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67 夏にむけて
*神代くましろ
車に轢かれて頭打ちつけて1ヶ月以上も寝込んでいたらしい。治癒の個性を下手に使わないほうがいいと判断して救急車が来るまで痛みに耐えてた。ずっと寝てるような感覚で、その寝てる時に日向くん、影山くんと烏養さんとすれ違ったのだけは覚えてる。なんとか戻るから!とだけ伝えた内容は3人のそれぞれの夢に出てきてたらしい…めちゃくちゃ不思議。
「ぐっ……は、…ぁ〜〜…っ!!!!」
1ヶ月も寝ていたとなると筋肉がめちゃくちゃ落ちて、少し歩くだけでもめちゃくちゃしんどい。加えてこの1ヶ月でなんで治ってないんだよと思いたいくらい、全身を打ち付けたことによる全身の痛みがすごい。
歩くことはできる。筋トレやらなんやらすると全身が引きちぎれそうなくらい痛む。
「…いた…くましろくん、無理してませんか?」
「は…ぁ…だれ…?」
視界がボーッとする…。
「武田です。…また無茶して…筋トレし過ぎたら良くないって言われてるでしょう」
武田さんか…おでこに張り付いた前髪をあげてくれる。汗ついちゃうと言うと、平気ですって返ってきた。
「少し休憩しませんか…?はいゼリー」
受け取る。つめた〜…大した運動してないのに長距離走りきったくらい熱を出してるほっぺたに当てる。きもち〜…。
「うま…ありがとうございます」
「いえいえ…また早く退院させろって先生に詰め寄ったんだって?」
「…頭治しましたもん、ちゃんと精密検査のあとに。…傷口がどーたらとかうるさいんで皮膚まで治しましたよ…なのに経過観察とか言うから…」
「全くもう……君の結婚相手の心労が伺えます、よく怒られているんじゃありませんか?…無茶のしすぎと」
ギク。
「………バチボコに怒られてます」
「チクっちゃいますからね」
やめてよほんとに怖いんだから…!!!
「メディアに出てるって話したじゃないですか?半分…タレントみたいになってたので、オレを出してこいっていう引きこもりとか立てこもりとかなんかまあ敵…犯罪者が多くて。
そういう要請があるたびに駆けつけて、帰り道ひったくり犯捕まえて…みたいなことやってたら過労でぶっ倒れたりして…ストレスで味覚障害になったりしたので、働き方改革は…したんですよこれでも。」
ジト目で見てくる武田さんの視線をそらしつつ、休むときはちゃんと休んでますと訂正を入れておく。
「ストレスで味覚障害か……はあ…君の今の様子を見てもバチボコに怒られると思いますよ」
「チクる気満々ですね?…ほんっっっとに怖いんでやめてください」
「はい、今日はお終いにして、お医者さんたちに退院させろって迫らないならチクりません」
ぐ……武田さん、GWの合宿からオレの扱い方を覚えてしまったようで強い…。勝てないので言うことを聞く。
「言い訳させてもらいますが、汗がすごいのでお風呂入ろうって思ってはいましたもん」
「ははっ、それは偉いですね…そこから1時間無茶をして看護師さんに前怒られてるの知ってますからね」
「すいませんでした」
勝てない……怒らせちゃいけないタイプの人だ…!!!全部バレてるし看護師さんに早々に裏切られてることにショックを受けながらもお風呂に入るために部屋に戻る。リハビリ生活を10日続けて退院を言い渡される。
ここでは戸籍もないし何もかもないから保険なんかも入ってない。入院費用は相手の保険金と足りない分は全額補填して出してくれるそうだ。持病の発作で気を失って事故を引き起こしてしまったわけだから、なんとなく…やるせない思いはあるけど武田さんに負担がいかなくてよかったとひと安心。
「というわけで……復帰しました、ご心配おかけしました!」
坂ノ下商店で烏養さんたちにご挨拶。退院祝いだとたくさんいろんなフルーツとかを近所中からもらってたみたいで、バレー部へのお土産がたくさんできましたね、と話す。
「もうあんな無茶するなよ……お前の気持ちは汲んだ上で言ってるからな」
烏養さんに頭をぐしゃぐしゃにされる。もう倒れるほどじゃない限り日常生活に戻ってもいいし、筋トレとか運動してもOKが出たから、走り込みとかの基礎体力部分は部活にお邪魔させてもらおうかと思っている。
夕方、烏養さんのお下がりのジャージを借りて体育館に向かえば日向くんと影山くんがすっ飛んでくる。すごい早くてなんにも見えなかった。
「「くましろさんっ!!!復帰ですか?!」」
「はっや……うん、もう元気モリモリ〜!リハビリ兼ねて走り込み参加するからね」
ぴょんぴょん跳ねる日向くんと嬉しそうにしてる影山くんの頭を撫でておく。2人にはとくに…目の前で様子を見せてしまったからこちらとしても心配だったんだよね。…うん、元気そうでよかった。走り込み行きましょう!と手を引く2人をぐんと引き寄せてストップさせる。
「はいストップ…2人とも、夜ちゃんと寝れてる?」
「寝れてます」
「俺もッス!」
「ご飯は食べれてる?」
「「ゥス!」」
返事がハモる。うん……夜眠れてご飯食べれてるなら大丈夫かな。
「じゃあ最後に…時々事故のこと思い出したりしてしんどくなったりはしてない?」
「「……たぶん…?」」
多分か、そうか。トラウマとかになってたらどうしようと思ったけど、今元気なオレを見ていい方に上書きされたのかな。じゃあいいや!と会話を切り上げて走り込みに参加する。
走り込みキッツ……体力落ちたな〜。
「はあ……きつ…」
「平気スか?くましろさん」
おお、この声は…西谷くんだ。うん、と答えて立ち上がると立ち眩みがしてフラフラする。
「っと……あんま無茶しないでくださいね…日向と影山も心配してますから」
「……澤村くんかな…?ごめんね〜これはケガじゃなくて普通に立ちくらみだわ…」
支えてくれた澤村くんの腕をぽふぽふと叩く。爆豪くんくらい太いね…コワ…バレー部だよね…??
走り込みのあとは普通にスコアとる側や飲み物用意するお手伝い側に回る。外の蛇口でドリンクを作ってると、何人かの女子生徒に声を掛けられる。
「おにーさん、坂ノ下商店の人でしょ?」
「うん、そうだよ〜…あんまりこっちくると水かかっちゃうよ」
「え、すご!何してるんですか?」
「バレー部のお手伝いだよ」
勝手に写真とってきたり、握手してほしいからって手を触ろうとしてきたりしない分とってもいい子たちに思える。
「え!?女バスにも来てくれませんか?!」
「ふふ、残念…武田先生に掛け合ってね、オレの従兄弟だから」
「武田先生の従兄弟…!?」
ミステリー小説読んでるみたいな反応が面白くてついつい笑うと烏養さんが助け舟を出してくれるので戻るね、と声をかけても体育館へ戻る。
夏は東京での夏合宿が決定しているらしく、そのために期末テストを赤点組が必死に勉強頑張ってるらしい。なるほどね…。座学優しく教えてください!と日向くんたちに頼み込まれるので、教科書とここ出るよって言われた部分をノートでもプリントでもいいから教えて?と伝えると固まる2人。
「ふむ…はい2人ここに座ってください。」
「う、ウス…」
「君たちに1つ、一応社会に出ている身のオレから大事なことを伝えます。
好きなこと…つまり今回はバレーね。バレーをやり続けるためには、最低限の勉強の成績を残さないといけません。何故なら、ここは学校だから。バレーのことだけ考えて、鍛えればいい実業団チームとは違います。…理解できた?」
「「ハイ…」」
「まず、先生がここ出るよって教えてくれてるんだからそこをメモを取るくらいは普段からする!そしたらテスト前でもここを覚えとけばいいんだってなるから。
そして影山くんはタレコミを聞いてます、授業中寝るのは言語道断。昼間寝るくらいなら自主練禁止で毎日10時には寝なさい。」
「なっ…!?そんなことできません!!」
「武田先生が他の先生に悪口言われても?」
「…わ、悪口…?」
「オレや烏養さんは外部だしここの教師じゃない。だから何言われようと聞こえないけど、武田先生はここに籍をおいてる教員でバレー部の顧問。『…1年生の影山?って子、バレーで凄いらしいけど軒並み授業で寝てるらしいじゃないですか、どういうご指導されてるんですか?』って嫌味を言われます。その結果、心を病んだ武田先生が退職したら?」
これは消太さんの経験と卒業してゼンマイから聞いたこと。雄英だからこそあったのかもしれないけど、意地悪な人ってどこにでもいるから可能性はある。こんな嫌味な言い方をされなくても、この状態が続けばいずれ言われることだ。
「か、影山くんが固まってしまった…!言われてないからね!!くましろくんも脅すようなこと言わないの!」
甘やかしちゃダメです、と武田さんに断りを入れる。
「田中くんと西谷くんもだよ、聞いてるからね…!」
さんざん2人を笑ってた田中くんと西谷くんの背筋が伸びる。
「オレはそれを大好きな先生に誰からも言われたくなくて100点維持で取り続けたの。…やりたいことやるには最低限体裁を気にしなきゃいけない部分もあるってことね…。授業中眠いなら先生の言葉全部メモするとかして、今後のテスト前にこうやって慌てないようにね。
…じゃあ今日は月島くんや谷地さんたちからやるべきところを聞いてるのでやります。はい、教科書何ページだ?」
教えてる分には真剣に考えてる。今回は数学。数式に躓いてるらしい2人、きちんとテスト範囲は覚えてたみたいで褒めておく。これさえ忘れてたらどうしようかと思ってた。
「この単元の何がどう分からないの?」
「数式の意味です」
「存在意義ってこと?ないよ、なんでここでこれ使うんだろ?なんて思っちゃだめだよ。これはそういうもんなんだって受け入れてあげて」
「なんつー教え方だよ…」
「数学に関してはこれでイケます、オレもなんで?って考えてたんですけどなんでって考えるのやめろってクラスメートに怒られてから受け入れることにしました」
(うん…合ってるよ!ほらこいつの存在意義なんて気にしなきゃイケるでしょ?)
(イケました!ありがとうございます!)
(大体計算問題で30点くらい配分あるはずだから、計算問題はここと、ここ。ワーク…のここのこれとこれ。マークつけといたからこれを解いて正解できるようにしといてね。…じゃあ、次不得意な科目何?)
(俺は英語です…)
(俺は現国…)
(何がどうわからないの?)