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43 魔法と初対面
*神代くましろ
今日はクロウリー先生立ち合いのもと、召喚術の授業の見学。大体はまず手近な動物を召喚するらしい。リスとか、鳥とか。
んで…できない組として残っているエース・デュースくん、エペルくん…。1年生は感覚が掴めないらしく、3人とも指定された動物とは異なる石とか葉っぱとかを召喚している。
「だ〜!!!わっかんねえ!!!!」
「難しい、ね…ちゃんと動物イメージして呪文唱えてるんだけど…」
「ジャック、もう一回見てくれ頼む!」
エースくんたちと仲良しのため必然的にオレも顔見知りになった1年生の中では一番最初に召喚獣を成功させたジャックくんが呼ばれる。教え方はうまい方だと思うけど、教わる側が感覚的すぎて噛み合ってない気もする。
「セベクくんはどういうイメージでやったの?」
「僕か?僕は…若様をイメージした」
それでネコ呼んでたの?授業のラインとしてはOKでも長い目で見たら良くないのでは…!?
「マレウスくんか……そうか」
「そういえば…若様がまたお前を茶会に誘うと仰っていた。近い内に手紙が届くだろう」
「……え、ここまで話してくれたなら直接お誘いに来たほうが早くない?…もしかしてだけど、マレウスくんって手紙のやりとり好きなタイプ?」
だとしたら可愛いとこあるなあ。回し手紙出してた耳郎さんを思い出す。
「わざわざ若様にご足労をかけさせる必要もないだろう!それにお前はスマホも持っていない…。」
「スマホ持ってたって、マレウスくん全然使いこなせてないじゃん…セベクくん、マレウスくんを想うならスマホの使い方くらいは教えてあげないと…そばに入れないときに役に立つかもしれないからさ」
「それはそうだが…若様は機械が苦手なのだ」
そんなムスッとしなくても…。
「今度のお茶会でオレが教えようかな…フリック入力できないのは驚いたもんな…」
おじいちゃんみたいな入力方法してて腹抱えて笑ってセベクくんにガチギレされたっけな…。デスノートのLじゃないんだから…一文字の入力にどれだけ時間かかってんだよってくらいゆっくりゆっくり文字入力するマレウスくん、面白かったな〜。
「呼んだか?」
「わ、若様…!」
いつのまに後ろにやってきたマレウスくん。もうここにいると慣れた光景だ。
召喚術のように神出鬼没なマレウスくんには最初驚いてばっかりだったな…。
「あ、マレウスくん。うん、セベクくんからお茶会の話聞いてたところだよ…いつにする?」
「そうか、話が早いな。来週がいい」
「マレウスくん、あれからスマホ上達した?」
「カメラは撮れるようになったぞ」
おお!すごいじゃん。ロック画面からすぐカメラを出す方法に苦戦してた時を思い出せば大きな進歩だ。
「セベクくんと、マレウスくんのスマホ技術向上頑張りたいねって話してたんだ。」
「人の子が熱心に教えてくれるのは構わないが、僕には少々向いてないと思う」
「向いてなくないよ、だってちょっとずつでもできるようになってるじゃん?ちょっともできないなら向いてないって決めてもいいかもだけど…マレウスくんにはマレウスくんのペースがあるだけだよ…ね?セベクくん」
「若様ができずとも家臣の僕が代わりにやります!!」
それじゃダメなんだってば…!
「……あやつらは何をあんなに唸っているんだ?」
「召喚術がうまくいかないんだって。セベクくんはすぐできてたよ」
「ニンゲン、すぐ僕を若様に売るな!出来て当然なのだ…!」
ええ?難しいことにはきっと変わりないんだから、褒めてもらえばいいのに…。
「フ、さすがは僕の従者だな」
おそらくわざとそういう褒め方をしたマレウスくんと泣いて喜ぶセベクくん。
「人の子はやらないのか?」
「いや、オレ魔力ないもん」
「……そうだな、セベクと同程度の魔力を一時的に授けることもできるぞ」
さらっとすごいこと言うマレウスくんに2度見する。さすがのセベクくんも危ないのでは…?はわわ…て顔でマレウスくんに申し出てた。
「僕もいるし、学園長もいる…セベク、マジカルペンを貸してやれ」
貸し借りしていいやつなのこれ?と聞くと若様が言うなら…って返ってきた、だめだよその絶対王政は!!!
「ど、動物だよね?イメージすればいいの…他に何か気をつけることある?」
「集中しろ、動物でなくても本当に会いたいやつでもいい。召喚術だからな」
「あ、タンマ。質問…もしオレの世界の人間を呼んだらどうなるの?向こうからやってくるの?パラレルワールドのもう一人がここに現れるだけ?」
「…興味深いな、やってみよう」
言わなきゃよかった……!!!!早くやれ、の目をしているマレウスくんとマレウスくんの絶対的味方のセベクくんに見られたらやるしかない。
会いたい、人…消太さんが思いついたけど、前者の疑念がはっきりしない場合危ないので巻き込みたくない。ていうか、誰も巻き込みたくないんだけど…。
「……できないよ…誰も巻き込みたくないもん…」
「お前ならそう言うと思ってた…魔力も授けてない、安心しろ」
「意地悪だな〜?」
ニコニコと楽しそうなマレウスくんに免じて許してやるか…。そうやって3人でワイワイしてると、エースくんがリスの召喚に成功し盛り上がっていた。
「…今日で2ヶ月」
「…ここに来てからか?」
マレウスくんの問いに頷く。
「瞬きの日々だな…まだ2ヶ月か。」
妖精族は人間よりも遥かに長寿だから、時間の過ぎ去る感覚が全然違うとリリアくんに教えてもらった。何百年も生きる長寿の種族からしたら2ヶ月なんてちっぽけな時間も、オレからしたら大層な時間に感じる。
「2ヶ月にしてはオレ大分馴染んでるね…あ〜ちょっとホームシック」
うんと背伸びをするとマレウスくんはなにか考えこみながら次の授業に向かっていった。
クロウリーさんの特別授業も終わり、片付けたあと急いで錬金術の授業の準備へと向かう。
「……クルーウェル先生、占いとかできる方ですか?」
「何だ藪から棒に……」
「なんかめちゃくちゃ嫌な、予感がして……」
「……顔が青ざめるほどか?」
「よく当たるんです、オレの嫌な予感……誰か死にかける時に」
そう言うとクルーウェル先生の動きが止まる。
「魔法士にどんなイメージ抱いてるか分からんが…未来予知みたいなのは出来んぞ」
「…え…??!?水晶玉で見たり…??」
「しない」
きっぱりと断られた。嘘、魔法使いって未来見てなんか災いがなんたらとか言ってるんじゃないの?!?衝撃的なんだけど…。
「直感的な感覚が優れている子犬の感覚を信じよう。今日の授業中は教室の後ろ側にいてくれ」
頷く。鏡で表情も確認する。無闇矢鱈と人を不安に煽らないように…いつも通りの表情を心がける。
授業が始まってすぐ、嫌な予感がどんどん強まってきたので廊下や外に何もいないかをさりげなく確認しつつ進行しているときだった。
オレがここに初めて来たときの特徴…結構な光量と大きな空間の裂け目が現れる。今この教室を覆うほどの大きさで。
「……くましろ!」
懐かしい声が聞こえる。顔を上げると、轟くん。見慣れた街…体感2ヶ月前に瓦礫撤去していた東京都内の景色だ。
そこに不釣り合いな人物がちらほらいる。見た感じ錬金術受けてた生徒とクルーウェル先生が巻き込まれて来ちゃったようだ、怪我はなさそう…。ヒーロースーツじゃないけど、まあいいか。
「轟くん、今の状況は?」
「敵2名だったのが4名に増加、6名だ。全員厄介な個性持ちで爆豪の爆破に近いやつが暴れてビルが倒壊してる…。逃げ遅れた市民も多数だ、死者数不明。いま応援待ってるとこだ」
2ヶ月前のあの日と少し違う状況だ。なんなら今のほうが厄介で面倒で一刻の猶予もない。
「んで、お前と一緒に降ってきたこいつらは…?」
「お世話になってた子たち!敵じゃないからそうやって睨まないの。…説明と紹介は後、この子たち避難誘導してから合流するね」
轟くんにどうどう、と肩を叩きクルーウェル先生を呼ぶ。
「あなたがたの力は決して使わず、向こうの…えーっと、レスキュー隊みたいな見た目の人たちのところへ皆を連れて避難してください。…皆、怪我ないよね?」
「瓦礫に叩きつけられた以外はな…」
あら、レオナくん。冗談をいう元気があるようで…かわいいお耳を撫でて立ち上がらせる。
「Neutral、お前を指名してる!立てこもりかもしれん」
プロヒーローの一人がそう叫ぶ。ええ、また…?
「分かりました、すぐ向かいます!…レオナくん、ラギーくんちょっと声大きくするから耳塞いでてね?
…市民の皆さん、爆破に近い個性の敵が確認されていますので撮影はやめて警察・消防隊の指示に従い避難を開始してください!ハイそこ、うちわ振らない!怪我しないうちに避難して!」
久々に声帯の限界止めずに話したから喉がヒリヒリする。
「バカくましろォ!テメェばっか指名されとんじゃねーぞクソが!」
「おお、爆豪くん!久しぶりだねえ」
「ヒーロー名で呼べやっつってんだろ!!!」
痛い痛い、抓らないでって。皆爆豪くんの癖あるキャラにぽかんとしてるから。
「だって長いんだもん…ダイナマだと怒るし…」
「怒るわボケ……ァんだよこいつら…」
「あとで説明するよ…6人だっけ?敵…1人2人ずつでちょうどいいね」
「誰が轟なんかに渡すかよ、俺が4人殺る」
殺らないでね!??!捕獲だからね??!トップ3と呼ばれているオレらが揃ったことで、避難を始めていた市民がまた騒ぎ出すので避難して!と怒る。
クルーウェル先生たちも巻き込まれまいと避難し始めたのを確認してから駆け出す。ゆっくりストレッチして…よし!
爆破の個性を受けながらも、爆豪くんより威力もスピードも劣る敵を捕獲。6名全員捕獲し、他に仲間などがいないことを確認したうえで消防に呼びかけ瓦礫の撤去を開始。
塚内さんにクルーウェル先生たちの保護を頼もうと市民のそばに寄ればマスコミと野次馬がすごい。
「…あ、いた!塚内さん」
「くましろくん…君…随分長い活休だったね?半年も休んで…」
半年…!?うわ、やばいな…。色々大変な未来が見える。塚内さんにおそらく個性事故で異世界に行ってて、その異世界の子達が誤ってこっちに一緒に来てしまったことを伝える。
「塚内さん、この人たちです」
「随分たくさん…」
「ひとクラス分なんで…こっちが先生のクルーウェル先生です。…全員居ますか?」
「あぁ……待て子犬、まずは自分の怪我の手当をしろ」
「……どこも折れてないんで平気ですよ?あ、出血ももう止まってます」
「相澤くんが憔悴して待ってるからね…なるべく怪我ない状態で会いに行ってあげて」
回し蹴りくらいそうだな…と思いつつ、やっぱりスマホは持ってないので塚内さんから先に連絡して貰うように追加でお願いしておく。
撤去作業は半日以上かかって、皆のもとに迎えたのは夜だった。警察署に案内され、タオルやら何やら渡されて大部屋に通される。
「あ゛〜疲れた……皆怪我とかないですか?」
「一番怪我してるのアンタじゃん…」
エースくんがムスッとしてるからもう治ったよと言っておく。
「お疲れ様、僕は半年ぶりだけど……。相澤くんも呼んだから来るよ、あと根津さんもね」
「根津さんも…?!絶対怒られる……回し蹴りかな…チョップかな…」
「そんとおりだ馬鹿野郎が」
振り返るよりも早く脇腹にチョップが飛んでくる。痛い……。
「愛が痛いんですが…」
(ふらっと現場先で消えやがって、クソが)
(個性事故かなんなのか今も分からないんですもん…)
(向こうにいたのは何ヶ月だ?)
(2ヶ月です…聞いてください、魔法ですよ!魔法学校!妖精もいて…!)
(はしゃぐんじゃねえ馬鹿……どうも、こいつの保護者兼師匠の相澤です)
(なんでフィアンセって言ってくんないの!)
(茶化すな…薬指見れば分かんだろ)
(くましろくん、戻ったって!?!)
(根津さん、ゼンマイも…!)