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86 最高の一日
*モブ(Neutralのフォロワー)
今日本当に朝から最悪だった。いつもより10分遅く目が覚めて準備もドタバタでメイクのノリも超悪いまま家出たら電車の定期玄関に忘れて朝からガンダ。おかげで春になりかけのまだ寒いこの時期に汗だらだらでギリギリに出社。
私は
まあ………結果はね、ほら私の推し事務所入ってないから。人気すぎて個人でやるって決めた人だからさ……チームアップとかも組まない人だから今の所見る機会はない。けど、私の事務所にはなんと推しと大変仲のいい我らがショートがいる。もしかしたら、と毎日無遅刻無欠勤をキメてるから上司達の私の評判もそこそこいい……はず。
ひとつ、訂正というか注釈を挟むなら会ってどうこうしたいということではないということ。推しは晴れて大好きな人と結ばれて結婚してるし、そこに入り込みたいわけじゃない。ただ遠目でもいいからこの目で見てみたい。それだけ。
「あの」
「うぉ!??!ひゃ、はい!どうしました?!?」
考え込んでボケーっとしてるところに突然のショートが視界に入ってくるもんだから声は裏返るし噛むし、大変に無様な姿を晒してしまった。そんなことを気にしてないショートは今月の勤務時間表(仮)を私に申し訳なさそうに提出してくる……なんだ…?可愛いけど受付は厳密にはここじゃないぞ…?
「人事の奴らに再提出って言われたんだが、どこが駄目なのか分からねえ。アンタ分かるか?」
「ん〜拝見しますね………」
とりあえず内勤スタッフに声をかけた感じか。ショートは天然だし仕方ないか……たらい回しにせずに済むから私に分かればいいんだけど。じ〜っと眺めてるとこの事務所の特にヒーローたちへの最低でも月1の有給取得がないことに気づく。ヒーローは激務で過酷だ、何連勤の何徹なんてザラにある。そのままだと体を壊す可能性もあるから…ということで我が事務所に取り入れられた最低月1の有給取得。実態はというと、守れてる人のほうが少ないけどやらないよりマシだと思う。
「今月の有給取得が足りないんだと思います、たぶん…」
あぁ…と小声で納得したようなショートにお礼を言われる。私の友達が聞いたら発狂して踊りだすだろうな…。その後も経理申請やら他の事務所とのやり取り、メディア対応など膨大な仕事をさばいてやっと帰れる。今日は特に忙しくて珍しく定時を大きく過ぎた。
事務職なんて入力作業とかしてるだけじゃんって言われることもあるけど……ヒーロー事務所の事務職、経理に関することや勤怠に関することも少し触れるから法律勉強しなきゃだし、そうじゃなくても窓口対応みたいなのも請け負ってるから単純に業務量が半端ない。なんにも楽じゃない……でも1番大変なのはヒーローたちだ。彼らは何日も家に帰れないことだってある。
今日はもう流石に自炊する気力ないからコンビニでいっか…適当にお酒とサラダやらつまみを手にとってお金を支払ってからコンビニから出る。最近の新曲ランキングのプレイリストを再生しヘッドフォンを耳にかける。あ〜…なんかCMで聞いたことあるなこの曲。
そうやって家まで歩いているといきなり左腕に痛みが走る。見やると犯人確保!のようなポーズで固められてて左の肩関節が外れそうなくらい痛い。え、てか何誰?!私そんな犯人確保される覚えないんだけど?!?さっきのコンビニも有人レジだから万引きなんかしてないし…!!
「いったたたた!?!何、離して…!」
「騒ぐんじゃねえ、金よこしな」
はあ…?!?敵??!どんだけついてないんだ今日……!てか右手はコンビニの袋持ってるからお金を出そうにも出せない。鞄ごとひったくられるのは正直困る、カードやら免許証やらが大量に入ってるから。敵のもう片方の手にはフルーツナイフが見えた。騒いだらそれで刺すつもりなんだろう……なんて最悪なんだ。
「は〜いちょっと待った!」
痛みがなくなるとともに聞き覚えのある声が上から聞こえる。
「……!うそ、Neutral…!??」
「現行犯逮捕!……よし、肩だいぶ痛そうだったけど平気ですか?」
4度見くらいしても消えない目の前のNeutralに手が震える。私が怖がってると勘違いさせちゃったのか、ものすごく優しく話しかけられてる。え、待って、突然の推しに真っ白すぎてなんにも出てこない……!顔小さっ!?目ェでっか…?!肌白……!!!イケメンすぎる何、本当に同じ人間??!
「警察があと5分くらいで現着するから、座っててね…あ、寒くないですか?」
「あ、は、はい……」
「診断書出したら明日明後日くらい会社は休めると思うからしっかり休んでね、あと病院にも行くこと!……あれ、轟くんじゃん」
「お……あれ、昼間の」
「知り合い?さっき敵に襲われててさ」
ほら、と伸びてる敵を指差してる。上からNeutralに飛び蹴りを喰らった敵は無様に伸びて気絶してるようだ。
「オレの事務所の受付事務の……田中さん」
「……ってことは仕事帰り?こんな時間まで!?大変なんだなあ、受付事務って」
「あ、いや今日はたまたま……書類の確認とか立て込んじゃっただけで!」
「もしかして、オレのやつか?」
「まあ…その確認もしてはいましたけど…それだけではないです、今色々重なりやすい時期で」
今月、ショートはバラエティ番組への出演があったりして有給をねじ込めそうな日がない。なんとか……1日くらいお休みとってほしくて調整していたのはある。でもそれだけが残業の理由ではない。
慌てて否定する私を見てショートのせいだ!とNeutralがショートに楽しそうに絡んでる。いや、ほんとに仲いいんだなこの2人……やり取りが可愛い…。あと、ショートは良くも悪くも真顔が多い。めったに笑う姿は見れないけどやっぱりNeutralの前だとよく笑う。2人で遊びに行ってる様子やら番組に出た際もNeutralや同期がいるとよく笑う印象。
「何やってんだ、一般人座らせて……怪我してんのか?」
「しょ……すみません」
相手の名前をつい言いそうになったのか、自分の頬をビンタしたNeutralを2度見した。ショートは面白かったみたいで肩を震わせて笑ってる。ていうか…なんか聞き覚えあると思ったけどこの声もしかして、イレイザーヘッド……?!
以前Neutralがダウンした際のお知らせ係としてSNSデビューしたアカウントで、誤爆イチャラブ配信した時に少しだけ声が入ってて聞きまくったから自身ある。聞いてるこちらが吐くほど甘い声でNeutralのこと呼んでて最高だった。
「奇行すんな……轟の事務所の事務員さんなら名前で呼んでもいいだろ、別に」
「誰であってもだめなんです!」
待って何その甘え方…?!?メディアや救助活動中に見る顔つきとは全く違うNeutralの甘えた表情を見て確信に変わる。やっぱりこの人イレイザーヘッドなんだ……ゴーグルと捕縛器で顔隠れてて見えないけど…。
「足でも刺されたのか?」
NeutralはメディアでもSNSでもイレイザーヘッドのことはよ〜〜〜〜く話してくれる。世界が憂うイケメン、この世の星を集めても足りないくらい好きと大惚気していた時を思い出しながらイレイザーヘッドを見ていると、声をかけられる。
「いえ、なんか肩をこう……確保!みたいな感じで。ナイフはちらつかせてたんですけど、それを使う前にNeutralが来てくれました」
「そうか…地べたに座ってると体が冷える、くましろ上着貸してやれ」
「はいどうぞ!」
の、脳がキャパオーバーで追いつかない………本名呼びしてるんだ、とか推しの上着を貸してもらえるこの状況何?とか……。
せっかくなので上着を羽織らせてもらう。……気持ち悪いけどめっっっっちゃいい匂いする…!!!今日命日かもしれない…!
「フォロワーなのか」
「え!?イレイザーヘッドの!??ソーシャルディスタンス!!」
ずい、と元々そんなに近くない私とイレイザーヘッドの間にNeutralが割り込んでくる。か、可愛い……全然あなたのフォロワーです……!
「馬鹿、見えない」
「ディフェンスです」
「お前のだろ…ほら、お前が俺に寄越そうとして買えなくて廊下で悔し泣きしてたやつ」
「なんで皆まで言うんですか…!?轟くんも笑わないでよ」
イレイザーヘッドが半年前にNeutral監修のちびぬいを指差してくる。これを……イレイザーヘッドにあげたがってたNeutralも、即完売で転売が横行するくらい人気だったから買えなくて悔し泣きしてたNeutralも可愛すぎて語彙力消える。可愛い、しか言えない。
「ほんとにイレイザーヘッドラブなんだ」
「嘘だと思われてた…?」
「あっ違う違う!予想以上に!!」
そんなやり取りをしながら談笑してれば警察がやってきてパトカーに乗せてもらう。夜も遅いし明日も仕事だから、というとショートがわざわざ上司に話しておいてくれるから休めることに。
「病院ちゃんといってくださいね」
「お前が言うのか?」
「もー今はいいでしょ!…あ、あとこれご飯?」
私のコンビニご飯!お礼を言って受け取る。Neutralの上着を羽織ったままなのは警察署での調査の時だった。言われたとおり翌日は病院に行って一応の診断書をつけて、その翌日に痛みもないので出勤。
「ショートさん、あの……Neutralと近々会う予定ありますか?上着借りたままで」
「怪我は治ったのか?よければ今から呼ぶけど」
話してみてわかった、ショートってめちゃくちゃ優しいんだ…!真顔が怖いかもとか無愛想なんだなとか思って申し訳ない。
「完全復活です、お騒がせしました。そんな…お礼したいのに呼びつけるなんて」
「そう気にしなくていい、くましろは人に呼び出されるの結構好きだから」
それは……呼び出す相手が貴方だからでは…??すぐに電話をかけたショートの言うとおり、電話の向こうから聞こえた声がかなりるんるんなのが分かった。
「やっほー轟くん!」
律儀に入り口から来たから受付は大騒ぎだ。なんたって私服のNeutralがニコニコしながらやって来たから。
「これあげる、ゼンマイがくれたの」
「おぉ、生のそば…美味そうだな」
「なんかいいやつらしくて美味しかったよ、あとこれ。しょ……イレイザーヘッドに食いすぎだって怒られたから」
またイレイザーヘッドの名前言いかけて自分で自分をビンタしたNeutralに静かに吹き出しそうになりつつ、1度洗濯した上着を差し出す。
「あ、肩の…!え、洗ってくれたんですか?よかったのに〜」
「あとこれ……私、観賞用に予備で買ってたのあるから……イレイザーヘッドにどうぞ」
「えー!?2個も買えたの!?やぱおれの家のWi-Fi弱いのかな…ていうかいいんですか!?これメルカリで2万とかで売られてたし…」
そんでもってNeutralってメディアに出てるまんまのキャラの人なんだな……そもそも在学中にできたファンクラブの加入理由も階段から転びそうなのを助けてくれた、とか落とし物拾ってくれたとか王子様?みたいなエピソード多いから、裏があるとは思ってなかったけれど。
「いいんです、イレイザーヘッドに持ってもらえるなら本望なので……」
そう言うとものすごい喜んでる。う、嬉しい……というか推しのイチャイチャ惚気エピソードに貢献できるとか何!?オタク冥利に尽きるんですけど…!!!
「……Wi-Fiにも強い弱いとかあんのか?」
そんで誰かショートにWi-Fiの原理を教えてあげて!初耳だ、みたいな顔してるから…!
(ね〜今度のゼンマイのラジオ轟くんもおいでよ)
(いいけど俺ら出すぎじゃねえか?)
(準レギュラーって呼ばれてるらしいよ)
(出すぎだな)
(いま爆豪くんも誘ってる、ずっとLINE無視してくるからめげずに1時間ごとに送ってる)
(ブロックされんぞ)
(そしたらお家行くからいい)
(ぶん殴られんぞ)
(そしたらやり返すもん)
(先生が悲しむだろ、やめとけ…あと緑谷も黙ってねえだろ)
(出久くん爆豪くんの味方すんのかな……許さないんだけど)
(架空の緑谷にキレんな……ほら事務の皆笑ってんぞ)
(ふふ、ぜひチームアップしに来てくださいね。Neutralなら大歓迎です!推しなので!)