MHA2
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3 誰もが羨む
*神代くましろ
「……すんごい顔して何見てるの」
「あ」
スマホ取られた。
「…………マジで何見てるの、寝なさい」
「まだ9時ですけど……いや、世の中ってこんなに人への鬱憤多いんだなあって」
結婚した妻が〇〇してくれない、旦那のここがデリカシーなくて嫌い、この世の男のここが駄目だ、何を言う女だって〇〇だろ……みたいな。最近そういうのがSNSに急に増えた気がする。
「……これ、一個一個の投稿を何秒停止して見たかとかいいねしたとかで類似した他の投稿も表示されるようになるんだよ」
「……アルゴリズムってやつです?」
「そ。………なに、なんか不満あるの?」
「えっ………かわいい……ないですけど…????」
ちら、とちょっと心配そうな顔で見てくる消太さんis SO Cute!!!!!!ボーテ100点!!!!
「お前、俺バカすぎるのも良くないぞ」
「消太さんに欠点なんかないですもん……強いて言うなら俺以外に愛想振りまかないでください」
「真面目に言うけど、くましろ以外に愛想がいいって人生で一度も言われたことねえよ」
「じゃあ愛嬌振りまかないで」
「それもない」
「え〜〜漏れ出ちゃう可愛さってことですか…?罪すぎ」
「そうやってすぐ無実の罪着せないの、愛想がいいとか愛嬌たっぷりってお前のことだからな」
ほっぺ摘まれる。消太さんのほっぺ伸ばしの再ブームが来たようで、最近またよく摘まれる。歴史は繰り返すっていうもんね。
「……そんなことが最近あった!」
「わあ…相変わらずラブラブだね」
出久くんとお昼ご飯をつまむ。今日は雄英に来て実践訓練の監督してほしいとお願いされた日。雄英に来た日は絶対にランチクックのご飯を食べるって決めてるから食堂に。
「何気ない顔してすれ違った人が実はめちゃくちゃ不満を抱えてるって怖くない?」
「まあ確かに……そういう激情に近いものを表現するのははしたないって文化ゆえ、だよね。溜め込んじゃう人多い気がする」
「確かに……奥ゆかしいとか慎ましさが行き着くとこうなるのか」
「くましろくんは割と出してくれるから助かるよ」
「え」
「あれ、気付いてない?なんか納得できないことあったんだな〜ってときとか……阿修羅像みたいな顔してるよ」
阿修羅像…?顔何個もあるけどどれ???メインの人?メインの顔の人無表情に近くなかったっけ…?
「出久くんの洞察力が高すぎるとかじゃないの?」
「ふふ、そういうことにしておこうかな」
な〜んかスッキリしないな……
「あ、緑谷せんせー!これ」
「?……うわ、懐かしい!君たちにもこれ流行ってるの?」
受け取った紙を覗き込むとプロフィール帳だ。たしかに懐かしい、幼いとき女の子たちに書かされた記憶がある。一人ならまだしもいろんなバージョンのをそれぞれの子が持ってるから書くの大変だった記憶も同時に蘇る。
「え、くましろくんもいる!書いて書いて〜!」
「懐かしいからいーよ」
「やったー!大事にするね!ダイナマの隣に置いとく」
「爆豪くんも書いたの!?みたいかも」
「ダイナマのはダメ、くましろくんに見せるなって約束で書いてもらったんだ」
「む、何それ」
「あ、拗ねちゃった」
出久くんの肩に頭を乗っけて、その生徒と反対側に頭を向ける。
「書かない」
「え〜〜書いてよ〜!」
「はは、説得しておくから次の授業に向かって……くましろくんも拗ねないの」
「おれだけ指定して見せないのズルじゃん」
せっかくプリン買ったのに、悶々して食べる気しないから出久くんにあげる。
「みど………何やってんだ」
消太さんの声だ!でも何となくこのままが良くて、振り返りはしない。出久くんが一連の流れを説明してくれた。
「かっこいい爆豪でいたいんだろ、俺も緑谷も読んでねえぞ」
「………じゃあ書きます」
*緑谷出久
くましろくんは素直。実直でもあるし純粋でもあると思う。お母さん……死神と言われてるけど本当のプロヒーロー名は『ミズコ』、本名からそのままだ。彼女がくましろくんに与えた影響は計り知れない。だからなんというか、まっすぐ歪んでいくところを相澤先生に拾ってもらって雄英に入学したことで、まっすぐ矯正されたという風にも感じる。まっすぐでありたいくましろくんの気持ちももちろん作用していると思う。
くましろくんはよくSNSでも『成功したオタク』だとか言われることも多い。まあイチオタクだったくましろくんが、その推しとも言える人と結婚してるんだし世間の評価はそうなるよなぁと頷けるけれど、誰もが羨むこのカップルは丁寧な下積みのような毎日と絶対的な信頼、お互いの制御心や強い倫理観から成されている。昨日今日で出来上がったような関係ではないからこそ、皆が羨んで付け入る隙もないくらいラッブラブなんだろうなぁ……。
相澤先生からペンを受け取ってサラサラと可愛いプロフィール帳に文字を書き込んでいく姿を相澤先生は頬杖ついて見守ってる。く、く〜…慣れたと思ってたけどやっぱり糖度が高いよ!!ここだけキラキラしてるし、なんならなんか甘い匂いしてくる気がするもん。
「なんで隠すんだよ」
「ここ好きな人の欄ですもん」
「隠すような奴なの?」
「ぐう………」
頑張れくましろくん!胸を抑えて心臓発作みたいなポーズをしてるくましろくんに思いっきり笑みを隠さない先生。こういう広告バナーよく見るような……。
「かっこよすぎて辛い、人間でいられない」
「はいはい、さっさと続き書く」
「宿題のテンションでプロフィール帳書いてる人初めて見た……くましろくん大丈夫?なんか小刻みに震えてるけど」
「メロメロになってる」
「くましろくん、字が。字まで震えてるよ、あの子びっくりしちゃうから!!」
急に痙攣している文字は同一人物が書いてると思えないくらい震えてるしなんならもう読めないまである。
『私は『神代くましろ』で、『8』月『7』日生まれの『O』型だよ☆
性格は『マイペースで根暗』でどうぶつに例える『犬!』だと思う!芸能人だと『う〜ん……該当する人ナシ』に似てるかな?好きなタイプは『イレイザーヘッド』で、実は好きな人が『〇いる・いない』んだよ♪その人の名前は(イニシャルでもOK)は『イレイザーヘッド』なんだ♡
マイブームは『パン屋さん巡り』で、宝物は『イレイザーヘッドが使ってた2代目ゴーグル』!将来の夢は『チャート1位のヒーロー!(健康体)』で、10年後は『イレイザーヘッドを養ってる』だろうな〜』
後半相澤先生のことしか書いてないのもくましろくんらしい。
「あれ……くましろくん、一度チャート1位なってたよね?」
「……あれ不名誉だからカウントしてない」
あら、またムスッとしてしまった。鳥みたいな尖った唇を思い切り相澤先生に摘まれてる。たしか……図らずもミズコと現場が被った日だ。もう相澤先生と結婚したあとだから、関係構築は進んでいたおかげでにこやか……違うな、少し和やかな空気の親子の現場に注目度があがり、結果くましろくんが一時的にチャート1位、ミズコ……もとい『死神』も異例のトップ10入りした。
「理由はどうあれ、お前ちゃんと現場立ち回ってただろ。実績はちゃんと受け入れろ……やっと大人になってきたんだから」
「………でも〜……」
「うん、確かに……轟くん家でも同じようになってたと思うな、僕」
「出久くんまでそー言うの…?」
「関心が高まったのはお母さんと一緒の空間にいるのが初めてだったからにしろ、チャート1位になるまでの評価は君の実績によるものだろ?関心度だけでランクが決まるなら彼女が2位になってないと」
「………むぅ…」
「緑谷、くましろのあしらい方ほんと上手くなったな」
「あし……僕個人の感想というか、考えですよ!先生もそうでしょう?」
「まあな……ほら机で伸びない、そろそろ職員室戻るぞ。セメントス先生が最中あるって」
「最中………」
「あのお前が美味いって俺とマイクの半分ずつ食いちぎってったやつ」
言い方に思わず笑ってしまう。確かにものすごく美味しかった。きっとお高いんだろうな……。
「じゃあ帰ります」
「はいどうも……今日何食ったの?」
「そぼろ丼です!メチャウマでした」
「あー……いいな」
「今日大葉の混ぜご飯にしようと思うんですがどうです?」
「腹が減る」
「ぐう……」
「先生、くましろくんをキュン死に攻撃するのやめてくださいってば」
「してねえだろどう見ても、たまには俺の肩を持てよ」
相澤先生にはプレゼント・マイクがいるでしょう、と返す。相澤先生が好きすぎて暴走しがちなくましろくんをよく窘めて、ちょっとした口喧嘩をしようものなら間に入りつつ相澤先生の肩をうまく持ってる。あの人の仲裁力は凄い分、怒らせたら誰も手がつけられなくなってしまうのだけれど…。
「ただいま戻りましたー!」
「おお、くましろくん!セメントス先生の最中の噂を聞きつけたのかい?」
「根津さん!先週ぶりですね……そうです、消太さんから聞いてきました」
くましろくんは僕が頼めば体調不良以外で断ったことがないから相当な頻度で雄英に顔を出してくれる。そのせいであまりそんな感じの雰囲気はしないが、一応外部の人という扱いになるので報告書を少し記入したら今日の講義のお願い事はお終い。だけどいつも僕が取り持つクラスの次の授業の案や、個人個人の適正とどう伸ばすかを考えてくれる。
だからくましろくんが来るとおやつタイムが恒例になってる。僕とずーっとあーでもないこーでもないってうんうん考え続けてどっちもストッパーにならないからだ。悪い癖だけど考え込んでしまうところは僕もくましろくんもよく似てるから捗る。
(お〜い、緑谷、神代〜…アリャだめだ、寝落ちてる)
(ぶっ通しで4時間もよくお互い付き合うな……二人とも、寝るなら仮眠室行け)
(ん………はっ!!!!す、すみません…!!!)
(いい、いい…個人個人の補習内容でも考えてたのかァ?随分盛り上がってたんだな)
(あはは……今日の実践訓練で見てて僕が思いついたことと、相手をしてくれたくましろくんが思いついたことのすり合わせしてて…)
(ふ、そうか…残業しすぎるなよ、根津さんが警察にしょっぴかれるからな……くましろ、くましろ…起きろ)
(んん〜〜………)
(寝癖ついてんぞ…、おい、座りながら寝るな)
(ねてません…)
(めちゃくちゃ瞼が閉じてるが……よいしょ)
(ん…?)
(寝袋出してやるからそこで寝ろ)
(はぁい……)