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47 魔法と休暇
*神代くましろ
クルーウェル先生たち、ツイステッドワンダーランドの世界の住民たちがオレらの世界へやってきて早くも1ヶ月が経とうとしている。
授業も受けれてないし、身分を隠しているのもそろそろ辛い頃合いじゃないだろうか。そもそもオレは全寮制で泊まり込みだったから、賢者の島の麓の街とかに出かけたいってならない限り平気だったけど15歳くらいの子どもたちは遊びたい盛りなんじゃないかな…。ほぼ軟禁だし、雄英の生徒に混じって授業をってこともできなくて毎日つまらないと思う。
できるだけ時間をずらして体育館とか貸し切りにしてスポーツやってみたり、DVD借りて映画見たりなんてことはしてるけど…。
「そろそろ飽きてきたんじゃない?しんどくない?」
「気遣えるんだな」
意外、みたいな顔でレオナくんに言われる。この自習室にも大分植物が増えた。殺風景すぎて頭おかしくなるって言われて色々買い揃えたら温室みたいになってしまった。
「逆に聞きますが、貴方は2ヶ月ナイトレイブンカレッジにいて飽きなかったんですか?」
アズールくんに聞かれる。飽きるよねえ、ごめんねと頭を撫でる。
「結構毎日新鮮で飽きはしなかったかな…だってなんせ魔法だよ??ファンタジーっていう一大ジャンルが目の前にあったからさ…」
「何かしろとは言わないけど、退屈なのは事実よ。…でも皆アンタが気を回して色々してくれてるのは分かってるからこれ以上のワガママを言わないの」
「ヴィルくん……高級フルーツでも買いにいく?」
「甘やかすな、子犬」
「……大所帯になるしって避けてたけど、明日の週末皆でどこか出かけようよ、例えばどんなところがいい?」
「…俺は静かに眠っていてえんだが」
「じゃあレオナくんはピクニックね」
ピクニック先なら寝ることもできるし、風邪を引くほど寒いこともない。うってつけだろう。もう反論する気力もないのか、尻尾で背中をペシペシ叩かれる。
「アタシもピクニック賛成、自然の中に行ったら少しはゆっくりできるかしら」
うんうん、山も近くにあるしうってつけ。ちょっと傾斜きついかもしんないけど…麓ならいいかな。
「俺は逆に市街地行きたいかも…ゲームとかしたい!どんなのあるか気になる」
エースくんの意見は面白い…確かに。スマホはお互いの世界があったけどゲーム機持ってる子なかなか見なかったな…。噂程度で結局タブレット越しに会えなかったけど、イデアくんがゲームオタクらしいけどどんなのあるかまでは分からなかったし…。
ゲーセンとか行くのもそれはそれで楽しそうだ。
「僕は別に…どこでも…」
「リドルくんはケーキ買いにいこうよ!美味しい店知ってるから」
「ちょっと、なんかリドル寮長に甘くないスか〜???」
エースくんに詰め寄られるのでそんなことないよと返す。皆で食べる想定してたし。
「俺は美味いもん食いたいっス、雑誌とか見たら美味そうなもんめっちゃあるし…!食べ歩きしたいっス!」
おお、グルメなラギーくんらしい意見だ。リドルくんとヴィルくんはあり得ない…って顔してたけど。
「デュースくんは?コレして遊びたい候補とかある?」
「僕は……陸上以外だとマジホイとかが趣味ですけど…ここにはねぇし…」
うーん、うーんと悩み始めてしまった。デュースくんもゲーセン巡りとかではしゃいでくれそうなタイプだけどどうかな…?スポッチャみたいな方がいいのかな?
「アズールくんは?和食の店案内しようか?」
「気にはなります。…が、ラギーさんが見ていたグルメ雑誌を見る限り相当なジャンルがありませんか?とてもじゃないが回りきれません」
「回りきるつもりだった?!……外国にも美食の街って有名なところはあるんだけど…そこは、目で見て食べて芸術を楽しむ!って感じなのね。
ただ日本ってなんていうかな…もちろん盛り付けとか素材の美味しさもこだわるけど、衛生管理とかその他諸々含めての美味しさを追求してる独自の国民性があるっていうか…
北と南で好まれてるもの、メジャーなものがだいぶ違うから食べきるのは無理だと思うよ…」
「なるほど……地図で見たらそこまで大きくないのに中々面白い文化ですね。ちなみに、北と南で特産品の違いなどはありますか?」
「縦に長い島国だから、同じ気候なのにそもそも全然温度差が違うのね。
北はやっぱり寒いから、塩辛いものとかが多い。あとは海産物が豊富で…南も海産料理はあるけど、独特な民族料理が強く残ってたりするかな。豚の血まで食べるよ」
そう言うと興味がそそられたようであとで雑誌で見てみる、と帰ってきた。
「ちなみにここは、山の麓の街でもあるから水がきれいなのね。だからその水を使って作る蕎麦とか美味しいよ」
「ソバ…初めて耳にします、食べてみたいです。」
今日のお昼出前でも取る?と盛り上がるけどいけないいけない、週末の過ごし方について話し合ってたんだった。
結果今回の週末はピクニックにして、ゲーセンはまた後日ねと伝えているとオレを呼びに来ていた消太さんと目が合うので明日ピクニックに行きたいんですが…と申請する。
「必要なもんの買い出し行くぞ」
大きいホームセンターやスーパーが入ったモールに行き、皆に以前ガチャガチャで回したたまごっちとかのエコバックと1000円を渡していく。もうここに来てから一ヶ月近く経つので、簡単な漢字くらいならなんとなく読み書きできるレベルでお金の計算方法なども教えていたからね。
「じゃあ皆、持ち寄るお菓子はその1000円までね。あ、ケーキはまた別で買うからナシね。こういう袋菓子がおすすめかな…じゃ、おやつ好きなの買ってください」
「…子犬、俺はいい」
遠慮して来るクルーウェル先生に1000円を押し付けてると、消太さんがオレのポケットに1000円ねじ込んでくる。
「お前もおやつ買ってこい」
消太さんも選びましょうよ、と誘って二人で飴とかラムネをチョイス。消太さんは懐かしいってブタメン選んでて可愛かった。
ホームセンターで大きいレジャーシートや飲み物入れるようにクーラーボックスを買って、レンタカー予約して完了。
明日の天気は快晴、気温は25度よりも低い…。長袖のほうがいいかな〜。
*相澤消太
異世界の人間の世話し始めて一ヶ月経とうとしている。戸籍もなく、個性とは異なる力を使える彼らへの制約事項は多く雄英から外出させてやれない軟禁状態が続いてるのを何より気にしていたくましろが根津さんにもかけあって週末ピクニックに連れて行くと言い出した。
子どもたちは子どもたちで、軟禁状態に特に文句など言ってるのは聞いたことがない。なんやかんや欲しいものはくましろがすぐに用意してくれたり、定期的に学校内のいろんな場所に連れ出したりして気を回してるくましろの気遣いを受け取っているのだろう。
今日も朝から自分を含めて10人分のお弁当を仕上げていた。自分が学生時代、運動会などのイベントでやりたかったことだからと言っていたがマイクが聞いたら泣き出すだろうな…と純粋なくましろの頭を撫でる。
「なんかいい匂いする!」
「お弁当作ってきたよ〜楽しみにしててね」
「すごい量ね……大変だったでしょ?」
「普段こんなにご飯作らないからなんか楽しかったよ」
本心からそう言い放つくましろは本当にすごいと思う。実際大量に机においていたおかずが弁当箱に詰めていく中でみるみるなくなっていく様子を楽しそうに見ていた。
レンタカーの運転は俺がやるよと申し出たが、帰りだけでいい!と何故か怒られた。キャンプ場につくと平日でオフシーズンだからか人はまばらだった。広い駐車場の端に車を止め、レジャーシートを広げて子どもたちは各自好きなように過ごし始める。
くましろが持ってきたバドミントンで勝負し始めるエース・デュースや、フリスビーを魔法で浮かせてマジフト、と呼び合う子どもたちの世界のスポーツを擬似的にやって遊ぶラギーやアズールの笑い声が響く。
「空気が澄んでいていいところだな……子犬、疲れてないか?」
「ちょっと眠いです」
向こうでも熱出してお世話になっていたらしい。クルーウェルはくましろを病弱だと思ってるらしく、しきりに体調を気遣う。聞けば熱が4日間下がらなかったとか…。さぞかしぐったりしていたくましろの様子を思い浮かべ、病弱と思われても仕方ないかと納得する。
「くましろ、少し寝るか?」
朝早かったろ、と続ける。クマなんかはないので日々しっかり休んでいるはずだが気がかりなのは子どもたちだろう。精神的にもしっかり休めているかは怪しいところだ。お昼まで俺の膝の上で仮眠をとったくましろ。
散々動き回ってヘトヘトなエースたちが帰ってきた頃合いで弁当の準備。飲み物は勝手にコップやらが動いている。魔法っつーのは本当に便利だな…。
たんまり作ったおそらく初めての和食と弁当に一同大興奮で箸を伸ばす。あんなにたくさんあったのにどんどんなくなっていく。
「消太さん、どうですか?」
「とびきり美味い」
おにぎりやらだし巻き卵を食べながら答えると顔を赤くして喜ぶくましろ。体を起こしてお前も食えよと皿を渡す。
「レオナくん、竜田揚げどう?」
「タツタ…?しょっぱくて美味い」
おそらく唐揚げかと思って食べていたであろうレオナが聞き慣れない単語に眉をしかめながらも食べている。体が大きい分よく食うやつだ、野菜は毛嫌いしてるみたいで食わねえが。
「この卵焼き、不思議な味がするわね」
「出汁が入ってるんだよ、鰹とかの。こっちのゾーンは砂糖の卵焼き、こっちはだし巻きね」
「俺これ超好き!中のやつ何?」
「それは…高野豆腐っていうんだ、スポンジみたいに乾燥してる豆腐を水で戻してプルプルにしてから肉で巻いたの…味滲みてて美味しいでしょ」
なんとかあの子どもたちの食欲に見合うものを…!と必死にかさ増しレシピを調べていたくましろを思い出す。高野豆腐か、煮物のイメージしかないけど肉みたいにもなるんだな。
「トレイも料理が上手だけれど…くましろさんのご飯もやっぱり美味しいですね」
養子候補のリドルがそう言うと嬉しそうに笑うくましろ。攫うなよ、と忠告するとしませんよ!と怒られた。
たんまり作って足りなかったらと予備で買ったサンドイッチまで含めて完食。10代の食欲は目を見張るものがあるな…。
少し胃を休めて買ってきたケーキを食べて、駆け回るやつもいれば周りを散策して来るやつもいて各々好きに過ごす。
「で、これはなに?」
「似合うかなって…花冠!かわいい…」
勝手に俺の頭に花冠を乗っけて騒いでるくましろを膝に座らせて花冠を被せる。どう考えてもこっちのほうが似合うだろ。
「…うん、可愛い」
「ヴッ」
顔を真っ赤にして倒れ込むくましろを見ていたヴィルは声を上げて笑う。
「全然敵わないのね、アンタ…待ってアタシがあげたリップは?唇が乾燥して裂けてる」
その容姿通り、異世界先ではくましろのようにモデルや俳優として活躍しているらしいヴィルにはスキンケア用品を見繕ってもらったと話は聞いている。肌が弱くて荒れやすいくましろの異変にいち早く気付いたのも彼だそうだ。
「…あった、すぐ乾燥しちゃうな〜」
リップを塗ったことでより中性さに拍車がかかるくましろ。相変わらず綺麗だ。
「消太さんが乗っけてくださいよ、そのために作ったのに…」
「コピーすりゃいいだろ…」
そう言いレオナが花冠を複製。すごいすごい!もっと作って!とはしゃぐくましろの勢いに負けたのか、人数分作ったレオナ。
「かわいい〜…!」
最近気付いたことだが、レオナは自分のことを可愛いと言われるのが満更でもないようだ。さすがは猫…。猫というと眉間にシワ寄せて怒ってくるが、態度の節々から猫を感じずにはいられない。
「アタシのはもっと角度つけて…そうそう、どう?似合う?」
「似合う…!可愛いねヴィルくん」
「お前らに先に言っておくが、こいつの可愛いは最大級の褒め言葉だ。語彙力ないのは気にしないでやってくれ」
皆に花冠をのせては可愛い可愛いと褒めまわるくましろにポカンとしている子どもたちにそう言う。
(でも消太さんが一番可愛い!プリティ!この世で一番!)
(何バカっていうの?こういうの)
(婚約者バカ?旦那バカ…?)
(ちょっとちょっと、正当な評価だから。バカじゃないから)
(…何撮ってんだ)
(きゃわ……!!!!簡単に人を上目遣いで見ないでくださいよ!!!死人が出るから…!!)
(出ねえよ)
(出ます!!!…どうせならムービー撮ろうかな、皆こっち向いてキメ顔してね〜?)