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91 番犬
*相澤消太
なんだ……?体が思うように動かない。目の前にはすうすうと寝息を立て眠るくましろ。またこいつは布団蹴っ飛ばして……別に蹴飛ばすのはいい。俺の分まで蹴飛ばすからいつも寒くて起きるんだ、クソガキがよ……。布団を手に取ろうと起き上がろうとして起き上がれないことに気付く。
「…??」
なんだ?この違和感……。体を見やると服を着てる。まぁ、だよな。金縛りか?いや、顔は動く。いつもより起きる時間は早いが、くましろにも確認してもらおう。そう思いくましろを呼びかけた。
「ワン」
…………ワン???
*神代くましろ
ユサユサと体を揺さぶられる感覚で意識が浮上する。もう起きる時間……?相澤さんのお弁当作らなきゃ……。寝ぼけた頭で目をこすり、隣を見やる。
「………っ??!?うわぁああぁっ!!!!」
びっくりしすぎてベッドから転げ落ちた。急いでドアまで向かってドアの後ろに隠れる。なんか狼みたいなの居なかった??!
いる……めっちゃこっち見てる……でっか!!??!?あれ……でも黒い狼っている…?ていうかなんか、顔の部分だけ半獣みたいな……髪の毛がある、相澤さんそっくりな。
「……あ、相澤さん……ですか?」
小型犬よりは、大型犬のほうが確かに好き。大きくて優しいイメージがある……けど実際のオレは、中型犬の柴犬くらいしか現実で見かけて触ったことがない。だからイメージで予想してるけど、これハスキーとかシェパードとかよりも遥かに大きい……気がする。
そりゃ犬をこう、バンザイ!ってさせたら1m以上あるだろうけど……バンザイ状態にしなくても、それこそ相澤さんくらいあるんじゃないか?ってくらい、大きくてちょっと怖い。
そろり、そろり。刺激しないように(転げ落ちてドアまで走り回った時点でもう遅いけどね)、ゆっくり近寄る。お、大人しい……でも相澤さんですか?の問いに答えてくれなかったから違うのかもしれない。
目の前まで来て少し頭を下げて見る。見れば見るほど相澤さんだ。かっこいい……!真っ黒い毛のワンちゃんなんて見たことない!
「う、あの…くましろです、相澤さんですか?」
「ワンッ」
びっっくりした、急にそんな元気に鳴かないでよ……!!!意外と本物のワンちゃんぽく返事をする相澤さん(仮)に驚きすぎて尻もちついた。向こうもいきなり尻もちつくオレにびっくりしたのか、ベッドから降りてきた。カチャカチャと爪が床に触れるたび音がする。すりすりとマズルの部分を顔に押しやられると、あまりに大きいからかぐいぐい押される。
「な、撫でてもいいですか…?」
そう尋ねると頭を少し下げて目を瞑ってる。わ……可愛い……!え、何その可愛さ…??!信じられない…脳みそが処理停止しちゃってるから受容できない可愛さすぎる。
「お、おぉおお………!!!モフモフだ……!!かっこいい!」
耳を触るとぴるぴる動くから触りまくってたらめちゃくちゃジト目で見られて圧を感じたので謝る。怖い。食べられそう。マズル大きいし、噛みつかれたら顔の半分は持っていかれそうな大きさだ………あ!根津さんにとにかく連絡しないと!!
「つ、繋がらないどうしよ……ゼンマイは?」
ゼンマイも繋がらず。どうしよう、誰に連絡すればいいの?オールマイト??ミッドナイト?セメントス先生とか…?待って、セメントス先生ってオレと相澤さんのこと知ってるんだっけ??誰がどこまで知ってるんだっけ…?とアワアワして思考がまとまらなくなる。
「ゔぉっ…な、なんですか?」
後ろから頭突き?のように体当たりされて体勢が崩れる。ほんとに大きいな……見た目ワンちゃんだけど、もう大きさは馬くらいあるのでは???
「う、いて……どうしよ、連絡つかないし…職員室に連れて行くにも……大きすぎて目立つよなあ……あ、そうだ!」
こんなときのたいと!持つべきものは友!朝からごめんね、とお願いしてみる。
『やってみるけど、オレ今まで対人にしかやったことないからなあ……』
「あの、大きさだけでも変えられたりできない……?こんなに大きいのよ、今」
『はぁ?!デッッカ!!!馬やん。乗馬していきーや』
「何言ってんの??馬だって軽車両扱いになるんだから…てか目立ちすぎて学校入れないと思うし」
『なんやあ、ちょっと満更でもなさそうなのに。ん〜………お、小さくなった?』
ちょっと!なった!でもこのくらいのサイズなら、海外の珍しいワンちゃんなんです!で通せそうな大型犬の類にギリ入れられそうな大きさになった。たいとにお礼を言い、幾分か小さくなった相澤さんの頭を撫でる。
もしかしたら、人としての自我?とか記憶とかないのかも。だってたいととテレビ電話してるときあまりに興味ないです〜って顔でそっぽ向いて寝てたし。自我とかあるならもう少し返事で会話してくれそうだし……。
「あ、相澤さん……今から学校に行きます。ただ、リードも首輪もないです…オレから離れないで歩けますか?無理なら、今日はお休みします」
伝わってほしい。さっき撫でてもいいか許可を取ったときは反応してたし、人語は理解できる……はず。
「ワン」
のし、とのしかかってきた相澤さんを撫でてなんとか地面に戻す。重みがすごい……。
「ストップ、は止まれです。はい歩いて………ストップ」
ぴた、と止まりおすわりまでする。賢いな……でもやっぱり、いつもの相澤さんって感じはしない……。獣化しちゃったんだろうか?
なんとか裏道を使って人目につかないようにし、正門もなるべく人が居ないタイミングで入る。ICカードはあるから問題なし。そのまま職員室へ直行する。
「う、ゼンマイ……」
「どした?!なんだ??!何あったよ………え、これ相澤か?」
「多分……誰に電話かけても通じなくて」
「泣くな泣くな、個性事故だろ!根津さん読んでくっからそこ座っとけ」
やっと知ってる人に頼れてぽたぽたと流れた涙をゴシゴシ強めに拭われた。ちょっとほっぺがヒリヒリする。ソファに座ると、相澤さんも隣に座ってくる。こちらが座った状態でおすわりすると、オレよりもデカい。見上げてるとまたマズルの辺りをすりすりされる。
「あららん、相澤くん個性事故?……うーん意識もワンちゃん寄りなの?」
「うん……でもこれ、たいとに頼んで小さくしてもらったほうで……朝起きたら馬くらいだった」
ミッドナイトにそう言うとお腹抱えて笑ってる。乗ってきたらよかったのに、ってたいとと同じこと言ってる。乗れるわけないじゃん、通報されるでしょうよ…!!
「おやおや相澤くん、随分変わっちゃったね…おっと」
「相澤さんだめ、ストップ」
犬寄りの…何、人格?自我?になっているからか、ネズミの根津さんを見て飛びかかろうとした相澤さんに抱きつく形で止めるとグルル…と狼みたいな唸りを上げて止まった。
「すげ〜、神代のいうことは聞くんだな…ヘイ相澤、意識あるならお手してくれや」
ゼンマイが右手を差し出すもシーン……となる。やっぱり人間というより、ワンちゃん寄りになってるんだ……。
「今朝からかい?ごめんね、電話出られなくて。別の会議資料の作成でバタバタしてて……」
「あ、いえ……今朝からです、今…ギリギリ海外の品種のワンちゃんです!で通りそうな大きさなんですけど、起きたら馬くらいあって…オレの友達に縮めてもらいました」
ミッドナイトやゼンマイがオレから離そうとすると唸るため、今日は一緒に授業受けてねと根津さんに言われる。
「提出物があって職員室による途中、獣化してしまった相澤先生と遭遇ってことでいいかな?相澤先生、最後にもう一回確認しようか。………昨日までの記憶があるなら返事をしてほしいな、どう?」
やっぱり根津さんの問いかけにも応じず……。年のための首輪とリードをつける。
「窮屈でしょうけど、我慢してくださいね……ぶ」
ほぼ突進と変わらない頭をぐりぐり押されて仰け反る。とっても大人しい。頭を撫でてほしそうに下げてるので頭を撫でる。
「……ちゅー訳で、恐らく今日一日はイレイザーはあの通りデケえ犬だ!…職員室で確認した結果、神代以外の言うこと聞かねえから気をつけるようにな!」
ゼンマイがホームルームを行い、全視線を浴びながら足元に目をやる。本当は職員室か仮眠室に…と思ってたんだけど、ひっついて離れないしリードを結んでドアを閉めようものなら大暴れして追っかけてこようとするから仕方なく、同伴。ちょっと大きい盲導犬と思えば……!
「目つきがまんま相澤センセーだな」
「かっこいいよね、大きいからちょっと圧凄いけど」
「ヴゥ゛」
「う、唸らないで……」
上鳴くんや切島くんくんが頭を撫でようと近づいただけで唸る始末。最初はみんなも驚いてたけど、確かに相澤さんなら警戒心強そうと納得してもらえた。
昼休み、食堂で食べるわけにも行かないのでランチクックに特別におにぎりなどを握ってもらった。漬物と、唐揚げとお味噌汁もある。美味しそう。
「……朝から何も食べてないですよね、一応さっきゼンマイたちが用意してくれてて……」
自我がないならドッグフード食べるのかな?となり、念の為にコンビニのサンドイッチやおにぎりも用意はしてる。
ドッグフードの袋を開けてみたけど、とっても無反応。おにぎりは?と思い開けるともそもそ食べてる。食は人間寄りなんだ……。
いつも騒がしい食堂でご飯を食べるから、裏庭のこの静かな空間がなんだか変に思える。誰もいないみたい、生徒数凄いいるのに。猫も寄り付いてこないし、風が吹く音しか聞こえてこない。
「あれ、死神の息子じゃん」
「ぼっち飯?ぶは、可哀想〜!」
「まぁそりゃそうだよな、死神一家とは関わりたく「ゥワンッ!!!」うおっ!?びっくりした、でっか!??!」
オレもびっっくりした。普通に肩跳ねた。でっかい狼のような犬がいると……野次馬たちは走り去っていく。
「……相澤さん、ストップ。大丈夫です」
そう言ってるのにジト目ですごい見られてる気がする。
「本当ですってば……ありがとうございます」
顔から背中にかけて撫でるとめちゃくちゃ鼻息かけられた。フンス!て感じ……ドヤってたのかな?可愛い。オレが食べようとしてたおにぎり食べられたけど。
「あ、オレのご飯!」
「……」
ぐう、可愛い……。
「そっか、もともと体大きいですもんね……買ってきた分じゃ足りなかったかな…どうぞ」
オレがご飯作るようになる前はゼリーだけだったし。……いやでもご飯作るといっぱいムシャムシャしてるし少食なわけでもない。おにぎり2個じゃ足りなかったのかも。そう思って差し出すとマズルでおにぎりを押し返される。
「えぇ?……ふは、食べようとしたら横取りするのなんなんですか」
マズルが耳元にやってきてヒゲが当たってくすぐったい。わふわふ鳴いてなんか笑ってるみたい?
「くましろくん、ここに居たんだ」
「あ、出久くん!うぉ゛…重い゛……」
立ち上がろうとする前に膝の上におすわりされて、オレの肩に前足を乗っけてきて倒れる。首元に相澤さんの顔がやってきて鼻息がくすぐったい。
「ふふ、ほんとに仲良しだね……あれ、ご飯シェアしてるの?」
「ドッグフードかと思いきや、食は人間寄りだったんだ……オレが食べようとすると横取りしてくんの」
そういうと出久くんも笑って隣に座ってくる。またジロリと圧のある目で出久くんを見るもんだから背中を撫でて落ち着かせる。
「いつもはくましろくんが相澤先生の忠犬だけど、今日は相澤先生が番犬みたいだね」
番犬…そうなのかな。出久くんと寝っ転がって話してると相澤さんが起き上がり、唸りだす。視線の先にはさっきの野次馬たち………バットとか傘を持ってる、何する気?
「お、いたいた…ペットは連れ込み禁止だぜ?ヒーロー様はそんなことも知らねえのか?」
壁になるように相澤さんが前に立つと、相澤さんめがけて傘を下ろす生徒たち。
「出久くん、先生呼んできて!できればヒーロー科の」
セメントス先生あたり来てくれると助かるけど……。ワンちゃんの動体視力をもつ今の相澤さんは軽々と振り下ろされる傘を避けて突進で野次馬たちをよろけさせてる。噛み付いちゃだめって分かるんだ、本当に賢い。
「この子はペットじゃないし、きちんと根津さんの許可をもらってる!バットなり傘なり持ち出して恥ずかしくないわけ?」
オレは個性を使えない。使ったら大事になってしまう。だから身一つで傘なりバットなりを1人ずつ取り上げてく最中に、傘の折れた骨が顔を思い切り掠めて引っかき傷のようになる。それが目の下だったから思わず痛みで蹲ると、聞いたことないくらい低い声で唸る相澤さんが見える。
「ストップ、だめ」
ストップと言ってるのに今にも飛びかかりそうな体勢だから顔を抱きかかえるようにして抱き寄せる。少し暴れたし噛まれたけど、その間にミッドナイトが来てくれた…助かった。
「コラァガキ共!!!!武器を片手に何やってんの!!セメントス先生、逃げられないようにして!!」
ミッドナイトの鞭によってぐるぐる巻きにされた生徒たちを横目に見つつ、個性を使用する教師陣に警戒してるのかまた唸ってる。
「ヘイヘイ……オーこりゃまた血まみれだな神代……イレイザー、退け!治療すんだよ」
リカバリーガールも来てくれて手当してくれる。傷は自分で治癒すると返し、右腕は噛まれてしまったことを報告する。
「狂犬病とかあるのかな」
「ゔ〜ん……まあ元は人間にしろ今完全に犬だしな……今塚内さんにも連携して、昨日イレイザーがとっ捕まえた敵の中の個性を調べ直してもらってるとこでな……念のため病院行くか?」
「うん…そうしようかな……痛いし」
「そうなると相澤くんは流石にお留守番ね……言う事聞くかしら、今朝だってすごい暴れたのに」
「神代、気を逸してもらう間にこの噛み付き防止のやつ口につけるから協力してくれるか?」
頷く。右腕腫れてきてる……予防接種とかしなきゃだめかもな。
「相澤さん、おすわりして……フフ、なんかしょげてます?」
頭を優しく撫でてるとホイッスルのようなワンちゃんが甘えるときの声が聞こえる。ゼンマイがマズルに口輪のようなものをつけたらちょっとキョトンとしてた。
「ゼンマイ、病院の付き添いお願いしていい…?ちょっとしんどくなってきた…」
「そうしてやりてぇが、この暴れ犬を見とかねえとよ……お前がいなくなったら暴れるだろうから。ミッドナイトが付き添ってくれるから行ってこい」
(戻りました……)
(注射されてぐったりねぇ、少し眠る?)
(いや……学校戻ったらにする)
(フフ、相澤先生気になるの?愛ねぇ)
(なんかしょげてたし……いつ戻るのかな)
(しょげてたかしら…??大体個性事故なら1日か長くても2日で戻ると思うわよ。塚内さんから連絡きてるといいけど)
(おぶ……ごめんミッドナイト)
(アラいいわよぉ、くましろちゃん可愛いしおんぶしたげる)