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30 ヤキモチ
*相澤消太
目の前でボロボロと涙を流す恋人を眺め、小さくため息がこぼれる。話し合いはできず平行線。言い訳をさせてもらえるなら俺は絶対に悪くない。
「くましろ」
「触んないで」
肩に伸ばそうとした手を避けられる。意固地野郎が…。
事は今日、任務終わり雄英に寄って来たくましろが俺と転んだ普通科の教師の事故場面を見てギャーギャー大騒ぎしてる。向こうが転んだだけだって言ってるのに、その後手を持って支えるようにしていたのがくましろ的にアウトだったらしく、ずっと泣いている。
「くましろ、俺とお前は結婚してんだぞ」
「……でもあの先生、ときめいた顔してましたもん!」
「……ときめいた顔…?」
「してましたもん」
そう言い背を向けてくるくましろは本当に子どものようだ。
「してたらなんだ、俺は見向きもしねえよ」
人の片思いの気持ちまで制限も強制もできないだろ、と言うとくましろが顔を上げる。
「……じゃあなんで、」
「…なんだ?」
「じゃあなんで、結婚してから何もしてくれないんですか」
この、ガキが…。俺の気苦労やらなんやらを何も分かってないくましろに今度こそため息が思いきり出る。
「お前な……目が合うだけで顔真っ赤にしてンの誰だと思ってやがる」
「…もう見れますもん」
拗ねてねぇでこっち向け、とくましろの体の向きを直させる。俺のあぐらの上に座らせるようにし、涙を指で拭う。
「見れたって少し触れるだけで大騒ぎしてるだろうが」
「…平気ですもん」
くましろの髪の毛を耳にかけ、頰に触れる。…みるみると耳が赤くなってはいるが、まだ強がっている。どこまで音をあげずにいけるか試してやろう。
「顔近づけたら亀みてぇにひっくり返るのは?」
「亀……ゔ、」
見上げるように目を合わせ、くましろの頬を両手で掴み顔を近づけると耳だけ赤かったのが、いつの間に首まで赤くなっている。
「お前、俺の気も知らずよくもぬけぬけと言ってくれたな……手を出してねえのは慣らしてるからだろうが、馬鹿」
もっと顔を近づけると、キスされると思ったのかくましろが両目をギュッと瞑る。鼻を軽く噛んでやると飛び上がるようにして目が開く。
「手ェ繋げるようになったのだって何日かかったんだよ」
「お、覚えてませんよ…」
「2週間と4日だ、アホ」
根津さんやマイクに未だにからかわれる話だ。その次が今現在慣らし中だが、まあ長い。マイクには勢いでいっちまえと言われるが、コイツが学生の頃俺に褒められたいが為に全科目で100点を取ってきた時に軽く褒めたら、へたりこんで鼻血を出した過去がある。
「お前を想って色々我慢してんのに、心外なこと言われちゃやるせねぇな…」
「……我慢しないでって言ったら?」
「俺を煽るとはいい度胸だな、くましろ」
くましろを押し倒し、細い両手首を左手で握る。頭を打ち付けて痛かったのか半泣きだ。
「いいのか?」
「え…と、」
顔を上から寄せるとまた首やら顔やら真っ赤にしている。心臓の血液が何かの誤作動で逆流とかしないか心配になるくらいだ。手首をつかんでいる左手からくましろの脈拍が伝わってくるが、めちゃくちゃ走った後のように早い脈に笑ってしまいそうになる。
「くましろ?」
鼻がぶつかるくらい顔をわざと寄せると、くましろは肩を跳ねさせて驚いている。目が右往左往していて落ち着きがない。パーソナルスペースはアホほど近いが、顔の距離が近いのはいつまでも慣れねえようだ。
「ちかい…」
「手、出して欲しいんだろ?」
「なんでそんな意地悪な聞き方するの…」
「くましろが言ったんだろ、なんで何もしてくれねェんだって」
耳たぶを甘噛みすると、くましろが信じられないといった顔で見てくるので思わず笑う。
「なんだよその顔」
「み、耳…」
「こっちの方がいい?」
わざと音を立てて耳に吸い付くと見たことないくらい赤くなる。ロボットのように動きがピタッ、と止まるので耳から首へと唇を這わせながら息を吹きかけると、面白いくらい体が反応している。
「くましろ、こっち見て」
「……ぅ…見ないで…」
「また泣いてんの?…くましろ」
ぽろぽろと涙をこぼれる目元を指で拭う。
「恥ずかしいんですってば…」
「だから慣らしてるんだろ、生意気な口利きやがって」
少し触れるだけで限界がきて泣き出すくましろの頭を撫でる。
「チューかと思うじゃないですか…」
「…じゃあこっち向け」
「へ??!いや、今は無理です!!!」
煩いくましろの顔を右手で掴みこっちへ向かせる。…また顔が赤い。頬を掴んでる右手にものすごい熱が伝わってくる。やっぱり慣らしておかないと、いつか血液が逆流する気がしてきた。
「おい、目ェ瞑って逃げンな」
「ハンサムが近いから…」
どの口が言うんだよ、モデルの仕事やってるくせに。額同士を合わせ名前を呼び、ゆっくり目が開くタイミングでキスするとくましろの肩が思い切り跳ね上がる。
「くましろ、もう一回」
「むり…」
無理じゃない、と何回か触れるだけのキスを繰り返す。くましろの首元に手を添わせるとまだ先程の熱が残っているのか、体中を震わせて反応している。
俺の気も知らず煽られたこともあり、少しのいたずら心が湧き上がる。本人にとって恥ずかしい事態を受け止めるので必死なのか、抵抗は全くないため首や耳に息を吹きかけ、吸い付くと身を捩って快感に耐えるくましろ。段々と息が荒くなってきたところで舌で舐めあげると大きく声があがる。
「しょ、うたさん…待って…」
「やだ」
学生時代から変わらないあまり目立たない喉仏を舐めあげるとくましろは仰け反りながら体を震わせて悶えている。ずいぶん性感帯が多いんだな…。
「…耳らへん弱いな」
左手を離し左耳を指で触るとまた肩を震え上がらせてる。俺の肩に縋り付くように手が回ってくるが、もう力が入らないのか少し指先が震えてる。左耳は指で、右耳は口で吸い付いていると耐えきれなくなったくましろが俺を呼ぶ。
「まっ、て…なんか…ぅ、変だから…」
「変じゃねえよ、気持ちいいだろ?」
今度のキスは難なく受け入れたくましろの項を支えるように左手で掴むと、項も弱いのか鳥肌が立っている。少し触れただけでここまでぐずぐずになるくましろにどうしようもない可愛さを感じる。もっとぐっずぐずにしてやりたい…が。
この先に進むか、ここまでで止めてやるか…。思いもよらぬくましろの反応の良さに少し揺らぐが、心の準備はさせてやった方がいいだろうとなんとか己に言い聞かせる。
「…くましろ、平気か?」
「…なんとか…」
完全に体が脱力して力の入らないくましろを抱き起こす。
「床痛かったろ…嫌だった?」
そう尋ねると嫌じゃないです…と小さい声で返ってくるので背中をさする。
「くましろ?」
肩に顔を隠すように乗せてきたくましろに呼びかけると、他の先生が羨ましいとこぼすくましろの顔を覗き込む。
「なんで?」
「…かっこいい消太さん事故でも近くで見れるから…」
「俺はお前だけだ、くましろ。だからお前も俺だけを見てて、他の人なんて気にならないくらい」
そう言ってキスすると、先程のでもう慣れたと思ったのにまた顔を真っ赤にするくましろに笑うと肩を叩かれた。
(お前がちゃんと準備できたらもっとやる)
(う……無理ちょっとこっち見ないでくださいよ…)
(辛辣だな)
(恥ずかしい…)
(随分可愛かったな)
(からかわないでくださいよ…!)
(本音だ)
(…も〜…!!)
(ホントならこの先しても良かったが…くましろ、照れ屋のお前のことだから脈が早くなりすぎて心臓で血液が逆流しかねない。だから今まで通り慣らしてく…間違っても血迷ったこと言うなよ)
(…生意気言ったのは謝りますけど……慣らしは慣らしで心臓が痛いです…)
(慣れろ)
(なんて無茶難題を…)