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100 研修
※結婚前
*相澤消太
くましろがプロヒーローデビューしてまだ半月。なかなか帰ってこないし連絡もつかない。心配になってGPSと目撃情報を頼りに来てみれば……公園のベンチで寝てる。
『待って、ヒーロー neutral 公園のベンチで寝てる?』
『気持ちはわかるが盗撮はやめたれよ』
『寝てる方も悪い』
『正気か?プロヒデビューしたてでクタクタなんだろ、これだから守ってもらえて当然の市民様は……』
SNSは大荒れで論争が巻き起こってる。まあ仕方ない、デビューする前から人気のくましろがそこらで寝てたらそりゃ盗撮される。その姿を見てヒーローのくせに寝るなんて、という意見も出るだろうし寝ずに仕事しろってか?と擁護する声も出る。
「……くましろ」
「……、ぁれ……相澤さん…?……っあ!!!寝ちゃった!!」
「だろうな……説教は帰ってから。帰るよ」
「すみません………ちょっと足痛くて休もうと思ったら…」
「うん、理由があるのは分かってる。反省は家に帰ってから」
少しびっこを引くくましろの様子を見るに、治癒しようとして座って休んでたら疲れて眠ってしまっていたんだろう。どうしてそう警戒心がないんだ、とも思うしただ怪我をして無理をせず動けるようになるまでどうにかしようとしていたくましろの気持ちも理解できる。
このまま家に直行するとSNSの盗撮で見物人も多く個人情報流出の恐れもあるため雄英に戻る。
「お〜相澤!神代もお帰り」
「ゼンマイ……残業?」
「いやお前が心配だから残ってた……これから?」
「あぁ、これから…はい座る」
くましろを椅子に座らせ、捻挫だというので湿布とテーピング、包帯を渡して向かい合わせに座る。
「まず……お前はもっと警戒心を抱きなさい」
「はい……」
「あんなに見物人がいるところに敵が仕掛けてきたら被害は甚大だ。くましろが悪くねえのにお前目当てで集まってたなんてマスコミに漏れりゃ、お前のせいって詰められンぞ」
「すみません……」
「デビューしたてでくったくただから寝ちまうのは仕方ないが……慣れるまでは誰かとなるべく一緒にいろ」
分かったな、と目を合わせると頷きが返ってくる。
「凄かったぜ〜、慌てて落ち着かねェ相澤。あっちこっちウロウロして……」
「うるせえ」
余計なことを口走るマイクに肘打ちして黙らせる。SNSが荒れてるから鎮火させろと告げる。
「ん〜……なんて書けば……」
「お前の気持ちを書けばいい、それでも重箱の隅をつつくやつはいるから、そしたらスルー」
「嫌な時代になったモンだなぁ、神代が不祥事起こした訳じゃねえのになあ……実際に敵は捕まえて引き渡したんだろ?その後のことなんて実質オフなんだからとやかく言うなっつー話よ」
「まあ……警官がコンビニで昼飯やら飲み物買うだけで色々言うやつがいるんだ、何かしらの声が上がるのは今に始まったことじゃねえだろう」
うーん、うーんと頭を捻ってくましろが出した声明は、
『お騒がせして申し訳ありません。敵集団との攻防時に足を負傷して警察に引き渡した後、ひと休みしようとしていて寝てしまいました。
写真は紛れもなくオレですが、集まっていた皆さんに怪我がなくて何よりです。今後は気絶、出血など看過できない状況ではない場合は詳細な場所を明記するのは控えてほしいです。人が集まることによって、そこを狙う敵がいるのも事実です。起きていたとしてもハンデがある状態で皆さんを怪我なく誘導できるかと問われると、まだ未熟な為自信がありません。
今後はこういうことがないように気をつけます、それでも寝ていたら叩き起こしてください』
「ふ、神代らしいな〜。いいねしとこ」
「はや……親衛隊って言われてるらしいよ、ゼンマイ」
「よし、SNSはもういい。見るな…腹は?」
「減りましたぁ……ぺこぺこ」
ぐで、と机に突っ伏すくましろを起こしてコンビニで買っておいたカップスープとランチクックが握ってくれたおにぎりを用意する。
「お、おにぎり…!」
「ちなみに炊きたてだ、お前を迎えに行く前に炊いてもらったからな」
そう告げると廊下で手を洗ってきたくましろがおにぎりを頬張る。俺とマイクもついでに貰ってきたので夜飯代わりに食う。
「ありゃ〜?……ふふ、こんな時間に夜ご飯かい?」
根津さんだ。そういや残ること言い忘れてた。
「根津さん!お久しぶりです」
「くましろくん久しぶり〜、お疲れ様。相澤先生たちも残業しすぎないで早く帰りなさいね」
「すみません、申告漏れてました」
「申告も何も、月の残業時間守ってよね!僕が国から訴えられちゃうんだから」
「すみません……」
根津さんに見守られながらくましろがご飯をもりもりと平らげていく。唐揚げ棒やら野菜スティックやら買っておいたが、珍しく食べ尽くしている。
「珍しいな、そんな腹減ってた?」
「お昼食べ損ねてたから……」
「お前……ぶっ倒れるぞ」
「そーそー、これ以上相澤くんの心労増やさないであげてよ。水持ってこようか?」
あります、と袋から出す。ゆっくり食えとくましろの頭を撫でる。食いっぷりは見ていて気持ちがいいが、いきなりこの量を胃に入れたらびっくりしちまう。
「おにぎり美味しいです、オレの好きな酸っぱい梅」
「ストックしてるんだと」
「相澤さんが買ってくれたスープも美味しいです」
「レトルトのスープまで褒めんの!?あっひゃっひゃ、ブレねえなあ神代〜!」
腹抱えて笑い出すマイクにうるさいと注意する。くましろは俺に関することならなんだって褒め出す。作り手が俺じゃなくても買ってきてくれた、選んでくれたことが嬉しいらしい。
*神代くましろ
「ごちそうさまでした!…根津さんも帰るんですか?」
「うん、点検がてら学校見回ってたからね。職員室の鍵を閉めて終わりだよ」
そうなんだ、引き止めて悪いことしちゃったな。すぐに片付けて職員室から出る。パーカーに着替えてフードをかぶって雄英の外に出る。
「足平気か?」
「靴のおかげで固定されてる感じします、今日明日通報とかなければ平気かなって感じ…?」
「捻挫なんて珍しいな」
「割と高いところから着地してしびびび〜ってなりました」
「未来少年コナンじゃねえんだからよ」
「相澤さん………それオレ見てるから知ってるけど、同級生には通じませんよ」
そういうとえっ……て顔で固まる相澤さん可愛すぎて笑っちゃう。ジェネギャにショック受けてるの可愛い。
「明日オフにして整体にでも行ってこい」
はぁい、と返事する。……声明出したはいいけど、収集ついたのかな。気になる……。
「今日は見るな」
「ゔ……」
「根っからのネガティブなお前が夜になんぞSNS見るな」
「はあい……」
「なんだ、気にしてんのか?」
「そりゃ……」
「別に大したミスでも何でもないだろ、ちょっと警戒心なさすぎってだけで……お前はフォロワーも多いし知名度も高い。純粋なフォロワーばかりじだけじゃないのは肝に銘じておけ」
「うぅ……顔怖いです」
「怖くしてんだ、馬鹿弟子のために」
ば、馬鹿弟子……!しょんぼり。でもわざわざ相澤さんが迎えに来てくれて嬉しかった気持ちはある。
「ん…?」
轟くんから着信だ。迷わず出ると息を切らした轟くんの声が聞こえる。
「もしもし、轟くん?」
『!…くましろ、家帰ったか?その、パトロールがてらお前が盗られてた公園来たんだが居なくて…』
「ええ、わざわざ…?ごめんね、相澤さんが迎えに来てくれたから今帰ってるよ」
「爆豪?」
「轟くんです」
そう返すと代わって、と言われるので代わる。
「はい相澤。…お前も少しは落ち着きなさい、雄英で説教したあと声明出した、それは読んだ?……全くどうしてそうせっかちなところ似てるんだお前らは……轟も連勤続いてるだろ、今日は帰って体休めなさい。いきなり働きすぎ」
や、優しい。相澤さん、というより相澤先生になってる声色で一通り話したあとスマホが返ってくる。
「もしもし?」
『怒られちまった』
「違うよ、心配してるんだよ……おれも足捻挫しちゃったし明日は整体行くんだ。轟くんもどお?肩こり一発で治るよ」
『一緒に行く。明日飯田もオフらしいから飯食おう』
「え、飯田くんも!??!どこのお店行く?」
「家で決めなさい、家で……ここじゃ筒抜けだろうが」
「いで……おれも怒られた」
『今のはどうしたって心配だろ……そうだな、会話漏れて突撃されても嫌だからLINEで話すか明日決めよう。飯田には俺が声かけとく……おやすみ』
「おやすみ〜、まっすぐお家帰ってね!野良猫にごはんあげない!」
なんでバレてるんだ…って呟いてたけど、お茶子ちゃんからタレコミ入ってます。猫缶を大量に持った轟くんが野良猫まみれになってたとか……。地域猫みたいらしくて、猫飼いたい……けど仕事柄無理だ…ってことで、ご飯代や病院代の寄付をしたり、団体から引き受けてご飯あげたりしてるらしい。
「ただいま〜」
「はいおかえり」
「ん、しょ……がっ!!!」
靴を脱いだ反動で相澤さんの背中に思い切りおでこをぶつけた。痛い。地味に痛い。
「そそっかしいなホント……」
腰をさすさすしてる相澤さんに申し訳なくて右手を添えてさすさすしてたらジジイ扱いすんなってキレられた、扱い難しすぎない???
「くましろ」
「?」
「スマホに盗聴器入れられたこともあるんだから、外でべらべらとオフの予定話すのやめろ、分かった?」
「う……はい…」
「怒ってるんじゃないから……嫌だろ、せっかく轟と飯田とご飯食べに行こうとしてよく分かんないフォロワーたちが待ち構えてたら」
「……やです」
「少しずつまた気をつけていきなさい、在学時と同じように。あの時できてたんだからまたできるだろ」
頷くと犬みたいに撫でられた。髪の毛ぐしゃぐしゃだ……そういえば髪の毛も伸びたな…切りに行きたい。
*轟焦凍
「髪?」
肩が随分軽くなった。くましろが在学中から通ってるという整体に二人で行ってみれば、予約もないのに受け付けてくれて体が楽になった。俺もここ通おう。ポイントカードに名前を書いてると、くましろが髪の毛切りに行きたい、と零す。
「伸びたでしょ」
「……まあ、いつもに比べれば伸びてる方だな。気になるのか?」
「1回伸びたな、って自覚したらなんかもさもさしない?」
「ちょっと分かる………俺も切ろうかな。飯田との約束まで3時間くらいある」
「この辺ですっと入れる美容室あるかな」
「ここみたいに二人もいけるか?」
マップを開いて検索して、片っ端から入っていってみる。口コミ低いところは嫌だ!とくましろが検索結果から消してくれたのでとりあえず任せる。
「お二人……ですか?少々お待ちくださいね」
「時間まで2時間きったら今日は諦めよ」
「そうだな……腹減ってきた」
「早くない???……あ、ラムネあるけど」
くれ、と手をお皿にすればひと粒くれるのかと思っていた想定の5倍の5粒が手のひらに落ちてきた。大盤振る舞いすぎるだろ。
「お二人、大丈夫です!お席隣にしますね」
「やったー!ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
「轟くんどんなんにするの?」
「?短くする」
「え………なんか理想の髪型とかないの?」
「ねえ」
「………はあ床屋にすればよかった!」
「?なんでだ、くましろはこだわりあるんだろ」
「あるけどさっ!!!」
何故かプリプリ小型犬みたいに怒り出したくましろに首を傾げていると、美容師に真っ直ぐにしてくださいね〜と頭を戻された。
「こんにちは、はじめまして。今日はどういう風にしたいとかありますか?」
隣からそう聞こえる。俺はこのままとにかく短くしてくれと頼んだのでもうハサミで切られ始めてる。
「あの……アラサーの超かっこいい人がついつい撫でたくなっちゃう感じで」
「………っ」
「何笑ってんの!!!」
「笑うだろ……っ!くましろいつもそうやって頼んでるのか?」
「も〜二度と轟くんと美容室来ない!!」
悪かったと言ってももうこっちを見てくれなくなってしまったくましろには悪いが、ずっとツボに入っておかしかった。アラサーの超かっこいい人……くましろがそう言うのはもう1人しかいない。先生がつい撫でたくなっちゃう髪型ってなんだ…?そんなんあるのか…?
「ふふ、恋話?そのアラサーの超かっこいい人にはいつもなんて言われることが多いの?髪の毛サラサラだね〜とか…?」
「………トリートメントしないと『せっかく買ったのに…』ってしょんぼりされます」
「いや〜!やばいキュンキュンしてきた…他はあります?」
「………か、かわいい……とか…」
声が小さいくましろを横目で確認すると、耳まで真っ赤になってる。俺らがプロヒーローだというのは名前を告げた時点で確認済みみたいで、わざわざ奥まった人目が届きにくいところの座席をわざわざ案内してくれた美容師さんたちには、くましろが誰のことを想定してるのかバレバレなんだろう。
「ごめんなさい、アレだったら無視でいいんですけど……私neutralのフォロワーで……イレイザーのことですよね??」
俺の髪を切っていた美容師のお姉さんがそう尋ねてくる。
「紛れもなくそうだと思います」
「え〜〜〜!可愛い………!!!ごめんなさい、戻ります」
切り替えが恐ろしく早い。こんな感じがいいとスマホを見せていたくましろもようやくカットが始まる。麗日よりは短いけど耳郎よりは長いくらいの髪の長さから、髪型耳にかからないくらいばっさり切ったくましろ。
「おお、可愛いな」
「……ふん」
「なんで怒る、揶揄ってねえぞ」
「めちゃくちゃ笑ってたじゃん」
「そういう風に頼むもんなのかと思ったんだ……撫でてもらえるといいな、顔がよく見える」
「「(この二人が付き合ってる、訳ではないんだよね…??)」」
中性さに拍車がかかったくましろはまた格好次第では女に間違われるくらいかわいい、と思う。
美容室のお姉さんたちと飯田にもめちゃくちゃ褒められてちょっと自信がついたのか、帰りはニコニコしていた。結果教えてくれと告げて家に帰る。
(ただいま帰りました〜!)
(お、おかえ……随分さっぱりしてきたな)
(ふふ、切っちゃいました)
(うん、可愛いな……撫で甲斐のある丸い頭がよく分かる)
(…独特な褒め?方しますね、相澤さん)
(そうか?)
(丸い頭で撫でたくなるって初めて聞きましたよ)
(お前顔ちっちゃいからな、手にすっぽり収まるから撫で心地いい)
(ふふん)
(おら)
(髪抜ける!!!ハゲる!!!!!)
プロヒーロー同士、ということで相澤先生はA組に個人LINE公開してると思うんですよね。
なので、昼間の美容室での発言は轟くんによってすべて相澤さんへ通達済みです。
今頃何食ってるかな〜はしゃいでるんだろうな〜って家で過ごす相澤さん、『アラサーの超かっこいい人がつい撫でたくなるそうです』とだけ突然轟くんから送られてきて『?????』と宇宙猫だったけど、褒められて機嫌よく帰ってきたくましろたそ見て全てが繋がってこれでもかと撫で回してくれると思います。
彼は……そういう………男……
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