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21 入れ替わり2
*神代くましろ
「え、相澤さ……なんです、そのみぎ、め…」
突然宙から放り出された感覚がしたと思えば、右目に眼帯つけてる渋めの相澤さんと目が合う。
「…来たか…くましろ、落ち着いて聞け、いきなり泣くな」
「目、使えなくなっちゃったんですか…?」
思ったよりか細い声が出てくる。なんか、胸が苦しい…
「ちゃんと話す。…から、まず落ち着け。ほら、ちゃんと息吸って、吐いて…」
相澤さんにそう言われ、ゆっくり呼吸しようとするけどうまく息ができない。酸素が入ってこない。
「くる、し…」
肩をつかんでくる相澤さんの手を掴む。じわじわと首を絞められてるみたいに苦しくなってくる。過呼吸なんて初めてだ、よくビニール袋とか紙袋で呼吸を繰り返してるの見るけど、こんな苦しいものなんだ。
「大丈夫だ、目ェ閉じろ。…俺の声に集中して、吸って、…吐いて」
言われた通り目を瞑ると、相澤さんが両手を握って抱きしめてくれる。
ゆっくりゆっくり呼吸を繰り返して、過呼吸が治まってくるタイミングで目を開ける。
「……いくつの相澤さんですか…?」
「まだいいっつってねェだろ……40だ。10年後だな……くましろ、息苦しさもうねぇか?」
頷く。10年後…?たった10年で相澤さんはこんなにかっこよく渋くなっちゃうの…?どうなってんのマジで…。世界が放っておかないよこんなの…!
ソファに連れられ、隣に座る。相澤さんが顔をペタペタ触ってくる。
「…先に要点だけ言う、目のことはあとだ。
まずお前はプロヒーローになった。んで、今日敵退治していたんだが、個性事故により過去のお前と入れ替わっている。
期限は1日、その間接した相手やお前自身の記憶はなくなる」
「プロヒーロー…」
「あぁ、念願のプロヒデビューしたぞ」
よく頑張ってるよ、と頭を撫でられる。10年後はそれなりに忙しく活躍してるらしい。実感わかないけど…。
「…弔ですか、目…」
「結果的に言やあそうだな…右足も切断した…おい、泣くな。生きてるだろ、教師も続けてる」
「……一気に受け入れられる怪我の度合いじゃないですよ…」
「確かにそうだな…全くお前10年前こんな泣き虫だったか…?
当時もビービー泣いてたが……未来のお前は楽しくやってるよ、それだけは覚えとけな」
「……ゆびわ…それに髪の毛も…」
「……くましろ、こっち見て」
相澤さんの左手と髪型をガン見してたら顔を持ち上げられる。ショートの相澤さんもすごくかっこいい…。
「……泣いてばっかだな、お前…」
「色んなことが急に起こりすぎて…」
泣くな、もっと喜べよと指で目の下を拭われる。そういえば、今住んでるところと同じような部屋だけど…家具がちらほら増えてる。
「ちなみに結婚相手はお前な」
「……っえ!???!」
「おお、のたうち回る元気あるか」
信じられない発言に一気に相澤さんから距離を取る。今、なんて言ったこの人……結婚相手オレ!??!は???!!
「なんで離れる、お前だって俺と結婚しろだのプロポーズはそっちからしろだの言ってたじゃねえか」
右手を掴まれソファに戻される。
「や、そう、ですけれども……」
「くく、顔赤ェ……」
笑わないでくださいよ、と睨むとそんなこと思ってなさそうに悪い悪い、と謝られる。
「ちゃんと寝れてるか?」
「…?」
「クマできてる」
「相澤さんよりかは、寝てるはずです…」
「そうか」
「なんなんですか、まじで見つめてこないでくださいよ…」
「心外だな、昔から口説いてる未来の旦那に言うことか?」
「わざとでしょその言い方…恥ずかしいんです!!!」
膝を軽くぺし、と叩くとケラケラ一人で笑う相澤さん。なんにも面白くない…。
「オレ、ちゃんとやれてますか?」
「…充分すぎるほどにな…過労で倒れてみたり、ファンからの差し入れに盗聴器入れられてみたり、記憶なくしかけてみたり……心労がつきねえよ」
「盗聴器…」
「モテる男は大変だな」
ひたすら頭を撫で回してくる相澤さん、オレ犬じゃないですよと言うとそんなこと言ってたなと無視して頭ぐしゃぐしゃにしてきた。
「まあ…アレだ、さっきも言ったがたしかに傍からみれば大きな怪我は負った…し、活動にも支障は出る。この体じゃな…だけどお前と一緒に生きてるよ、それだけではなまるだろ?
ヒーローやってて五体満足で全て上手くいくなんて方が珍しいからな、安心して年重ねろ。待ってるよ」
「かっっっこよ……」
「ほんとこういうとこは変わんねえのな…」
無理無理、直視できない…。あまりにもかっこよくてむしろ目に毒まである。
写真立てとか飾るようになったんだ、相澤さん…。写真を見てると色々教えてくれる。
「緑谷たちとも仲いいままだぞ…確か…来週は轟とディズニー行くってはしゃいでた」
「なんか…ふふ、思い浮かびます。ウッディとバズのおそろコーデ考えてそう」
「言ってたぞ、マイクとサリーコーデもいいなあって毎日悩んでるよ」
あ、たしかに!それも可愛い…。
「んで明後日は緑谷に呼ばれて雄英で授業する予定だしな」
「え、オレが授業ですか??」
「特別講師の枠でな…希望者制だったんだが、定員を6倍超えてすげえ倍率になって緑谷も半泣きになってたぞ」
「……出久くん、先生になったんだ…!めちゃくちゃぽい……」
「爆豪は相変わらずだ、この間お前アイツと中華食いに行って腹壊して帰ってきた」
相変わらず辛いもの好きなんだ、爆豪くんてば…。
「ああ、そうだ。記憶忘れるから意味はないかもしれねえが……お前芦戸と熱愛すっぱ抜かれンだよ、仲いいから。」
「芦戸さんと…?」
「過去のお前に忠告しておく、あんま俺を妬かせるな」
顎を持ち上げられ、めちゃくちゃ顔を近づけて言われる。妬かせるな…って相澤さん、嫉妬してるってこと…?
じわじわ顔がまた熱くなってくる。
「ヒェ………」
「分かった?」
「は、ひ、ヒャイ……」
目がマジで据わってて凄んでる相澤さんになんとか声を絞り出して返事をする。かっこいい顔面が近いだけでもびっくりするのに、ヤキモチ妬かせるなって衝撃的なワードを言われて脳がうまく働いてない。
なんでこんな人を弄ぶ40歳になっちゃったの…!心臓が持たないんだけど…!!!
「顔赤ェな」
「そりゃそうでしょ…」
「本音だからな、お前……心開いた相手にはベタベタするから距離が近えんだよ、俺の気持ちも考えろ」
「勘弁してください……」
「なんだ、普段は俺よりやきもち焼いて家で大泣きしてるくせに…
意外か?俺はお前が想像してるより、お前のことちゃんと好きだよ」
(わざとでしょ…!!!)
(あぁ、わざとだ)
(ぐ、う、…も〜…っ!!!!)
(お前現在進行形で自覚ないからな、記憶なくなるとはいえ刻み込んで帰れ)
(心臓麻痺になってもいいんですね??!)
(ならねえだろンな簡単に……ウブなお前のために結婚してから初キスだって2ヶ月とか待ってやったのに)
(待って待って、ほんとに止まる心臓…!)
(俺が普通科の教師と並んで歩いてたら、浮気だ何だのギャーギャー大騒ぎしやがって…手繋いで歩いてて熱愛すっぱ抜かれたお前のほうが大事だろうが)
(気をつけます、気を付けますから!)
(ほんとに?)
(細胞に刻みつけて戻ります…)
(俺とも仲良くしてくれるよう願ってるよ)