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99 寂しいよ
*相澤消太
くましろが居ない部屋に帰る。そもそもせっかく2ヶ月半ぶりに連勤明けから帰ってきてやっと…やっとイチャイチャしてたのに急な出勤要請、そっから地方への出張があれよあれよと決まってしまい4日間の出張が決まった。
くましろが作っていってくれた作りおきのおかずをいくつか皿に移し替えて温めて食う。残りももう少ない……予定では明日の夜に帰ってくる、はず。
一人の部屋はこんなに広かっただろうか……向かいに騒がしく一日何があったか話してくるくましろが居ないだけで嫌に静かに感じる。
テレビをつけると、おそらく3ヶ月くらい前に受けてきた仕事の収録が放映されている……トークバラエティでくましろが新人デビューの頃からお世話になっているお笑い芸人がMCだ。裏でしっかり挨拶してくれたし、セクハラまがいなこともない、誰かの噂話をしている様子もないことからくましろが信頼している数少ない芸能人のひとり。
『夕方のニュースで見ない日ないよね、最近休めてる?』
『帰れてないんです〜…家帰りたい』
『そうなの!?じゃあお家でイレイザーもひとりで寂しいね』
『そんな…ペットみたいに…』
そうくましろが言うとMCは吹き出す。くましろはちょっとズレてるから思わぬ回答が返ってくることが多々あって面白いんだろう。
まだ先日見かけた時よりも髪の毛が短い。……声や姿を見ると余計に会いたくなるからテレビを消す。あー参ったな、くましろが家を空けるなんて今まで何回もあったのに……。ダイニングテーブルに突っ伏していると鍵がガチャガチャ回る音がする。
「ただいま〜!あれ、暗い……?」
バタバタと走ってくるくましろの声に顔を上げる……あれ、日付の感覚がおかしくなったか?
「なんでこんな部屋暗いんですか??よいしょ……あ〜疲れた!消太さんぎゅってしてください」
「おかえり……今日だったか?」
大型犬のように飛び込んできたくましろを抱きとめる。勢いを考えろっつってんのに……。
「予定は明日です!でも思ったより早く片づいたんで、切り上げて帰ってきちゃいました……あ、ご飯食べてたんですね」
そうか、早めに帰ってきたのか。
「くましろ、顔見せて」
「?」
「……」
顔を鷲掴んでガン見しているとくましろははじめ不思議そうにしていたが、照れくさいのか視線がうろうろと彷徨い始める。
「珍しい、寂しかったですか?」
「……うん、寂しかった」
「ぐっ……」
心臓のあたりを抑えて床に倒れるくましろについ笑う。本当に苦しそうだから毎度毎度笑ってしまう。
「溶けるなよ」
「だって可愛いこと言うから……へへ、嬉し〜…」
床に溶けたくましろを抱き上げて膝の上に乗せるとグリグリ頭を押し付けて来る。すっかり仕草が猫と犬になった。
*神代くましろ
2ヶ月半家を空けて、ようやく帰れたと思ったら指名で出張が入ってしまった。芦戸さんとのチームアップ出張で楽しかった、帰ったらいつもよりテンションの低い消太さんがぼんやりと突っ伏していてなんか様子が変だな……と思ったけど、寂しかったらしい。
可愛すぎない????
膝の上に抱き寄せられるからぎゅ〜っと抱きしめてると消太さんが静かに泣き始めてギョッとする。
「え、し、消太さん??そんな?そんな寂しかったですか??!え、ごめんなさい、泣きやんで」
「泣いてねえ」
無理があるぞその涙の量で……!!!ダバーって感じに静かに泣いてるからとりあえずハンカチで擦らないように涙を拭いて、消太さんの頭ごとぎゅっと抱きしめると消太さんが珍しく頭をスリスリしてきた。オレの方が動悸で倒れそう。
「しばらく休みます」
「うん」
「雄英ついてっていいですか?」
「うん……」
こんなにしおらしい消太さん珍しい。良心が痛むし罪悪感がすごい。消太さんを泣かせるまで追い込んでいたなんて分からなかった。
「お前は働きすぎなんだ」
「ごめんなさい」
「いつも俺を一人にして」
「えぇ……ごめんなさい、夏と冬休業します」
「それは休みすぎだろ」
だってあんまりに可愛くてあんまりに嬉しいんだもの。わがまま、ってなるのかな……消太さんのわがままは珍しい。
「消太さん、泣きやんで……ごめんなさい、甘えてましたね」
「……いいよ」
「よくありませんが!!???!!?」
「急にうるせえなお前……お前が人気で忙しくしてんのは俺も分かってるよ」
「違います、忙しいの理解不理解とかじゃなくてえぇと……なんていうか、こう……あー分かんない!!!」
「ふは、分かんないのか」
言葉がうまく出てこない。忙しいから仕方ないよね、は本当に仕方ないにしてもこう……免罪符にしちゃいけないというか。
「お家、帰ってこれない日は絶対電話します…5分でも、1時間でも。オレいままで3日おきとかだったから……寝る前に必ず!生存確認も含めて」
「……無理すんなよ」
「させてください!!!!やだ!!!オレだって帰れない日消太さんのフェロモン浴びたい時あるんです!!」
「フェロモンてお前」
「じゃあ癒やしの波動」
「全然違うだろ」
「だから消太さんが雄英に泊まり込みとかになっても、オレに連絡ください」
「…分かったよ、くましろ」
「はい?」
「今度は早く帰ろうって根詰めるなよ、そういう時に怪我したりすんだから」
覚えがありすぎて否定できない。まだ根に持ってるの、この人……。怖いから素直に頷くと頭を撫でられる。
「ふふ、消太さんかわい。好き」
「大好きじゃねえのか」
「……なんなんですか???オレ心臓とまっちゃう」
「止まんねえよこんくらいで」
「止まるんです、オレの心臓に聞いてみてください」
そう告げれば消太さんが胸元に耳をぴったり寄せてくる。
「元気に走り回ってるが」
「無理させてるんです」
元気じゃないもん。消太さん可愛すぎて本当に止まりそうだもん。こんなにじっとしてるのに背中じんわり汗かいてきたもん。
「そうか……くましろ、ちゅーしたい」
「ぐぅ……」
「どっから声出てんだ、ほらこっち向け」
は、恥ずかしすぎる………目を瞑ってじっとしていれば吸い付くような摘むような軽いキスが顔中に降ってくる。
「目、あけて」
「う……はい」
甘えん坊だけど押しの強い消太さんはいつもよりキスが長いししつこい。首の後ろに手を回されて動けなくされたからこの人の気が済むまでキスを浴びる。お風呂入ってないし臭くないかな…。
「今日は一緒に風呂はいる」
「ふふ、はい」
「そんで抱く」
「……明日アナタ仕事ですよね?」
「あぁ」
何をそんな当然ですけど?みたいな顔して……。
「……加減してください」
「善処する」
*相澤消太
手加減できるが、全く手加減せずに抱いた。くましろはフラフラで雄英についてきた。過労と間違われて気まずそうにしてるのが可愛い。
「くましろ、次緑谷と講義してやってくれ」
「……めちゃくちゃこき使う……っ!」
「いいだろ、しばらくオフなんだから」
そういう問題じゃない!と返ってくる。ぽんぽんと頭を撫でると猫みたいに擦り寄って来るくましろが好きなだけ頭を撫でて機嫌を取る。
「出久くん、人使いが荒いよね」
「ふふ、相澤先生がそうするのってくましろ君だけだろ」
「む……」
特別だよ特別、と続けるとすっかりくましろは機嫌を良くしてニコニコしだす。本当に単純で扱いやすくて助かる。そうすると心操もたまたま雄英の近くにいるから寄ってきたようで、くましろはまたテンション上がってる。
「心操くん!」
「お、おぉ……相変わらずタックルしてくるのな。お久しぶりです、先生」
「あぁ、この大型犬を頼む。俺は根津さんに呼ばれてるから……悪さすんなよ」
「犬じゃありません!」
「相澤先生の犬だろ…ふは、暴れんなよ」
楽しそうに談笑を始めた3人を背にして根津さんのとこに向かう。なんやかんやくましろは仲のいいやつが多いし誰からも可愛がってもらえるから、ケラケラとよく笑うおかげで居るだけで場が明るくなる。
*神代くましろ
久々に来た心操くんに消太さんとの結婚式を揶揄われる。あの会見は未だに会う人会う人に揶揄われる。
「顔真っ赤だったな……どう?ラブラブ?」
「うるさいなぁ、もう!」
「ラッブラブだよねえ、くましろ君の連勤止めちゃうんだから」
「出久くん、まだ言う?もう体壊さないようにするって…」
出久くんはオレが体を壊して動けなくなるたびに怖いくらいの長文LINEで怒ってくる。合ってもくどくどと説教してくる、正直消太さんに並ぶ怖さで消太さんが怒る時はたまにゼンマイが仲裁してくれるときもあるけど……出久くんのときは圧が凄すぎて絶対に傍観してる。
「まあそれは俺からも気をつけろって言いたいけどね、何回倒れてんの?あんま先生不眠にさせんなよ」
「気をつけてます」
「気をつける前に倒れるな、ちゃんともっと休めよ」
うう、お説教する人また増えた……。ゼンマイに目配せしても首を横に振られた、助ける気はないらしい。
「休むもん、今日からしばらく」
「へえ、珍しい……夏じゃないのに?」
出久くんがそう言いながらじっとりした視線を寄こしてくる。
「しょ、消太さんが……寂しいって言うから」
「うわ、惚気られた」
「ふふ、ほんとに押しに弱いねくましろ君てば……嬉しかったんだ?」
「はじめて言われたから……でもちょっと罪悪感もある、我慢させてたのかなとか」
手を弄りながらそう話せば心操くんが自販機で買ったリンゴジュースをくれた。
「先生なんだからヒーロー業がいかに大変かなんて分かってるだろ、それに……お前も。お母さんの件もあるし」
「まあくましろ君の家はまたちょっと特殊だよね……」
3人でクラスに向かって歩いてるとやっぱり囲まれる。今日は遊びに来たんじゃないから!と断りを入れてクラスに向かっていく。講義をしっかり終らせて、職員室に帰って来たら消太さんももう席に戻ってた。
「くましろ、ヴッ……なんだよ魚雷みたいに突っ込んできて……」
「椅子にちょこんって座ってるの可愛すぎて……」
捕縛武器に顔を埋めて匂いを嗅いでると嗅ぐなと怒られる。最近やたらと匂い警察化してる気がする、なんかいつも怒られる。もう40だから加齢臭が気になるらしい。加齢臭なんかしないのに!!!いっつもいい匂いなのに。
*相澤消太
「ふは、先生ほんと分かりやすいですね」
「?何がだ」
心操から差し入れとしてもらった桃のジュースを飲みながら答えるとくつくつ笑う心操と目が合う。
「くましろのことになると顔が綻んでる……オフにさせたんですよね?寂しいから」
アイツ………家帰ったら泣くまで抱いて今度こそ立てなくしてやる。
「いい大人を揶揄うんじゃない」
「揶揄ってませんよ、ほんとにバカップルなんだ〜って実感してただけで」
揶揄ってるだろうが、ソレ……。来客用のソファに横になり丸くなり始めたくましろに声をかけるために立ち上がる。アイツここで寝るつもりか。
「俺も働き詰めすぎって思ってたんで、もっと後ろ髪引っ張って休ませてください」
「心操がオフ作って一緒に遊びたいっつえば喜んで休むぞ、くましろは。たまには誘ってやってくれ、たまに拗ねてるから」
「え?……拗ねてるんですか?」
「緑谷もそうだし爆豪やら上鳴やら……あんだけ喧嘩してた物間でさえ誘われないのが続くと面倒くせえ彼女みたいなLINE送ってるよ、お前も何回か送られてるだろ」
そりゃもうすごいジメジメした連絡だ。本当に投げ出さずに相手してるアイツらは偉いと思う。物間なんかは彼女に誤解されたっつって修羅場になったらしい。
「オレはいいですけど……先生妬いたりしないんですか?」
「妬かないといえば嘘にはなるが…制限しようとは思わない、胡座をかくつもりはないが120%の愛を毎日投げつけられてるみたいなもんだからな……」
「120……はは、確かに。じゃあしばらくオフ続くらしいから、近々誘いますね。」
物わかりのいい弟子だ。頭を撫でてると寝ぼけたくましろが自分も、と頭を差し出してくる。可愛い、目が半分も開いてない。
「仮眠室で寝てこい」
「嫌です、ここがいい」
おお、珍しくイヤイヤ期だ。俺の席から寝袋を剥ぎ取り、ソファの上に敷き始めた。
「こら、ここ来客用のソファだから」
「……じゃあ消太さんとゼンマイの机の下で寝る」
「…マイク、蹴るなよ」
「蹴らねーけど……ヘイヘイ、心操もクマできてるし二人で少し仮眠してきたらどうだ?」
「お前も寝てねえのか?」
「ここ1週間くらいだけです、くましろほどでは」
「3徹でも俺はくましろに注意してる範囲だぞ……くましろ、心操と仮眠してこい。起こしに行くから」
首を横に振ってはいたが、寝袋に入ってて拒否する腕が伸びてこないので横抱きにして仮眠室の鍵を開ける。定期的にくましろによって洗濯されてる布団があるのでそれを出して並べる。
「消太さん、捕縛器ください……」
「?なんで?」
「匂いかぐ」
「首締まるかもしれないからだめ……あ〜……ハンカチならあるから、はい」
かなり不服そうだが紐状のものを寝てるやつに渡したくはない。万が一ということもある。くましろは最近やたらと俺の匂いを嗅ぐ。安心するようで疲れすぎている日は深呼吸を繰り返してそのまま倒れるように寝落ちることもある。
心操とくましろの頭をぐしゃぐしゃと撫でながら見守っていれば2人して10分もかからずに寝落ち。子供みたいな入眠の速さだが、徹夜してる心操と2ヶ月出ずっぱりですぐ出張帰りなのに今朝方まで抱き潰しちまったくましろだ、疲労は溜まってるだろう。
「早ッ、もう寝たのか?10分も経ってねえぞ」
職員室に戻ればマイクが驚いていたのですぐに寝落ちたと伝える。
「緑谷、あんま怒ってやるなよ。毎回お前に詰められたあとしょげてるから」
「そんな……僕だって怒りたくないですよ、でもくましろくんのペース配分で働いてたら早死にしちゃいそうで」
「まあそりゃ最もだが……少し労働環境を改善してくれるみてえだからな」
(ほら、寝坊助ども起きろ。3時間経ったぞ)
(んん……?)
(心操も起きろ、昼夜逆転するぞ)
(………はぃ……)
(くましろも)
(うぅ……)
(やわこいな、お前)
(むいむいしないれくだはい……)
(やだ)
(おはよぉございます……今何時ですか)
(4時半くらい、心操もお家で寝なさい…飯は食えよ)
(はい……ふふ、くましろで遊んでるんです?)
(あぁ、やわこい。こいつ25になっても髭の1本も生えねえんだよ…つるつる)
(脱毛とかしてないんですか?テレビ出る奴ってするイメージ)
(高校のときからしてない、脛もつるつる)
(へ〜……女子が聞いたらキレそう)
(芦戸やらがキレてたことあるよ、A組で)