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60 ヒーローのいない世界
*神代くましろ
海賊がいる不思議な異世界から帰ってきたあと2日の休憩を取り、再び異世界のドア探しへ。
今回こそは…!と意気込む。海賊の世界もなかなか物騒だったし、今回は平和な…魔法の世界へ行きたいな。魔法が使えるという、対防御・攻撃術がある余裕で攻撃性が低いんだと予測はしてる。マルコさんたちがいた海賊の世界もまあ…色んな攻撃・防御の手段はあるにせよ、時代というかあの世界そのものが治安が悪かったからな…。
ツイステッドワンダーランドがすごくすごく平和に思えてしまう。
ぴか!と瞼を閉じていても感じる光の後、体に衝撃が走る。やっぱりどこに出るにしても痛いな…。人の声はしない、静かだ。痛みが和らいだ頃、目を開ける。
「部屋…?」
誰かのワンルームのような部屋だ。多分このミニテーブルの角に足をぶつけたらしく、青あざになってる。
誰もいない部屋を見渡してると鍵が開く。
「……へ…!?え!?あれ??僕部屋間違えて…!?」
眼鏡をかけた優しそうな人だ。表札と部屋の中を何度も確認してるので声をかける。
「あの、…話聞いてくれますか?」
信じてもらえるか分からないけど一応説明する。
「は、はぁ……?なるほど…」
一応理解はしようとしてくれてるみたい。適応力高いなこの人…。
「オレは神代くましろって言います。…ここ、日本ですか?」
「え、あ、僕は武田一鉄と言います。ここは日本の宮城県…ですがあなたの仰るヒーローとやらは聞いたことがありませんね…」
「……いきなり言われても信じられないですよね…、全国のマップかなんかありますか?」
そう尋ねると業務用らしいパソコンでグーグルマップを出してくれた。パソコンやグーグルマップっていう共通のものがあるのに、ヒーローだけがいない…?
田舎だからとか都会とかそういうレベルの話じゃないし、全世界で有名のヒーローをこんな常識がありそうな人が知らないわけがない。
マップを見ると雄英高校があった場所には別の高校が建てられており、検索しても映画やコミックの中のヒーローが出てくるだけだった。
「き、君が何か探しものをしてるのは分かりました。それらはここにありそうなんですか?」
「う〜ん…なさそうです、ツイステッドワンダーランドっていう言葉聞いたことありますか?魔法とか…ファンタジーですよね?」
「ま、魔法…?魔法が使えるんですか?」
常識がありそうって言ったけど騙されやしないか?この人…。心配になるくらいこちらのことを信じてくれている。
「オレは使えないです。…ここでもないかな」
話を聞くと高校で現代文の先生をしているらしい。頭良さそうな顔してるもんな…。
「君の…その個性というのは?」
「怪我したら治せるのと、時間止めたりとか…概念的に色々止めたりできます。」
側にあったペンを投げて止めると立ち上がって驚いていた。
「…信じてくれるんですね、こんな突拍子もない話」
「最初押し入り強盗かと思いましたけど…君の目が嘘を言ってるように見えなかったので」
にっこり、そういう武田さん。
「…人から騙されやすいって言われません?オレが言うなって話ですけど、もっと警戒したほうがいいですよ…」
「あはは…それはよく言われる…。けど、僕はこれまでの人生一度も騙されたり詐欺にあったりしたことないんですよ。
仕事柄、色んな生徒と関わるし嘘をついたり誤魔化したりしてる様子はすぐに分かるつもりです。…大人でも、子供でも後ろめたいことがあるとどうしても顔に出るものですからね。
さて…そしたら君はどうするんですか?」
「…ベランダ貸してもらうとか…できますか?」
最悪野宿でもいいかなって、と話すと駄目に決まってるでしょう!と大きな声で怒られた。
ツイステッドワンダーランドと前の異世界先で予測していることなんだけど、異世界に来てから元の世界に帰るまで最低滞在日数が必要なんじゃないかなと思ってる。
それがツイステッドワンダーランドだと2ヶ月、前のところだと1週間ちょい…。まあ前者は自分から向かったんじゃなくて個性悪用の事故みたいなもんだけど、使用者が行き先分かってないから帰って来させる判断もつかない状態だったから、一緒くたにしてるだけなんだけどね…。
なんとなく、ここは数日では帰れなさそうな気がしている。ヒーローがいないとはいえ、同じ日本だからかな?
「お客さん用の布団くらい、ありますとも!しかもこの時期の宮城は寒いです!野宿なんてもってのほか!」
めちゃくちゃ怒られた…。いつもコンビニでご飯を食べてるそうで、買い出しに行こう!と連れられる。
お世話になるなら何か作ります、とスーパーへ行ってシャンプーなどの1式も買い揃えてもらう。
「すみません、お金出させちゃって……紙幣も全く同じでした。本当に並行世界なんですね」
「君の世界には僕の務めてる高校があるんでしょうか?気になりますね」
確かに。帰ったら確認してみます、と返す。春先らしい宮城の夜は本当に寒かった。凍えながら帰って、お風呂を沸かしてその間にちゃちゃっと夜ご飯を作る。
「わ、すごい…!こんなにたくさんのご飯をあっという間に…」
「すごい心配になります、健康診断とか引っかかってないんですか…?」
「ま、まあ平均値かな…!」
本当か…??すごい不安だ…。減塩系の調味料にしてよかったな。
美味しい!と平らげた武田さんに明日からどうする?と聞かれて、流石に縁もない高校に無免許がお邪魔できないしなあ…と考えていると、部活動の話をされる。
未経験だけどバレー部の顧問で、今はOBに外部コーチを頼んでいるらしい。その外部コーチがいるのが学校のすぐ目の前にある商店らしいんだけど、日中や特に土日の店番問題(家族で経営してるらしいからね)とコーチの両立の面で、無理をさせてるんじゃないかと気掛かりだったから武田さんの従兄弟や遠縁の親戚という設定で店番してくれないか?というものだった。
「お世話になる身だし、そのくらいのこと全然やります!よろしくお願いします」
「はい、よろしくされました。…そういえば成人してるって言ってたけど…いくつなの?」
「25です!武田さんは?」
「近いですね!僕は29になります。」
おお、近い!
「ふふ、オレひとりっ子だからお兄ちゃん欲しかったんですよ」
「随分しっかりしてそうに見えますけどね?…あ!小テストの採点しなきゃ…!」
手伝いますよ、とお風呂の前にふたりで採点。字が思い切り違うけどいいのかな?とよぎったけど、まあ…いっか!ってことにした。
次の日、久々に6時に起きてぼーっとする頭をなんとか動かして武田さんについていく。
「そうか、君はある意味消防や警察のように要請があれば出勤するスタイルだから普段こんな早起きしないのかな?」
「たまに…連勤とか徹夜で寝ない日続いたりしますけど……最近は割と朝遅めに起きてたんで…」
「ふふ、寝癖ついてますよ」
頭をぽんぽん、と抑えられる。ホントだ、すごい寝癖ついてる。なんとか整えて服を借りる。寒いからニットくれと頼んで着替えて商店へ。
「昨日のうちに連絡したんだけど、夜遅かったから…烏養くんメール見てくれたかな…」
そう言いながら向かった坂ノ下商店の戸は思い切りとじられてた。まあ朝の6時から開いてる個人経営の商店はないな…。
「あちゃ〜、寝てるか…申し訳ない、朝練中に連絡して見るから学校まで来てくれますか?」
「捕まりませんか?オレ…戸籍ない不審者…」
「だ、大丈夫!僕の親戚ってことで!」
本当に目に見える先に学校が見える。とりあえずついてく。朝練の時間帯だから人少ないけど…これ通学時間になったら生徒増えるよなあ…。あ、でも同じ日本だけど、ヒーローがいないから無名で過ごせるのか!貴重な経験だ…。
普通に歩いててもマスコミに追われない、ファンの人たちに囲まれない生活を体験できる…。
烏野高校というらしく、校門を抜けて体育館へ向かうとキュッキュッという靴のゴムと体育館の床の摩擦音とボール音が響いてる。おお〜、部活動なんて初だな…!
「すごい、オレ部活動って初めて経験するかも…!」
「あ、そうなんだ?!…中学でもないの?」
中学…なんやかんや帰宅部だったな。雄英に入るために特訓付だった、と返す。まあ部活っぽいちゃ部活ぽいけどね。
ガラガラ、と体育館の扉を開けると同時に武田さんにボールが飛んできてるのが視界に入る。
「危ない!」
咄嗟に武田さんを抱きかかえて片手で掴むようにしたボールを止め手受け止めてから気付く。
やっちまった…!!!!!
「おはようございます!武田先生と…??」
「先生、悪ィ!当たってねえよな!?」
ドタドタといろんな人が駆け寄ってくるので武田さんを床におろして後ろに回る。
「当たってませんでしたよ、この人が片手で受け止めてましたもん…田中さんの全力スパイク」
「教育実習生かなんかですか?」
何この聖徳太子、思い思いに喋るじゃん皆…!
「ああごめんね、この子は僕の従兄弟!ちょっと今ワケありでこっち来てて…田中くんも、僕も当たってないしこの子も平気だから!」
なんとか話を合わせてくれた武田さんに心の中で手を合わせて感謝する。完全に体が先に動いてた…。
一応挨拶して?と言われたので前に出る。
うわ、皆…ヒーロー生じゃないのに体つきしっかりしてるな…。
「神代くましろです…よ、よろしく…?」
「モ、モデルかなんかですか!?」
オレンジの髪の毛の一際小さい子が聞いてくるので違うよ〜と返す。
一旦その場は解散し、生徒も散ったので小声で武田さんに謝る。
「さっき…すみません…体が動いちゃって」
「目にも止まらぬ早さだったね…いいよ、あのままだったら僕の顔面にボール当たってただろうし…負い目を作るようなことにならなくてよかった!」
なんていい先生なんだ…そりゃみんな朝練中でも集まるわ…。
「あの」
「……」
「いや、貴方です」
紹介された中で1番背の高い眼鏡の子に話しかけられる。
「オレ?…なに?」
「……さっき、なんかボールのとり方変だったなあって思って。手首とか痛めたならアイシングありますケド」
ぎく。よく見てるなあこの子…さっきボールぶつかってなかったよって言ってた子か…。
「指は痛かったけど…手首は大丈夫かな、ありがとうね」
そうですか、と言われ練習に戻っていった。バレたかと思った〜!!!焦った〜!!
朝練中にも坂ノ下商店の外部コーチに連絡してくれてる武田さん。連絡が取れたようで、朝練後の職員の朝礼が終了後迎えに行くと言われて部室で待つことに。
すごい、アニメとかでしか見たことない…これが部室か…!共同生活してた頃を思い出す。
鍵はこっそり武田さんからもらったので、迎えにくるまでここで大人しく待つ。扉が開き、武田さんかと思い振り返ると…違う子だ。
「あれ…?さっきの武田先生の従兄弟さん…どうしたんですか?」
「坂ノ下商店に用があるんだけど、朝礼終わるまでここで待っててって。…君は?」
「俺は3年の菅原っていいます。確か…神代さんですよね?」
「覚えててくれたんだ…!あーでも名字嫌いだから名前で呼んでくれると嬉しいな」
名字が嫌い…?ってなったけど、なんかいろいろ察してくれたのかくましろさん!て呼んでくれる菅原くん。忘れ物をこっそり取りに来たらしい。
「武田先生とどっちが年上なんですか?」
「あっち!オレ25だもん」
「え〜!見えねえ…」
やっぱり見えないか…言われ慣れた『もっと幼く見える・感じる』の感想にちょっとしょげる。
「くましろさん、こっちの人じゃない…ですよね?ちょっと訛りが違うっていうか…」
「訛ってたかな?あんまり訛ってるって言われたことないんだけど…」
「いやいや、俺らのほうが訛っててくましろさんは標準語に近いですよ」
おお、宮城は東北だから訛りが強いのか…!方言とかすごく可愛くて好き。関西の友達も何人かいるけど、方言や訛りって本当に可愛い。
「オレはそうだね、生まれも育ちも静岡のあたり!でも友達に関西の子とか居たりしてたまに混じるときあるかな……あ!てか、授業始まっちゃうよ!」
え〜、話してたいな〜!と可愛い反応する菅原くんの頭をダメダメって言いながら撫でて見送る。
(ごめん、待たせたかな?)
(いえ、ゲストが居たので)
(あぁ…さっき菅原くんとすれ違いました。部室来てたんですね)
(忘れ物してたみたいです。……平和ですね、なんか信じられない)
(たまに物騒なことありますが…そうですね、君の世界よりここは何倍かは平和だと思います。)
(…平和ボケしちゃいそう…でもいいですね、オレ学校の先生にきっと縁があるんだと思います。)
(目指してたとか?)
(人生単位の道しるべになってくれた人が教師っていうのが多くて…いつも思い出すときに、ヒーローじゃなかったら先生になってたのかもなって思います)
念の為の補足:HQの世界です。