MHA2
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7 わちゃわちゃ
*モブ(
「いらっしゃいませ」
町中にある、何の変哲もないケーキ屋さん。高校生になってバイト解禁して通いやすくて時給も低すぎないここにした。スーパーでも良かったんだけど、コンビニ並みにやること多くて割と大変って聞いたからマルチタスクが苦手な私はケーキ屋さん。……まあケーキ屋さんはケーキ屋さんで、結構大変なんだけど。
「ここここ!ここ美味しかったんだよ…あでっ!」
何やら騒がしい声のあと、ドン!と大きなぶつかる音が聞こえた。ドアを見ると自動扉が開く前に入ってこようとしてぶつかったぽい………えっ??!!?にゅ、neutral!??!びっくりしすぎて悲鳴も出ない。
「だ、大丈夫ですか…?」
私のほうが大丈夫じゃないけど、めちゃ痛そうな音はしたしとりあえず駆け寄る。
「も〜お前どんだけそそっかしいんだよ……悪いな、ドア壊れてないよな?」
れ、烈怒頼雄斗……??!?!!?や、やば、1番好きな推し目の前にいる……!!!!頷くことしかできなくてとりあえず推しから距離を取る。無理無理無理もっとメイクとかちゃんとしとけばよかった、無理おでこにニキビできたばっかなのに!!!
「痛い。切島くん起こして」
「はい…よっこいしょ。拗ねんなよ」
「拗ねてないし。おれよりドアを心配するんだって冷静になっただけだし」
何この2人、付き合ってるの…?え、neutralってイレイザーと結婚してるんだよね?で、よくメディアでも付き合ってるの?て言いたくなるくらいベタベタしてるのはショートとか、ダイナマとか………チャージズマとか烈怒頼雄斗にも結構絡んでるか…ってことは、普段からこうなの!?!
「わーーーるかったって!お店のモン壊したら大変だろ…くましろ自体を心配してないわけじゃねえよ」
「ふん。切島くんケーキなし」
「じゃあアイス買おうかな」
「アイスもなし」
「じゃあ焼き菓子は?」
「焼き菓子もなし!」
ぷんぷんしてるneutral、可愛さも相まって女の子にしか見えない。なるほど……ファントムシーフ、ショートの熱愛(両方とも相手はneutralだったっていう伝説のオチ)が出るわけだ……。
「優しいのお姉さんだけ」
「えっ?!そ、そんなことは……!烈怒頼雄斗も、ほら、あの…すぐ駆けつけてたので」
「そーそー。つかお姉さん巻き込むなよ、困ってるだろ」
「ふん」
え〜〜!なにその『私怒ってるんだからね!』のやつ…!可愛すぎない??なるほど、皆neutralのこと構い倒すのは日々のこういう積み重ねか……あのダイナマでさえ、neutralが近くに来たら少し表情が和らぐのはヒロオタ界隈では有名な話。
ケーキカウンター内に戻り、手を消毒。気になる人は手袋つけてねと店長が用意してくれてる。正直、私はケーキ作る側じゃなくて売る側だからケーキカウンターにケーキを入れるとき、並べ替えするとき、購入時のお包みの時に髪の毛やゴミが入らないようにすれば良くない?と思ってたけど、お客さんの中には結構潔癖な人がいる。
手は消毒してたけど、トングは?と言われたこともあるしトレーもちゃんと洗ってる?と確認されたことも。neutralは確か結構潔癖だったよね…手袋つけるか。トレーとトングを持ってカウンターの前へ。
「何がいいかな」
「とりあえず、切島くんのママにはプリン。ここのプリンやわやわで飲めるよ」
「いや、プリンを飲むなよ」
プリンをトレーに乗せる。確かにここのプリン、私もよく買う。柔らかくて卵の味が濃くてとっても美味しい。
「上鳴の分どおする?」
「上鳴くんは〜…うーん、フルーツすきだからこのフルーツタルトどうかな」
チャージズマもいるの…?!2人は今日ヒーローコスチュームじゃないからオフ……なんだろうけど。オフの日も集まるくらい仲いいんだ。
フルーツタルトをトレーにのせて真ん中へ寄せる。初めてバイト出勤した日、結構な数買うお客さんがいてトレーの端に寄せてたモンブランが転がったのは嫌な思い出だ…。
「バクゴーは?アイツケーキ食わねえかな」
「爆豪くんはね……このチョコケーキ!好きだと思う」
だ、ダイナマまでいるんだ……凄い会だな……。テレビで主にneutralやチャージズマのバラエティ出演時によく聞く名前。neutralはショートとか、ファントムシーフとかインゲニウムとか…女の子だとPinkyとかともすっごく仲がいい。グループで遊ぶ、となると烈怒頼雄斗、ダイナマ、チャージズマの名前がよくあがる。
「チョコぉ〜?爆豪が?」
「このケーキほろ苦くて美味しいんだよ!スポンジにコーヒーしみしみでちょっとティラミスみたいな。ね、お姉さん」
「!はい……そうですね、カカオの味と香りが強いケーキなのでケーキの中では甘くない方かと…甘いチョコケーキはこちらにあります!」
び、びっくりした…!日頃から接客頑張ってるからケーキに関してのやり取りはすらすらできる、と思う。味の説明できるように頑張って制覇した甲斐ある…!
私の説明にほらね、と烈怒頼雄斗に向き直ったneutralがふたたびこちらをじっと猫のように見つめてくる。
「あ、お姉さん……切島くんのフォロワーさんなんだ」
「え?あ、そ、そうですけど……なんで分かったんですか?」
「ぽっけのボールペン、前コラボしてたヤツ!」
左胸に入れてるボールペンを指される。よく見てるな……名札の横のポケットに確かに烈怒頼雄斗コラボのペンを入れてる。けど、外に出してるわけじゃないから赤いボールペンだなってくらいしか分からないと思うのに……。
「え、そうなんだ……あざす!でもごめんな、うるさくして」
「えっ、あ、耳にいいので!!全然!」
耳にいいって何???私もう少しマトモなこと言えないの??!烈怒頼雄斗もぽかんってしてるじゃん!!
「ぶはっ!!耳にいいって何?おもろ〜!」
「切島くん、今日イチ大きい声出てるよ…あ、爆豪くんから連絡きてる……『早よしろボケカス』だって」
「アッハハハ!!!全然似てね〜!!www」
「似てるし。切島くんのケーキなしね」
「爆豪にもいつも似てねえって笑われてんじゃん」
「笑われてないし。怒られてるだけだし」
怒られてるんだ……。つられて笑いそうになるので必死に太ももを抓って誤魔化す。可愛い顔のneutralがダイナマのあの怖い顔を真似しても全然怖くない。大型犬の真似してる小型犬って感じで。
「機嫌直せよ〜…じゃあ轟の真似して」
じゃあ??何がじゃあなんだ?
「『くましろ……画面が2分割しちまった、壊れた』どう?4日前の轟くん」
「あいつまだスマホ音痴なの?ん〜……まあバクゴーのよりかは似てるかな」
「爆豪くんのも似てるって」
あの、二人とも。後ろからゆっくりとダイナマ近づいてるよ……!私が口を開こうとしたらダイナマが口元に人差し指を当てて『言うな』のポーズをしてくるので黙る。
「似とらんしお前らはケーキ買うだけのつかいに何十分かけとんだコラ」
「いだだだだだっ!!!」
「バクゴー!痛え痛えっ!!痛えって!!」
2人の頭を鷲掴みして怒るダイナマ、完全にママにしか見えない。ペコ、と会釈されたので会釈を返す。敵が絡んでないとこんなに大人しいというか普通なんだ……!
「だって切島くんがバカにしてきた」
「おいバカにはしてねーよ、バクゴーのマネ全然似てねえって言っただけだし!」
「言い訳はいらねェわ店ん中で騒ぐなボケカスがよぉ……早よ決めろ、アホ鳴が五月蝿え」
チャージズマ、アホ鳴って呼ばれてるんだ……だって〇〇が!お前もじゃん!と指差して兄弟喧嘩みたいになってた2人の頭の向きをケーキカウンターに戻して促すダイナマ、やっぱりママだ。
「俺自分の分決まった」
「おれも!せーの」
せーの???なんのせーの?ていうかさっきまで拗ねた彼女してたじゃん?!neutralを2度見しつつ、カウンターの扉を開ける。
「「スフレチーズケーキ/バスクチーズケーキ!!」」
おぉ、チーズケーキ被り。
「あ〜スフレもいいなぁ」
「どうせお前全員から一口強請るだろうが」
「食いしんぼみたいな言い方やめてくれる?」
ダイナマが爆弾投下してく。皆から一口ちょうだいってやるneutral……簡単に想像がつく。そんでもって、皆あげてるのも想像がつく。
スフレチーズケーキ、バスクチーズケーキをトレーにのせて数える。プリン(烈怒頼雄斗のお母さん)、フルーツタルト(チャージズマ)、カカオコーヒーチョコケーキ(ダイナマ)、スフレチーズケーキ(烈怒頼雄斗)、バスクチーズケーキ(neutral)……よし。
「こちらでお間違いないですか?」
「は「待て……イレイザーにも買ってけよ」むぐ」
ダイナマの片手で顔の半分以上隠れる小顔すぎるneutral。口元を摘まれて魚みたいになってる。
「家で待っとんだろ、昨日アホ鳴の家泊まってるんだから土産くらい持ってけ」
「へ〜バクゴーそういう気遣いできるんだな!」
「当たり前だわぶっ飛ばすぞボケが」
「じゃ、ゼンマイにも買ってこ〜今日おうち来るんだって」
「お前ほんとプレゼントマイクと仲いいのな」
「まぁね〜……じゃあ白桃のショートケーキと、しぶしぶモンブランで!おねがいします」
はい、と返事をして2つのケーキを別のトレーにのっける。
「こちら別の箱にいれてお渡ししましょうか?」
「おねがいしま〜す!」
手早くレジ入力していって、金額を伝える。お金を用意してもらう間に箱に詰めていく。
「あれ………やばい、サイフなくした」
「「えっ」」
私と烈怒頼雄斗の声がモロ被る。サイフなくした?!一大事では…??慌てる私と烈怒頼雄斗、半泣きのneutralを他所にダイナマがすっと黒いサイフを出してくる。
「入り口脇に落ちとったわボケ」
「ば、爆豪くいだだだだいだい、いだい!!」
「個人情報詰まったもん落とすの何回目だカス、お?」
「よ、4回目……とか?」
「サイフは6回スマホは5回だボケが!!!……イレイザーに連絡すっからな」
「そ、それだけは!!!勘弁して!!!やだあの人怒ると5時間くらい説教されるんだってば!!」
「怒られるようなことしてんのが悪ィ……切島、代わりに会計しろ。あとで払う……テメェはこっちだ、へにょへにょすんな店ん中で!!」
しょんぼりと誰がどう見ても『肩を落とす』と表現するしかないneutralは首根っこ掴まれて店の入り口の方へ連れてかれて行った。あんなにデロデロに甘やかされてラブラブエピソードばっかりのイレイザーも怒る時は怒るんだ……。まあでも、確かに……落としちゃマズイもの落としてるのは事実だもんね…。
「おー。悪いな、騒がしくしちまって……ほい、4000円」
「い、いえ……!今日皆で遊んでるんですか?」
「そうそう、チャージズマとダイナマと俺とneutralでな!遅れたチャージズマの誕生日とneutralの早めの誕生日祝い!……なんだけど、あいつ落ち込んで帰りそうだな」
「誕生日会……!ネームプレートとかいりますか?ギリギリカットケーキでも乗る大きさなので」
誕生日お祝いしあってるの尊すぎ………neutralめちゃくちゃ怒られてるけど……!
「え、いいの?!サンキュー!それいくら?」
「ネームプレートはサービスなので、大丈夫ですよ」
名前を伺って、メモに書く。くましろ、と電気。2人の名前だ。ネームプレートはチョコで出来てるから中の冷蔵庫にある。ひんやりしたケーキ制作の部屋でチョコペンで人生一丁寧に文字を書く……うん、上出来!
「こんな感じで……よろしいですか?」
「おお!すげ〜ありがと!くましろも上鳴も喜ぶわ……バクゴー、もうくましろ絞るの勘弁してやれって」
え、笑顔が眩しい……!!!かっこいい……!
ネームプレートをこっそりケーキの上に載せていると、烈怒頼雄斗の声が遠のいていく。入り口のダイナマたちの方に向かったんだろう。
「ほんとにイレイザーに電話された」
「まあ……落とし過ぎなのも問題だわな…怒ってた?」
「怒ってた……腕に埋め込んでやろうかって」
「まだマジギレじゃねぇじゃん、そんな冗談言ってくるの」
「もっと反省しろやバカ」
わ、neutralほんとにしょんぼりしてる……眉が下がって元気がない。励ますような烈怒頼雄斗と、もっと反省しろと叱るダイナマ。2人のママから烈怒頼雄斗パパとダイナマママになってる。
「ありがとうございました!ぜひまた来てください」
本音を添えてお見送りする。
「騒がしくして悪かったな!また!」
また、またって言ってくれた!!!嬉しい!!!
(待って今日のケーキの写真あげてくれてる!!!やば!!!)
(ちょっとアンタご飯のときくらいスマホやめなさい)
(だってお母さん見て!!!ほら!!私が売ったケーキとプレート!!)
(はいはい……あら、アンタのこと書いてあるじゃない)
(ど…??!?!)
(少し落ち着きなさいよ……ほら、『俺のコラボペン持ってたフォロワーさんが』…って)
(コンビニで印刷してきていい?)
(分かったから先にご飯食べなさい!!!)
烈怒頼雄斗、きっとまた別日にモブちゃんが出勤してる時に「この間のケーキうまかった!またプリンとスフレチーズケーキ頼む!」って買いに来てくれると思います。彼はそういうヒーロー……。