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46 魔法と景色
*神代くましろ
いつの間に皆でオレと爆豪くんどっちが勝つかを賭けあってたみたいで、消太さんにアイス買ってもらって嬉しそうなラギーくんにお礼を言われた。勝つと思ってなかったから嬉しいって言われて複雑な気持ち…。
お家に帰るんだよ!と口を酸っぱくして爆豪くんは帰した。ちゃんと休みとったかジーニストさんに確認しちゃうからね!と言ったら、わぁってるわ!!てキレながら帰っていったから少なくとも今日はお休みするだろう。いつかの自分みたいに体を壊してほしくないからね。
「あ〜楽しかった!」
「とんだ戦闘狂だな」
レオナくんに言われるので違うよ!と言うと、バルガス先生との手合わせのときもニヤついてただろと言われる。やっぱあの目があった時見られてたか…。
「今までやったことない動きする人だったから楽しかっただけだよ、ほんとの敵との時は楽しいとかの気持ちないし」
そう訂正したつもりなのに消太さんがいつもブチギレてるとか言うから皆が詳しく詳しく!て消太さんを囲む。
「昨日とか見てねえか?眉間にしわ寄せてキレてただろ」
「異世界人なの隠すフリに忙しくて顔見てる余裕はなかったッス…」
「相澤先生絡みだともっと怒ってるよね、くましろくん」
出久くんにまで言われた。自覚なかった…。そんな怒ってるかな?と思い返したけど、たしかに消太さんに攻撃した敵全員気絶させてたな…。
「……あった、コレなんか有名だな」
ちょっと、意気揚々と動画サイト開かないでよ。なんか黙ってるなあと思ったら消太さんは市民がまとめたその時の動画を検索してたみたいで、パソコンの前にみんなが集まる。
「覚えてないんですけど…何ですかコレ…」
「オフの日に俺と歩いてて事件発生して俺が足少し切られてお前がバチバチにキレたやつと、轟が殴られてこれまたバチバチにキレた時のやつ。」
「………!!!!消してお願いします!!」
「嫌だ」
「あああ黒歴史だぁああ!!!!」
思い出して恥ずかしくてのたうち回る。画面消してってお願いしたのにそれは楽しそうな消太さんは当然のように断ってきた。にやって顔カッコいい。カッコいいけど皆に見せないで欲しい。しばらく外出歩けなくなったときのやつだ…。
『ッざけんじゃねえぞクソ敵が!!!!』
「ブッ!!!めっちゃキレてるじゃん!!!」
指差してエースくんにヒイヒイ笑われる。
「さっきのイガイガにそっくりね」
待って、ヴィルくん爆豪くんのことイガイガって呼んでるの!?かわいい呼び名…!そっちに反応してしまった。
「だってムカついたから…」
『轟くん…!』
ああ轟くんがお腹殴られてサイヤ人みたいにすっ飛んできたときのやつだ…めちゃくちゃ覚えてる…。
そもそも氷と熱の半例の個性の轟くんが殴られるほどの間合いに詰められることも珍しいし、殴られて吹っ飛んでくるなんて学生時代の演習でもなかなか見ない光景だった。
そんな轟くんだからこその驚きと、敵への警戒度が高まったのと、血吐いて痛がる轟くん見てムカッてなったのは覚えてる。いろんな感情が渦巻いて導火線が短くなった感覚…。
『ぶっ飛ばすぞこのツルッパゲェ!!!!』
膝から崩れ落ちる皆とクルーウェル先生まで肩を震わせて笑ってくるから戦犯の消太さんのヒゲを引っ張る。
「悪い、拗ねるなよ…面白くて好きなんだよ」
「なんにも面白くない」
「普段こんな悪口言わないからな」
そりゃそうですけども…。
「僕もこの動画めっちゃ見たな……だって僕が知る限り、学生の時だって人に悪口言ってることなくなかった?」
「………言うほどのことされてない…ような?」
「うわぁ心ひろ…」
ラギーくん、何ちょっと引いてんの。見えてるからね。
「ん〜…爆豪くんにばかつきって言ったくらい?消太さんがくれたカバン壊したから…」
「…あったな…カバン一つで殴り合いして…。本来なら退学だぞ」
「だって爆豪くんがカバン壊したから…!」
「普通はカバン壊されたくらいで殴り合う喧嘩しねえんだよ」
形見とかならするでしょ!って言ったらカバンを形見レベルに引き上げるなよと怒られた。あのあとすぐにカバン買ってくれたけど、笑われながら渡されたの未だに覚えてる。
「轟くんに消しゴム踏まれて大泣きしてなかったっけ?」
「あれだって消太さんに買ってもらった大事な消しゴムだもん」
*⚗️
驚いた、バルガス先生から様子は聞いていたが本当にこの子犬は身のこなしが軽い。
2ヶ月ほど前、突如寮長会議中に空間転移魔法に近しい魔法展開された空間から現れたという子犬。弱音も文句も言わず、日々各担当教務の授業準備の手伝いや学園の掃除や備品手入れなどを自ら進んで行い生徒たちからも人気のある事務員。
問題児であるリーチ兄妹を素手で打ち負かせたり、それを聞いたジャック・ハウルやラギー・ブッチを始めとした血気盛んな生徒も複数人相手し余裕で打ち負かせたりと話題に尽きなかったため、魔法ナシとは言え相当強いのだろうと予想していたが昨日、そして今日の様子を見るに間違ってないのだと痛感する。
昨日は同級生らしい2人、そしてほかのヒーローと呼ばれる奴らと共闘していたため分かり難かったが今日の演習を見れば分かる。
ナイトレイブンカレッジの生徒はもちろん魔法ありきの日常であるため、体術優先の戦闘技術を極めている生徒はまずそうそう居らず、唯一と言っていいならマレウス・ドラコニアの親衛であるシルバーたちぐらいだろう。
動きも立ち回りも段違いだ。相手の爆豪と呼ばれているやたら受け答えに刺々しさが目立つ野良犬のような青年もなかなかのものだ。倍くらい体格差があるのに同じくらい早く、動きが的確。戦闘センスがあるのが見て分かる。直感的に動いてそうな見た目をしているが、緻密な戦略を立てられる知能派だ。
「…随分楽しそうだな」
「久々の爆豪との手合わせだ、お互いあんなんだがあいつらなりに仲はいいしライバル視してる。」
子犬の婚約者である相澤がそう言う。ナイトレイブンカレッジでも暴れていたぞと言うと目を丸くして笑っていた。
「誰もケガさせてねえか?」
「ケガどころかあんな動き引き出せる奴居なかったッスよ、俺ら大分手加減されてたんスねぇ…」
ラギー・ブッチがそうぼやく。
「専門分野が違うだけだろ……また癖出てるな、何遍も注意してんのに」
「癖……分かるのか?」
「基礎を叩き込んだのは俺だからな……」
あんなに強い子犬を育て上げたのは目の前の相澤となり、何人かの子犬共が目を見開いて相澤を見ている。
「意外か?俺もプロヒーローなもんでな…個性もあってあいつほど目立たねえが」
「そっか、皆何かしらの個性があるのか…ちなみに貴方はなんの個性なんですか?」
子犬が養子に!無理なら弟にしたい!と熱烈に口説かれているローズハートが相澤に問う。
「見ている間の個性抹消だ……くましろから昨日大方お前らの使える魔法…ユニーク魔法だっけか?聞いたが、お前とほぼ同じだ」
「個性抹消……確かに魔法を封じ込めて使えなくする僕のユニーク魔法と似ていますね」
「俺は瞬きしたら解除されるからお前のほど性能はよくねえが……あのバカ2人、演習授業だってこと忘れて楽しみ始めたな…おい、かくれんぼして遊ぶんじゃねえ」
拡声器を使って二人に呼びかける相澤。市街地想定の大きい模擬会場内でお互いが壊してできた瓦礫に潜んでいた二人が声をあげる。
「遊んどらんわァ!!!」
「真剣ですが!」
「演習なの忘れんなよ…殴り合いじゃなくて演習だ」
「分かってらぁ、殺してやっから来いやくましろ…」
「新技試しちゃお〜爆豪くん背中ダウンさせちゃうからね!」
楽しそうに、且つ悪い笑みを浮かべる子犬と野良犬。
「ほんとに分かってんのかお前ら…」
演習見学しているこの学校の生徒たちを見ると、熱心にメモを取る生徒もいれば派閥に別れて応援している生徒もいる。
演習は無事に子犬が勝ち、悔しそうに目を釣り上げる野良犬と嬉しそうにニコニコとしている子犬が部屋に戻ってくる。始まる前に街はあんまり壊さないように、と言われていたが普通にボロボロだ。まあ爆発の個性とあんなにあばれまわっていたら壊れるか…。
「すっげー!ダイナマ倒しちゃうなんて!!!」
「うるせえ!!!!!69回やって35回勝っただけだ!!!俺は34回勝ってんだわクソ!!」
「まあまあ、爆豪くんそんなに怒るなよ。ほら挑戦者は強いって言うじゃん?」
「クソくましろブッ殺す……廊下出ろやァ!!!」
至極悔しそうな野良犬と、初めての2連勝で煽る子犬。あいつらなりに仲がいいと言っていた相澤の言葉を思い出す。
その後、午前中に使用していた自習室に戻り各々自由に過ごす。
「爆睡だな…」
「そりゃ昨日と今日であんだけ動けばね…アタシ達が警察に箱詰めされてたあの数時間、建物の瓦礫撤去してたんでしょ?疲れてない訳ないわ」
シェーンハイトが雑誌を読みながらトラッポラたちにそう返す。
「魔法がありゃ瓦礫浮かせたりするのも多少は楽になりますもんね…便利っつってたくましろさんの気持ちが分かった気します」
スペードがそう呟く。もちろん機械の搬入はあったようだが、巻き込まれた民間人がいないか確認しながらの撤去なので時間がよりかかったんだろう。昨日迎えに来たときの疲弊した顔つきを思い出す。
「ヘイ!つまむもんと飲みもん持ってきたぜ……って神代寝てんのな…」
プレゼント・マイクだ。適当に配れやと渡されるので礼を言い机に並べる。
「神代〜、ここで寝たら相澤に怒られんぞ」
「……あれ…ゼンマイ…?」
「おう、俺だ。…仮眠室行くか?」
「ん〜……」
「悩むフリして寝ンなよ…相澤呼ぶか」
「学校にこんなたくさんお菓子が用意してあるなんて珍しいですね」
「あぁコレな…送られてくんだよコイツのファンから」
「子犬の…?」
「そ~そー。超甘党でな…メディア出るようになって好きなもんとか聞かれたり、密着番組とかだと移動時間につまんでるお菓子が写ったりすんだよ…そんで、全国から送られてくるってわけだ。
あ、これは全部スキャンとかして何も入ってねえの確認済みだから安心して食えよ」
「…その口ぶりだと以前何か入れられてたんですか?」
「あ〜…その……毛とか?人からの手作りのお菓子とかダメになっちまったのはそれが理由だ。もしそっちで断ったりして気ィ悪くしてたらすまねえな」
言いづらそうにしていたが、察しはつく。手作りのものにそれはキツイな…。
「ハーツラビュルではトレイ先輩のケーキ美味しい美味しいって食べてましたけど…」
「おや、デュース忘れたのかい?…トレイが最初から最後まで作り上げたのを見届けたケーキしか口にしてないよ。
潔癖だから人の手作りが苦手、と申告があってね…手袋して作るところ見たら平気と仰っていたので」
「へぇ、神代が手作りケーキ食えたのか…レアだな。
…あ、そうだ。お前らに1つお願いがあってな…既に何人かのヒーロー科や普通科の生徒たちに神代と一緒にいるの見られてるから、手紙やらお菓子やらなんかを渡してくれって依頼されるかもしんねえけどそれは絶対そのまま神代に渡すな。一度職員室…俺か相澤いるとこに持ってきてくれ」
「検査のため、か?」
キングスカラーがそう尋ねるとプレゼント・マイクは頷く。
「特にぬいぐるみ関連は気ぃつけてくれ、前盗聴器仕込まれてたことあってな…面倒くせえだろうが、お前らのためでもある。」
異物混入の菓子に盗聴器の入ったぬいぐるみ…壮絶だな。
「人気者は大変ッスね……ヴィル先輩はそーゆーのないんすか?」
「開ける前に魔法で分かるわよ…あと、ナイトレイブンカレッジではアタシにグッズくれる人よりたかってくる奴の方が多いでしょ」
(あれ……ゼンマイ、これ食べていいやつ?)
(検査済みだぜ)
(うま〜…!)
(飯食わねえとまた怒られんぞ、お前の旦那に)
(自分だって隙あらばゼリーですまそうとするくせにね)
(お前は痩せ方が極端なんだよ…3ヶ月会わねえだけで8キロとか痩せてんじゃねえか)
(…3ヶ月で8キロ…!?バカなの?)
(ゼンマイ!!!もっと厳しい人いるから黙ってよ!)
(叱ってやってくれ、最大の記録は2ヶ月で10キロだ)
(ちょっと座りなさいアンタ、説教よ)
(夏バテしてたから仕方ないんだってそれは〜!)
(惜しい命を失ったな)
(レオナくん助けて!)
(俺は中立的立場をとるんでな、争いに巻き込むな)
(く、クルーウェル先生は助けてくれたり…?)
(シェーンハイト側だ、おすわりだ子犬)
(諦めたほうがいいっスよ、ここの二人が組んで美容や健康のジャンルは誰も勝てねえッス)