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26 忙しい
*神代くましろ
10連勤、4徹目。ヒーローとして活動してれば休みたいけど休みにならない、休みだったけど出先で敵と遭遇なんてまあまあある。
オレが学生の時、いかに消太さんがオレのために時間を割いて訓練に付き合ってくれていたことが凄いかプロヒーローになった今なら分かる。
やっとこさ家に帰ってきて、玄関先に座り込む。こんな生活が数ヶ月続いてるせいで、体が限界だ。
「つっかれた…」
「おかえり、ここで寝るなよ…おいでくましろ」
消太さんの声がするけど、正直顔を上げるのも億劫だ。外でぶっ倒れる訳にはいかないから気を張って活動して帰ってきていた分スイッチオフになったらピクリとも動けない。
「うごけない…」
ぼろぼろと謎の涙が出る。分かったから泣くな、と頭を優しく撫でられてもっと涙腺が緩む。
「今日と明日は何があっても休め、爆豪たちもいる。大丈夫だ…ここ最近ロクに飯も食ってないだろ」
消太さんにお姫様抱っこされる。軽々と持ち上げる相澤さん、隠れ細マッチョすぎる…。
「なんか…食欲わかなくて…味しないし…」
「何つった?味がしない?」
すごい勢いで詰め寄ってくる消太さんに頷く。もうツッコむ気力もない…。
「………明後日も休め、味がするまで」
分かったな、と凄まれ頷くしかなくなる。味がしないってそんなやばい状態なのかな…疲れすぎて色々麻痺してるんだとばかり思ってた。
「おふろ、」
「いい。とにかく一刻も早く体を休めろ」
起き上がることを許されず、ベッドに戻される。洗濯もなんでもそのくらい俺がしてやるから寝ろ、と言われて目をつむる。
たっぷり16時間寝て、もう次の日の日の落ちた頃に起きた。とりあえずお風呂に速攻で入り、ベッドのシーツも消太さんが替えてくれる。
「…おはよう、よく寝れたか?」
「めっちゃ寝ました……」
「食欲は?」
ないです、と答えるとダメだ食えと言われる。じゃあなんで聞いたのさ。
「おかゆ…?」
「胃を刺激しないほうがいい…くましろ、働きすぎだ。お前が先にぶっ倒れちまうぞ」
とても心配させてたみたいで、消太さんの眉尻が下がっていく。
「そう…ですね、4徹は流石にキツかったのでもうやめます…」
「連勤するなら徹夜は絶対するな、分かったな」
頷く。体への反動が大きすぎる。使い物にならなくなるし、効率も何もかも悪い。消太さんの言う通りだな…。
出されたおかゆを食べると、ほんのり卵の風味がする。
「味するか?」
「卵の味がほんのりします」
「…重症だな…出汁入ってんぞそれ」
「うう…せっかくの消太さんの手作りのご飯が…!!!」
そこじゃねえだろと怒られる。風邪引いたときとかくらいしか消太さんがご飯作ってくれることないから…!レアイベントを台無しにしている気持ちになる。
「しばらく雄英で緑谷の手伝いしろ、完治するまではヒーロー活動休止。例外は俺と根津さん、もしくはマイクで判断する」
「……分かりました」
「素直だな」
「逆らったら怖いじゃないですか」
「心配してんだ、バカが」
よく言う、無言で青筋立てながら凄んでくるくせにさ…!凄みモードになった消太さん、めちゃくちゃ怖いから逆らえない。出久くんには消太さんから連絡してくれるそうだ。
「ちょっとしか食べてないのに眠い…」
「寝てきていいぞ、残りは俺が食う」
「嫌です、貴重な消太さんメイドのご飯…!」
一気にかきこむんじゃねえ、とゲンコツされた。痛いのに…。
「待て、ココア飲んでから寝ろ」
ココア…?と目を丸くしていると亜鉛の話をされる。新陳代謝に必要不可欠なのが亜鉛で、亜鉛が不足すると味覚障害に陥りやすいそう。そうなんだ…と聞いていると、毎日牛肉やら豆腐やらココアを必ず摂取しろ、と怒られた。
消太さんと暮らして、ご飯を作るようになってから食わず嫌いも偏食もかなり減ったほうだと自負している。亜鉛の不足よりかは徹夜続きが不味かったのかなあと思うけど…まあ栄養素を摂ることに越したことはないし、言うことは聞いておく。
「くましろくん…!久しぶり、体調大丈夫?」
出久くんだ…!あまりのマイナスイオンに頭を撫でるとゼンマイが大爆笑してた。
「ご飯の味感じにくいだけ、心は元気だよ」
「それは良かった…けど、相澤先生がすっごいこっち見てるよ」
心配性だから、と言うとたしかにくましろくんのことに関してはそうだね、と返ってくる。
「出久くんの補佐楽しみ!何したらいい?」
「へへ、じゃあまずは…」
1日の流れを打ち合わせして、とりあえずホームルームの出席とヒーロー基礎学の品評をお願いされる。オレに評価するの出来るかな…と胃を痛めてると消太さんも居るよ、と言われて胃痛が一気に治まった。
「あれ、妖精さんじゃん!」
「くましろくん、違うからね?」
プッシーキャッツの変身妖精の洸太くんがいるので手を振ると、目をまん丸にして驚いてた。
「今日から数日僕の補佐…それとヒーロー基礎学に参加してくれるプロヒーローのneutralこと神代くましろくんです!」
おお、出久くんまじで先生やってんのね…なんか落ち着かない。よろしくね、と言って会釈しておく。
「すごい!neutralがくるなんて…」
「サイン頂戴!」
「相澤先生とバカップルって本当!??」
「わあ、すごい聖徳太子」
やいのやいの言われて聞き取れたの最初の3人くらいだった。とりあえずサインないよ、と答えて驚愕されつつ出久くんの話聞きなさい、と人差し指を立てる。
ホームルームが終わり、職員室に戻ろうとするけど戻してくれる訳もなく…。あっという間に生徒に囲まれる。
「思ったより細ェ!」
「本当にハンサムだ…TVで見るよりカッケー!」
「出久くん、毎日大変だね」
「僕はこんなに囲まれないよ…」
「まじで?見る目ないね…オレらの代の記念物代表の出久くんのマイナスイオンに誰も気づかないわけ???信じられない…」
そう言いながらため息を付くと嘘つかないでよ!と出久くんに軽く小突かれる。嘘じゃないよ、あの学年を代表する天然記念物だったよ。
「戯れてねェで準備に行け、緑谷とバカ」
「バカとはなんです、バカとは!」
消太さんにそう言うとバカはバカだろと暴言吐かれる。酷い扱いだ…。
「1番前で消太さんの授業受けていいですか?」
「はっ倒すぞ」
職員室まで引きずられて、亜鉛やビタミンが入ったゼリーを食えと差し出されるので言われた通り食べておく。眠気はここ数日の睡眠時間を取り戻すように寝てるから問題ない。
出久くんに生徒名簿をもらい、入学時の書類と合わせて読んで顔と名前、個性を一致させていく。ゼンマイやセメントス先生たちと雑談しながら作業を進めてると、あっという間にお昼になる。
「食い行くか?」
「お腹空いてないからいいや」
「却下、行くぞ」
ゼンマイに答えたのに消太さんに手を引かれ立たされる。出久くんは?と聞くと僕も行こうかな、とついてきてくれた。
「ほんとにストレスで体調崩しちゃったんだね…ここ数ヶ月君のこと見ない日なかったもんな…」
「見てくれてたの?」
「もちろん!」
ふうん、と返事する。前を歩いていた消太さんも何だ?って顔で振り返ってくる。
「その割にはなんにも連絡してくれないね」
「……ごめん…相澤先生との毎日を邪魔しないほうがいいかなって…」
「緑谷、こいつお前だけ連絡ないって家で拗ねてるから連絡寄越してやれ」
「そうだよ、今年入って一回も連絡なかったの出久くんだけだよ」
「ごごごめんってば!そんな怒らないで…?」
フンだ。そっぽ向いてると消太さんがニヤニヤしてるのが見えた。
「緑谷の前ではことさら子供っぽくなるな、くましろ」
そんなことないです。と返すとまあそれでいいよとか言われる。
(…ランチクックのご飯もあんまり味しない…)
(じゃあこれは?くましろくんコレ好きだったよね)
(…チョコケーキ……なのは分かる)
(無理言ってお前の好きなうどんにしてもらったんだ、食える分だけ食え)
(なるべく残さないようにはします…)