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98 何年越しのサプライズ
*神代くましろ
発覚したのは大掃除をしていた時。ちょっと暇だし、オレの部屋としてあてがってもらっている部屋の掃除をしようとオフの日に決行した。着なくなった洋服の整理、雄英のテキスト教材の整理。
そして特に大事な消太さん関連のファイリング。雄英の合格通知、初めて消太さんが採点してくれた小テスト、通知表……とりあえず消太さんからもらったものすべてがここにファイリングされてる。
大掃除とか引っ越しするときにアルバムとか懐かしい漫画読んで時間つぶしちゃうあの現象、今なら分かる。1年生から3年生まであるすべての小テストのコメントとか懐かしくてペラペラ捲って読んじゃうもんだよね。
「?」
懐かしい、と捲っていくと知らない封筒。開けた形跡はない。え……何このトラップ満載の封筒……コワ。好奇心に負けて触ってしまったからもういいか、とファイルを置き直して両手で持つ。上下に振ると中で紙が擦れる音がしたので、手紙が入ってることは確実。差出人名書いてないけど……これ自分で挟んだんだっけ…??全く覚えがないや。
「開けてみよ」
ペーパーカッターを使ってキレイに開ける。……よし、中の用紙は切れてない。
『くましろへ』
消太さんの、文字。……え、待って、いつの間に手紙書いたの??!いつ…?ていうかこういうのって病気でなくなる前とかに残すやつじゃないの??!読むの違う意味でドキドキする。
『まずは、卒業おめでとう。きっとこんくらいは面前で伝えているとは思うが、素直に気持ちを伝えるとなると照れるもんでな。
お前がせっせとファイリングしてる俺用のここに紛れさせてもらうよ。
まず、本当に卒業おめでとう。そして18年間よく五体満足で生き抜いてくれた。俺が言うと説得力あるだろ
お前をあの夜見かけて声をかけて家に来いと誘って、雄英を受けさせようと決意して良かったと思うよ。泣き虫なお前は赤ん坊みたいに泣くことが本当に多かったが、一度も辞めたいとは言わなかったな。
くましろをヒーロー 「Neutral」として世に送り出せて光栄だ、教師冥利に尽きる。技術面では厳しく接したつもりだ、胸張ってヒーローとして活躍してこい。ただし無茶はするなよ、お前は限界来ても溜め込むから。
俺とマイク、根津さんも他の先生方もいつでもお前の味方だ。何かあったときは気軽に帰ってこい。
お前の師匠より』
*相澤消太
今日は大掃除します!と元気に部屋に篭ったくましろが号泣しながら出て来たので流石に2度見する。
「どうした」
「ヴッ消太さん大好き……」
なんなんだ急に……??べしょべしょのまま抱きつかれたのでとりあえず背中を擦る。
「お手紙読みました……誰の入れ知恵ですか」
「喜ぶのか怒るのかどっちかにしろ……マイク」
「ぐぅ………ほんとにも〜〜!!!」
ぎゅうぎゅうと抱きついてくるくましろが可愛いので頭も撫でる。どうやら、卒業のときに仕込んだ手紙をようやく開封したようだ。若干何書いたか詳細までは覚えてないが、とにかくこんなにぼろ泣きしてるってことは……まあ結果良しだろう。
「好きが溢れる……」
「そりゃどうも。まさか結婚後に見つけるとは思ってなかった」
「全く気づきませんでした、定期的に整理したりするもんじゃないし……」
「ふ、そうか。大成功だな」
「卒業直後だったら絶対にオレが逆プロポーズしてたと思います」
「目に浮かぶよ……でもま、20歳まで健気に待ってたのも可愛かったな」
そう言いながらソファの上で抱きかかえると肩に頭が乗っかってくる……照れ隠しン時の癖だ、見抜かれてねえと思ってるのが更に可愛い。耳が赤いとか首が赤いとか…すぐ真っ赤になるのを揶揄ってたらこうするようになった。
「このメロ男」
「んだそれ……また造語か?」
「メロい男ってことです、本当に人をメロメロにさせるの得意ですよね!!!」
くましろがぷりぷりしだしたので背中を擦る。何したって可愛いから可愛いと伝えるのはくましろが学生だったときから同じことをしてるのに、俺がやると照れすぎてキレるんだから理不尽極まりない。
「お前にだけだよ」
「かっ、〜〜!!!も〜!禁止!その顔面!口説き!」
「キスは?」
「訴訟しますよマジで」
なんとも揶揄い甲斐のある……おかしくて笑ってるとくましろが俺に体を預けてくる。拗ねられる前にフォローしねえと。
「公開裁判してやる」
「またソレ?惚気てるって揶揄われて終わりだよ」
ぽちぽちと画面に文字を打ち込んでる、くましろの手元を見るとSNS。くましろが呟くのは今は減ったがメディア出演の情報、A組の誰と遊んだかなどの内容が3割くらいだとすれば、7割は俺。本当に俺に関することばっっっかり呟いている。
俺からすれば『あぁ、またか』と思うが、くましろは世間から莫大な人気を得ている……まぁくましろ人柄と生き様が積み上げてきた結果だと思うが、コイツのフォロワーたちは7割の俺の話をよくも『またか…』と飽き飽きせずに反応するもんだと感心する。マイクが類は友を呼ぶ、と言っていたがオタクがオタクを呼んでる感じだな……まあ俺としては『くましろがイレイザーヘッドとイチャイチャしてるのを見る、聞くのが好き』っつうフォロワーたちで助かっている。
「なんて書いたの」
『今日、部屋を大掃除していたらイレイザーヘッドから貰ったものファイルの中に卒業時に仕込んだらしい手紙を発見した。
今日をおれの命日とします』
「生きろよ」
「無理です、誰かさんがメロメロにしてくるから」
「ふは…っ、くく……俺が老衰で死ぬまで一緒なんじゃないの?」
「も〜!買い物メモは忘れるのになんでそんなこと覚えてるんですか!!」
「おお、嫌味を覚えたか」
顔が真っ赤で可愛いだけで、俺には何のダメージもない。先日の俺がうっかりくましろから頼まれたもん買い忘れたことを突いてるんだろう……可愛いやつ。
「ほら、生きてって皆心配してンぞ」
毎度凄まじい勢いでコメントがついていくのはすごい。くましろのフォロワーはいいやつが多いんだな、人の惚気で幸せそうにしているのを見て、自分も幸せに感じるなんて良いやつじゃないと無理だ。
『くましろくん生きて』
『数年越しのサプライズで瀕死のNeutral』
『結婚する前からクソデカイ愛をあげてるだけじゃなくちゃんと貰ってるのいい』
『くましろくん越しにしか知らないけどイレイザーヘッドあまりにメロ男すぎない?そりゃくましろくんも毎度狂うよ』
「狂ってるって言われてんぞお前……」
「何ウケてんですか」
『このコメント見てツボって笑い始めた。狂ってないし。
ちょっと悶えてるだけだし。なんなの』
「悪かった悪かった、拗ねるな……あぁ面白い、お前本当に可愛いのな」
「むぅ……」
膨れっ面で拗ねてるのでおでこやほっぺにキスを落としていくと嬉しそうに目を細めてる。そういう、良くも悪くも単純でチョロいから可愛いんだ。最近可愛すぎてくましろの耳とか齧りたいことを伝えたらキュートアグレッションだと教えてもらった……まさにその通りだったので遠慮なく甘噛みするようになった。
くましろは俺の胸元に頭をグリグリ押し付けて甘えてくるのでそのままにしておき、俺もスマホで今や『Neutralの日常をお伝えするアカウント』と呼ばれているアカウントで文字を打ち込む。
『そうだな、たまに胸元抑えながら崩れ落ちてるもんな』
そう投稿すればこちらも瞬く間に拡散されていく。コメントを見ているとくましろの写真がほしいとのコメントが目に止まる。自撮りとかあげねえしな……いつも上鳴や轟、芦戸や麗日、物間なんかのアカウントでは一緒に写った写真なんかをあげられてはいるが。
『酔いつぶれてマイクにおんぶされてるやつ
連勤のし過ぎだとダイナマイトにキレられて泣いてるやつ
米がうまいと力説してるやつ
俺のグッズが買えなかったと廊下でふて寝してるやつ』
俺の顔は反射でも写ってない、一般人もいない写真、自宅近辺ではない写真を厳選してアップロード。それと同時にくましろも気付いたようでこちらを2度見。
『お気に入りは米。スーパーの安いノーブランドでも俺が炊いたら最高級のコシヒカリらしい』
『全部バラしすぎです、スマホ乗っ取られました?』
『100%自我で操作してる』
「消太さん」
「ん?」
「なんでこんな変な写真ばっか……」
「変じゃない、可愛いだろうが。節穴か?」
「両目の視力1.5超えですが??」
貴方より視力いいですが?と煽られるので鏡見てこいと告げる。本当に鏡見てこい。
「ほら見ろ、可愛い可愛いってコメントばっかりだ。今回の裁判は俺の勝ち」
SNSと大衆を裁判所にするなよとマイクに以前ドン引かれたが、自分が言っても相手が信じないなら世論を見せる他ないだろう。くましろもよくそうしてくるし、おあいこだと思ってる。
『間抜けツラのクソバカがおる』
パッと目についたコメント…誰が誰に向けて書いたかすぐ分かる。爆豪だろう。なんだかんだ、泊まりに来たり泊まりに来させたりしていて仲いいくせに…普段はツンケンしてて本当に猫のようだ。
『間抜けじゃないもん ホラ』
『テメェ何勝手に人の寝顔晒しとんだボケカス消せや』
『やーなこった』
『ブロックすんぞ また』
『消させていただきます 保存した皆も消してね』
早っ。しつこくしつこく爆豪と遊びに行きたいと言って連絡しすぎて鬱陶しいとブロックされていた時期がある。緑谷とマイクの必死の仲介により雄英の職員室でブロックを解いてもらってたのは本当に面白かった……くましろがしつこいのは分かるし言い聞かせるが、あんまり泣かせるなよと爆豪に言ったんだっけな…。
「いいように扱われてんのな」
「オレが消太さんのグッズ自引きして喜んでる写真はあげてたくせにね……ふん」
「あれも可愛かったね」
ぎゅう、と後ろからくましろの腹に腕を回してよりくっつく。
『くましろと爆豪の写真載せればいいのか』
おお、なんにも分かってない轟も出てきた。三人でのチームアップの際に撮ったらしいショット。それに事務所らしきところでアイス食ってるくましろと、何故かくましろのアイスを食ってる爆豪の写真。
『載せんなテメーも消せ今すぐに』
『いい写真だぞ?』
「轟くんの天然に爆豪くん振り回されてる」
毎度のことだな、と返す。本当に毎度のことだからだ……在学中から天然だったが、そのまま卒業していった。
「ふは、出久くんがマウント取りに来ましたよ」
『仲良しのくせにいつも喧嘩してるよね、君たち……』
雄英の仮眠室か。くましろを挟むようにして3人揃ってソファで口開けて寝ている写真だ。これ先日のビル倒壊の時か、3人ともボロボロだ。
『オイコラクソボケ出久消せや、乗るんじゃねえよ』
『そーだそーだ!オレ変な顔多いの悪意あるぞ』
『何を言ってるの、くましろくんのどこが変な顔なの』
『うれちい』
「うれちい?」
「かっわ………??!もっかい言ってください」
やなこった。おでこをぐりぐりと肩に押し付けてくるのではいはい、と背中を擦る。突然のくましろを含めたトップチャートに入る爆豪たちのオフショット祭りに各フォロワーが大混乱と大興奮に陥ってるようだ。それぞれの写真がものすごい勢いで拡散されていく。
『くましろくん、誰といてもいつも幸せそう』
『さすが国民の弟』
『俳優の〇〇とCM出たときも凄かったよね』
『イレイザーヘッドはヤキモチ妬かないんですか?』
ヤキモチ……妬く暇がない、が正しいかもな。結婚する前から俺が1番だのなんだの言われ続けてもう何年経つんだか。くましろが嘘をつくことも、例えば浮気みたいな不貞が出来るような性格じゃないことは理解している。
「くましろ」
「……?あ、足痛かったですか?」
「違う……もっとこっち。ちょっと眠い」
くましろを掛け布団のように上に寝そべらせてソファに横になる。ぴったりくっついて暖かいし重みがちょうどいい。最近雄英でバタバタしていたから疲れが取れにくい。くましろを抱き寄せて目を瞑る。
(消太さん、流石にブランケットくらいないと風邪ひく…)
(ん……どこ行くの)
(ブランケットとってきます)
(いい、行くな)
(わっ!??…風邪ひいちゃう…)
(ひかねえ……あと30分したら起こして)
(ふふ、はぁい……よいしょ)
(なにしてんの)
(お腹とかでないようにシャツインしてるんです)
(ひかねえよ、くましろあったかいし)
(人間の体温なんだから同じくらいですよ……よしっ)