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18 魘されて起きた時は
*相澤消太
まただ。隣から腹痛に耐えるときのような、小さなうめき声で起きる。最近悪夢をみることが少なくなったのか、夜こうして魘されることが減ったと思っていたが…。
硬直しているように丸まって眉間にシワを寄せて両手をぎゅ、と固く握りしめてうなされているくましろを見やる。
「くましろ、…くましろ。」
名前を呼んでも特に反応はない。これで起きる時もあるが、かなりしっかり嫌な夢を見てるんだろう。
背中を軽く叩きながら揺する。すごい汗だ。
「っは、……ゆめ…?」
飛び起きるかのように目を開けたくましろに頷く。悪夢の内容は覚えてる時もあれば起きた瞬間忘れていることもある。
「あぁ…顔色悪ィな、大丈夫か?」
「…気分は最悪です…やな夢だった…」
何見たんだよ、というと口を真一文字に結ぶくましろ。この顔は、大方俺関連のときだな。俺やA組の誰かが怪我したり、死んだりする夢を見ると決まって言いにくそうにしている。
「…泣くなよ、夢だろ」
頭を撫でる。
「嫌な夢だったんですもん…」
俯いてずびずび泣くくましろの背中をさする。随分重たい夢見てたんだな。
「ほら、汗すげえから上着替えろ。風邪引く……なんか飲むか?」
「……みそ汁飲みたいです」
「わかった、着替えてこい」
くましろは少し神経質で心配性なところがある。未だに目元にある傷跡を見て凹んでいる時がある、すごく気にしいだ。自責思考が強すぎるので、いつか折れちまいそうで心配になるくらいだ。
乾燥わかめをそのままぶちこみ、切ってあった長ネギも適当に入れる。出汁と味噌を目分量溶いておわんに入れる。
「作りすぎた」
一杯じゃ溢れる分量を作ってしまったので、2つの椀を並べる。
「うま!!!!」
「そりゃなによりだよ…飲んだら歯磨きして寝ろ」
そういうと頷くくましろ。
「相澤さんが作るとなんでもおいしいですね」
「そうか?…お前なんだって褒めるからな…」
「ちゃんと本心ですよ」
嘘なんて言ってねえだろ…寝起きのときより顔色がいい。すぐ寝付けそうだな。
「…相澤さんはいなくならないでくださいね」
「分かったよ…お前たまには呑気な夢でも見ろ」
「見てますよ、この間は相澤さんが生クリームドカ盛りのクレープ食べて胃もたれする夢見ましたよ」
「なんだそれ…」
クレープなんて何年食べてないだろうか、甘党のこいつはコンビニスイーツのクレープよく食べてるのを思い出す。
「うう…って胃を抑えてました、可愛かった」
「そういや、この間芦戸とプリン入ったクレープ食べに行ったんだろ?どうだったんだよ」
見た目に特化したような、クレープにプリンが入ったいかにも若い奴らにウケそうな見た目の写真を教室で芦戸とキャーキャー言いながら話していたのを思い出す。
「食べに行きました!すっっごい美味しかったです、プリンがブリュレで…!」
一般的にみたらデートだが、お互いその気が一切ないのが見ていてスッキリする距離感の二人だ。迷子防止に芦戸が手を繋いでいてくれたらしい、すっかりくましろの扱い方を覚え始めているA組の奴らの適応能力の高さには驚かされる。
「あんな胃もたれしそうなモンよく食べれるな…」
「え〜?あれはいけますよ」
「俺はコーヒーゼリーでいい」
じゃあ今度作りますね、と謎のやる気スイッチを押してしまったようだ。歯磨きして再びベッドに入る。味噌のせいで体が風呂上がりのようにあったかい。
いい感じに眠気がきたのか、くましろも眠そうだ。
「寝れそうか?」
「ふふ、はい」
「?」
「相澤さん、ほんとスパダリですね…ありがとうございます。この世で一番美味しい味噌汁でした」
「お前もいつまでも盲目なのな…お粗末さん」
「だから、曇りなき眼で見てますって…忖度なし」
ありありだろうが、よく言う。
「またUSJの夢見て……気持ち萎えます……」
「楽しいことでも思い出せ、こうやって全員生きてんだから落ち込むな」
ちょうどいい温さだ、抱き枕にすべくくましろを抱き寄せる。
(おい、くましろ起きろ)
(…ねむい……)
(ずいぶん寝てたな、昼になるぞ)
(おきます…)
(待てバカ、低血圧なくせにいきなり起き上がるな)
(めまいする……ん〜…)
(そりゃそうだろ…体起きてから動け)
(……)
(俺の腹枕にして寝るなよ)