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52 海賊の生き様
*マルコ
目の前のくましろが青筋立ててキレてる。まずはじめに抱いた感想はコイツ、キレることあるんだねい。…それ一択だった。
「目の前で賊が市民を襲ってるのに、アンタは見て見ぬふりすんの?」
若い海兵に詰め寄るくましろの目は据わってる。詰め寄ってた賊たちはくましろが飛び蹴りした衝撃で気絶してる。
「うるさい、海賊風情が!」
「海賊風情が市民助けたんだけど?お前が何も言わねえから…なに、やんの?」
「おい、そこまでにしとけよい。…アンタももう家帰れ、残党に見つからねえうちにな」
賊にカツアゲされてた女に声をかける。俺より小柄だし、恐らくこいつのとこには覇気なんてモンはねえだろうが随分強い覇気を出すんだねい。
「賄賂でも貰ってたんだろうよい、お前さんには酷だがこういうのはそこら中にあるよい。」
「オレが見た限りのものは見過ごすつもりありませんよ」
「おい、凄むな…無事だったんだからいいだろい。買い出し続けんぞ」
肩を軽く叩き、ようやく昂ぶった気持ちが落ち着いて来たらしいくましろが素直についてくる。道中感謝を叫ぶ市民の声を背に、買い出しを続ける。
「…何の騒ぎだ?」
合流し不思議そうな顔をするエースに事の顛末を話す。
「そんでこんなにお礼の品をもらってんのか」
面と向かって歯向かっていったくましろは誰がどう見てもヒーローだろう、一人じゃ受け取りきれない量の食い物や飲み物をどんどん積まれていくくましろに俺とエースで手分けして持つ。貰えるもんは貰っとく主義だからねい、ありがたくいただこう。
「そういえばよぉ、飯屋で妙な噂を聞いたんだが…この近くの孤島あるだろ?目と鼻の先にあるやつ。あそこにシャンクスがいるらしいぜ、ほんとかどうか分かんねえけどな」
「げ、そりゃまずいねい…」
「シャンクス…?」
「オヤジと同じ四皇の一人だよい。別に仲悪ィとかじゃねえんだが…こんな小さな島で鉢合わせちまったら、さっきみたいな賊が便乗してオヤジの首を狙ってくるかもしれねえからねい。」
「……え、オレの飛び蹴りすら避けれなかった程度で勝とうとしてるんですか?身の程知らずですね」
「ブッハ!!!お前毒舌なのな〜!」
心の底から不思議そうに話すくましろにドツボにはまったエースがヒイヒイ言いながら笑う。荷物落とすなよ、と注意しておくがほとんど聞こえてないだろう。
「やられる筋合いは毛頭ねえが、用心しておくに越したことはねえよい。…分かったらひっくり返ってねえで歩けバカエース!!」
一応後で空を飛んで偵察してくるからオヤジに報告を頼むぞ、と伝言を告げる。
「……もし、そのシャンクス?って人がいたらどうするんですか?」
「赤髪自体はいい奴だがこの島を出港するよい。一旦確認取れるまで全員モビーで待機するからお前も出歩くなよい」
「せっかくの街頭インタビューが…分かりました、居ないことを願っておきます。」
*神代くましろ
しまった…。ちょちょっと行って帰って来る予定だったのに…。
事の発端はマルコさんが不死鳥になって(かっこよかった)偵察しに行った後、エドワードさんに報告に行く際にエースくんが帽子を落とした、と騒いだことだった。
じゃあオレが取ってくるよ、とエースくんがそもそもの噂を聞いたという食堂に向かっていたときのこと。
地元の…海賊?山賊?とりあえずチンピラみたいなのと賄賂で手を組んでいた海軍…と呼ばれる警察みたいな組織の人たちに囲まれる。大方あの現場をただ「見ていただけ」の人たちだろう。すごい武装してるもの。サーベルに銃にまだ火のついてない爆弾持ってる人までいる。一応ここは普通に路地で、すぐそばには民家もある。爆弾なんて使われたらたまったもんじゃないだろう。
海軍に囲まれたオレをさっきフランスパンやジャムをくれたおじさんたちが遠巻きに心配そうに眺めてる。うーん、巻き込みたくないなあ。エースくんの帽子をかぶり、ゴム紐を落ちない程度にまでしめると1番偉い感じの人が1歩前に出てくる。
「海賊風情が、調子に乗るな!先程はよくも我々を恫喝したな、公務執行妨害で逮捕する!」
「へえ、そこでスリしてるあなたの部下はお咎め無しですか?」
ちゃっかり店のものをポッケに入れてる端の男がギクリ、と言った様子でシラを切る。ウソ下手だな…。
しっかり振り返ってため息をついたあと、生きてるだけで罪の海賊に言われたくない!と棚に上げてきた。屑もここまで来ると清々しい。なかったことにするんだ、目の前で住民も見てるのに。
「そんな風に生きてて恥ずかしくないんですか?今盗んでたの店主の人たちも見てましたよ、この島に駐在ですよね?」
「うるさい!捕らえろ!」
「ちょっと、こんな民家で子供もいるのに爆弾なんか使うなよ!」
危うく爆弾に手をかけようとする前に自ら両手首をくっつけて縛られる。あ、縄なんだ…。じゃあなんとかなるかな。あとで覚えておけよ、と仮にも国家の権力を持つ側が言うセリフじゃない言葉をオレに吐き捨て、ニヤニヤと嬉しそうに笑うおじさん。隙を見て止めて逃げ出すか…。
「ちょ、ちょっと待ってください!その人が一体何をしたっていうんですか!」
小さな女の子がやってくる。いいいい、帰りなと言っても言うことを聞きやしない。
「その人は海賊じゃありません、船で旅に来てるって言ってました!山賊からお姉ちゃんを救ってくれたんです、そこの海兵は何もしなかったけど…!海賊って証拠あるんですか!?」
あの人の妹さんだったのか。肝心の姉は…あぁ道の影で顔真っ青にしてるよ…そりゃそうだ、この子も反逆とか言って捕まりかねない。
「ごめんねえ、最近だけど海賊デビューしたんだ。巻き込まれるから帰りな、オレは平気だから」
「っ、でも…!」
「このガキ、しつこいぞ!軍曹に歯向かう気か!?」
え、軍曹??!そんなに組織図には詳しくないけど、少佐とか大佐とかなんかそういうのがいるとしたら軍曹ってかなり下っ端の方じゃないの?!?
びっくりして2度見したら、びびったと思われたのかふんぞり返ってる。いや、軍曹でふんぞり返れるのすごいな…。 とんでもないハズレを引いてしまったこの島に同情する。こっちで言う地元の警察がこんなんだったら世も末だ。
「ハイハイ、帰った帰った。捕まった海賊のことはほっといていいよ」
そう言うと抵抗する気がないオレを見て黙るしかないと感じたその子が下がっていく。あの白い建物が警察署…みたいなもんかな?なんかあそこだけ仰々しいし…。
いつ止めようかな〜と思ってると、今度は道に歩いてるおじさんを肩で思い切りぶつかって倒れさせた。何もしてないのに、だ。
「邪魔だ、ジジイ!どこ見て歩いてんだ!」
「いやいや…ぶつかったのそっちでしょ」
「は…!?誰に向かって口を…むぐ??!!?」
「知らないよお前みたいな軍曹レベルでイキってるザコ、上司に教育してもらえなかったの?人に怪我させたらダメとか、ぶつかったら謝ろうとかさぁ…海軍ってそんな程度のやつしか居ない集まりなの?」
「貴様、なんだと…!?レノア軍曹に向かってよくもそんな無礼なことを…!」
レノアだかランドリンだか知らないけど、止めてるからむぐむぐしてるだけで何も言えないおじさんは放っておく。
おじさんの顔を覗き込み、早く逃げてと伝えると少しびっこを引きながら走っていった。足でも挫いたんだろう、酷いなあ。
「いたいた…探したぞ、お前か…酒場で噂になってたっつー奴は!」
目元に3本の傷がある赤髪の男の人が目の前にひょっこり現れる。なんか背中がぞくり、とするので離れると目が細まり余計に怖い顔になる。ていうかでか…なんでこんなムキムキで大きいのがデフォルトなんだ?!?
「あ、赤髪…!?お前、赤髪の一味だったのか??!」
狼狽える海兵たちに初対面と言っても誰も聞いてない。なんなんだ、話聞く気ないならこちらに聞かないでほしい。
「…どうする、逃げるか?」
「ここじゃ皆が巻き添えを食らう…隙を見て逃げようと思ってたのに、あなたのせいで台無し。」
嫌味を込めてそう言うと悪い悪い、とエースくんの帽子を目深に被せられる。手は縄で縛られてるし、帽子に手を置かれてるから視界が暗くなって見えない。何する気…?
「ちょっと、子供とかいるんですからね!誰かに怪我させたらあなたのことボッコボコにしますから!何しようとしてるん、」
話してる途中なのに体に殴られたような衝撃が来る。高いところから体を叩きつけられたような衝撃に一瞬意識が飛びかけるけどなんとか足で踏みとどまる。
「な、に…したの…」
腕を引き寄せられてエース君の帽子をどかされて目が合う。海兵達は全員倒れてる、し見た感じ市民は巻き添え食らってない…ぽい。
「赤髪…その人をどうするつもり!?私たちの恩人なのよ、…こ、答えによっては容赦しないから!」
さっきの…あれ、今度は妹とお姉ちゃんまで出てきたの!?帰りなさいって言ってるのになんで言う事聞かないかなもう…!!
「悪い悪い、俺の友人なんだ。このあと白ひげのトコまで送り届けるさ…だからそんな物騒なもん引っ込めろって。お前随分慕われてるんだなあ!」
「頭、こいつ気ィ失いそうだぞ」
新しい声だ。……でっか…なんなの…個性もないのになんでこんな体が大きいの…。体にうまく力が入らない。
「触ん、ないで……誰…?」
肩を掴んできた赤髪を少しの間止めて離れる。この足の長い赤髪よりでかい人に数歩で詰め寄られそうだけど。
「おーおー、手負いの猫みたいだな。白ひげの知り合いだ、俺はシャンクス。」
…え、この人が!?顔に出てたのかちょっとムスッとされた。
「何……ちから、入んない…」
「っと、…覇気は初めてか?」
覇気…?支えてくれた大きい人に聞き返す前に、聞き慣れた声が届く。怒号つきで。
「くましろ!…お前出歩くなって言っただろうがよい!!」
「平気か?!わりぃ、俺が帽子なくしたなんて言うから…」
怒り心頭のマルコさんとマルコさんに怒られたからか少し元気のないエースくんの声が後ろからする。
「くましろっつーのか、そうかそうか…よ!マルコ!コイツ連れてってもいいか?なんかぐったりしててよ〜」
「お前が覇気なんか使うからだろうがよい!!!…悪いなベックマン、そいつの顔見せてくれよい…おい、おい。聞こえるかい?」
「マルコさん…」
ぺちぺち、と頬を軽く叩かれて視線が向く。
「説教はあとだよい、またお前……首突っ込んだのかよい?なんで暴れなかったんだよい、わざわざ縄までかけられて…」
「爆弾もってたから…家とか壊れちゃうし…周りに人いたから」
「…ここまで来ると聖人君子だねい、で…お前は昼間の女か、ナイフなんて持って何してんだよい?」
「つ、連れてかれちゃうと思ってたらいても立ってもいられなくて…そうこうしてたら赤髪が来たの。…これ、縄切るのに使ってちょうだい」
手がプランと自由になる。眠い、もう無理かも…
「…っうわ!??!」
起きたらいきなり目があってびっくりして仰け反る。
「起きたか!平気か?いや〜いきなりぶっ倒れるからビビったぜ」
ニカ、とエースくんに少し似た笑い方をするこの人…たしかシャンクス…。周りを見渡すと、さっきいた島から離れた孤島にマルコさんたちと共に移動したみたいで、知らない人がちらほらいる。
「……近い近い、なんなんですか?!」
「お前が言うか?…水飲めだとよ」
イゾウさんが水をくれるのでお礼を言って飲む。仲は悪くないと言ってたけど、仲いい部類なのでは…?飲み会やってる。
「…体調は?」
「もう少し人生エンジョイしたかったなあって思います」
「ったくよい…エースもエースだが、お前もお前だよい。赤髪から聞いたぞ、また煽ってたんだってな」
「煽っては…」
「イキってるザコとか言ってたろ」
「イキってるザコでしたもん」
そう言うとマルコさんのゲンコツが飛んでくる。いっった!??!頭蓋骨陥没したのでは??!
(そんなに強くやってねえよい)
(……も〜、オレはそれでも痛いんです!ズキズキする…)
(…どういうことだよい?)
(個性の反動で痛がりなんですよ)
(…なんでそんな大事なこと早く言わねえんだよい!!)
(当たり前すぎて忘れてたんですよ!!)
(個性…?)