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42 魔法の挑戦
*神代くましろ
「ごめんねえ、トレイくん…」
「いや、いいよ。うちの寮生たち守ってくれたんだろ?」
パティシエもイケるし美容師さんもイケるのでは?ってくらいシャンプーが上手なトレイくん。
どうしてもお風呂に入りたい…頭の傷は完全に塞いだから!と駄々をこねていたら、体は自分でやるにせよ、シャンプーはやってあげると名乗り出てくれた。
「上手だね〜、トレイくんお兄ちゃんでしょ?」
「お、分かるか?下に妹も弟もいてな」
「分かる分かる、長男感がすごい出てる」
「俺はアンタがひとりっ子ってことに驚きを隠せないが…その溢れ出る弟感はどこで培ってきたんだ?」
「それ皆言うんだよね〜…眠くなってきた」
寝るなよと頭をゆさゆさ揺られる。美容院のシャンプー、マジで秒で寝ちゃうんだよね。寝てるって気付いてもらえるか不安、無視してると思われたくない。
「頭スッキリ…ありがと!」
ぎこちなく動く両手を動かしてなんとか体を洗う。シャワーばっかりだったけど、大きい湯船がある部屋に連れてきてもらった。
「皆…この世界の子達ってケガしたらまず何すんの?もうすぐ魔法?」
「怪我の度合いにもよるが…まあ大半はそうだな」
「は〜、便利だけど心配になるねえ。止血方法とか知らない?」
「オレは分かるけど…他の奴らはどうなんだろうな?」
「治癒魔法で治すには深い傷で出血が多い、だけど今すぐに死ぬわけでもない…って怪我したらトレイくんならどうする?」
「止血…だな。シャツかなんかで血を止める」
ほうほう、その知識はあるんだな。何でもかんでも魔法に頼りっきりってわけではないのか。オレたちが魔法がない分アナログだとするなら、半デジタルって感じなのかな。
「ちょっと、何物騒な話してんの〜?もっと楽しい話しようよ…」
「いや、魔法がないからオレたちって止血とか体の構造勉強してなんとか医療機関までもたせるのがアナログ的方法だとしたら、魔法があるってデジタルに近いのかな〜って思いつつ…
例えばこっちでは普通のウイルス性の風邪とかも、ここではめっちゃ大きな病って扱いになるのかな〜って考えてた」
「デジタル…なるほどな」
「便利だからね、魔法。」
のぼせる前に湯船から上がり、タオルで頭を拭く。拭きにくいな…。
「びっしゃびしゃだな…貸して」
トレイくんに頭拭かれる。犬みたいな気分だ。
「ちょっと犬みたいだなって思ってるでしょ?」
「バレたか」
そっちのほうが大きいし大型犬だからな…!
ドライヤーで乾かし、肌が乾かないうちにヴィルくんにもらった化粧水とかを塗り込む。これのおかげで肌が乾燥で切れて痛い思いしなくなった。けど、会うたびに肌の状態チェックされるようになってしまった。リドルくんは目をつけられたね、と笑ってたけど。
体スッキリしたし寝ようかな〜とハーツラビュル寮内をうろついてるとさっきまでいたトレイくんたちが居ないことに気づく。
「え…?あれ?」
迷った?ていうか廊下こんな暗かった…?ゴーストとかの仕業?
「ええ、ここ似たような内装で苦手なのに…」
とりあえず壁に手をついてあるき始める。ぐるぐる回ってることに気づくまで、10分くらいかかったと思う。
「壁殴ったら絶対怒られるよな〜…窓…も怒られるよな…」
そうブツブツ呟いてるとなにかが近づいてくる気配がする。見えないけど…。
気配が前からしていたのに背中のすぐ後ろに回ってきたときものすごい鳥肌が立つ。
「じゃーん、ドッキリ……っては!?何、泣いてんの?!」
「びっくりした……」
「あ〜あ、エースちゃん泣かせた〜!」
さっきまでいたはずのトレイくんたちとエース・デュースくんの悪ガキコンビがいきなり出てきて安堵感で涙がポロポロ出てきた。
「ちょっと、ドッキリくらいで泣くなっつーの…!」
「エースくんのせいだからね」
「いやいや、ケイト先輩たちだってノリノリだったし!」
ぎゃいぎゃい騒ぐ中、デュースくんが手を貸してくれるので立ち上がる。
部屋に戻って目をつむるけど、両腕の違和感がすごくてなかなか寝付けない。
キッチンいって水でも飲もうかな…そのくらいの出歩きなら確かOKだったはず。
「…あれ、くましろさん…何してんの?」
「なんか眠れなくて水飲もうかなって…」
「すっげえ眠そうだけど??」
眠いことは眠いよ、と返す。寝れそうで寝れないのがかなりストレス。腕ちょっと痛いから寝返りできないし。
「エースくんは…?」
「オレもそんなトコ。付き合うよ、アンタ方向音痴でしょ」
ありがと…と手を引かれながら歩く。
キッチンに着いて水飲む。エースくんはケーキの残り物が目当てだったみたい。
「すご…こんな夜中にケーキ食べて胃が辛くならないんだ…」
オレも甘党だけど夜中にケーキ食べてすぐ寝るのは難しいかも。胃もたれで起きると思う。
「トレイ先輩のケーキ美味しいからね」
それは分かる。ほんとにパティシエ目指したほうがいいんじゃない?ってくらい上手。リドルくんもトレイくんの作るいちごタルトが大好きらしい。
「こんな時間に何をしているんだい?エース…」
「あ、リドルくん。リドルくんも水飲む?」
「くましろさん、貴方もですか…?ケーキの共犯者?」
胃もたれするから食べてないよ、と言うとギロリとエースくんを睨むリドルくん。
「ふふ、まあまあ。今日は許してあげて?トレイン先生の授業の話聞いたでしょ?オレのお風呂介助の手伝いもしてくれたし…疲れてたんだよ」
「………エース、今回だけだよ。歯を磨いてすぐ寝室に戻って」
おお、偉い偉い。
「たまのルール違反に目をつむるのもリーダーの務めだからね」
「それじゃあルールの意味がないじゃないですか…」
「たまにだよ、たまに!」
リドルくんの頭を撫でると右手を掴まれる。
「骨を折ったと聞きましたが…」
「うん、折られて治したからもう骨は繋がってるよ」
優しくさすってくれるリドルくんにキュンとする。弟…いやもう養子でもいい、連れて帰っちゃおうかな…。
「リドルくんさあ、オレと消太さんの養子になる気ある?」
「え?…フフ、前は弟だって言ってたじゃないですか」
「連れて帰りたい、子として」
オレは本気で言ってるのに、相当面白かったのか肩を震わせて笑ってる珍しいリドルくんが見れた。
キッチンで少しリドルくんと話して、別れて部屋に戻る。すぐ眠れた。
「うぅ…ねむ…ぶっ」
「駄犬、起きろ。何回俺のコートに突っ込んでくる気だ」
「今日寒くて…コート貸してください」
そう言うと素直にコートを貸してくれるクルーウェル先生。あっっったか!!!めっちゃいいコートなんだな…。
「あったか…いいニオイ…」
「おい、寝るな。」
頬をつままれて起きる。あ、ヤバ。裾ズルズルしてる…。尻尾みたいな3本の部分が思い切り床についてしまっている。
「返します、裾汚れちゃうから」
「……はあ、じっとしてろ」
言われた通りじっとしてると、クルーウェル先生がペンを振る。コートが少し縮まって、オレにピッタリサイズになった。
「おお!すごい!裾上げもできるんだ…!」
「今回だけだぞ、冬服は学園長に用意してもらえ」
「あの人絶対覚えてないですよ、もう1週間前からお願いしてるのに無視ですもん」
「……俺からも忠告しておく」
分かったら教材の準備しろ、と言われるので倉庫に行って各テーブルに今日使う錬金術の材料たちを並べていく。
「…ちょっと、ミニクルーウェル。何してんのよ」
「あ、ヴィルくん!おはよ〜」
「お下がりのコートでももらったの?」
借りててサイズ合わせてもらってるだけだよ〜と返す。
「今日寒くてさ…。服まだ薄いのしかもらえてないから寒くて」
「学園長……きっと今日寿命が縮むわね」
それはクルーウェル先生がボコボコにするってことかな…?だめだよって後で言いにいかないと。
準備が終わりもう一回各テーブルを回ってると今度はレオナくんに捕まる。
「よぉクルーウェル、随分可愛くなったんじゃねえか?」
「……この子猫ちゃんが!」
精いっぱいのクルーウェル先生ぽさを真似して言ったら周りの子達が吹き出して膝から崩れ落ちて大笑いしてる中、何故かオレがクルーウェル先生とレオナくんからバチボコキレられた。納得いかない。
「なんでよ、クルーウェル先生子犬っていうじゃん!」
「俺のはあんなダサい言い方じゃない!」
「つーか俺は子猫ちゃんじゃねえ……!」
食い気味に2人に言われる。ヴィルくんも手を叩いて大笑いしてた。てかダサい言い方って何!?子犬って呼ぶのにイケてるイケてないとかあるの??!
めちゃくちゃご機嫌ナナメになってしまったレオナくんに飴を貢いでおいて、錬金術の授業は終わり。クルーウェル先生の個人部屋…職員室の個人バージョンみたいなところに行き、書類整理を手伝う。
「…やば…超眠い…外行ってきます…」
「仮眠すればいいだろ…クマがひどい。ここ最近眠れてないんだろう、駄犬が」
バレてる…。お言葉に甘えてソファに靴を脱いで横になる。コートは裾上げしてもらってもシルエットが大きくて布団のようになるのであったかい。
「…これなんの香水なんですか…?いい匂い…」
「鼻が効くな…起きたら教えてやる、少し寝ろ」
はーいと返事をして目を閉じる。
「………あれ…いない」
起きると置き手紙とともにクルーウェル先生がいなくなってる。
『仔犬
どうやらお前は風邪を引いてるようだ。薬をもらってくるので起きてもいい子に待っていろ』
「…風邪…?」
確かに頭がぼーっとする。大人しく待ってるか…。
「失礼しまーす、クル先…あれ…くましろさん?」
誰かに名前を呼ばれ振り返る。
「こんなとこで何し…うわ、顔赤…熱?」
「……んん?」
ほんの少しオレンジ色っぽい赤色の癖毛…
「エースくん?」
あ、ハートのスートが見えた。エースくんだ。いつの間にいたんだ。
「うわ、体熱っつ……ちょっと、病人なら寝てないとなんじゃねーの?」
「エースくん冷たくてきもち…ちょっと熱い…」
手をおでこに当ててくれてる。きもち〜。
「…戯れるのはいいが…トラッポラ、移るぞ」
「すっげー熱っすね。…これ補習のプリントっす」
「補習…のはこっち…」
「「立つな」」
二人に両肩を押されて立とうとしたらソファに押し戻される。
「子犬、前髪あげて?」
「うん」
「…俺のじゃない、お前のだ」
「こう?」
「ああ、そのまま…」
おでこがひんやりする。…冷えピタ?ボーっとした頭が段々とはっきりしてきた気もする。そうなると今度はしんどさが増し増しになるんだよな…。
「子犬、状態は?やけにぐったりしてるな…」
「ん〜?…ダメージ2倍だからしんどいけど…まあ平気です…」
「ダメージ2倍…?」
「んぇ…?個性の反動で痛覚2倍だよって…前も話しませんでしたっけぇ…」
「…初耳だ、トラッポラ…お前は知ってたか?」
「いや、オレも今ここで初知りです。…ダメージ2倍ってこの間の骨折相当痛かったんじゃねーの?」
「骨折……?うん痛かったよ?」
「……慣れてますって感じっすね」
眠気に勝てず、何か話し合っていたクルーウェル先生とエースくんの会話は聞き取れず。
次に目を開けたらクルーウェル先生だけだった。
「……」
「目が覚めたか?随分眠っていたな」
「…今何時ですか?」
「夜の9時だ。…ちょうどいい、ミルク粥作ったから食え」
み、ミルク粥…???食わず嫌いで食べられないけど、食えの圧が凄すぎて食べる。……あ、意外といけるかも…。
「美味いか?」
「食わず嫌いが減りました」
そうか、と返ってくる。めちゃくちゃ苦い薬をなんとか飲み干して熱を測る。38.9…なかなか高い熱を出していたようだ。起きる前まで40℃超えてたみたいで、まあ下がった方だな…とクルーウェル先生が呟いていた。
(子犬、しばらく休暇だ。とりあえず風邪を治せ)
(…分かりました…薬飲んで大人しくしておきます)
(ステイ、そんなんじゃ治るもんも治らないだろう。治るまではここにいろ)
(……ご迷惑おかけします…)
(素直でよろしい、今日は寝る前に水分をとって寝ろ)