MHA2
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23 新しいお友だち
*神代くましろ
はわ……相澤さんが頭を抱えてる。そりゃそうだ、個性事故によっておれが子供の頃に戻ってしまったことや猫になってしまったことが何度かあった。でもそれはおれ一人だった。けど今回は……爆豪くんと出久くんが揃って小学6年生にもどってしまったらしい。
「何見てんだ男女」
「うわぁ、すごい変なあだ名つけられてる」
「今よりとげっとげしいな〜、よ!爆豪!なんも覚えてねえのか?」
切島くんがそう声をかけるも爆豪くんは無視。おお、本当にとげとげが似合う。
「出久くんもこんにちは、おれくましろ。入試前に会って仲良くなるんだよ」
「え、こ、こんにちは…!……あの…」
「?」
「も、もしかしてミズコのご家族ですか…?顔が似てる…!」
「流石ヒーローオタクだな」
上鳴くんがそう返したことで肯定と捉えた出久くんはキラキラした目で母さんのことを聞いてくる。
「え……出久くん、母さんのこと好きなの?」
「おい、んな顔で子供に凄むな」
いつもはおれを子供扱いしてくる相澤さんにおでこを軽く叩かれた。そんな怖い顔してたかな?慌てて表情筋作って、もう少し言葉を添える。
「いや、あの……通り名『死神』だしさ。皆苦い顔するし、単純なフォロワーを見たことなくて……イレイザーヘッドの方が100億倍カッコイイし…」
「ま、まぁ敵を楽しそうに伸ばす姿は確かに賛否がわかれますけど……けど!検挙率は他のヒーローと比べても圧倒的に高いですし!あとあの身体能力の高さは目を見張ります!バフかけるような個性じゃないから素でやってると思うと…!ヒーローじゃなくてもスポーツ選手として有名になってそうだなって」
「たし………かに?」
「お前も運動神経えぐいもんな〜」
「そう?」
「そうだろ、自覚ねえの?」
「皆もめちゃくちゃいいじゃん」
もちろん子供に戻っちゃった二人は個性の使用は禁止。爆豪くんはおれとか轟くん、瀬呂くんと訓練したかったみたいでめちゃくちゃ舌打ちしてた。分かりやすい。
「わ、ふわふわ〜」
「触んな」
「やだ〜小テストでね、おれのほうが点数高かったら爆豪くんの髪型好きにしていいって約束してたんだよ」
「しとらん、嘘つくな」
「これを見ても言える?」
動画で堂々と宣言してる1週間前の爆豪くんを見せる。その次に1点差で勝った小テスト。
「…………ッチィ!!!!!」
「わぁ、舌打ちってこんな響くんだ」
高校生の爆豪くんよりもふわふわで柔らかい毛質の頭を優しく優しく撫でる。
「……やんねーのかよ」
「戻ったときの爆豪くんでやる、ジェル借りて切島くんヘアーにするんだ」
「センスねーな、やめろ」
ええ?絶対似合うと思うけどな…。
*瀬呂範太
あーあ、爆豪のこと抱えたままくましろ寝ちまった。チビになって俺らとの記憶がないせいも合って知らねえ人たちに囲まれてただでさえ不機嫌そうな爆豪が、抱っこされてるっていう絵面に耐えれるわけもなく。すっげーイライラしてる。
「誰かこいつ起こせや」
「まーまーまー、お前もそんなキレんなよ。少し昼寝したら?」
「ザケンな、んなヤワじゃねえわ」
声が高いだけでまじで今の爆豪とほぼ変わらない。案外誰彼構わず喧嘩ふっかけてくるのか?って思ったけど、相澤先生に言われてるからかそんなことはない。訓練もだめだって言われたときは思い切り不服そうな顔してたけど。
「緑谷もグミ食うか?くましろのだけど」
「え?!い、いいんですか?」
「いーのいーの。お前と轟と相澤センセにはむちゃくちゃ甘いからな、貢ぎ癖あるし」
「……貢がれてるんですか?」
「拒否してるが、お前と轟は貢がれてるな」
センセがそう答えると信じられねえ…って顔で2度見してたからいつもお前はチョコを口に入れられてるし、運んで〜っておんぶしろって抱きつかれてるし、昼飯もなんかアイス渡されてたりしてるよって付け加えといた。
「えぇ……全然、ミズコと違うんですね…」
「な〜180度違うよな」
「どこからこの弟要素身につけてきたんだろうな?」
「確かになぁ……構ってちゃんになるのは理解できっけど、上手いよな、やり方!誰の見て覚えたんだろとは思う」
家庭には色々あるっつーのは、轟見てりゃ誰でも分かる。轟とは別方向で問題を抱えた家庭で育ったくましろは驚くほど甘え方が上手い。負担をかけたくないって思ってるのもあんだろうけど……天性のモンだとしたらまじで恐ろしいな、あの顔で甘え上手とか。
「重ェ」
「はは、すげー安心した顔で寝てるぜ。後ろ見てみ?」
「アホがアホ面してんだろ」
センセが見てるとは言え、叩いて降りたり蹴ったりしないくらいには爆豪もくましろに気を遣ってるぽい。二、三日で戻るらしいし寮で寝泊まりするのは変わらずでってことで寝食共にすることが決まった。
*緑谷出久
「あぇ……?出久くん?どおしたの?寝れない?」
「あ、いや、喉かわいて…!」
くましろ、さん。あのミズコの息子らしい。オールマイトの動画の関連に出てきたミズコを初めて見た時はヒーローじゃなくて女優かモデルかと思った。そのくらいキレイな人だ……そんな人が、敵顔負けの高笑いしながらモザイク処理かけられるほど手酷く敵を追い詰めて確保してるのも最初信じられなかったけど。
くましろさんは顔こそミズコに瓜ふたつだけど、一挙一動は全然違う。それに……なんで僕が雄英に入学できてるのかは最後まで教えてもらえなかったけど、僕やかっちゃんの対する対応もミズコとは違う。なんなら保育園の先生みたいな優しさがある。
「ん〜……なんか今日さぁ、熱くない…?」
「え…?そ、そうですか?……くましろさん、あの」
「その呼び方やだ」
「え、……くましろくん」
「ふふ、なぁに?」
男の子だと分かっててもドキッとする。しゃがんでみてほしい、と頼むとくましろくんは僕の前にしゃがみこんでくる。なんだか顔が赤い……ような。おでこに手をやると少し熱い。寝起きだから?それとも熱?判断がつかない。何かあったらこれで連絡しろ、とイレイザーヘッドから貰ったキッズケータイで番号を入力する。
「誰に電話してるの?お母さん?出久くんのお母さんのさあ、カツ丼ちょ〜美味しかったなあ」
「え?会ったことあるんですか?」
「あるよぉ、ご飯三人で作って食べたんだよ……くぁ」
やばい、ここで寝られても僕ソファまですら運べないぞ…!
『どうした?』
「あ、あの、くましろくんが熱があるような気がして…」
『共有スペースか?今すぐ行くから待ってろ』
確かくましろくんはもう無類のイレイザーヘッドファンらしい。目に入れても痛くないって本人の前で言ってた。イレイザーヘッドはため息ついてたけど、満更でもないって感じ。
「………何しとんだ、デク」
「か、かっちゃん!水飲みに来たんだけど……くましろくんが熱あるっぽくて」
「あ?……おい、起きろアホ」
「起きてるよぉ……」
「目ェあいとらんだろが、ボケ」
「痛い!」
かっちゃんが無遠慮にくましろくんのほっぺを抓った瞬間、大きな声で痛がるくましろくんに二人で固まる。かっちゃんはそんな本気で抓ったりしてないはずだ。
「いだぃい……ぐす…っ」
「お、おい」
「熱で感覚がおかしいのかも…?僕ら二人ならソファまで運べるかな?」
「……チッ、お前足持て」
頷く。見た目通り他の人と比べても華奢なくましろくんは軽くて二人でなら運べた。丁度先生が来て電気がつく。
「運んでくれたのか、ありがとうな……おい、くましろ」
「っう、ぇ…」
「なんだ、熱で子供返りしてんのか?確かに高えな」
先生が冷えぴたを貼って体温計を差し込む。くましろくんはもう寝てるとも起きてるとも言えない状態みたいで、ぐすぐすとしゃくりあげてた。
「念の為手を洗ってから寝なさい。……二人は寝れそうか?」
「ヨユーだわ」
「ぼ、僕も大丈夫です」
「よし……くましろ、病院行くぞ」
「いやれす」
「行くしかないだろ、こんな熱で……おいバカ暴れんな」
お、おぉお…!!!!イレイザーヘッドの捕縛武器だ!!ぐるぐる巻にされて身動き取れなくなったくましろさんは嫌だ嫌だとうわ言のように言いながら連れて行かれた。
次の日、授業に出るわけにも行かないし好き勝手校内を歩くわけにも行かない僕らはくましろくんと一緒に寮内で大人しくしてるようにとイレイザーヘッドに言われた。
「おい、起き上がんなカス」
「アイスたべる……爆豪くんたちも食べる?」
「いらん、寝てろ」
「僕も大丈夫です……くましろくん、熱上がっちゃうから…」
「アイスで下げる」
「下がらんわ、いーから寝てろ貧弱」
かっちゃんなりに心配してるぽくて弱く足元を蹴りながらソファに追いやってる。授業の合間にイレイザーヘッドやプレゼント・マイクが様子を見に来てくれるので僕たちも退屈せずに済んでる。
「おい、寝てろと言ったはずだろ……何隠した」
「アイス食ってた」
「爆豪くんなんで言うの!!!」
「うるせー黙って寝とけ」
イレイザーヘッドによってアイスを没収されたくましろくんは大変不満そうだ。
「暑いから冷たいもの食べたくて何が悪いんでふか」
「なら飯を食え……ほら、ランチクックが作ったお粥。お前たちはお子様ランチ」
「ガキ扱いすんなや……」
「ふ、15になっても俺にとってはガキだが?ほら座って食え、緑谷も。……くましろ、くましろ。しんどいだろうが一口でもいいから食え、んで薬飲んでから寝ろ。」
「ゔ〜……吐きそう…‥トイレ行ってきます」
くましろくんはなんだかただの風邪とは思えないくらいぐったりしてる。結局ようやくお粥を一口だけ食べて、薬を飲んでソファで寝てた。かっちゃんが図書室へ行くというので僕もヒーロー図鑑とかチャート見たくてついて行くと、ヒーロー科ではなさそうな生徒にかっちゃんが絡まれた。
「お前ヒーロー科の爆豪だろ?スカしやがって腹立つんだよなぁ……個性事故でガキになってんだろ?ざまぁねえな」
「何してんの?」
「…くましろくん」
「あ?……死神の息子か?ヒーロー気取りかよ」
「そりゃ子供に向かって個性使おうとしてる人に割り込んだらヒーローでしょ、何してんの?」
熱でフラフラなはずなのに僕とかっちゃんの間に割り込んで壁みたく立ってくれてる。殴りかかってきた生徒を難なく避けてイレイザーヘッドとお揃い?の捕縛武器で捕獲したくましろくん。顔が真っ赤なのに流石だ…ミズコの運動神経は引き継がれてるんだな。
「おい、なんで出歩いとんだ」
「え?……だって友だちが危ない目にあってるのに見てみぬふりできないじゃん……ついでにランチクックに、ゼリー貰おうと思って」
「わ、くましろくん……!大丈夫?」
「…デク、お前イレイザーヘッド呼んでこい」
(おい、おい……完全に熱上がってるな…マイク、緑谷たちの付き添い頼む。ばあさんとこ連れてく)
(OK〜、経口補水液いるやつか?)
(一応飲ませる、ほとんど飯も食ってねえからな)
(さ、行くぞリスナーたち……あんだ?神代が気になるか?)
(……なんか感染症ですか?あんなにぐったりしてるなんて…)
(あー…あいつな、痛覚が普通の倍なのよ。だから痛みを感じやすいし、ああいう熱でダリィ〜ってやつもしんどくなるんだ。症状的にはただの風邪なんだけどなぁ)
(痛覚が倍…)
(そ、治癒の個性も持ってっからな。その反動らしい……おいおい、お前らが元気なくなってどうすんだよ〜!むしろお前らに怪我ある方があいつは落ち込むぜ?)