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27 心を亡くしたその先
*神代くましろ
なんとか味のしないうどんを食べきって、ヒーロー基礎学へ向かう。わあ、受けてた側のオレが評価する側になるとはなあ…!なんかちょっと感動。
「はい静かに。…2チームに別れて演習を行う。チームはくじで決める。俺とくましろは一般市民の人質設定。各相手チームの人質を助けるか、ヒーロー全滅で勝利。」
消太さんが手短にルール説明し、消太さんとオレ、出久くんチームに分かれる。
「皆、死ぬ気で相澤先生のこと守ってよね!!」
「煩い」
演習がスタートし、攻め役と守り役に分かれてそれぞれの子たちがチームへ攻撃を仕掛け防衛してる様子を見る。ほうほう、オレらも仲悪かった訳じゃないけどこのクラスは特段仲がいいんだな…連携や声かけがスムーズで的確。
「どう思う?」
消太さんに声をかけられる。
「仲いいんですね、お互いへの声かけが的確で凄いなってのと…結構演習やってるんですか?何か皆お互いの動き分かってる感じ…?」
「ああ」
「ただ…その先がない」
「先?」
「裏を返してこうしよう、の仕合がないっていうか…」
「お前の奇抜な思考回路を全員に求めちゃ駄目だ」
……え、オレって考え方奇抜なの…?!そう思いながら消太さんを見ると、頷かれた。エスパー怖…
講評はお前が思ったとおり発言しろ、フォローしてやると言われたのでじゃあ…と口を開く。
「…見ててつまんない」
「エ゛ッ??!!?」
出久くんの慌てた声と消太さんが吹き出したのが同時に聞こえる。ちゃんと説明するね、と続ける。
「チームの連携は出久くんのチームもこっちのチームも充分に取れてた。お互いの動きのフォローとか入学してまだ1年経ってない段階でできるのは凄いと思う…けど、なんだろ
決定打がない感じ……安定を求めてる動きなんだよね。
今回って出久くん、消太さん、オレらは一般市民想定で市民を相手チームから守る方を敵、相手チームに攻め入った方をヒーロー想定して皆動いてたと思うんだけど…
下で攻め合ってるそのうえで人質が敵に殺される想定とかはしたかな?」
……してなさそうだな、皆冷や汗かいた表情だ。
「よく考えて、ヒーローが自分のアジトに入ってきちゃったんだよ?下の第一陣がやられたら自分らのとこにくる、時間経てば増援も来る、そしたら勝てないし人質とってまで飲んでほしい要求を飲んでもらえないかもってよぎる…じゃあ人質の命なんて邪魔じゃん。
ヒーローがたどり着いても人質皆死んでるかもよ」
「焦るのは良くないけど人質が市民であっても深手を負ったヒーローであっても急いで助け出す算段を先に考えてから動かないと、敵のいいように動く羽目になる……と思いました!
あと結局誰も助けに来てくれなかったね?待ってたのに…」
「何いってんだ、お菓子食ってたろうが」
もちもちのグミ、無味に近いけど食感が楽しくて食べていられるから食べてたのを消太さんに密告される。
消太さん、出久くんの講評も挟んで授業はおしまい。ストレッチして体を伸ばす。
「消太さん、軽く手合わせだめですか?」
「ダメ」
え〜!!!体なまっちゃう〜!と駄々っ子ムーブしてみたけど、ゴミを見るような目で見られておしまいだった。
「休めって言われてるのにくましろくん全然休まないの、変わってないね…ゲンコツ飛んでくるよ」
出久くんに手を引っ張られるので立ち上がる。ダメか〜。
「たった数日で鈍るような鍛え方してねえだろうが」
まあそうですけど…と返す。見てると体がウズウズするっていうか…。
3人で職員室向かってると、消太さんが他の先生に呼び出しを受けて出久くんと2人きりになる。
「あーあ、さみしいな〜オレよりあの子たちのほうがいいんだ」
「もう、くましろくんてば…重いよ〜」
いつもしていたみたいに出久くんの後ろからハグして頭に顎を乗っける。ムキムキになったなあ、出久くん。オレと腕の太さや体の厚みがぜんぜん違う。
「なんか……対面で消太さん意外と話したの久しぶりな気がする」
「働き過ぎだよ…ね、こんどここら辺にできたパン屋寄ってピクニック行こうよ」
「え!たのしみ…」
クロワッサンとチョココロネ食べたい、と言うと多分売ってると思うと返答が来る。楽しみだな〜!
「くましろくんさ…学生の時の土日はどう過ごしてたの?」
そう出久くんに聞かれ、思い返す。休みの日…??
「あれ…出久くんには、オレの母さんあんなだしで入学する1年前から消太さんと住んでたの言ったっけ?」
「今初耳……だから入学当日の相澤先生見てあんなにびっくりしてたんだ…」
うん、と頷く。入学と在学の成績に不正はないよ!と一応言っておくと、分かってるよと手を軽く叩かれる。
「だから土日は相澤さんとよく手合わせしてた…たまに甥っ子預かったり、友達遊びに来たりとかしてたけど…基本は手合わせかな…」
「…うん、君が休みの過ごし方が下手くそなのはよく分かった!相澤先生のせいでもあるけど…」
「だって…遅れてる自覚あったからさ…」
「分かるけど…オーバーワークして吐いてる僕を介抱してくれたのが初対面なの忘れちゃったの?」
チクチクと刺される。
「じゃあ出久くんは何してるの?」
「何もしないんだよ、連勤の場合は何もしない日を作るんだ。ボーっとしたり、どっか出かけてもいいけど家事はやらないとか…なるべく休ませることを優先するんだ。
少し余裕があるならヒーローグッズ買いに行ったりとか…本屋さん行ったりとか…かな」
何もしない日か…。
「でも昨日と今日、ほぼ何もしてないや」
「それを定期的にやらないと、今みたいに体壊しちゃうよ…あ、そうだ…!休みたくなったら雄英においでよ、僕が匿ってあげる」
なんてマイナスイオン…。ありがとうと言って出久くんの頭を撫でる。
職員室について、セメントス先生からお茶と大福をもらうのでお礼を言って大福は出久くんに回す。今はどんなに美味しいやつでも味感じないからね…。
…ん?
「しぶい…」
「お、感じる?」
大福も食べてごらん、と勧められたのでひとくち分出久くんからもらう。
「……ちょっと甘いかも」
「おお!相澤先生、くましろくんの味覚戻りかけてますよ!」
セメントス先生がそう言うと、消太さんが吹っ飛んでくる。
「はや…ふふ」
「何ウケてんだ」
「すごい早かったから…」
セメントス先生のオレに淹れてくれたお茶、わざと渋めに作っていたみたいで一口のんだ消太さんが少し固まってた。
「ふふ、大福は普通の甘さですよ」
「先に言ってくださいよ…」
かわいい、大福もぐもぐしてる…!
出久くんとピクニックの約束をしつつ別れる。消太さんが過保護になって顔をたいとの個性で変えてもらえ、と凄いので変えてもらい、帰りながらなんか治る気がしてきた!と話しているとパトロール中の飯田くんと会う。
「わ、飯田くん!ひさしぶり〜!」
「くましろくん、相澤先生!お久しぶりです…君も久しいな、…少し痩せたか?」
げ、顔変えてるのにもうバレた。ここ最近忙しかったせいか味覚障害になってしまったと話す。
「み、味覚障害…?!」
誰よりもショックを受けている飯田くんの肩を軽く叩く。全く味がしないわけでもないし、今日は今までよりは強く味を感じたことを話す。
「そうか…たしかにここ数ヶ月、敵が多かったものな…君も、爆豪くんも轟くんもずっと活動していたのを見ていたよ」
「ね、あの二人とはいつも鉢合わせるから打ち合わせして来てるんじゃないかってマスコミに言われたよ」
「わ、インゲニウムだ!」
やばいバレた。名残惜しいけど囲まれつつある飯田くんにバイバイと挨拶をしてLINEだけ入れておく。
何もしない日、という出久くんの言葉が頭をよぎる。性格的にずっとぼーっとしてるのがどうしても苦手だ。そうやって気を緩めると部屋の汚れが気になってくるし、何かやらなきゃいけないかもって気分になる。
あまり負荷のかからない、頭を使わない作業から慣らしていくといいよと言われたけど…
「あ、そうだ」
「?」
「出久くんが何もしない日を休みに取り入れるべきって言ってたんです…でも、いきなり何もしないのは性格的に無理だから…
明日はサイン考える日にしようかな」
(いいんじゃねえの、根詰めるなよ)
(ふふ、どんなのにしようかな〜)
(アイドルのサインで検索するな)
(ええ…?参考になるかと…)
(全体的にラブリーになるだろ)
(かわいい、もう一回言って…)
(ラブリー…ほら立ち止まるな、帰ンぞ)
(きゃわ………!!!)