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40 魔法の活用
*神代くましろ
午前はクルーウェル先生の倉庫整理、午後はバルガス先生の手合わせと授業補佐。
1日体を動かしていい感じに疲れた…もう今日は夕方まで好きにしてていいよと言われ、とりあえず中庭のベンチでゴロゴロしてる。
教員棟のいい感じの空き部屋が見つからず、難航してるみたい。他の授業のものとか、前の授業で使用していたもので部屋がパンパンなんだとか…。魔法の歴史関連の書物だけでも結構な本の数になりそうだもんなあ…。後で図書室行ってみたい…。もしかして本がふわふわ浮いたりするのかな…??
「ねンむ…」
「あ!見ーっけ!」
誰かの弾んだ声がよく聞こえる。パタパタ走ってきて足音が……ん?オレの前で止まった?…いや、歩いてる…?
「…なに…?」
「ね〜起きて!アズールが言ってた異世界人ってアンタでしょ?」
「フロイド、彼固まってますよ」
「……オレに用…?眠いんだけど…」
「クラゲちゃんみたいなこと言ってんなぁ……さっき飛行術の授業でやってたの何??」
随分でっかい子なんだなあ…挟まれるように座られ、逃げ場がなくなってしまった。
「手合わせのこと…?」
「ソレ、俺らともやってよぉ〜」
フロイド、と呼ばれたタレ目の片割れを見る。
「ん〜じゃあその気にさせて?…で、君は?」
「僕はオクタヴィネルの副寮長のジェイド・アズールと申します。以後お見知りおきを…貴方の事はアズールから聞いてますよ」
まあなんともうさんくさい笑顔だな…!つられて笑っておく。
「すごい、そっくりだね…鏡みたい」
「もう見分けつくの?」
「たぶん?…ていうか…言わないでなんて言ってないけどそんな言いふらしてるの?あの子」
「いえ、オクタヴィネルでアズールから話を聞いたのは僕らだけです」
特に仲良しなのかな?
「もう今日朝から動いてへとへとなんだよなあ…アズールくんからどこまで聞いてるの?」
「え〜お兄さんが異世界の人間で〜、魔力なくて〜、なんかヒーロー?って仕事してて…足怪我してたってくらい?」
「字も読めないバカそうなやつとか言ってたんじゃないの?」
「え、何で知ってんの?!」
まじで言ってたのかよアイツ…。クロウリーさん、たしかにここなんか生意気な子が多いですね!学生時代の自分を棚に上げなくても余裕で生意気度負ける気がする…。
「…ムカつく〜やる気失せた」
「え〜ごめんね?アズールはオレが締めとくからさぁ」
「仲良しなんじゃないの?」
「面白いから一緒にいるだけ〜、でも小さい頃からアズールは面白えよ」
そうなんだ、とフロイドくんの頭を撫でる。のしかかってくるように来てるので牽制のつもりだったんだけど、逆に気分良くしちゃったのか大型犬のようにのしかかられる。
「ちょ、重いデカいデカいよフロイドくん…」
「あは、ごめぇん」
「一応昨日のうちに文字は読めるようになったけど…あ、あとここのグレートセブンの話も聞いたよ。オクタヴィネルだから…海の魔女の慈悲の精神に基づく寮…だっけ」
「え、もう文字読めるようになったの?」
「うん、でも人が書く文字はちょっと時間かかるかな…テキストだと読めはするよ」
「アズールが嫉妬しそうですね」
嫉妬…?
その後もなんやかんや手合わせからお喋りの熱に移行したぽいフロイドくんにのしかかられたりしながら夕方まで過ごす。もう手合わせは後日でいい?と返すと機嫌よく返事が返ってきた。カワウソちゃんという謎のあだ名をつけられたけど…。まあ機嫌よく帰っていったのでいっか。
夕方になり、どうしようかな〜とぼーっとしているとリドルくんから声をかけられる。
「くましろさん、ここにいたんですね」
「…もしかして探させちゃった?ごめんね」
「いいですよ…前の教員が残した教材や資料で教員棟の空きはしばらく作れないと学園長から聞きました。ハーツラビュルでよければ部屋をお貸ししますが…」
「お言葉に甘えちゃおうかな…リドルくん、ありがとう!」
じゃあハーツラビュル寮へ帰ろうかと立ち上がる。リドルくんはいい子だなあ。
「オレさあ、一人っ子で小さい頃…からいまのリドルくんの年齢くらいまでずっと家に親いなくてさ…弟か妹、欲しかったんだよねえ」
「家に誰も…?」
「仕事柄両親忙しくてね、父さんは単身赴任だったし…母さんは俺と同じヒーロー職ってのもあってなかなか帰ってこなくて…今ならわかるけどマジで忙しいからさ…だから今、弟急に増えた感じがして楽しい」
「それなら何よりです、まあ僕らはあなたがお兄さんなのはまだ慣れませんが…」
「なんでだろうねえ、レオナくんにも今日オレは25歳なんだぞって言ったら固まって動かなくなっちゃってたよ」
「そりゃそうでしょう…」
「皆がそんなに驚くからさ、もしかして中身はこのままで体は若返ってたり?って傷とか確認したけどやっぱり25なんだよね…最近できて残った傷とかあるし」
安心したような、複雑な気持ちのような…。
「くましろさんのお母様は…どのような人なんですか?」
「え?…一言でいうと害悪かな」
「害…」
あ、びっくりして立ち止まってる。ちょいちょい、とリドルくんの裾を引き歩く。
「一人っ子なんだけど、特に何もせずに育てられてね…なんていうか……親子関係が希薄なんだよね。オレ…学生時代のとき、敵の主犯格に狙われて拐われかけたりとか…結構死にかけたり何度もしてて。そんなのが続いて2年ぶりとかに顔を合わせたときも、別に敵側に落ちようが死のうが知ったこっちゃないけど、アタシの仕事の邪魔をするなよって言われたりとか…」
「……」
エースくんからほんのりとしか聞いてないけど、多分我が家とは真逆なリドルくんの家庭と比べて何か思うところがあるんだろう。
「ヒーローとしての仕事上の立ち振舞も問題ある人だったし、なんでこんなに子どもを放っておくのにオレのこと産んだんだろう?って悩んだ時期もあったけど、なんかそんな母さんのために悩む時間も惜しくてさ…。
毎日、みんなヒーローになるために必死で、敵の襲撃で家族を亡くしたり、寝たきりになってしまった身内を抱えていたり、毎回死にかける大怪我したり…今日一緒に授業受けてた友達が明日は死んじゃってるかもしれないって瀬戸際に、母さんのことまで考えてる余裕なくてこっちから手放した。」
「そうだったんですね」
「でも面白いのはね、オレが…命を捧げても惜しくない人と結婚したんだけど、その結婚の挨拶のときにようやく年に1回家族で会う日を作ろうって父さんが言い出して、今は普通に会うようになったんだよ…ウケるよね。」
「家族の仲が、改善したんですか?」
「…改善……とまではいかないけど、3人揃ってそっちに顔向けただけで花丸かなって…リドルくんも…ていうか他の人皆、家でもここでも色々あるだろうけど…毎日頑張ってて偉いよね」
そう言いながらリドルくんの頭を撫でると犬みたいにキュ、と口を結んで嬉しそうにしてた。か、可愛い…!これが弟を持つ兄の気持ちか…!!!
「ところで、エースとデュースからお昼くましろさんが攻撃されたと伺ったんですが」
「なんでそこで殺気立っちゃうの、今いい感じの雰囲気だったじゃん…!」
目がマジなんだよ、あなた達はさぁ…。手が出るまでの早さはマフィア並みだし…。
クルーウェル先生に治してもらったから平気だよ、と釘を差しておくと明らかに不満げな顔をしていたので笑ってたら笑うなって怒られた。
(いただきまーす…あぁご飯美味い沁みる…)
(今日くましろくんバルガス先生とやり合ってたって本当〜?フロイドくんがキラキラしてたよ)
(オレともやって〜!て大型犬みたいにのしかかってきたよ…また今度ねって話したけど)
(バルガス先生と…???)
(手合わせね、手合わせ。体動かす授業の補佐のほうがいいんじゃない?ってなってお試しだよ)
(多分これからはバルガス先生の授業の日はそっちメインになるんじゃないかな)
(あの人の授業についていけるんですか…?)
(今は体力落ちてるから無理だね〜、でも筋肉つけたいし参加しようかなって考えてる)