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48 魔法と対策
*神代くましろ
根津さんから呼び出しを受ける。クルーウェル先生と消太さん、塚内さんも一緒に。
「まぁそんな畏まらず聞いてね。くましろくんがこちらでは半年行方不明になってた件だけど…塚内くんの必死の捜査によって、敵の仕業と判明したよ」
「狙った相手を異世界へ放り込む個性ですか?」
消太さんが尋ねると根津さんは頷く。すごい……自分が使用するならいいけど、悪質な使い方もできる個性だ。
「敵は普段は一般商社に勤める会社員で、君のファンらしくて…本当の計画は君を異世界に送り込んだあと、自分が迎えに行って関係を迫ろうとしていたらしい。…けど、私生活の方で会社をクビになった挙句家庭も離散で、病んでしまって遅れたんだってさ…迷惑な話だねえ」
「え、と……既婚者ってことですか?家庭が離散って…」
「うん、そう。ちなみに敵は女性でアイドルのように君を推してるみたい、押収品が凄かったって塚内さんが」
「番組やCMのグッズとか諸々たくさん収集しててね…」
「はっきり言って普通に……キショイです、、、会見ですか?」
「だよね。…その予定だけど…逮捕したからいいけど、問題はクルーウェル先生たちの方さ、帰し方を調査してるんだけど口を割りやしなくてね…」
「…もしかして会わせろって言われてるとかですか?」
「…ブン殴りゃいいでしょう、なぜストーカーの加害者にくましろを会わせなきゃいけないんです」
消太さんがオレ以上に怒ってる…でも逆の立場だったら確かにオレも怒るかも。
「言いにくいけど……くましろくんの言うとおり要求されててね…相澤さんの言うとおり色々手は尽くしてるんだけど頑なで…」
ほんとに言いにくそうに塚内さんが口を開く。塚内さんのせいでもないし、根津さんのせいでもない。
「同室じゃなかったら…まあいいですよ。あと二人きりは無理です。……リドルくんたちもそろそろ帰りたいでしょうし…向こうでよくしてもらった分、こちらも早く帰してあげたいし…なので、オレの意思で会おうと思います。…そんな怒らないでください、消太さん」
「無理な相談だな」
「俺も相澤に同意だな、子犬が無理をするよりも薬でも何でも使って吐かせればいい」
なんて物騒な…。マフィアやヤクザじゃないんだから二人とも落ち着いてくださいよ、と肩を撫でる。
そんなやり取りが先日あって、今日拘置所にやってきた。一応ボイスレコーダーとかを用意して、クルーウェル先生と消太さんがついてきてくれた。
「……本物?」
見た感じは普通の人、だ。根津さんからさらに詳しく話を聞けば小さい子どもも居るらしい。色々と複雑な気分になる。
「本物ですよ…貴方のお願い聞いたんですから、個性について話してくれますか?」
「嫌よ」
さっそく話が違う。よくドラマであるみたいにアクリル板のようなものを隔てた壁の向こう側にいる敵。面会立会の拘置所の職員にナメた態度を取っているせいで、職員の人もムスってしてる。手を焼いてるんだな…。
「私がどれほどくましろくんを好きか知らないでしょう?…握手してくれたら話そうかな〜?」
「知るわけないよね、今ここで初対面なんだから。…貴方の個性に巻き込まれて迷惑してる人がいるんです、わざわざオレを呼び出しても話さないとなると…もう誰から何されても文句言えませんよ」
1ヶ月くらいこの調子らしくて、警察側ももう実力行使でいいんじゃないか?という空気にもなってるみたいだからね。消太さんやクルーウェル先生の言うとおりかなり強行的になる可能性もある。
「ふふ、怒っても可愛いのね。」
「…何かの時間稼ぎでもしてるつもりですか?個性の制御できないとか…」
そうハッタリをかけるとさっきまで笑っていた敵の笑みがぎこちなくなる。…アタリか。
「うまく使えばいいのに…じゃあこうしましょう、オレと貴方で個性の訓練するってのは?」
「却下」
向こうより先にこちら側の消太さんが待ったをかけてくる。うわ、めちゃくちゃキレてる顔してる…!!!コワ…
「来てくれたから正直に話すわよ。…今回はいつもと勝手が違ったの、私ももう34だしある程度の個性の使い回しはできる。そもそも異世界だけじゃなくて……経緯度が分かっていれば地球上にパスポートなしでイケるの」
「ちょっと、不法滞在はだめですよ。どこでもドアみたいなノリで話してますけど」
「あら、うまい例えね。ほんとどこでもドアよ…だから国内は大学生の頃によく行ってたし、近隣の外国なら私自身で個性を使って行き来してたの。今回だって、くましろくんを異世界になんてつもりはなかったの……ほんとよ」
オレの目を見て話してくるその人の表情からは、嘘をついてるようには見えない。個性の能力は便利だけど普通に余罪あるぞこの人…。別の意味で刑期伸びるんじゃ…
「当初はどこに行かせようとしてたんだ」
消太さんが腕を組んで睨みながらそう言う。確かに…地球上の僻地にでも飛ばそうとしてたのかな。
「フィンランドあたり。…ムーミン好きでしょ?」
「…まあ好きですけど……いきなりフィンランドに投げられても喜べないと思いますが…」
「何か手違いでよく分からない行き先に行っちゃった…行き先が分からないなんて今回初めてなの」
「……なんか…その時魔法に関することとか考えたりは?」
「魔法…?考えてなかったけど」
考えてて意識がそれたからとかじゃないのか…残念。結局本人から聞けたのは制御がうまくできずに、個性事故のようになってしまった話しか聞き出せなかった。
面会の部屋を出てすぐ振り返った消太さんは般若みたいな顔をしてた。やばい、誰がどう見ても怒ってる…!!!
「オイ、途中のあのクソみたいな提案はなんだ?」
「痛いです痛い痛い」
顔掴む力強すぎて潰れるんじゃないかってくらいの力だ。ミシミシ骨が軋んでる気がする。
「自己犠牲が過ぎるぞ、学生時代に叩き直したと思ったんだが…再教育が必要か?」
「勘弁してくだひゃい…」
結局振り出しに戻ってしまった。
「……子犬、お前が事を急ぐ理由は俺らか?」
「…なんかその聞き方だと、悪い原因みたいな…。そうですよ、早くあの子たち帰してあげたいんです。
学生の頃の一日って貴重だから…夢があるなら尚更」
そう言うと消太さんの顔を鷲掴みにしていた力が少しだけ弱まる。
「1年生組はまだしも、3年生は将来の夢が明確になってきてる子が多いです。方向性だけでも決まってる子はいるし、ここじゃ魔法の勉強どころか流出の危機が理由で実践もできない。
1ヶ月以上も世界が違うところに閉じ込められてて、よく我慢してるなと思いますよ…こことツイステッドワンダーランドは時間の経過が違うとは思いますが、それにしたって歯がゆい思いをしてると思うと……自分が怪我とか、体調崩して学校休まざるを得ないときを思い出すんです。
すごく嫌で…置いてかれるような気がしたから」
「何に置いていかれるんだよ、トップで入学してトップで卒業していったクセに…」
「だって個性の制御とかスタートが遅い自負あったから…!」
やれやれ、とため息をつく消太さんを肘でつつく。
「俺が躾をしている子犬たちを舐めてもらっては困る。数日、数ヶ月授業を受けれない程度でダメになるようには躾けていない。……お前の心遣いには一同感謝しているが、そこまで背負い込む必要はないぞ」
念を押すかのようにクルーウェル先生にも言われて、納得せざるを得ない。
「わ、かりました…」
「…そういえば、1つ疑問なんだが…子犬はメディアから身を隠す際に変身魔法のようなものを使っているな?」
「魔法だと変身術に値するんですね…してますね。」
たいとの個性のことだろう。最初知らない人になったオレを皆が呆然と眺めていたのを思い出す。アズールくんたちは元々人魚で、人間への変身薬を飲んで過ごしているらしいから定期的に薬を飲まなくても変身できるのは羨ましいと言われたっけな…。
「例えば子犬が俺に変身したとして、魔法は使えるのか?」
「……試したことないかも…」
「…クルーウェル、あいつに変身してくましろにやらせるつもりか?」
「信用おけないあいつ自身に子犬をどうこうされるより些かマシではないか?…それに子犬の結婚相手の相澤なら分かるんじゃないか?納得がいってなくて隠れて何かしようと企む駄犬の様子くらい」
ギク。
「……弁明は?」
「……ぐう…」
ぐうの音くらいしか出せません、の意味を込めて発言したら面白かったみたいで消太さんは笑いだした。
「……轟あたりにしろ、話はそれからだ」
*相澤消太
くましろをツイステッドワンダーランドという魔法が使える異世界に送り込んだ奴の正体が分かったものの、くましろの悪質なフォロワーらしくどうやって異世界に繋いだのか口に割らず警察もお手上げ、という状況に面倒をよく見ている子どもたちを早く帰してあげたいから、と面会までしたくましろ。
故意に異世界に繋いだのではなく、事故みたいなモンということまでは話を聞けたが自分が実験台になるから個性の制御訓練をもちかけるだの、たいとに頼んで他の人に個性で変えてもらった際に敵と同じのにして実験してみるだの、突拍子もないことを言い出す。
敵のことと、帰れる手段はあるようで見つからなかったことをクルーウェルが生徒たちに伝える脇で、くましろは早速テレビ電話をたいとに繋いでいる。
『やっほ〜くましろ、久しぶりやん!元気してた?』
『くましろ〜〜!!!!やっちゃん寂しいわあ、早よ奈良に遊びに来てやぁ』
相変わらず元気なたいとやつきの二人にナイトレイブンカレッジの生徒たちも目を丸くして様子を見守っている。
「たいと、やつき…少し真面目な話がある。時間平気か?」
『え、待って!??!離婚!?!!相澤さん、アンタ何したん???』
『信じられへん、弁護士呼ぶわ…!』
「離婚じゃねえよ、電話かけるのやめろたいと」
つーか何で俺が何かした側なんだよ。
『離婚じゃなかったらほか何ある?……あ、妊娠!??!』
「やっちゃんちょっと落ち着いて、オレ生物学的に妊娠できないから」
『養子縁組??!?』
「養子に迎えたい子はいるんだけどさ…もう、笑っちゃうからボケないでよ」
ケラケラ笑うくましろ。
『『ボケとらんわ!!!』』
「相変わらずだな…半年音信不通だったろ、そのことだよ」
『最後の切り札ヒーロー引退かと思ったわ…、そや半年何しとったん??海外旅行?』
まあ近いが…と周りに言うなよと釘を刺して事の顛末を掻い摘んで伝える。
『……え、ちょ、ちょっと待って?……くましろが自分自身でその…どこでもドア的な個性自分に使うて、異世界行けるか試したいってことやんな?…ダメに決まってるやろ』
「そこをなんとか…たいと!!!お願い!!!この通り!」
『やっちゃんも同意見やわ、何をトチ狂ったことゆーてるん。今度帰ってくるのに5年とかかかったら誰を呪えばええんよ』
「呪うな」
『……なんでくましろがそんな危ない目に遭わないかんねん……嫌や、相澤さんみたいに怪我されんの』
俺まで巻き込んでチクチクと攻撃してくるやつきに苦笑する、散々目も足も体も命も大事にしろ!とこの二人からも追加で泣かれたことを思い出す。
「それはオレも嫌だけど……今、テストだから。やっちゃんでもいいし、轟くんでもいい。ここで形変えて個性が使えなければまた別の…なるべく安全な方法探すから」
『…使えんことを祈るわ…やっちゃんで試すで』
くましろの本気と頑固さに折れたたいとがくましろの姿をやつきに変える。声も骨格も変えるから、本当にドッペルゲンガーのようだ。
「……やっちゃん、どういうイメージでいつも個性使ってる?」
『結界師っていう漫画』
「懐かしい、あったねそんなの…」
そう言いながらおそらく個性をイメージして使用しているくましろの手に、よく見た透明な箱のようなものが生まれる。
「……出来た…」
轟やマイクなどにも姿を変え、個性が問題なく使用できるのを確認。姿どころか個性までコピーできるとは…かなり強力な個性だ。
『俺の個性こんなヤバかったんや…』
「今からでも雄英入学するか?」
『絶対嫌や!!!』
(…消太さん、あの…)
(……俺と山田、根津さんを説得できたら考えてやる)
(難易度鬼じゃないですか……)
(くましろさん…本当にやるんですか?)
(現状これしか手がかりないからね…本人の協力は得られなそうだし…怪しいし。)
(アンタが危険な目に遭う必要ねーんじゃねーの…)
(大丈夫大丈夫、こう見えてもちゃんと強いから)