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6 教育の賜物
*神代くましろ
消太さんはおれにだけ甘えん坊だ。本人に言うと『は?』って鼻で笑われるけれど……例えば、お風呂あがりのタオルとドライヤー!おれがやってもらう日もあるけど(おれがやると烈火の如く怒るくせして)自然乾燥派の消太さんの髪を拭いて乾かすのはおれの日常。
部屋の掃除、ご飯作ること、買い物、そういう家事と並ぶおれの仕事で日常の動作。最初は俺はいいとか言ってたけど、じゃあおれもやらない!って大の字で寝てたら渋々折れてくれるようになった。乾かすの面倒だけど、相手のならしてあげられるってめちゃくちゃ愛じゃん…おれはともかく消太さんがやってくれるなんて…と当時は感涙しては引かれていた。
「ん」
今ではこれ。ソファに座るおれの足の間に入ってきて寄りかかってくるように。見上げてくるの可愛い……!
「またボタボタ垂れてますよ」
「拭いてくれるだろ」
「そりゃ拭きますけど」
痛くないように優しくタオルドライ。ここだけ美容師さんの仕事代われるのでは?ってくらい上手になった自覚はある。目の粗い櫛で髪を梳かして、ヘアミルクは嫌がられるから最近はこっそり混ぜて塗るようにしてる。あまり匂いの強くないヘアオイルとヘアミルクをちょっと混ぜて毛先にしっかり揉みこむ。
おれにはヘアパックとかなんかスペシャルトリートメント!みたいなの買ってきて使わないと拗ねるのに自分は一切使わない消太さんの毛先は割と痛んでる。これでなんとか食い止める感じ。また櫛を通してオイルを馴染ませる。その間にタオルで手を拭いてオールインワンの化粧水乳液のクリームを消太さんの顔に塗ってマッサージ。目のとことか傷跡の部分が痛くならないように、突っ張らないように。
これも最初は『顔がべたつく』とか言ってたけど、突然傷跡が痛むことが増えてから試しに継続してみてほしいとお願いしたら頻度が軽減した。だから習慣化してくれたようなものだ。義肢と足の肌の境目部分の保湿は自身で行っていると思う。たまにマッサージを頼んでくれるまでになった。
「ちゅーしちゃお」
「……」
されるがままだ。猫みたいに目だけでおれのこと見てる。
「ふふ」
るんるんで髪の毛を乾かす。ドライヤーは奮発していいやつ買ったから乾くの早いのにパサパサしなくてめっちゃ楽。いつも美容室のお姉さんに褒められる。
「髪伸びましたね、消太さん」
「あぁ。重たい」
「今度切りましょうか」
「ん」
ウィッグを買い漁って練習してたら爆笑されたっけな…でも髪の毛って失敗できないし伸びるまで時間かかるから、初めて頼まれたときは不安で不安で5回くらいウィッグで練習した。量を梳くっていうものだけど、素人にはそれでも充分難しい。
「よし、おしまい。サラサラです」
「ありがと……よっこいせ」
おお、おれの膝上に座ってきた。後ろから抱きつくとぐぐぐ、と体重が乗ってくる。
「映画見よう」
「怖いやつやですからね」
「気になるサスペンスホラーがあってな」
「聞いてました?」
まあまあ、と何故か窘められた。流されないぞ、嫌だ!
「俺が抱っこしてるほうがいいの?」
「抱っこするされるじゃなくて、ジャンルが嫌なんですよ」
「素直じゃないな」
あぁ駄目だ、マジで観たいんだろうな……。ここまで押しが強いと勝てない。絶対抱き枕になってもらお。
「なんて映画なんです?」
「呪詛」
じゅ、呪詛……調べてみたらガチで怖そう。悲鳴をあげてびっくりしすぎて消太さんの腕をたまに叩いてしまったりしながらなんとか見終わる。めちゃくちゃ怖かった。
めちゃくちゃ怖かった!!!!!!!人生一怖かったかもレベル。なに、いまのホラー映画ってあんな怖いの???なんなの??やめてよまじで、ちゃんとびっくりもさせてくるしじわじわ怖いの両方やるの本当に何なの??2段構えしてくるなよ全く……!!!
「こわかった」
「怖かったな……はい、歯磨きして寝よ」
「う〜…消太さん今日抱き枕決定」
「毎日抱き枕されてるししてるだろ」
まあそれはそうなんですけど。並んで歯磨きしてお互い水を飲んでから寝る。これは夏頃に足を攣ることがあまりに多くて水分不足だろうから、と取り入れるようにしたルーティン。まだたま〜に足を攣る痛みで起きることあるけど、だいぶ減った方。
*相澤消太
ソファに座れば隣にぴったりくっついてくる、寝るときも俺を抱き枕のようにしてひっついて眠る、頭を撫でるともっと、とぐいぐい押し付けてくる。
くましろは無自覚に、無意識に甘えるようになった。学生の頃からだが、あのときは当たり前だが結婚していなかったし、くましろも遠慮があった。今は遠慮するなと言い続けたおかげで、ようやく甘えるときは全力で甘えるようになってきた。口酸っぱく甘えろ甘えろと刷り込むようにしてきた賜物だ。
「消太さんもっとくっついて」
「これ以上どうくっつくの……ゼロ距離だろ」
思わず笑うと胸元にある顔が上をむいて見上げてきたのが分かった。
「消太さんが怖いの見るって言うから」
「ごめんごめん」
付き合わせた自覚はある。だから言いなりだ……そうじゃなくてももう少し甘えてくれていいのに。たまにしか帰ってこないこともあるくましろには、どんどん甘やかしたい気持ちが募る。
「消太さん、頭なでて」
「ん……サラサラ」
「今日髪の毛パックしたんです」
ふぅん。顔の横の毛を鼻先に持ってくると確かにいい匂いだ。なんか……揖保乃糸みたいなサラサラ具合。たまにくましろの髪の毛啜れんじゃねえかと思う時がある。頬とか耳とか齧ると甘いし。
「いい匂い」
「齧らないでください、飲み込んだりしたら絶対に人体に悪影響」
「髪の毛くらい消化できるだろ」
「消化できてもやめてください」
んだよ。仕方ないからくましろの指を甘噛みする。されるがままのくましろが指は嫌だと手を動かし始め、何故か俺が頭を撫でられる番に。
「なんで撫でられてるんだ」
「かまちょなのかと……消太さんがおれを齧るとき大体かまちょだから」
「かまちょ?」
謎の略語に疑問を浮かべながら、くましろを抱きしめる。シャンプーやらなんやらで甘くていい匂いがする。呼吸を深くして匂いを吸ってると、くましろが吸うなと言ってくる。いつも俺の加齢臭は嗅ぐくせに。
「やだ。俺の加齢臭も嗅がないならやめる」
「加齢臭なんてしませんってば」
「しないわけないだろ、もう50近いおっさんだぞ」
「したとて何が問題なんですか!!!!」
「うるさ……お前だって汗臭いの嗅がれちゃ嫌だろ。それと同じ」
「消太さんなら汗だっていい匂いですけど」
「そのフェチ思考やめろ……その理論で行くと俺もくましろの汗を嗅いでもいいことになるけど」
「……」
「ここも」
そう言いながらくましろの背中に回していた手をケツの方に動かしてわざとらしく触れば、真っ暗でも赤くなってんのが分かるくらいにはくましろの顔付近が熱を帯び始める。
「……でも消太さん、加齢臭とかしませんもん……」
ちっっっっさ。さっきのバカでけえ主張の時と比べ物にならないくらいには声が小さい。
「まあ……臭くねえならいいけど…気にはしてんの」
「しませんもん」
さらにくっついてきたくましろは俺の胸元に鼻を埋めてきた。擽ったい……まあいい、俺もくましろの頭の匂い嗅げるし。甘くていい匂い。そのまま目を閉じて眠りに落ちる。
夜中、喉が渇いて起きる。乾燥のせいか喉がカサついてる。水が飲みたい……くましろを起こさないようにそっとベッドから離れようと身動ぐ。
「……ん…?」
「起こした?寝てて」
「……やだ、行かないで」
パシ、と手首を掴まれる。寝起きにしては素早くて脳がしっかり起きてるかのような動き。一発で手首を掴むなんて起きて暗い部屋の中夜目が効くような状態じゃないと難しい。
「くましろ?」
「やだ、やだ…」
うわ言のように呟いてるくましろの手を握る。……なんか嫌な夢でも見たんだろう。
「いるよ、ここに。置いていかないから」
「……消、太さん…」
「うん……変な夢見た?」
「ゆめ…?」
「うん、さっきまで寝てたよ」
起きたら忘れたけどなんか嫌だったのは覚えてたのか?初耳です、とでも言いたげな表情を見やる。
「……忘れちゃいました」
「ふ、そうか……水飲みに行くからおいで」
まだぽけっとしてるくましろの手を引く。素直についてきたくましろの頭を撫でてベッドから降りる。確かに魘されたりしてはいなかったし、寝起きも引きずるほどではない程度の夢だったのかもしれない。
床がひんやり冷たい。くましろにはスリッパを履かせてキッチンへ移動する。マグカップに水を入れて渡して自分の分の水も飲む。まだ暗い気持ちを引き摺っているのか、嫌に静かだ。眠いのか?
「くましろ」
「?」
「おいで、寝れそう?」
声を掛ければ素直に抱きついてくる。随分素直になったもんだ。甘えたいのに我慢しようと自分を押さえつけることが多かった学生時代と比べて、どんどん我慢しなくなってる。
「たぶん……寝れると思います」
「ん」
無理やり気絶させて寝かせてもいいが、無意識下のでろでろに溶けきった自分を見られるのがどうにも恥ずかしいようでいまだに俺が怒られる。ただでさえ気絶させるほど無理させてる状況で、汗やらお互いの精液やらにまみれたくましろをそのまま放置しておくわけかないのに。
すんなり眠ったくましろを確認してから寝た。今日は午後マイクとテレビのロケだったはず。朝よりは遅く昼よりは早い時間に起こして支度だけさせる。
「お〜、神代。迎えに来たぞ…‥なんだおねむちゃんか?」
「7時間は寝かせたぞ」
マイクが部屋に上がってまず手洗いしに行く。潔癖なくましろを気遣ってだ……そういや轟や飯田、緑谷なんかもまず会う前は手を洗いに行ってる。
「ん……なんかまだ眠い…」
「移動中は寝てろよ……マイク、悪いな。頼む」
サングラスとマスクだけつけさせてくましろに立つよう告げると両腕が伸びてくる。
「ゼンマイ〜だっこ」
「たく仕方ねえな……動きたくねえ日なのか?お前の旦那が嫉妬するから控えてほしいもんだぜ」
「今更抱きつかれてるくらいで嫉妬なんかするかよ……飯は?食ってくんの?」
「アー…まぁそんな押すことないだろうし、色のとこ集合しようぜ。目安は7時半に終わる」
頷く。腹空かせておこう。
(まぁた俺とスキャンダル!ってすっぱ抜かれるぞ〜)
(アレほど世間に信用されてないスキャンダルなかったな)
(親子写真って言われてたもんなァ……お、コアラになった…じゃー行ってくるわ!)
(毎度悪いなマイク……くましろ、気をつけて行ってこいよ)
(はぁい…)
(お、神代お前少し筋肉ついたか?背中がっしりしてきたな)
(背筋鍛えてる、後ろ姿スラってするように)
(元々スラっとしてるだろ……ほい、車到着。頭ぶつけんなよ〜)
相澤さん、マイクの教育もあり甘やかされて当然、という自己認識になるまで甘えん坊に育ちました!
相澤さんもくましろたその教育によりペットボトル開けてーとか服着せてーとか、髪の毛乾かしてーと自分でできるのにわざわざ甘えてくるようになりました。