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57 偏頭痛
*神代くましろ
2日連続の雨の日。もともと天パ気質の髪が爆発的にうねって、パーマかけてないのにくるくるになってたせいで髪型変えたんだと思われて皆に褒められてた日だった。
なんか頭痛い…?
ずくずく、と軋むような感覚。締め付けられるには弱いし、頭痛と言うには微妙すぎるライン。雨だからかな〜なんて思って授業を受けてたらあっという間にズキズキと脈打つたびに痛くなる。
ズキズキと痛みが強すぎて頭も動かせないし、脈打つたびに視界がチカチカとしてる気がする…痛すぎて。
やば、限界かも…今爆豪くんに頭鷲掴みにされたら間違いなく痛くて怒鳴るな…
震える手であたまいたい、たすけてと書いて後ろを見ずに渡す。振り返る気力もない。
「……っち、せんせー…バカが頭痛えって」
動くな、と爆豪くんに頭を固定される。
「おいおい神代、顔色すげぇ悪いじゃんかよ……吐きそうか?」
「吐きは…しない…けど、痛すぎてしにそ…」
「雨降ってるから気圧系か?偏頭痛?」
うん、と返すと末端冷え性のゼンマイの手がおでこにそっと触れてくる。ひんやりしてて気持ちいい…目を閉じる。
「リカバリーガールのとこで休んでこい、相澤には連絡してやっから…歩ける?」
「なんとか…ごめんね、爆豪くんありがと」
「はよ辛気臭ェ面治してこい」
いつものデコピンはナシで送り出される。とぼとぼ歩いて保健室を目指すけど頭が痛すぎて動けない。しゃがんで目を閉じる。なんの音も聞きたくなくて耳を塞ぐ。
真っ暗で静かな中にいれば少しマシになるかも、と蹲ってると肩に手を置かれる。
「くましろ」
右手を耳から外され、静かに相澤さんの声が届く。
「相澤さ、」
「少し痛むけど我慢しろ…運ぶよ」
しゃがんだ状態から抱きかかえられて体勢が変わる。頭がまたズキズキと裂けるような痛みに耐えきれなくて肩にしがみつく。
「…痛いな、しんどかったろ」
「…へ、きです…」
「そう?…甘えたっていいのに」
無理するなよ、とだけ言われる。
「……充分です、いつも」
「お前ほんとによく分かんねえとこで遠慮すんのな……はい、着いた。…ばあさん、氷枕と冷えピタくれ」
優しく寝転がせてくれるけど、縦の体勢から横になったことでまたドクドクと脈打つように頭が痛む。今までこんなに偏頭痛で苦しい思いしたことない…やっぱり個性の反動のせいなのかな…。
目を瞑って痛みに耐えてると、頭を持ち上げられる。氷枕だ、ひんやりしてる…。
「つめたい…」
「冷えピタ貼るよ」
風邪引いたみたいですね、と返す。
「少し寝てろ」
「…薬飲んで戻るのは?」
「ダメに決まってんだろ」
手をペチ、と叩かれる。だめか…
「…ゼンマイ、そんなに早く連絡してくれたんですか?」
「あぁ、見たことねえくらいぐったりしてるってきた」
手をにぎにぎと握られる。
「眠るまで隣りに居てやる。…寝れそうか?」
「はい…ありがとうございます」
こんくらいいいよ、と言ってくれる優しくて寛大な相澤さんに心の中で大感謝しつつ目を閉じる。
*相澤消太
寝息を立てて眠るくましろの頬を撫でる。仮眠中、マイクからポコポコ連絡が来るからなんだと画面を睨めばくましろが顔色悪い上に偏頭痛で死にかけてると見て教室にすっ飛んで行けば保健室に向かってると言われる。
急いで保健室に向かう途中に廊下の隅で耳を塞いで蹲るくましろを見つける。ノミの心臓でとにかくビビりなので驚かせないようにゆっくり近寄り、しゃがみこんでから肩に手を置く。
耳をふさいでた右手を剥がすようにしてくましろを呼ぶと顔色が悪いくましろと目が合う。偏頭痛みたいで体勢が変わるたびに声を漏らして痛みに耐えてる様子は痛々しい。眠れてよかった、痛みがマシになってるんだろう。
「…あら、眠れたのね」
「あぁ…授業戻ります、くましろが起きてもまだ痛みがある様子なら寝かせとい、へぶ」
ばあさんに思い切り顔面にお菓子を押し付けられ、変な声が出る。もう少しここに居ろと言う意味だろう。
「つきっきりで看てやんなさいよ」
「…いや、このタイミングじゃないかと」
くましろは甘えたいタイミングでタイミングを出すが、今回は違うと話す。
「変なタイミングで遠慮するのね」
俺と同じ感想を抱いてる婆さんに同意しておく。
くましろはすごく気にしいで、努力家な分俺が特定の生徒をえこ贔屓してる、とかそこから入試に不正があったんじゃないかとか世間から責められるんじゃないか、とすごく怖がってることを話す。だから甘えたいけど素直に甘えられない時がある。
「…まったく、案外相澤先生は図太いし校長はしたたかってことを知らないのね」
「まだ子供ですから」
徐々に知っていけばいい。そう呟くと寝返りをうったくましろがうっすら目を開ける。
「……ん…?」
「いいよ、寝てろ」
背中を叩くように擦ると、手を掴まれる。
「…いて、となり」
「ん、分かった」
素直に甘えてきたくましろの言うとおり腰掛ける。眠そうな声で手があったかい。眠いんだろう、瞼も半分ほどしか開いてない。
「…いる…?」
「いるよ」
掴んでる手に少し力を入れる。そのまま再び寝落ちするくましろの頭を撫でる。
「くましろちゃん、相澤先生の前だと本当に安心した顔で寝るのねぇ」
「…そうですかね?最近はやっとマイクにも懐いてきましたよ」
やっと俺以外にも安心して甘えられる大人が増えつつある。マイクは特に弟のように可愛がってるので、二人で話してるのなんかもよく見る。
添い寝でもしてやれ、とばあさんに言われ寝転がる。ベッドに入るとくましろが擦り寄ってくるので抱きしめる。冷えピタのハッカの匂いがする。
そのままウトウトしてると、くましろの様子を見に来た爆豪とマイクと目が合う。
「おー、お疲れさん。爆豪、マイクに知らせてくれたのお前なんだってな?」
起き上がって爆豪にそう伝えて頭を撫でるとガキ扱いするな、と睨まれる。
「いやいや、俺らからしたらガキでしょうよ」
「正論言うなや…どうなんだよ、くましろは」
マイクにも撫でられて鬱陶しそうに目を吊り上げる爆豪につい笑う。
「おかげさまで爆睡だ。…ありがとな、相当キツかったみてぇで廊下で泣いて蹲ってた」
「そーかよ…プリントくらいはとっといてやる」
素直じゃない爆豪に礼を言い今度ジュースでも奢ると伝えるとラーメンにしろと怒られた。
(…いた……)
(起きたか?)
(……!!!)
(はい慌てない、病欠なんだから成績に響かないし俺が付き添おうが何か言うやつはいねえよ。…そんな終わりみたいな顔すんな)
(はい…あの…もう放課後ですか?)
(あぁ。爆弾低気圧って言われてたからしんどかったろ…まだ痛むか?)
(だいぶマシにはなりました…まだすこし余韻がある感じ)
(薬のめ。んで水分取って…爆豪からプリント受け取って帰って来い)
(おお、神代起きたか?)
(うわ、ゼンマイ、目えまわる…っ)
(おお悪ぃ、…元気なったか?)
(心はずっと元気だよ)