MHA2
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11 お兄ちゃんもいいかも
*轟焦凍
「………こら、逸れるな」
「だってつまんないんだもん」
「でも……ダメだ、危ねえだろ」
くましろの腕をつかもうとして手を伸ばすのを止める。体中痣だらけって先生が言ってた。個性事故で小さくなっちまったくましろは俺らのことを覚えてないどころか、体中に痣を作る原因になった自分より年上の男を怖がってる。
「……ねえ」
「ん?」
「なんで悲しそうなの…?」
「……悲しそうだったか?」
「うん」
「悲しくはねえぞ……くましろ、腕平気か?」
「?うん、薬ぬった」
「そうか…じゃあ逸れねえように手繋いでいいか?」
「やだあ〜〜お絵描きする」
「お絵描きすんのか…じゃあ座るか?」
くましろじゃ机に届かない。俺の足の上によじ登ってきたので背中に手を添えて支える。いつもくましろに背中や腹から抱きつかれて犬みてえにじゃれつかれてるが、いつも見える頭が随分下にある。
「何書くんだ?」
「イエイザー」
おお、この時から相澤先生のフォロワーなのか。そうか、とまあるい頭を撫でると不思議そうに見上げられる。
「?」
「撫でたくなる頭だな」
「そうなの?……変なの〜〜」
ぐりぐりと書きなぐるくましろの手元を見やる。麗日たちが着替えに行ってる間、おとなしく黙々とイレイザーヘッド?らしい黒い丸を描き続けたくましろ。
「くましろ、そろそろ麗日たち帰ってくるぞ」
「うん…」
くて、と俺に寄りかかってきたくましろの顔を覗き込むともう寝そうだ。
「寝るか?」
「寝ない……」
寝そうだけどな。頭を撫で続けていると電池が切れたように体から力が抜けたくましろは口開けて寝ていた。
「………寝たンか」
「おう……爆豪も抱っこするか?」
「はっ、いーわ。ガキのお守りなんぞしねえよ」
そう言いながらも、爆豪は先生から名指しで気をつけろと言われたからかくましろに接触してない。声をかけるどころか視界に入らねえようにしてる。俺も誰もそれに触れてねえけど、皆気付いてるだろう。
「ん〜……」
「……わり、起こしたか」
「お〜、轟の膝の上いるじゃん」
「………」
コアラみたいに抱きついてきたくましろがブレザーの中に顔を入れて切島から隠れるようにしてる。やっぱり男は怖ぇのか。
「……おい、アホ面。泣かれたくなけりゃ離れろ」
「へいへい……もうすでに泣きかけだもんな……ほんと、どんなやつにされたんだよくましろ」
「………こんな青あざだらけで痛えだろ……すぐ麗日たち戻ってくっから……少し寝ろ」
そう言いながらくましろの背中を優しく叩く。そのまますんなり眠ったくましろに炎の個性があってよかったと思った。
「轟くん、ありがとうね……あ、くましろくん寝ちゃったんや」
「おう…さっき寝た」
「ケロ、これは?」
「イレイザーヘッドらしい」
「まあ……大体は合ってるね、大体は」
芦戸がフォロー?してるが黒ってところしか合ってねえと思う……けど4歳のころなんて俺もこんな画力だと思う。今はくましろのほうが絵が上手い。
そのまま麗日に引き渡そうとしたら両手ががっしり俺の制服を握りしめていて離れやしない。授業開始間際、相澤先生が迎えにくる予定だからその時まで寝かせとくままに。
「……ふ、懐かれたな……くましろ」
「ん゛……」
くる、と声をかけられた方とは反対側に顔を向け直したくましろについ笑う。聞こえないふりしてんのか?
「くましろ、先生きたぞ」
「やだ…」
「やだじゃねえだろ……仮眠室あるからそこで寝ろ」
「や〜だぁ〜!!!!」
おお、じたばた暴れてる。仰け反ってなんか……ひっくり返った亀みてえな動きしてる。手と足がそれぞれじたばた動いてるのに先生は涼しい顔で持ち上げてる。
「眠いから機嫌悪ぃな」
「そういうもんなんですね」
「子供はそういうもんだ……!」
「ぃやーーーーっ!!!!」
耳がキーンとなるような子供特有の甲高い声。くましろこんな大きい声出せるんだな……近くにいた俺の右耳がキーンと耳鳴りするくらい大きな声だった。見上げると、先生は抹消の個性を使ってる。もしかしてくましろが個性使ったのか?
「興奮するな、頼むから……縛られたくねえだろ」
「いやっ!!離して!!はぁなしてーーーっ!!!!」
「おー…すげー拒絶具合」
耳がキンキンする。耳郎が葉隠の手で耳を塞がれていた。
「くましろくん、ほいっ」
「ん、ぇ…?」
「マシュマロ、好きだよね?」
麗日がくましろのほっぺにマシュマロをくっつけた。知らない感触にくましろの癇癪もぴたりと止まって不思議そうにマシュマロを受け取ってる。
「ま?」
「マシュマロ」
「まひゅ…?」
「や〜ん、かわええな……!マシュマロ、だよ」
「まふ?」
マシュマロが上手く言えないくましろに麗日がまた溶けかけている。昨日今日でよく見る光景だ。
「麗日、助かった……マシュマロならマイクが持ってるぞ」
「まいく?」
「あー……お前はゼンマイって呼んでたな、あいつだよ」
「まふまろあるの?」
「うん……職員室でなら食べていいから行こうか。麗日とはまた後でな」
「ん……お姉ちゃんまたね」
「うん、くましろくんまたね〜」
「お姉ちゃんもまたね」
「……?俺か?」
「うん」
「「ブーッ!!!!」」
「俺は………いや、またな」
間違えられるような容姿ではない、と思う。くましろのほうがよっぽど中性的だ。だけど俺が男って分かったらまたパニックみたいになるかもしれねえし、と黙っておく。
*相澤消太
鼓膜が破れるかと思った……打って変わって、すっかり上機嫌なくましろを片手に職員室へ。
「あかない」
「待ちなさい……ついたら開けてあげるから」
「まひゅまろ?」
「うん」
舌足らずで相変わらず可愛い。A組の一部の野郎たちにも少し慣れてきたのか緑谷や飯田には受け答えはできるようになっていた。今日は珍しく轟の膝の上で寝てると思ったら、お姉ちゃんと誤解していたが……。
「はい、ついた…手、シュシュして」
「は〜い」
アルコールスプレーで消毒させてデスクへ。マシュマロを袋から開けてやればムニムニと触って楽しんでる。グミとかそういうの好きだもんな……。中にチョコが入ってるマシュマロのあたり、麗日は本当にくましろの扱いをよく分かってる。
「んま〜!」
「そうか、よかったな」
「何食ってんだよぉ、神代」
「まうまお」
「ん〜?あーなんて?」
「まうまお!」
「くっくっく……可愛いなぁ〜……美味い?」
「うん」
舌っ足らずなくましろが可愛い可愛いと何度も何度も同じ単語を言わせてるマイクを睨む。そろそろコイツ何回も言わせてきて面倒くせえってなっても知らねえかんな。昨日は例に漏れず怖がられていたが、自分を殴ってきた奴との見た目とは程遠いからか、マイクの扱いが上手いからかすんなり懐いた。
「まうまろあるって、言ってた。ちょーだい」
「お〜随分気に入ったんだな……ほいよ」
くましろが小さくなってからコンビニであらかた大きくなったくましろが好きなお菓子を買い漁ってきたマイクがマシュマロを渡す。
「美味いか?」
「ん!」
「マイク………顔引き締めろ少し」
デレデレだぞお前。
「そんでくましろ、少し寝なさい……疲れてんだろお前」
背中を擦って痣の少ない腰あたりを叩くと瞼が降りてくる。家では昨日指しゃぶりしながら寝てた。まだまだ甘えたい時期だろうにな。さすがに4歳だから神代さんも何ヶ月も家を開けたりはしないらしいが……それでも不在の日があって当たり前、と思ってるくましろに胸が締め付けられるのは変わらない。
「……で?泣いたっぽいな、なんかあったか?」
「眠くて愚図ってた………個性無意識に使おうとして大変だった」
「へぇ、愚図ったのか。お前には多少わがままになってもいいってなったんだなァ……」
「お前にもわがままだな……くましろの中で図々しいレベルをお願いしても怒られねえから試してるんだろ、色々」
「その図々しさが可愛いこってな……で、こんな暴行受けたやつどうすんのよ」
「……くましろは個性のせいで10年以上前の今日に戻ってるが、相手はくましろより歳上だろ。今更警察に掛け合ったって時効だって言われるだろうしな……俺も聞いたことねえからもしかしたら……思い出さねえようにしてるのかもしれねえ」
「……ん〜……いや、俺は神代の性格的に……忘れてるに賭ける。結構小せえしな…だってお前、幼稚園の頃の何頭の記憶あるか?」
「まあ確かにおぼろげではあるが……」
忘れてくれているなら、それでいい。その方がいい。残る傷がなくて本当に良かったと思う。幼稚園の先生に何か言われなかったか?と尋ねたがくましろがそもそも一人で着替えをして、長袖で隠すようにして登園してるから気付かれてないみたいだ。
くましろを膝に乗せたまま仕事を進め、3時間ほどぐっすり昼寝をしたくましろは夕方に起き出す。
「………」
「起きたか」
「うん」
「こら、暴れるな……何か飲むか?」
「ココアがいい」
「はいはい、水な」
「ちがう、ココアー!!!」
「……セメントス先生、甘やかさないでください」
寝起きくらいは水を飲めと用意したらそっと横からココアが差し出されてきた。まったく、お菓子を際限なく与えてる時点で栄養もクソもねえのに飲み物まで甘ったるいものにしたら体によくない。
「ココア?」
「2杯目から……ほら、喉乾いてんだろ」
「いや」
「嫌じゃないだろ」
「神代もちゃんと嫌々すんだなぁ〜…言う事聞かねえほうが可愛く見えるって凄えな」
「多分それお前だけだ、マイク」
くましろがたまに反抗期らしく、俺に歯向かう時があるがそれを話すとまたなんとも嬉しそうにしてる。抑え込むより爆発してるほうが健全だろ、と言われた。まあ…理屈は分かるが相手する方は骨が折れる。
「ホームルーム行くか?麗日たちとバイバイするやつ」
「バイバイしたくない」
「また明日くるよ」
う〜とかあ〜とか呟いてるくましろを抱き上げてA組へ。すると手が首に回ってくる………やっと俺にも甘えるようになってきたか。
「ホームルーム始める。席につけ……麗日、写真撮るな」
なんでそこが似るんだよ。
「ごめんなさい、可愛くて〜!」
「ったく……連絡事項から伝えてくぞ……いててて、お前も降りようとするな」
「お姉ちゃんのとこいくの」
「はいはい……じゃあ続けるぞ」
すたこらさっさと麗日の元へ走り膝の上に乗せてもらってご満悦のようだ。なんで麗日なんだ?とこっそり昼間に聞いてみたら、学童の気にかけてくれる先生に似ているとのことでマイクがまた複雑そうな顔をしてた。
「はい、じゃあホームルーム終わり……麗日、帰る前に職員室にくましろ返却しに来い」
「は〜い!」
今日は放課後にネイルをやるらしい。くましろが気になると呟いたから耳郎やら芦戸を始めとして全員持ってきたらしい。
*麗日お茶子
寝てた!という寝癖のついたくましろくんを私の膝に乗っけて皆でマニキュアを出す。わ、目がキラキラや…!
「かわいい…!きらきらしてるよ」
「ラメ入っとるねえ、キレイやねえ」
「これもぴかぴかしてる」
「グリッター入っとるもんねえ」
「ぐみた?」
「あ〜………」
可愛いなあ〜!舌っ足らずで、くましろくんは知らない単語も多い。聞き返して大体言えてないのかわいい。背もたれにもたれかかってかわいいを浴びてると三奈ちゃんが笑ってるのが見える。
「………」
黄色にオレンジのラメが入ったやつと、黒に赤いグリッターのマニキュアをそれぞれ持って椅子から降りたくましろくんが向かったのは…上鳴くんたちの席。
「お?なになに?」
「いっしょ」
「お、黄色いもんな」
「お兄ちゃんきらきらしてる」
「………え、待ってなんかキュンとした」
「すんなアホ」
「お兄ちゃんはぴかぴか」
爆豪くんにグリッターのマニキュアを渡してる。え……イメージカラー的な!??!演習の授業も一瞬見に来てたみたいで、それで覚えてたのかも?
「……んだよ、俺は塗らねえぞ」
「ぼくにぬって?」
「………はっ、塗り殺したるからちゃんと座れ」
「お〜、爆豪やさし〜!」
響香ちゃんがそう言うとくましろくんからは見えないようにじろりと睨んできた。おお…あの爆豪くんが怒鳴らないようにしてる……!凄い…!!
「右がぴかぴか、左はきらきらがいい」
「アホ面のなんかつけんな、どっちもぴかぴかにしろや」
「やーー!!」
「うるせえ、大きな声出すな!噛むぞ」
「や!」
ちょっと小さい声で抗議するくましろくんに切島くんたちが大笑いしてる。爆豪くん、マニキュア塗るのも器用なんや……。
「つか、お前……爪かんでんだろこれ」
「?」
「ガタガタしとる……噛むな、痛えだろ」
「ほんまや……深爪なっとるね」
「……オイ、集まるなお前ら」
「だって気になるもの、爆豪くんがマニキュア塗るなんて滅多にないわ」
「当たり前だ、今回だけだわ」
(なんだ、まだそんなに残ってたのか?)
(あ、せんせー!見てみて!爆豪がくましろちゃんに爪塗ってあげてんの!)
(……おお、おとなしく座ってるな)
(塗れっつったくせに暴れるから一回噛んだ)
(いたかった)
(ダメージ2倍なのに痛くしねえわアホが)
(?だめーじ?)
(あー……爆豪、この頃はまだ等倍だな)
(…………)
(ギャッハハハハ!!!バクゴー耳まで赤え!!!!)
(切島テメェ明日の演習で殺す)
(爆豪お前どんだけくましろに優しいんだよ〜素直じゃねえなあ)
(瀬呂テメェも明日命日だ)