜!独学…!!」
「2人もプロのバレーボール選手になるなら、海外も視野に入れとかないと。」
全科目の不安要素の強い部分をひたすら教えていく。理解させるのってこんなに難しいんだな〜…。
影山くんのお家にお邪魔させてもらって勉強を教えていると、影山くんのママがたくさん差し入れをくれる。
「わ、いいのに…こんなにありがとうございます!」
「いえいえ…あの…この間は日向くんもですけど、ウチの飛雄を車から庇っていただいたって伺って…飛雄、全然話してくれないからこんなに遅くなっちゃったんですけど…ありがとうございました!
本来ならお礼品を持ってお伺いするべきなのに、退院祝いをお土産って持って帰って来た時に知って…」
「そんなそんな…大人が子ども守るのなんて当たり前ですよ!あのフルーツ、盛り合わせの中から適当に選んで持って帰ってもらったんですけどどうでした?」
「すげぇ甘かったッス」
パイナップル持って帰ってたよね、確か。美味しかったようで何より。良かったね、と影山くんの頭を撫でる。たくさんの美味しいクッキーや焼き菓子をおやつに挟んで勉強会を進める。
「…日向くん、眠くなってきたんでしょ?」
「ちょっと…」
「テスト勉強が不安でも徹夜でやるんじゃなくて、朝起きるのを早くして詰め込んだ方がいいからね…」
影山くんは飲み物を取りに行ってくれてる。日向くんの頭を撫でると机に突っ伏して寝始めてしまった。
「日向…寝たんですか?」
「うん、寝ちゃった…影山くんも少し休憩しようか」
肯定の返事が返ってくるので、おいしいクッキーをつまみながら昏睡状態のときにやった試合のことなどを聞く。
「徹くん…だっけ、なんかあったの?並々ならぬ執着を感じるんだけど」
「…俺のことが、嫌いなんだと思います」
「それだけかなあ…?あの感じ」
なんかもっと違うところにありそうだけど、と返す。
「また勝てないんだって思いました、あん時…。負けたら終わりって」
「……」
影山くんは、なんのためにバレーを極めてるんだろう。徹くんに勝ちたいから?ひとまずの身近な目標として徹くん打倒を目指してるのかな…?
「ただ…その…俺一人じゃ勝てないのは当たり前だよなって思い…ました」
「…そうだね、チーム戦だもんね。その気付きは大事なんじゃない?皆がいるってすごく心強いことだよね」
「くましろさんは…そういうの経験あるんスか…?」
「い〜っぱいあるよ、オレ一人じゃ何にもできなくて何回も泣いたことあるし…自分の存在で影響を及ぼせる範囲がたかが知れすぎてちょっと悩んだこともあったし…。そのたびに後ろに手を引かれるの、同期の子たちに『俺らがいるだろ、少しは頼れよ』って。実際、考えてることが違うからその子の案の方が突破口になったりするんだよね…」
「突破口…」
「セッターはチームの司令塔、って教わったけど…。たまには誰かの意見を取り入れてみても面白いんじゃない?…とくに、徹くんみたいな自分の手の内は全部知られてるような相手なら尚更、自分が考えつかないことをやったほうが撹乱できたりしてね」
「撹乱…?」
「かき乱すってこと!…菅原くんたちが春高予選まで残ったなら、あの子も残ってるでしょ。…次はギャフンと言わせちゃえ!」
「…ウス!」
おお、気合入ったみたい。偉い偉い、と頭を撫でる。いよいよ来週に控えた期末テスト、見ている限りは赤点は免れそうな気配がしてる。付け焼き刃にしてはよくここまで持ってこれたなぁと思うし、ここまで理解させたオレ自身のことも褒めてあげたい。
6月末の週末を終え、7月に入った月曜日。今日はいよいよ対策をねって頑張ってきた期末テスト本番。ちゃんと解けてるといいな〜と思いつつ坂ノ下商店の店番を再開。
机の上の埃の掃除や店内をピカピカにしながら過ごす。烏養さんもこの間のIH予選できちんと外部コーチを続ける覚悟が出来たみたいで、空いた時間は県内の他の強豪校の試合動画なんかを見ながら研究してる。
「あ〜体鈍ってる…手合わせしたい…」
「手あわせ…?」
「…ケンカのウソ版みたいな…」
うまい言い方がわからなくてこんな単語選びになったけど、間違えてないよね??
「あ〜、なるほどな…体力は元に戻ったんか?」
ぼちぼちです、と返す。そもそもこっちにきてから戦うってことがなさすぎて体力落ちてる気しかしない。
「だから個性の精度を上げようと思って…お風呂場とかでこっそり色々試してるんですけど…体動かしたいですねぇ」
「まあなんつーの、体動かしてえってムズムズするのは分かる。…具体的には何すんだ?」
「複数の対象の動きを止めたり動かしたりっていうのが苦手…というか数が増えるほど雑になってくので、対象数を増やしてます」
「……つまり?」
「同時に止めれる数を増やしたり、別のことしたりっていう上限数を増やしてる感じです。…対象が物なんで、どうかなあって感じですけど」
人相手とかと物だとちょっと勝手が違うから、元に戻ったときに活かせるかと言われればちょっと…難しいけど、無駄にはならないかなって思って自主練は続けてる。
「そういえば…夏休みの合宿の運転、オレでよければかわりますけど…首都高とかなら警察にも捕まんないだろうし」
元の世界で免許は取っておけ、と取得したし比較的定期的に運転はしてる方だと思う…けどここだと無免許になるんだよね。
「あ゛ー…いや……助かるけどよ…ゔ〜ん…」
悩むよなあ…もしオレが運転してるときに警察に声かけられたらオシマイだ。一発アウトで捕まる。
「武田さんとも要相談で……SAまでの間とかでもいいですし…2人より3人のほうがいいじゃないですか」
気持ちはありがたいけどよ…と返される。この話は武田さんの断固反対の意見によってナシに。役に立ちたかったのに…と零すと、遠征先でのアレコレをお願いされた。
烏に猫に、次は梟らしい。可愛い学校名が多いこと…。期末テストを終え、今週皆は東京にある梟谷学園という音駒といつメンの高校に混じって練習試合をしてるみたい。
お手伝いしましょうか?と聞いたけど、退院してすぐ東京に連れてくのは…となりお留守番。商店の管理を任される。土日でもそこそこ近所の人たちや、部活終わりの子たちが来たから退屈はしなかった。
7月に入った月曜日に期末テストがあって、その週末が東京遠征…てことは、きっと来週あたりからテストの返却が始まるのか。結果が気になるところではある。
日曜日の夜、烏養さんの荷物を引き取りに帰ってきた皆の元へ向かうと日向くんと影山くんの怒声のあと、涙目の谷地さんが体育館から出てくる。
「あ、あの、くましろさん、ひな、日向と影山くんが…っ!!!」
「ケンカかな?谷地さん、宥める前に…ゆっくり呼吸してごらん、大丈夫だから…そうそう」
過去級のようになってる谷地さんの手を握り、消太さんにやってもらったみたいに一緒に呼吸を合わせると涙目だった谷地さんの表情が和らいでくる。
「はい、ストップ」
珍しい、口喧嘩が多い二人が殴りかかってるなんて。2人拳を掴んで間に立つと頭が冷えてきたのか勢いがなくなる。谷地さんに先輩を呼んでくるように言ってたので田中くんがやって来る。
「谷地さん怯えてたよ、もっと建設的なケンカしなさい」
「建設的なケンカって何スか…?」
事情はわからないけど、オレが口を挟むよりはきっと事情を知ってる田中くんとかに任せるのがいいかな…と思って後はよろしくと立ち去る。
「あの、くましろさん」
影山くんだ、どうやら後を追ってきたらしい。
「ん?」
「すみませんでした…谷地さんと田中さんにも頭下げました」
「いいよ、別に殴られたわけじゃないし……どうしたの?そんな…なんか寂しそうな顔して」
「寂しそうな顔…?」
あ、すごい考え込んでるときの顔になった。
「ケンカの内容、お互いのためになることでならいいんじゃない?とっつかみ合いになるのは辞めたほうがいいと思うけど…まあ、なんかこう…ワッてなっちゃうのは分かる」
気にしてないしオレは平気だから、気をつけて帰るんだよと影山くんを送り出し、烏養さんの荷物を引き取りに坂ノ下商店へ戻る。
「お〜売上ぼちぼちだな」
「瓶ラムネがほしいって声が急上昇してますよ、あとアイス」
そろそろ仕入れる時期か…と烏養さんは雑誌読んでる。アイスはオレもほしい。
(オレアイスクリンが食べたいです)
(食う気満々かよ)
(あとはチョコモナカジャンボとフルーツ系のシャーベット)
(どんだけ食うんだよ)
(夏はオレアイスで生き延びてるトコあるんで…)
(飯食えって先生に怒られんぞ、怒らしたら怖いんだからやめとけよ)
(リハビリ中に嫌というほど学びましたよソレは…)
(今日先生は?)
(アレです、期末テストの採点作業があるって急いでやってます。オレも手伝えば採点ミスなく終わるかなって量でした)